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mintsのPDFは文字を検索できる必要があるか―主張書面・証拠・OCRの違い(AI作成)

mintsに提出するPDFについて、「すべてOCR処理が必要である」と理解するのも、「PDFであれば画像だけでもよい」と理解するのも正確ではない。裁判所の公表資料は、訴えの提起で請求の趣旨・理由をPDFにする場合にはテキストデータを保持することを求めている。他方、紙の書証をスキャンしたPDFについては、OCR処理が一律のアップロード条件とされているわけではなく、まず判読できる画像であることが重要である。

第1 結論―PDFの種類によって文字情報の扱いが違う

Word又はExcelで作成した訴状、準備書面その他の主張書面は、いったん印刷してスキャンするのではなく、元ファイルから直接PDFへ変換し、文字の検索・選択ができる状態を保つのが基本である。

紙の契約書、領収書、診療録その他の書証は、紙面を欠落なく判読できるPDFにする必要がある。OCRを付ければ検索しやすくなるが、OCRの誤認識は原資料の記載そのものではないため、表示画像との照合が必要である。

PDFの種類文字情報・OCRの扱い提出前の重点確認
請求の趣旨・理由を記載したPDFテキストデータを保持する検索・選択、表示、頁数、当事者情報との重複
準備書面その他の主張書面Word等から直接PDF化して文字情報を保持する最終版、検索・選択、脚注・図表、ファイル名
紙の書証をスキャンしたPDFOCRは一律の受付条件ではない全頁の判読性、欠け、順序、裏面、印影
写真・図面文字検索より画像の再現性が中心色、細線、縮尺、向き、関連部分
証拠説明書Excel等から直接PDF化する号証・標目・立証趣旨、並べ替え後の対応

第2 テキストデータが保持されたPDFとは何か

1 画像だけのPDFとの違い

Word等から通常の方法でPDFへ変換すると、文字はPDF内のテキストデータとして保持される。PDFを開いて文字列を検索し、文字を選択してコピーできるのが一般的である。

これに対し、紙へ印刷した書面をスキャナーで読み取ると、ページ全体が画像になる。見た目が同じでも、OCR処理をしない限り、文字列の検索・選択・抽出はできない。

2 検索できることと表示が正しいことは別である

検索できるPDFであっても、フォントの置換、文字化け、改ページのずれ、表の切れ又は脚注の欠落があれば提出用PDFとして不十分である。反対に、OCRで検索できるようになったスキャンPDFでも、検索結果の文字列が原資料を正確に再現しているとは限らない。

したがって、①PDF内の文字を検索・選択できるかという確認と、②画面に表示される本文・表・図・印影等が原稿又は原資料と一致するかという確認を分けて行う必要がある。

第3 訴状・準備書面はWord等から直接PDFにする

1 請求の趣旨・理由のPDF

最高裁判所事務総局民事局「民事訴訟フェーズ3に向けた準備の手引」12頁は、新規申立てフォームへ請求の趣旨・理由を直接入力しない場合、これらを記載した「テキストデータが保持されたPDFファイル」をアップロードするとしている。

当事者・代理人情報は新規申立てフォームへ入力するものであり、請求の趣旨・理由のPDFへ当事者目録を重ねて記載する取扱いとは区別する必要がある。

2 準備書面その他の主張書面

準備書面その他の主張書面も、Word等の元ファイルから直接PDFへ変換する。印刷物を再びスキャンすると、文字情報が失われ、裁判所及び当事者による検索・引用・記録の利活用を妨げる。

mints操作マニュアル別紙3は、Microsoft 365 AppsからPDFへ保存する際の設定を示し、「フォントの埋め込みが不可能な場合はテキストをビットマップに変換する」のチェックを外す手順を案内している。パスワードによる暗号化も選択しない。

3 PDF化後の確認

提出予定のPDFをいったん閉じて開き直し、次を確認する。

① 件名、当事者名、書面名、作成日及び頁数が最終版と一致する。
② 固有名詞や末尾の一文を検索でき、文字を選択できる。
③ コピーした文字に文字化け又は不自然な欠落がない。
④ 改ページ、脚注、表、図、印影及び最終頁が正しく表示される。
⑤ A4又はA3の用紙サイズ、パスワードの不存在及びファイル容量を確認する。

第4 紙の書証をスキャンしたPDFとOCR

1 OCRは一律のアップロード条件ではない

裁判所の公表資料は、書証の画像情報について、不鮮明にならないように作成し、提出前に判読できることを確認するよう求めている。最低解像度、特定のdpi又はOCR処理をすべての書証PDFに一律に要求する規定は、令和8年10月28日までに確認した裁判所公表資料には見当たらない。

