第1 この記事の対象と結論
本稿は,平成29年司法試験論文式試験の刑事系第2問(刑事訴訟法)を対象とする。
試験実施日である平成29年5月20日を法的検討の基準時とし,その時点の刑事訴訟法と,それ以前の裁判例を用いた。
法務省の出題の趣旨及び採点実感の対象部分を読んだ上で作成した,AIによる答案・解説である。
本稿の答案は,窓ガラスを割って入室した①と乙のバッグを取り上げて捜索した②を適法,丙のポケット内部を探った③を違法とする。
設問2では,証拠2だけを甲証言の弾劾に用いることを認め,証拠1・4の採用を否定する。
証拠3については,既にされた弾劾による信用性の低下を回復する限度で採用を認める。
以下の結論は,理由付けと当てはめを伴う一つの構成である。
公式資料は,捜索の適法性や回復証拠の許容性について,結論だけを一義的に指定していない。
本稿と異なる構成でも,条文・制度趣旨・具体的事実を一貫して処理する答案はあり得る。
評価項目は全24件で,重み1が0件,2が1件,3が2件,4が14件,5が7件である。
表示上の重みの合計は99だが,条件付き項目を全答案に累積して要求するものではない。
この一覧及び重みは本稿の独自の整理であり,法務省の公式採点基準・配点・得点予測ではない。
| 事項 | 内容 |
|---|---|
| 対象問題 | 平成29年司法試験刑事系第2問(刑事訴訟法) |
| 問題文 | 法務省の問題PDFの物理6~9頁に対応する問題本文を実読済み |
| 出題の趣旨 | 法務省の出題の趣旨の刑事系第2問・物理17~20頁の対象部分を実読済み |
| 採点実感 | 法務省の採点実感の刑事系第2問・物理8~12頁の対象部分を実読済み |
| 答案の基準時 | 平成29年5月20日 |
| 中心事項 | 捜索令状の執行・効力,自己矛盾供述,回復証拠 |
| 項目数と重み | N=24,重み5は7件,表示上の重み合計W=99 |
| 主要判例 | 最高裁平成14年10月4日決定,同平成6年9月8日決定,同平成18年11月7日判決 |
| 答案分量 | 空白を除いて4087字 |
| 試験後の動向 | 本稿は試験当時の法状態を扱い,その後の改正・判例動向の網羅的な確認は行っていない |
| 年度ハブ | 本稿では参照しない |
| 確認日 | 令和8年10月28日(日本時間) |
第2 評価項目の示し方と重み付けの基準
1 評価項目の示し方
評価項目は,一つの判定対象を一項目とし,答案の何を評価するかが分かる文に整理した。
出題の趣旨と採点実感の該当頁を併記し,一方に明示記載がない項目はその旨を示す。
答案水準の総合的な説明や法科大学院教育への提言は,新たな個別配点へ変換せず,各項目の理由付け・具体的事実の評価・論理的論述を判断する際の一般的な指摘として扱う。
2 5段階の重み付けの基準
重み5は設問の判断を大きく分ける核心,4は結論を理由付きで支える主要な論証・当てはめ,3は通常押さえる法的処理・事情の評価,2は論証を補強する説明・個別事情・誤りの注意,1は補充的な引用・記述範囲の確認を示す。
注意項目も,回避する誤りが設問に及ぼす影響に応じて個別に重みを付ける。
注意という種別だけで重み2にしたり,同じ誤りを通常項目と注意項目で二重に減点したりしない。
第4の番号は記事全体を通じた連番である。
重みと,どの構成を採る場合に評価するかという適用条件は別の問題として扱う。
特に13は,③の身体捜索自体を適法とする場合の検討であり,違法とする本稿答案にその論証を累積要求しない。
番号1を重み5とした理由は,許容される付随処分の入口と限界を決める核心。個別の必要性・相当性評価(2・3)とは区別。
番号6を重み5とした理由は,場所令状から物へ進む問題設定を誤ると,必要性だけの議論へ逸れる核心。
番号7を重み5とした理由は,令状効力がどの管理権を制約するかを決める核心。単なる具体的事実の列挙(8)と区別。
番号9を重み5とした理由は,場所・身体という異なる処分対象と利益を区別する核心。
番号16を重み5とした理由は,3書面の許容範囲を分ける自己矛盾供述限定の中心規範。署名押印等の形式(17)とは別の分かれ目。
番号21を重み5とした理由は,設問2⑵の法律上の入口を決める中心解釈。結論の肯否自体を重み5とするものではない。
番号23を重み5とした理由は,回復の文言解釈だけで終わる答案と具体的に判断する答案を分ける核心。一般的な増強との区別(22)だけでは足りない。
上記の核心に対し,2・3・5・8・11・12・18~20等の重み4は,核心の規範を事実や個々の証拠へ結び付ける主要な論証・当てはめである。
両公式資料に同じ表現があることを重み4の必要条件にせず,設問内で果たす役割から判断した。
第3 本問の概要
1 問題文と事実関係
設問1は,覚せい剤の密売を疑われる甲の住居に対する捜索差押許可状の執行を題材とする。
