第1 この記事の対象
本記事は,平成29年司法試験論文式試験の主要7科目について,科目別の模範解答・参考答案と評価項目の記事を一覧化するものである。
各記事の評価項目と重みは,法務省の出題の趣旨・採点実感を踏まえたブログ独自の整理であり,公式の採点基準・配点ではない。
| 事項 | 内容 |
|---|---|
| 年度 | 平成29年司法試験 |
| 実施日 | 論文式試験は平成29年5月17日から同月20日まで |
| 対象 | 主要7科目・7問 |
| 評価項目 | 合計225項目。うち重み5は59項目 |
| 資料の状態 | 各記事が示す問題文・出題の趣旨・採点実感の対象範囲を実読済み |
| 集計日 | 令和8年10月28日 |
第2 7記事の一覧
| 科目 | 主な論点 | 評価項目 | 重み5 |
|---|---|---|---|
| 公法系科目第1問(憲法) | 外国人の妊娠・出産の自由,収容の必要性,行政手続の保障 | 29 | 6 |
| 公法系科目第2問(行政法) | 非申請型義務付け訴訟,路線廃止の処分性,裁量統制と内部基準 | 32 | 9 |
| 民事系科目第1問(民法) | 賃借権の取得時効,建物賃貸と土地転貸,別筆駐車場の借地権対抗力 | 26 | 8 |
| 民事系科目第2問(商法) | 設立費用と財産引受,株式併合決議,端数処理と反対株主の買取請求 | 40 | 12 |
| 民事系科目第3問(民事訴訟法) | 代理の主張,訴えの変更,引換給付判決,既判力と信義則 | 34 | 10 |
| 刑事系科目第1問(刑法) | クレジットカードの承諾逸脱,共同防衛,死亡誤信下の財物取得 | 40 | 7 |
| 刑事系科目第2問(刑事訴訟法) | 捜索差押許可状の執行と効力,自己矛盾供述による弾劾,証明力の回復 | 24 | 7 |
第3 各問題の概要と重み5の事項
1 公法系科目第1問(憲法)
外国人の妊娠・出産の自由,収容の必要性,行政手続の保障を中心に検討する。
重み5は6項目である。
番号1:妊娠・出産に関する決定が人格的自律の核心に関わることを説明し,憲法13条で保障される自由を特定する
番号3:マクリーン事件判決の在留制度の枠内論と,権利行使を在留期間更新時に消極考慮できるという論理を捉えて応答する
番号8:妊娠等の禁止の直接目的を,定住を促す生活状況の発生を防いで非定住の制度趣旨を徹底することとして特定する
番号14:Bの収容・強制出国の根拠規定の法令違憲を検討の中心に据え,適用違憲や国家賠償法の全要件の検討へ主題を置き換えない
番号15:人身の自由という実体的権利の問題と,独立した事前統制等の手続的権利の問題を分けて検討する
番号18:本件収容が行政手続であることを踏まえ,憲法33条の直接適用と,準用・類推又は13条・31条等による保障を区別して根拠を論じる
記事:平成29年司法試験公法系第1問(憲法)の模範解答と評価項目―出題の趣旨・採点実感から抽出した29項目と5段階の重み付け(AI作成)
2 公法系科目第2問(行政法)
非申請型義務付け訴訟,路線廃止の処分性,裁量統制と内部基準を中心に検討する。
重み5は9項目である。
番号1:非申請型義務付け訴訟を選び,法令上の申請権がないことを説明する
番号5:近隣居住だけで適格を肯定せず,X2の通学とXらの避難に係る生活上の支障を個別に評価する
番号9:Aに対する民事妨害排除請求の可能性を,勝訴予測に置き換えず補充性との関係で論じる
番号13:道路法43条2号・71条1項1号の要件判断について,裁量の有無を実質的理由とともに論じる
番号16:利用状況・園児安全・将来廃止とXらの通行利益を個別に評価し,不発動の逸脱濫用を論じる
