第1 結論と記事の対象
1 新規申立てはユーザポータルから始める
TreeeSで新たに訴えを提起する場合は,係属事件の事件詳細画面ではなく,ユーザポータルの新規申立ての入口から訴状フォームを選ぶ。
訴状フォームへの入力,添付ファイルの登録,手数料額の確認及び提出操作は一連の流れであるが,「送信したこと」「裁判所のシステムに到達したこと」「事件として立件されたこと」「手数料を納付したこと」は別の状態である。
2 資料上の操作と本番運用を区別する
本記事は,令和8年9月20日までに確認したTreeeS操作マニュアル(当事者用)及び最高裁判所提供資料に基づく。TreeeSは令和9年1月から名古屋地区で先行導入される予定であり,本番稼働後の画面,受付時間,障害時の取扱い及び最終的な入力制御は導入時の公式案内で再確認する必要がある。
第2 訴状フォームへ入力する事項
1 裁判所,事件類型及び当事者
最初に提出先裁判所及び申立ての種類を選び,原告・被告その他の当事者情報を入力する。氏名・名称,住所,送達場所及び法人の代表者を,訴状本文や登記事項証明書等の添付資料と照合する。
同姓同名,当事者の追加・削除,法人名の表記及び支店・本店の区別を,提出直前に再確認する。
2 訴訟代理人と委任状
訴訟代理人欄には,事件を担当する弁護士の情報を入力する。事務職員が入力操作を補助する場合でも,訴訟代理権を有する者と,システム上の入力者又はサポーターとは別である。
委任状その他の代理権を証する書面は,対象事件,当事者及び代理人との対応を確認した上で添付する。
3 請求の趣旨・原因とPDF
請求の趣旨及び請求の原因は,フォームへ直接入力する方法と,PDFを登録する方法が示されている。資料上,PDFをアップロードすると先に入力した文字列が消える欄があるため,入力済みの本文が残ると考えたまま提出してはならない。
提出前に生成される帳票又は確認画面を開き,請求の趣旨,請求の原因,別紙及び添付資料が意図した構成になっているか確認する。
第3 添付資料と参考情報
1 訴状本体,別紙及び添付資料を区別する
訴状本文に組み込まれる別紙と,資格証明書,委任状,証拠その他の添付資料は役割が異なる。ファイル名だけで判断せず,どの帳票又はフォルダに入るかを確認する。
書証を訴状と同時に提出する場合は,証拠番号,証拠の表示,作成者及び立証趣旨を証拠台帳と照合する。詳しい入力方法は,TreeeSでの書証の提出を参照されたい。
2 参考情報は訴状本文ではない
訴状フォームの参考情報として登録した内容は,資料上,訴状とは別の記録外領域に置かれ,裁判所が事務処理のために参照するものとされる。
参考情報欄は,請求原因,重要な主張又は相手方へ伝えるべき事項の代わりにはならない。また,秘匿決定や閲覧等制限の申立てを代替するものでもない。
第4 提出前後に分けて確認する事項
1 提出前の確認
提出前には,①裁判所,②事件類型,③当事者,④代理人,⑤請求の趣旨・原因,⑥添付ファイルの版・頁数,⑦書証番号,⑧手数料額,⑨秘匿情報・個人番号等の有無を確認する。
TreeeSの手数料額表示は入力補助であり,正しい金額を最終的に保証するものとはされていない。手数料の計算は,民事訴訟の申立手数料の計算方法と照合する。
2 提出後の確認
送信後は,提出結果,受付時刻,受付番号その他の識別情報,提出ファイル及び提出先を保存する。通知メールだけで到達を証明したことにはならない。
民事訴訟法132条の10第3項は,電子情報処理組織を使用する申立てについて,申立事項が裁判所のファイルに記録された時に到達したものとみなす。期限のある提出では,システム上の受付結果を事件記録へ残す。
3 手数料納付と立件を別に管理する
提出完了後に納付番号が発行される場合,その発行及び実際の納付を別のチェック項目にする。提出済みでも納付未了である場合があり,納付済みでも裁判所の立件・事件関連付けが完了したことを当然には意味しない。
事務所の事件管理では,下書き,送信,システム受領,立件・関連付け,納付完了を区別して記録する。
第5 関連記事
1 TreeeSの総合案内
TreeeS(ツリーズ)とは―mintsとの違い,導入時期,アカウント及び法律事務所の準備は,TreeeSの位置付け,現行法及び導入予定を扱う。
2 操作マニュアルの索引
TreeeS操作マニュアル(当事者用)の読み方は,ログイン,提出,閲覧,納付及び送達の項目を横断的に案内する。
第6 出典と確認範囲
1 一次資料
民事訴訟法,民事裁判手続のデジタル化及びTreeeS操作マニュアル(当事者用)を確認した。
2 未確認事項
TreeeS本番環境は未稼働であり,導入後の画面差,障害時の代替提出,受付結果の最終表示及び裁判所内部の立件処理は未確認である。判例秘書ではTreeeS固有の運用を判断した裁判例本文を確認していないため,関連裁判例が存在しないとは評価していない。