捜査官は,甲がドアチェーンを掛けたまま応対したため,ベランダ側から窓ガラスを割って入室し,その後に令状を呈示した。
さらに,同居する内妻乙が携帯していたバッグと,頻繁に出入りしていた丙の着衣のポケットを捜索した。
設問2は,丁の公判で証言した甲の信用性を争うための書面と,その信用性を回復するための書面の証拠能力を問う。
証拠1は甲の署名・押印のない警察官作成の捜査報告書,証拠2は甲の署名・押印のある警察官調書,証拠3は甲の署名・押印のある検察官調書,証拠4は乙の署名・押印のある警察官調書である。
供述者,作成者及び書面の形式を分け,供述内容の真実性と,異なる供述をした事実とを区別することが重要となる。
2 設問が求めること
設問1は下線部①~③の捜査の適法性を,具体的事実を摘示して論じることを求める。
設問2の1は証拠1・2・4の各取調べ決定の可否,設問2の2は,前問で甲証言の証明力を争う証拠を取り調べたとの仮定の下,証拠3の取調べ決定の可否を問う。
犯罪事実そのものの認定と,甲証言の信用性を争うための証拠利用とを区別する。
第4 評価項目と重み
1 設問1・下線部①
| 番号 | 評価項目 | 重み | 出題の趣旨 | 採点実感 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 窓ガラス破壊等の入室措置について,刑訴法222条1項・111条1項を根拠に,捜索の実効性確保のための必要性と社会通念上の相当性という限界を示す。 | 5 | 物理17頁「その限界を問う」 | 物理8頁「必要な処分」 |
| 2 | 覚せい剤の隠滅容易性・証拠としての重要性,甲の前科から推認される捜査に関する知識経験,複数人の在室可能性,ドアチェーンの状況を,迅速な入室の必要性へ結び付ける。 | 4 | 物理18頁「立証上重要な証拠」 | 物理9頁「必要性」 |
| 3 | 窓ガラスを割る財産上の不利益と証拠隠滅防止の利益を比較し,方法の相当性を必要性と区別して評価する。 | 4 | 物理18頁「その態様は社会通念上相当な範囲内」 | 物理9頁「不利益との均衡」 |
| 4 | 令状呈示の根拠を刑訴法222条1項・110条に求め,手続の公正と処分を受ける者の利益保護のため,執行着手前の呈示が原則となることを説明する。 | 4 | 物理18頁「令状呈示は,執行着手前」 | 物理9頁「令状呈示の趣旨」 |
| 5 | 事前呈示による証拠隠滅の危険と現場保存の必要性を考量し,入室後に甲へ呈示した本件の時期の適否を論じる。 | 4 | 物理18頁「現場保存の必要性」 | 物理9頁「令状呈示の時期」 |
2 設問1・下線部②
| 番号 | 評価項目 | 重み | 出題の趣旨 | 採点実感 |
|---|---|---|---|---|
| 6 | 身体・物・場所を区別する刑訴法102条及び219条1項の構造から,場所令状の効力がバッグという物へ及ぶかという問題を設定する。 | 5 | 物理18頁「令状には明示的に記載のない「物」」 | 物理9頁「処分の対象を特定」 |
| 7 | 場所の管理支配に服する付属物へ効力が及ぶ理由と,場所の管理支配を排除して第三者が管理する物には及ばない限界を示す。 | 5 | 物理19頁「当該場所の管理権者」 | 物理9頁「管理支配を排除する態様」 |
| 8 | 乙の同居関係と捜索開始時から継続する携帯状況を評価し,バッグに甲の管理権が及ぶか,又は場所令状が乙の管理権も制約するかという採用構成を一貫させて結論を示す。 | 4 | 物理19頁「甲方を捜索場所とする令状によって乙の管理権も制約」 | 物理10頁「管理権の対象範囲」 |
3 設問1・下線部③
| 番号 | 評価項目 | 重み | 出題の趣旨 | 採点実感 |
|---|---|---|---|---|
| 9 | 着衣ポケットを身体の捜索と捉え,人身の自由・プライバシーという場所・物と異なる権利侵害を理由に,場所令状では当然には許されない原則を説明する。 | 5 | 物理19頁「身体について捜索を実施することは当然には許されない」 | 物理10頁「人身の自由やプライバシー」 |
| 10 | 場所令状による身体捜索を例外的に許すか,許すならいかなる要件・根拠で許すかを示し,必要性だけで令状の対象を拡張しない。 | 4 | 物理19頁「いかなる場合にどのような理由」 | 物理10頁「捜索の必要性が高いとするだけ」 |
| 11 | 差押対象に小さな覚せい剤やメモ等が含まれること,密売の嫌疑と丙の出入り,ポケットの膨らみ・接触・無回答・トイレへの移動と制止無視を,証拠所持・隠滅の推認へ具体的に結び付ける。 | 4 | 物理19頁「比較的小さい物」 | 物理10頁「ポケット内に収められる物」 |