番号21:供用後は4条の私権行使制限が働き,路線廃止が区域・供用の法効果を解除すると論じる
番号24:10条1項の必要性要件につき,利用の残存と道路機能・代替路等との関係を両方向から解釈する
番号27:閉鎖下・Aのみの調査が利用実態の認定を歪めることを,実体判断の考慮不足へ接続する
番号29:全員同意基準を裁量基準とし,申請の審査基準や特定人への不利益処分の処分基準と区別する
記事:平成29年司法試験公法系第2問(行政法)の参考答案と評価項目―公式資料から整理した32項目と5段階の重み付け(AI作成)
3 民事系科目第1問(民法)
賃借権の取得時効,建物賃貸と土地転貸,別筆駐車場の借地権対抗力を中心に検討する。
重み5は8項目である。
番号1:B所有を認めた上で,占有権原の抗弁として甲1部分の賃借権の短期取得時効を主張する
番号5:条文と判例を踏まえ,賃借権の行使と占有・対抗力との関係から,時効の起算点を理由付きで選択する
番号10:建物所有目的の土地賃貸借の特性と612条の趣旨から,建物賃貸が敷地転貸に当たらないとする理由を示し,①に適用する
番号11:建物がない甲2土地が転貸否定の対象となる敷地に含まれるかを,建物賃貸の自由を認める理由と利用関係から検討する
番号20:甲2土地が別筆で,賃借権登記もその上の登記建物もないことから,10条1項の形式的適用をまず否定する
番号21:甲2土地の対抗要件欠缺だけで終えず,一体利用等を手掛かりに,所有権行使の例外的制限を根拠付きで検討する
番号23:権利濫用構成では,双方の利益・損失及び買主の主観等を総合する判断枠組みを示す
番号24:権利濫用構成では,一体利用・駐車機能喪失と診療所存続への影響,Eの説明への信頼・代金設定等を評価し,請求の成否を示す
記事:平成29年司法試験民事系第1問(民法)の模範解答と評価項目―出題の趣旨・採点実感から抽出した26項目と5段階の重み付け(AI作成)
4 民事系科目第2問(商法)
設立費用と財産引受,株式併合決議,端数処理と反対株主の買取請求を中心に検討する。
重み5は12項目である。
番号2:未払設立費用は定款記載額内で会社に帰属し,その範囲では相手方は発起人に請求できないという判例の立場を示す
番号7:機械購入を財産引受と認定し,定款記載を欠くため28条柱書き・2号により無効となることを示す
番号8:財産引受について,売主も無効を主張でき,成立後会社の追認又は承認決議だけでは有効化しないという判例を踏まえる
番号11:成立後2年以内・成立前から存在・事業に継続使用する財産という要件と,800万円が純資産額の5分の1を超えることを確認する
番号12:再契約による事後設立について467条1項5号・309条2項11号の株主総会特別決議による承認を示し,取締役会決議だけで済ませない
番号16:併合により株主でなくなったGも,取消しで株主となる者として831条1項後段の原告適格を有することを示す
番号22:株式併合の必要理由説明を180条4項で検討し,314条違反だけに置き換えない
番号26:130条1項の株式譲渡の対抗要件が相続にも適用されるかを,理由付きで検討する
番号30:締出し目的の併合が109条1項の株主平等原則に反して決議内容の無効原因となるかを,830条2項と結び付けて検討する
番号33:235条の端数合計に相当する株式の処分と端数割合による代金交付を説明し,Lの金銭的利益へ接続する
番号37:設問2の議決権行使資格の判断を設問3に引き継ぎ,前提を無説明に反転させず買取資格を論じる
番号38:【許容分岐:Lに議決権を認める構成】不当な入場拒絶による反対不能を理由に,信義則又は2号の解釈によって買取請求を認める
記事:平成29年司法試験民事系第2問(商法)の模範解答と評価項目―出題の趣旨・採点実感から抽出した40項目と5段階の重み付け(AI作成)
