第1 結論
1 事件詳細画面には複数の領域がある
TreeeSの事件詳細画面では,訴訟記録一覧,証拠一覧及び記録外一覧等が区別される。表示されているファイルを一括して「事件記録」と呼ぶと,法的な訴訟記録,証拠及び事務処理用の参考資料を混同する。
2 画面表示と閲覧権限を区別する
システム上のリンクが表示されることと,法令上その記録を閲覧・複写できることは同じではない。当事者・代理人,サポーター,システム送達受取人等の地位によりアクセス範囲が異なる。
第2 各一覧の役割
1 訴訟記録一覧
訴訟記録一覧には,裁判所が事件の電子記録として整理した書面等が表示される。提出直後のファイルが直ちに確定的な訴訟記録として表示されるとは限らず,裁判所による立件・関連付け・記録整理の段階を区別する。
2 証拠一覧
証拠一覧では,書証番号等を手掛かりに証拠及び関連データを確認する。証拠説明書,翻訳文,音声・動画等の関連データと元の証拠との対応を,画面表示だけでなく事務所の証拠台帳にも残す。
3 記録外一覧
和解条項案,参考情報その他の記録外資料が置かれる領域である。どの当事者が閲覧できるか,裁判所だけが閲覧する資料かを提出時の選択と併せて確認する。
記録外の選択は,民事訴訟法上の秘匿措置又は閲覧等制限申立ての代替ではない。
第3 関連事件と表示の切替え
1 関連事件を取り違えない
同じ当事者間の関連事件,併合前後の事件その他の関連事件へ切り替えられる場合,画面上部の裁判所,事件番号,事件名及び当事者を確認する。
ダウンロードする前に,現在開いている事件と目的の記録が一致するか確認し,保存先フォルダも事件単位で分ける。
2 一覧の並び順を保存証拠にしない
一覧の表示順,検索結果又は絞込み条件は,記録の法的な順序や完全性を当然に示すものではない。必要な期間・書面種別を確認し,漏れが疑われる場合は裁判所へ確認する。
第4 ダウンロードと電子署名
1 表示用データと電子署名付きデータ
資料上,電子署名付きデータをダウンロードする経路が示されている。閲覧用に開いたPDFと,電子署名情報を含む取得データが同一の利用目的とは限らない。
裁判所が電子署名を付した文書については,取得したファイルをそのまま保存し,印刷物又はスクリーンショットだけに置き換えない。
2 ファイルの保存方法
ダウンロード日時,対象事件,書面名,ファイル名及び取得者を記録する。ZIPその他の集合ファイルを取得した場合は,元ファイルと展開後ファイルの双方を管理し,元の構成を失わない。
電子署名はファイルが改変されていないこと等の確認に利用できるが,文書内容の真実性,主張の正しさ又は事件記録全体の完全性を当然に証明するものではない。
第5 閲覧権限と事務職員
1 GビズIDメンバー
最高裁判所提供資料上,GビズID連携を用いる職員は,弁護士に代わって記録閲覧等を行える設計が示されている。ただし,共用アカウントではなく各職員を識別できるアカウントとして管理する。
2 サポーター等
非連携方式のサポーターは事件への提出を補助できる一方,訴訟記録一覧から常時記録を閲覧できないと説明されている。システム送達受取人は受送達書面を受け取る役割であり,事件記録全体の閲覧権限とは別である。
詳しくは,TreeeSで事務職員ができることを参照されたい。
第6 30日表示との違い
1 受信一覧と提出一覧
資料上,提出書面一覧及び受信一覧には30日間の表示・アクセス期間が示されている。他方,当事者・代理人が事件の訴訟記録一覧から記録を閲覧する場面は,これらの一時的な一覧とは別である。
2 法的な記録保存期間ではない
30日は画面上の一覧又は下書きの保持期間であり,訴訟記録の保存期間,送達の効力又は上訴期間を意味しない。
第7 関連記事と出典
1 関連記事
民事事件記録の閲覧・謄写は法的な閲覧制度を扱い,TreeeS操作マニュアル(当事者用)の読み方は画面操作を扱う。
2 一次資料と未確認事項
民事訴訟法91条の2等及びTreeeS操作マニュアル(当事者用)を確認した。本番環境における一括取得,検索条件,アクセス履歴,署名検証手順及び閲覧制限資料の最終表示は未確認であり,判例秘書の個別判決本文も確認していない。