| 12 | 元々ポケットに物を所持していた場合と捜索の際に場所内の物を隠匿した合理的疑いがある場合を区別し,入室時からの右手の状態を踏まえて当てはめる。 | 4 | 物理19頁「入室した時点で丙が右手をポケット」 | 物理10頁「元々ポケット内に紙片」 |
| 13 | 身体捜索自体を適法とする構成では,腕を引きポケットへ手を差し入れた行為を,必要処分又は捜索そのものとして根拠・限界から検討する。 | 3 | 物理19頁「捜索を行うこと自体を適法とした場合」 | 物理10頁「本来行うべき捜索そのもの」 |
| 14 | 身体の捜索を,検証としての身体検査や鑑定受託者の身体検査と混同せず,必要な令状の種類を正しく区別する。 | 3 | 該当する明示記載なし(対象範囲実読済み) | 物理10頁「身体検査令状」 |
4 設問2の1
| 番号 | 評価項目 | 重み | 出題の趣旨 | 採点実感 |
|---|---|---|---|---|
| 15 | 伝聞法則と刑訴法328条の趣旨を示し,供述内容の真実性による実体立証と,矛盾供述をした事実による信用性減殺を区別する。 | 4 | 物理20頁「矛盾する供述をしたこと自体の立証」 | 物理11頁「伝聞法則及び刑事訴訟法第328条の趣旨」 |
| 16 | 刑訴法328条で許容される証拠を同一供述者の自己矛盾供述に限るかを理由付きで論じ,採用する見解から各書面を判断する。 | 5 | 物理19頁「自己矛盾供述に限られるか否か」 | 物理8頁「自己矛盾供述に限られるか否か」 |
| 17 | 矛盾供述の存在について厳格な証明を要求し,供述書・法定形式を満たす供述録取書等という証拠方法の範囲を示す。 | 4 | 物理20頁「刑訴法が定める厳格な証明」 | 物理8頁「供述者の署名押印を欠くもの」 |
| 18 | 証拠1はPが甲の供述を録取した書面であって甲の供述書ではなく,甲の署名・押印がないことを踏まえ,採用した見解から取調べ可否を示す。 | 4 | 物理20頁「証拠1は甲の署名押印を欠く」 | 物理8頁「捜査報告書」 |
| 19 | 証拠2について,仕入先と丁の関与,送金が借金返済か売上分配かという甲証言との具体的な矛盾及び署名押印を指摘し,弾劾目的での取調べ可否を示す。 | 4 | 物理20頁「証拠2は,同条により証拠として許容」 | 物理11頁「どの点が「矛盾供述」と言えるのか」 |
| 20 | 証拠4は乙の供述録取書であって甲の自己矛盾供述ではないことを理由に,採用した見解から取調べ可否を示す。 | 4 | 物理20頁「証拠4は乙の供述録取書」 | 物理8頁「証拠2,証拠4」 |
5 設問2の2
| 番号 | 評価項目 | 重み | 出題の趣旨 | 採点実感 |
|---|---|---|---|---|
| 21 | 刑訴法328条の「証明力を争う」に減殺後の回復を含めるかを,文言と実質的理由から論じる。 | 5 | 物理20頁「一旦減殺された証明力を回復」 | 物理11頁「いわゆる回復証拠が刑事訴訟法第328条により許容される」 |
| 22 | 既に生じた信用性の低下への回復と,単に公判供述を増強することを区別し,採用する回復証拠の範囲を限定する。 | 4 | 該当する明示記載なし(対象範囲実読済み) | 物理11頁「回復証拠と増強証拠との区別」 |
| 23 | 証拠2による減殺と甲証言に一致する証拠3との関係を具体的に示し,矛盾供述が例外的と分かるのか,供述変遷への疑いが残るのか等の実質的理由から証拠3の取調べ可否を導く。 | 5 | 物理20頁「いかなる理由で証明力の回復証拠」 | 物理11頁「その時々で供述を変遷」 |
6 答案全体
| 番号 | 評価項目 | 重み | 出題の趣旨 | 採点実感 |
|---|---|---|---|---|
| 24 | 関係条文を示す際には必要な準用条文も正確に示し,「準用条文省略」等で代用しない。 | 2 | 該当する明示記載なし(対象範囲実読済み) | 物理11頁「準用条文省略」 |
7 重みの分布
重み1が0件,2が1件,3が2件,4が14件,5が7件で,N=24,W=99となる。
重み5は番号1・6・7・9・16・21・23であり,その理由は第2に示した。
13は身体捜索を適法とする構成に限る条件付き項目,14・24は誤りの回避を示す注意項目である。
その他の項目も,本稿と同じ結論自体を全答案に求めるのではなく,選んだ構成の規範・理由・当てはめを判定する。
表の引用は根拠箇所の目印として短く掲げたものであり,周辺の理由付けや許容される分岐を省いて読む趣旨ではない。
第5 模範解答
1 答案の前提と表記
答案は①②を適法,③を違法とし,証拠2による弾劾と証拠3による限定的回復を認める構成を採る。
「刑訴法」は刑事訴訟法を指し,以下で法名を省略した条番号は同法である。
答案本文は空白を除いて4087字である。