5 民事系科目第3問(民事訴訟法)
代理の主張,訴えの変更,引換給付判決,既判力と信義則を中心に検討する。
重み5は10項目である。
番号3:代理権授与,顕名及び代理人による意思表示を,意思表示者以外への効果帰属を根拠付ける主要事実として特定する
番号5:双方が証言中の代理を問題にしなかった事情を,主張原則の存在意義と不意打ち防止の関係から具体的に評価する
番号9:訴訟物理論を理由付きで選び,本件の贈与契約に基づく引渡請求権と売買契約に基づく引渡請求権の異同を説明する
番号10:契約ごとに訴訟物を分ける立場では,Xが売買に基づく引渡請求を予備的に追加する訴えの変更を明確に求める。【適用条件】贈与と売買の契約上請求権を別訴訟物とする立場
番号15:Yが代金の履行提供を受けるまで引渡しを拒む同時履行の抗弁権を権利主張することを必要とする
番号21:220万円自体が未主張である点を,時価相当額を代金とする合意と具体的評価額の違いから検討し,その認定の可否を理由付きで論ずる
番号24:180万円自体が未主張である点につき,時価相当額とする合意の同一性,金額差及び主張・証拠提出機会から認定可否を論証する
番号27:114条1項の主文に包含するものを訴訟物の判断と捉え,前訴の引渡請求と後訴の代金支払請求の異同から既判力を検討する
番号29:引換給付の記載は,双務契約の牽連性を執行にも及ぼし,反対給付又はその提供の証明を執行開始条件とする趣旨だと31条1項に結び付けて説明する
番号32:既判力否定後も,Xの予備的主張と自己の200万円評価,前訴の不可欠な争点,Yの反訴可能性の双方を踏まえて信義則による主張制限を判断する
記事:平成29年司法試験民事系第3問(民事訴訟法)の模範解答と評価項目―出題の趣旨・採点実感から抽出した34項目と5段階の重み付け(AI作成)
6 刑事系科目第1問(刑法)
クレジットカードの承諾逸脱,共同防衛,死亡誤信下の財物取得を中心に検討する。
重み5は7項目である。
番号2:AのX購入承諾とY購入による承諾逸脱を区別し,本人限定取引での欺罔を財産処分の重要性と結び付ける
番号14:体当たりから押圧・殴打までの現場共謀の成立・継続と終了事情の有無を具体的に判断する
番号17:相当性を全員の行為で判断するか個人別に判断するかを,理由を付して選択する
番号21:全体評価で客観的過剰とする場合,甲の過剰事実の不知を違法性阻却事由の錯誤として扱い,採用説から責任の結論を導く。[許容分岐:全体評価で客観的過剰を認める場合]
番号27:死亡誤信を現実の死亡に置換せず,占有侵害の認識という主観面の問題として死者の占有を論じる
番号28:占有侵害の認識を肯定する場合,自己の先行行為を直後に利用する認識を示し,前段の共犯・防衛の結論と整合させる。[許容分岐:占有侵害の認識を肯定する場合]
番号34:甲と乙の成立候補罪が異なる場合,行為共同説・犯罪共同説の対立を示し,採用説から共同実行の範囲と各人の罪を導く。[許容分岐:甲が窃盗又は占有離脱物横領,乙が器物損壊の構成の場合]
記事:平成29年司法試験刑事系第1問(刑法)の模範解答と評価項目―出題の趣旨・採点実感から抽出した40項目と5段階の重み付け(AI作成)
7 刑事系科目第2問(刑事訴訟法)
捜索差押許可状の執行と効力,自己矛盾供述による弾劾,証明力の回復を中心に検討する。
重み5は7項目である。
番号1:窓ガラス破壊等の入室措置について,刑訴法222条1項・111条1項を根拠に,捜索の実効性確保のための必要性と社会通念上の相当性という限界を示す
番号6:身体・物・場所を区別する刑訴法102条及び219条1項の構造から,場所令状の効力がバッグという物へ及ぶかという問題を設定する