したがって、紙の書証では、OCRの有無だけで適否を判断せず、全頁を表示して、文字、数字、朱書き、写真、細線、印影、裏面及び頁順を確認する。小さい原稿を自動クロップした結果、PDFページがA4又はA3以外になっていないかも確認する。

2 OCRを付ける場合の注意

OCRを付けると、長い契約書、診療録、メール又はチャット記録を検索しやすくなる。他方、かすれた文字、手書き、縦書き、表、旧字体又は印影の近くでは誤認識が生じ得る。

OCRテキストは検索を補助するものであり、画像として表示される原資料の記載を置き換えるものではない。証拠を引用するときは、検索結果だけでなく該当頁の画像を読み、文字、数字、日付及び記号を原資料と照合する。

黒い四角形を重ねただけの見かけ上の黒塗りでは、下の文字データが検索・コピーできることがある。秘匿処理をする場合は、OCRとは別に、元情報を復元できない適切なマスキングを行う必要がある。

第5 書面別の整理

書面推奨する作り方避ける作り方
訴状の請求の趣旨・理由Word等から直接PDF化する印刷してスキャンする
準備書面・答弁書確定版の元ファイルから直接PDF化する旧版PDFの流用、画像だけのPDF
証拠説明書最新のExcel書式からPDF化する旧法用書式の流用、記載例シートの混入
紙の書証判読できる設定で全頁をスキャンする欠け、重送、裏面漏れ、過度な圧縮
写真・図面色・細線・縮尺を保ってPDF化する読めない縮小、向きの誤り

第6 提出前の確認方法

PDF内の文字情報を確認する最も簡単な方法は、特徴的な語句を検索し、本文の一部を選択してコピーすることである。ただし、この確認だけで提出用PDF全体が正しいとはいえない。

提出前には、対象事件、提出区分、最終版のファイル、ファイル名、頁数、A4・A3、パスワード、1回のアップロード合計200MB、表示内容、文字検索及び提出後の記録一覧を順に確認する。主張書面は「主張」、証拠は「証拠」、証拠説明書は「証拠説明書」に提出し、「記録外」へのアップロードを正式提出の代わりにしない。

第7 よくある質問

1 手書きの証拠にもOCRが必要か

手書きの証拠を含むすべてのPDFにOCRを付けることが一律の受付条件とは確認できない。まず画像として判読できることを確保し、OCRを付けた場合も誤認識を前提に原画像を確認する。

2 「印刷」からPDFを作ってもよいか

既存PDFの用紙サイズをA4又はA3へ変更するために印刷機能を使う場面はある。しかし、再出力によって検索用テキスト、しおり、リンク、フォーム、電子署名等が失われることがある。Word又はExcelの元ファイルがあるときは、通常のPDF保存機能を優先する。

3 PDFを検索できれば原稿確認は省略できるか

省略できない。検索用テキストが正しくても、表示の崩れ、頁の欠落、図表の切れ又は旧版の取違えは残り得る。検索確認と全頁の表示確認を分けて行う。

第8 関連記事

① mints提出用PDFの作り方-Word・Excel・紙資料の変換・A3/A4・パスワード・200MBの確認
② mintsで準備書面を提出する方法-「主張」・記録外・直送・受領書の新旧法別ルール
③ mintsの証拠説明書の作り方・提出方法-標目・原本・写し・記録外データ
④ mintsで証拠を提出する方法-甲001・枝番・ファイル名・提出前チェック
⑤ mintsで裁判所が注意を促している誤り

第9 出典

① 最高裁判所事務総局民事局「民事訴訟フェーズ3に向けた準備の手引」(令和8年10月2日更新)12頁、29頁及び30頁
https://www.courts.go.jp/assets/071031_f3jyunbi_tebiki.pdf

② 裁判所「民事裁判書類電子提出システム操作マニュアル~当事者ユーザ編~」バージョン2.3(令和8年7月15日改訂)別紙3
https://www.mints.courts.go.jp/user/user_manual.pdf

③ 最高裁判所「民事事件等に関する手続における電子情報処理組織の使用に関する細則」2条
https://www.courts.go.jp/assets/080521saisoku.pdf

④ 最高裁判所「民事訴訟規則」137条の2第2項
https://www.courts.go.jp/assets/080521minnsokisoku.pdf