2 答案
第1 設問1
1 下線部①
(1)本件令状は甲方を捜索場所としているが,その執行のために窓ガラスを割って入室できるか。
刑訴法222条1項が準用する111条1項は,令状の執行について錠を外すなどの必要な処分を認める。
その実効性を確保するための処分は,必要性があり,かつ,侵害の程度との均衡上,社会通念上相当な態様に限られる。
甲は覚せい剤事犯の前科3犯を有し,捜査の知識経験があると考えられる。
複数の購入者の供述や路上の取引状況から,甲方を拠点とする組織的密売の疑いがあり,覚せい剤の確保はその立証上重要である。
覚せい剤は短時間で流すなどして処分でき,甲方には乙が同居し,丙も頻繁に出入りしているから,玄関で対応する甲以外の者による隠滅も警戒する必要がある。
事前に甲がドアチェーンを掛けて郵便配達員に応対したことに加え,実際にも掛けたままドアを開けた以上,玄関からの入室には時間を要する。
Pによるチェーン切断を待つ方法も考えられるが,その間に他の在室者が隠滅する余地を残すため,玄関側と同時にベランダ側から速やかに入室する必要がある。
窓ガラスの破壊は甲の財産上の不利益となる。
しかし,チェーンの切断を待って重要な覚せい剤が失われれば事後の捜索では回復できないのに対し,この破壊は解錠・入室に直結する方法である。
組織的密売の重要な証拠を迅速に確保する利益との均衡上,本件の財産侵害はやむを得ず,方法も社会通念上相当である。
したがって,この状況での入室は必要かつ相当な処分として許される。
(2)もっとも,甲への令状呈示は入室後である。
222条1項・110条の呈示は,処分の根拠と範囲を相手方に明らかにして手続の公正と人権保障を図るから,執行着手前に行うのが原則である。
しかし,事前呈示をすると差押対象物が直ちに隠滅されるおそれがあり,実効性確保のためやむを得ない場合には,入室直後に呈示することも許される。
本件では前述の隠滅危険があり,チェーン越しの呈示や来意告知を先行させると在室者へ隠滅の機会を与える。
Pは居間で甲に令状を示した上で甲方を捜索しており,呈示を省略したり捜索後まで引き延ばしたりしていない。
よって,呈示時期も許され,①は適法である。
2 下線部②
(1)222条1項・102条及び219条1項は,捜索対象を身体,物,場所に分け,令状による特定を要求している。
したがって,場所にあるというだけで全ての物を捜索できるわけではない。
場所令状はその場所の管理権を制約し,同じ管理支配に服する物は場所に付属するため効力が及ぶが,場所の管理支配を排除して第三者が独立に管理する物には及ばないと解する。
乙は甲の内妻として甲方に同居し,同所を共同で管理する居住者である。
バッグを入室時から継続して携帯していたことは,乙自身の管理下にあったことを示すため,同居だけから甲の直接の管理権を当然に認めることはできない。
もっとも,甲方全体を捜索場所とする本件令状は,そこで共同生活を営む乙の住居管理権も制約し,その管理支配に属する物にも及ぶと解する。
乙のバッグは共同の生活場所において自ら使用する物であり,単なる来訪者の独立管理物とは異なる。
携帯の継続や乙の所有物との発言は,この場所管理権から当然に独立することを意味しない。
また,バッグは身体そのものとは異なる容器で,令状記載の手帳,メモ,通帳等を収納できる。
よって,本件令状の効力はバッグに及び,内部を捜索できる。
(2)さらに,バッグをつかんで取り上げる行為は,許された捜索を実効化するための必要処分として,222条1項・111条1項による必要性・相当性を要する。
乙は提示を拒んだだけでなくバッグを持って玄関へ進んでおり,このままでは対象物が捜索場所から持ち出されるおそれがあった。
任意の提示を重ねて求めても目的を達し難く,持出しによる証拠散逸を防ぐ必要があった。
Pの力はバッグを直接つかんで取り上げる程度で,乙の身体を捜索するものではない。
したがって,方法も相当であり,②は適法である。
3 下線部③
(1)丙の着衣のポケットに手を入れて内容物を取り出す行為は,身体に密接な着衣を対象とする身体の捜索である。
218条1項・219条1項が捜索すべき場所,身体,物を区別して令状による特定を要求するのは,それぞれの侵害利益と必要性について裁判官の審査を受けさせるためである。
身体捜索は人身の自由と身体に密接なプライバシーを侵害し,場所・物への捜索とは質が異なる。
場所内にいる者の身体も当然に捜索できるとすると,その侵害についての司法審査が失われる。
本件令状は甲方という場所だけを対象とし,丙の身体を対象にしていない。
(2)場所内にあった差押対象物を捜索中に身体へ隠したと認める合理的な事情がある場合には,令状執行の潜脱を許さないため必要処分として取り出す余地がある。
しかし,本件では丙は捜索開始時から右手をポケットに入れており,その後,室内の物を隠した事実は示されていない。