番号7:場所の管理支配に服する付属物へ効力が及ぶ理由と,場所の管理支配を排除して第三者が管理する物には及ばない限界を示す
番号9:着衣ポケットを身体の捜索と捉え,人身の自由・プライバシーという場所・物と異なる権利侵害を理由に,場所令状では当然には許されない原則を説明する
番号16:刑訴法328条で許容される証拠を同一供述者の自己矛盾供述に限るかを理由付きで論じ,採用する見解から各書面を判断する
番号21:刑訴法328条の「証明力を争う」に減殺後の回復を含めるかを,文言と実質的理由から論じる
番号23:証拠2による減殺と甲証言に一致する証拠3との関係を具体的に示し,矛盾供述が例外的と分かるのか,供述変遷への疑いが残るのか等の実質的理由から証拠3の取調べ可否を導く
記事:平成29年司法試験刑事系第2問(刑事訴訟法)の模範解答と評価項目―出題の趣旨・採点実感から抽出した24項目と5段階の重み付け(AI作成)
第4 7記事に共通する作り方
1 評価項目の抽出
各記事では,一つの評価項目を一つの判定対象とし,問題文・出題の趣旨・採点実感の対応箇所を示している。「記載なし」は各記事が示す関連範囲を実読した結果を意味し,「間接」は関連記述からの推論を意味する。
2 5段階の重み付け
重み5は設問の判断を大きく分ける核心,重み4は結論を理由付きで支える主要な論証・当てはめ,重み3は通常押さえる法的処理・事情の評価,重み2は補強的な説明・注意,重み1は補充的な引用・記述範囲の確認である。回数だけで機械的に決めず,公式得点や合格可能性を示すものでもない。
3 模範解答と解説
各記事は,試験当時の法令・判例と問題の与件を前提に,5000字以内の答案例と設問別解説を示す。許容される別構成,採用しなかった分岐,出典及び確認状態は各記事で個別に説明している。
第5 重みの分布の比較
| 科目 | 重み5 | 重み4 | 重み3 |
|---|---|---|---|
| 憲法 | 6 | 15 | 7 |
| 行政法 | 9 | 11 | 10 |
| 民法 | 8 | 10 | 8 |
| 商法 | 12 | 18 | 7 |
| 民事訴訟法 | 10 | 14 | 5 |
| 刑法 | 7 | 17 | 11 |
| 刑事訴訟法 | 7 | 14 | 2 |
| 合計 | 59 | 99 | 50 |
| 科目 | 重み2 | 重み1 | 項目数 | 重みの合計 |
|---|---|---|---|---|
| 憲法 | 0 | 1 | 29 | 112 |
| 行政法 | 2 | 0 | 32 | 123 |
| 民法 | 0 | 0 | 26 | 104 |
| 商法 | 3 | 0 | 40 | 159 |
| 民事訴訟法 | 5 | 0 | 34 | 131 |
| 刑法 | 4 | 1 | 40 | 145 |
| 刑事訴訟法 | 1 | 0 | 24 | 99 |
| 合計 | 15 | 2 | 225 | 873 |
項目数と重みの分布は,公式資料の記述量,設問数及び記事で採用した切り分けにも左右される。科目の難易度,公式配点又は合格可能性を比較する指標ではない。
第6 関連記事
①司法試験過去問の総合索引
②法務省HPの司法試験・予備試験の資料の所在
③司法試験の作問・採点と法科大学院教育
第7 出典
1 公式資料
平成29年司法試験の問題文,出題の趣旨及び採点実感は,各科目記事の「出典及び確認状態」に掲げた法務省資料による。
2 確認状態
本記事の項目数・重み分布及び重み5の事項は,令和8年10月28日に各科目の公開予定本文の評価表全行から再集計した。公式資料の実読範囲,裁判例・法令の確認範囲,記事独自の分析と許容分岐は各科目記事に記載している。