差押対象には覚せい剤やメモ等の小物があり,ポケットに収納できる。
甲方での密売の疑いと丙の頻繁な出入りに加え,右手を抜いても膨らみが残り,ポケットを触って気にする様子は,関連物を所持する疑いを強める。
無回答のまま再び右手を入れ,制止を無視してトイレへ向かったことは,流すなどの隠滅の危険を示す。
しかし,これらは,元々所持する物か場所内の物を後から隠したかを区別する事情とはいえない。
嫌疑や捜査の必要性だけで令状の対象範囲を拡張することはできない。
腕をつかんで一時的に行動を制止することに隠滅防止の必要があるとしても,手に何もないことを確認した後にポケット内部を探る行為は,独立の身体捜索そのものであり,付随処分の限界を超える。
この時点で丙は逮捕されておらず,後の現行犯逮捕を根拠に220条を適用することもできない。
よって,③の捜索は違法である。
第2 設問2
1 設問2の1
(1)328条の範囲
公判廷外の供述内容の真実性を用いると,知覚・記憶・表現等の過程を反対尋問で吟味できないため,320条1項は原則として伝聞証拠を排除する。
これに対し,公判供述者が別の機会に矛盾する供述をしたという事実は,別供述が真実であると認定しなくても,その者の公判供述の一貫性を疑わせる。
328条は,その限度で自己矛盾供述を証明力の減殺に用いることを許す趣旨である。
他人の供述内容の真実性を用いて公判供述を反証することまで認めると,伝聞法則を潜脱するため許されない。
もっとも,矛盾供述をしたこと自体は厳格に証明する必要がある。
許容されるのは,同一人の供述書,法定要件を満たす供述録取書,その供述を聞いた者の公判期日の供述又はこれらと同視できる証拠に,自己矛盾供述が現れている部分である。
(2)証拠1
甲が密売グループのトップで丁は関与しないとの記載は,丁がトップで売上金を分配したとの甲証言と矛盾する。
しかし,証拠1はPが甲の供述を録取した報告書であり,甲自身の供述書ではない。
供述録取書について必要な供述者の署名若しくは押印(321条1項柱書)がいずれもなく,これと同視する事情もないから,矛盾供述の存在を証明する書面の要件を欠く。
P作成の書面という名目だけで甲の発言の証明に用いることはできず,取調べ決定はできない。
(3)証拠2
甲の供述をPが録取し,甲の署名押印がある。
丁以外の組員から仕入れ,送金は借金返済で売上分配ではないという供述は,丁から仕入れ,毎週売上げの5割を分配したとの甲証言と実質的に矛盾する。
その内容が真実であることによって丁の非関与を認定するためではなく,甲が異なる説明をしていたという事実から甲証言の信用性を減殺する限度で,328条により取り調べる決定をすることができる。
(4)証拠4
署名押印はあるが,供述者は乙であり,甲ではない。
乙が丁の非関与や借金返済を述べたというだけでは,甲が自己矛盾供述をしたことにはならない。
これにより甲証言を否定するには乙の供述内容が真実であることを前提とせざるを得ず,反対尋問を経ない乙の供述による実体立証となる。
したがって,328条による取調べ決定はできない。
2 設問2の2
(1)前問で証拠2を取り調べた場合を前提とする。
328条の「証明力を争う」は,減殺だけを指し,回復証拠は公判供述と一致する供述内容の真実性を利用することになるため許されない,との考え方もある。
確かに,一致供述の存在だけで公判供述を増強することは,伝聞法則の潜脱を招く。
しかし,いったん許された攻撃により生じた特定の信用性への疑念を取り除くため,その攻撃の根拠を弱める証拠を用いることは,直ちに供述内容の真実性による犯罪事実の証明とはならない。
そこで,既になされた弾劾との因果的な対応があり,減殺された信用性を回復する限度であれば,同条による取調べを認めるべきである。
(2)証拠2は,甲が捜査段階と公判で丁の関与及び送金理由について説明を変えており,甲証言が信用できないとの疑念を生じさせる。
証拠3は甲の署名押印のある録取書で,公判前の10月5日に甲証言と一致する供述をしたことを示す。
これに対し,捜査段階でも供述を変えた事実が加わるだけで,その時々で話を変える者との疑いは解消せず,回復にならないとの反論がある。
しかし,証拠2と甲証言だけでは捜査段階と公判で説明を変えたように見えるところ,証拠3により,公判前から既に同じ説明をしていたという供述経過が明らかになる。
この経過は,従前の否定供述を例外的なものと評価し,公判供述との不一致が示す疑念を相対化する意味を持つ。
ここで用いるのは公判前にも一致供述をしたという事実であり,証拠3にある供述変更の理由が真実であるとの評価は回復の根拠にしない。
したがって,本件の具体的な弾劾による信用性の低下を回復する限度で,証拠3の取調べ決定を認める。
ただし,丁が実際にトップであったことや売上分配があったことの実体立証に流用してはならない。
以上
3 出題の趣旨・採点実感を踏まえた解説
(1) 答案と評価項目の対応
答案の第1・1は番号1~5,第1・2は6~8,第1・3は9~14に対応する。
第2・1は15~20,第2・2は21~23に対応し,条文の根拠を示す記載全体が24に関係する。
次の表には重み5・4の全項目と条件付きの13を,第4と同じ評価項目の文で掲げる。
| 番号 | 重み | 評価項目 | 答案の該当箇所・留保 |
|---|---|---|---|
| 1 | 5 | 窓ガラス破壊等の入室措置について,刑訴法222条1項・111条1項を根拠に,捜索の実効性確保のための必要性と社会通念上の相当性という限界を示す。 | 第1・1(1)の必要処分の根拠と限界。 |
| 2 | 4 | 覚せい剤の隠滅容易性・証拠としての重要性,甲の前科から推認される捜査に関する知識経験,複数人の在室可能性,ドアチェーンの状況を,迅速な入室の必要性へ結び付ける。 | 同項の前科・組織的密売・証拠隠滅・チェーンの事情。 |
| 3 | 4 | 窓ガラスを割る財産上の不利益と証拠隠滅防止の利益を比較し,方法の相当性を必要性と区別して評価する。 | 同項の窓ガラスの財産侵害と証拠確保の比較。 |
| 4 | 4 | 令状呈示の根拠を刑訴法222条1項・110条に求め,手続の公正と処分を受ける者の利益保護のため,執行着手前の呈示が原則となることを説明する。 | 第1・1(2)の呈示の趣旨と事前呈示の原則。 |
| 5 | 4 | 事前呈示による証拠隠滅の危険と現場保存の必要性を考量し,入室後に甲へ呈示した本件の時期の適否を論じる。 | 同項の隠滅危険及び入室後の速やかな呈示。 |
| 6 | 5 | 身体・物・場所を区別する刑訴法102条及び219条1項の構造から,場所令状の効力がバッグという物へ及ぶかという問題を設定する。 | 第1・2(1)の場所・物・身体という対象の区別。 |
| 7 | 5 | 場所の管理支配に服する付属物へ効力が及ぶ理由と,場所の管理支配を排除して第三者が管理する物には及ばない限界を示す。 | 同項の管理権と独立した第三者管理の境界。 |
| 8 | 4 | 乙の同居関係と捜索開始時から継続する携帯状況を評価し,バッグに甲の管理権が及ぶか,又は場所令状が乙の管理権も制約するかという採用構成を一貫させて結論を示す。 | 同項の乙の住居管理権も制約されるとの採用構成。 |
| 9 | 5 | 着衣ポケットを身体の捜索と捉え,人身の自由・プライバシーという場所・物と異なる権利侵害を理由に,場所令状では当然には許されない原則を説明する。 | 第1・3(1)の身体捜索の侵害利益と別個の令状審査。 |
| 10 | 4 | 場所令状による身体捜索を例外的に許すか,許すならいかなる要件・根拠で許すかを示し,必要性だけで令状の対象を拡張しない。 | 第1・3(2)の事後隠匿を取り出す例外とその趣旨。 |
| 11 | 4 | 差押対象に小さな覚せい剤やメモ等が含まれること,密売の嫌疑と丙の出入り,ポケットの膨らみ・接触・無回答・トイレへの移動と制止無視を,証拠所持・隠滅の推認へ具体的に結び付ける。 | 同項の小物の収納可能性,出入り,膨らみ,挙動及びトイレ。 |
| 12 | 4 | 元々ポケットに物を所持していた場合と捜索の際に場所内の物を隠匿した合理的疑いがある場合を区別し,入室時からの右手の状態を踏まえて当てはめる。 | 同項の当初所持と捜索開始後の隠匿の区別。 |
| 13 | 3 | 身体捜索自体を適法とする構成では,腕を引きポケットへ手を差し入れた行為を,必要処分又は捜索そのものとして根拠・限界から検討する。 | 適用外。③の捜索自体を違法とするため,適法な捜索を前提とする有形力の独立審査は採らない。 |
| 15 | 4 | 伝聞法則と刑訴法328条の趣旨を示し,供述内容の真実性による実体立証と,矛盾供述をした事実による信用性減殺を区別する。 | 第2・1(1)の真実性利用と矛盾供述の存在との区別。 |
| 16 | 5 | 刑訴法328条で許容される証拠を同一供述者の自己矛盾供述に限るかを理由付きで論じ,採用する見解から各書面を判断する。 | 同項の同一人の自己矛盾供述への限定。 |
| 17 | 4 | 矛盾供述の存在について厳格な証明を要求し,供述書・法定形式を満たす供述録取書等という証拠方法の範囲を示す。 | 同項の厳格な証明と許容される証拠方法。 |
| 18 | 4 | 証拠1はPが甲の供述を録取した書面であって甲の供述書ではなく,甲の署名・押印がないことを踏まえ,採用した見解から取調べ可否を示す。 | 第2・1(2)の証拠1の性質と署名押印欠缺。 |
| 19 | 4 | 証拠2について,仕入先と丁の関与,送金が借金返済か売上分配かという甲証言との具体的な矛盾及び署名押印を指摘し,弾劾目的での取調べ可否を示す。 | 第2・1(3)の仕入先・送金理由の具体的な矛盾。 |
| 20 | 4 | 証拠4は乙の供述録取書であって甲の自己矛盾供述ではないことを理由に,採用した見解から取調べ可否を示す。 | 第2・1(4)の乙という別人の供述と実体立証の危険。 |
| 21 | 5 | 刑訴法328条の「証明力を争う」に減殺後の回復を含めるかを,文言と実質的理由から論じる。 | 第2・2(1)の「争う」の解釈と回復証拠の位置付け。 |
| 22 | 4 | 既に生じた信用性の低下への回復と,単に公判供述を増強することを区別し,採用する回復証拠の範囲を限定する。 | 同項の単なる増強の排除と特定の弾劾への対応。 |
| 23 | 5 | 証拠2による減殺と甲証言に一致する証拠3との関係を具体的に示し,矛盾供述が例外的と分かるのか,供述変遷への疑いが残るのか等の実質的理由から証拠3の取調べ可否を導く。 | 第2・2(2)の供述経過による回復と,変遷が増すだけという反論。 |
(2) 設問1
出題の趣旨は,①につき入室措置の必要処分としての限界と令状呈示の時期を分けて論じることを求める。
採点実感も,覚せい剤事犯の捜索という抽象論だけではなく,本件で窓を割る必要性・相当性を具体的事情から説明することを重視する。
答案は番号1~5に対応して,入室の根拠と均衡判断を示した後,事前呈示の原則とその例外を別に判断した。
②の中心は,乙が携帯していたバッグに甲方の場所令状の効力が及ぶ理由である(番号6~8)。
出題の趣旨は,同居人の携帯物に効力を認めた最高裁平成6年9月8日決定を挙げつつ,結論の引用だけでなく管理支配の関係を理論的に検討することを求める。
答案は,甲がバッグを直接管理していたと当然視せず,乙自身の共同住居管理権も場所令状によって制約されるという構成を採った。
この共同管理権による説明は,本稿が選んだ理由付けであり,平成6年決定が同じ理由を詳細に判示したという意味ではない。
携帯を続けていた事実と所有を主張した事実を示した上で,それが場所管理権からの独立まで意味するかを判断している。
他方,甲のバッグに対する管理支配を認める構成を採るなら,甲乙の関係だけでなく,その支配を基礎付ける理由を示す必要がある。
102条2項は,被告人以外の者の身体・物・住居その他の場所の捜索について,押収すべき物の存在を認めるに足りる状況を要する。
しかし,その要件の充足だけで,本件の場所令状の効力が乙のバッグへ及ぶことにはならない。
採点実感は,まず令状効力を認めた後に,同項を更なる要件として検討する構成は成り立ち得るとする。
この順序の注意は番号6~8に対応し,本稿はその加重要件説を採らず,これを全答案に求める別項目も設けない。
③では,物の容器の捜索と身体捜索を分け,身体の自由・プライバシーへの侵害について独立の令状審査を要するという原則から出発する(番号9)。
丙の疑わしい挙動は無視できず,差押対象物が小さくポケットに入ることも必要性側の事情である(番号11)。
それでも,捜索開始時から所持していた物と,捜索中に場所内の物を隠した場合との違いが残る(番号10・12)。
本稿は後から隠したと認める事情を欠くため違法とした。
身体捜索を適法とする構成では,その例外を認める制度上の根拠と具体的条件を説明した上で,腕をつかむこと及びポケットへ手を入れることの必要性・相当性も検討する(番号13)。
身体捜索を適法とするかにかかわらず,着衣の中の物を探す処分を身体検査と取り違えない(番号14)。
(3) 設問2の1
出題の趣旨及び採点実感は,刑訴法328条の趣旨・範囲を,320条1項の伝聞法則との関係で説明することを求める。
最高裁平成18年11月7日判決は,同一人の自己矛盾供述の存在を厳格に証明するという枠組みと,その証拠方法の限界を示す。
答案は番号15~17に対応して,内容の真実性を使う実体立証と,異なる供述をした事実による信用性の減殺を区別した。
328条は,321条以下によって証拠とできない供述等であっても一定の弾劾利用を認めるのであり,伝聞例外の要件を満たさないこと自体を独立の必要条件とする規定ではない。
設問の立証趣旨が甲証言の証明力を争う点にある以上,まず328条の趣旨・範囲を判断する。
伝聞例外不成立の検討を先行させる必要があるという誤解の回避は番号15・16に対応するが,矛盾供述の存在を証明する書面の法定形式の審査(番号17)は別の問題として省かない。
証拠1は,報告書という表題だけで処理せず,甲の供述を警察官が録取した書面であることと,甲の署名・押印を欠くことを理由とした(番号18)。
証拠2は,仕入先及び送金理由の説明が甲証言と矛盾することを具体的に摘示し,その供述内容が真実だと認定する用途に広げなかった(番号19)。
証拠4は,甲とは別人の乙の供述であり,甲証言を否定するためには乙の供述内容の真実性に依存することを示した(番号20)。
(4) 設問2の2
出題の趣旨は,328条による証明力の回復という一般論と,本件証拠3が具体的に回復に役立つかという問題を分けている(番号21・23)。
採点実感は,回復証拠と単なる増強証拠の区別も指摘する(番号22)。
公判供述と同じ内容の調書なら何でも採用できるのではなく,既にされた弾劾で生じた特定の疑念を弱める因果的な対応が必要である。
公式資料は,証拠3によって捜査段階でも供述を変えた事実が増えるだけだという否定方向と,従前の否定供述を例外的と評価し得るという肯定方向の理由付けを示す。
本稿は,公判前から甲証言と一致する説明をしていたという経過が,捜査段階と公判との不一致が示す疑念を相対化すると評価し,回復を認めた。
証拠3にある変更理由の説明は,その理由が真実だと認定して信用性を回復させる根拠には用いない。
変更理由の真実性を信用性の回復に使えるかという問題と,その理由から丁の犯罪事実を認定できるかという問題は別であり,後者を禁止するだけでは前者は解決しない。
本稿は公判前にも一致供述をしたという供述経過に限って論証する。
回復のために取り調べても,証拠3の内容が真実であることを直接使って丁の関与や利益分配を認定してよいことにはならない。
この用途の限定は,弾劾の説明から回復の説明へ移る場合にも維持する。
(5) 答案の弱点と扱わなかった事項
②の共同住居管理権による構成と,証拠3の供述経過に回復の意味を認める評価には,反対の見方があり得る。
証拠3に変更理由の説明があることだけで,その理由の真実性まで確認されたとはいえない。
本稿はその真実性に依存する回復論を採らず,公判前の一致供述という経過による限定的な回復を認める立場を採っている。
③を違法としたので,適法な身体捜索のために許される有形力の上限を独立に論じる構成は採っていない。
後の現行犯逮捕が先行する捜索をさかのぼって適法にするとは扱わず,設問が直接求めていない違法収集証拠の排除や各差押物の証拠能力の全般的な検討は加えていない。
警察官の独立した証人尋問など,設問の各書面を取り調べる決定とは異なる証拠申請の検討も答案の中心にしなかった。
第6 関連記事
1 同じ年度の司法試験の記事
平成29年司法試験論文式試験の主要7科目の模範解答と評価項目では,同年度の主要7科目を一覧・比較している。
同年度の刑事系の原問題は,法務省の平成29年司法試験の問題PDFを参照されたい。
2 同じ科目の別の年度の記事
平成30年司法試験刑事系第2問(刑事訴訟法)の模範解答と評価項目―出題の趣旨・採点実感から抽出した44項目と5段階の重み付け(AI作成)
3 本問の論点に関連する山中弁護士ブログの記事
家宅捜索で同居家族のバッグや来訪者のポケットまで調べられるか―場所に対する捜索差押許可状の効力と最高裁平成6年9月8日決定(AI作成)
刑訴法328条の弾劾証拠と公判前整理手続終了後の証拠請求(AI作成)
第7 出典及び確認状態
1 公式資料
試験実施日は,法務省・平成29年司法試験の実施日程等についての物理1頁の試験日程表で確認した。
法務省・平成29年司法試験論文式試験の刑事系科目の問題のうち,本問の問題本文は物理6~9頁に掲載されている。
法務省・平成29年司法試験論文式試験出題の趣旨は,刑事系第2問の物理17頁途中~20頁途中を実読した。
法務省・平成29年司法試験の採点実感(刑事系科目)は,刑事系第2問の物理8頁途中~12頁末尾を実読した。
頁番号はPDFファイルの先頭から数えた物理頁であり,他問題の説明を本問の要求として流用していない。
2 法令
e-Gov法令API・刑事訴訟法(平成29年5月20日時点)で,対象条文の当時の本文を確認した。
捜索・差押え,身体検査,伝聞法則及び弾劾証拠に関係する条文を,試験実施日時点の本文で確認した。
3 裁判例
最高裁第一小法廷平成14年10月4日決定(平成14年(あ)第413号)は,裁判所公表PDF全2頁を実読した。
必要処分と令状呈示の時期を検討する際の根拠である。
最高裁第一小法廷平成6年9月8日決定(平成5年(あ)第852号)は,裁判所公表PDF全1頁を実読した。
同居者が携帯していたバッグに対する場所令状の効力に関する判断を確認した。
最高裁第三小法廷平成18年11月7日判決(平成17年(あ)第378号)は,裁判所公表PDF全3頁を実読した。
刑訴法328条による自己矛盾供述の利用と,その証拠方法の限界を確認した。
4 確認状態
資料の確認日は令和8年10月28日(日本時間)である。
資料の記載,判例の判断,本稿の構成・重み付け及び本件事実への推論を区別した。
法状態は試験実施日を基準とし,後発の法改正や裁判例から当時の答案要求を逆算していない。