令和5年司法試験の国際関係法(公法系)第2問について,模範解答と評価項目を示す。
評価項目と重みは公式の出題の趣旨・採点実感を基にした独自分析であり,法務省の採点基準や配点ではない。
第1 この記事の対象と結論
対象は,令和5年7月12日実施の司法試験選択科目・国際関係法(公法系)第2問である。
評価項目は35項目で,重み5は8項目である。
3つの活動の条約上の評価,非加盟国に対する国際組織の自己損害請求,国内法・緊急避難による条約不履行の抗弁を検討する。
答案は観光輸送を産業目的の航行として認め,研究調査と無償の軍事輸送を区別する。
Qは目的・実行に基づく法人格の対抗性と黙示的権能を主張し,Cの国内法・無効・緊急避難の抗弁は退ける構成である。
とりわけ研究活動の評価と地域組織の非加盟国への対抗性には理由付けによる幅があり,結論だけを唯一の正解とはしない。
第2 評価項目の示し方と重み付けの基準
1 評価項目の示し方
一つの評価項目には一つの判定対象を置き,答案にどの内容があれば充足するかを示す。
必須,高評価,負例及び許容分岐は重みから独立した区分である。
条件付きの別構成を全ての答案に累積要求せず,負例の回避だけで正面の内容が書けたことにもならない。
出題の趣旨はPDF36頁~37頁の第2問,採点実感は43頁の科目共通部分と44頁~46頁の第2問・水準評価を根拠とする。
表の頁はPDFの物理頁と本文の印字頁が一致する。
「間接」は個別要件名ではなく要件枠組み・具体的適用を総括する記述からの抽出,「記載なし」は関連範囲を読んだ結果を意味する。
2 5段階の重み付けの基準
①重み5:採点実感が評価の分かれ目とした事項,又は答案の骨格。
②重み4:出題の趣旨が検討を求め,採点実感も取り上げた事項。
③重み3:一方が明示する中核の理由付け。
④重み2:軽い補強又は典型的な誤り。
⑤重み1:控えめに触れるだけの事項。
本問の重み4は,両公式資料が検討対象として取り上げたことを基準とする。
採点実感が全件を「高く評価した」と述べた意味ではない。
重み5の高評価事項も一律に最低限の必須要求へ格上げしない。
第3 本問の概要
AB間のP協定は,Bのβ川に対する主権を確認しつつ,Aに産業目的の永久の航行利用権を与える。
Aは石炭輸送に加えて有償の観光客運送,研究目的の生物資源調査,Dへの無償の軍事物資輸送を始めた。
設問1は,これらがP協定に違反するというBの主張を評価する。
地域のほぼ全ての30数か国を加盟国とするQは,平和・安全・進歩のため活動し,監視団の職員Xが非加盟Eの軍隊に誤認射殺された。
設問2はQ自身に生じた損害の賠償請求について,法人格・対抗性・請求権能を論じるものである。
AC間のR協定は,両国がγ川に2基ずつのダムを建設し,8年以内をめどに一体運用する計画を定める。
Aは5年目に完成したが,Cは経済悪化と環境反対を受けて建設を停止し,後発の保護区法による不履行正当化・協定無効と緊急避難を主張する。
設問3はこれらの抗弁の可否を問う。
8年が既に経過したとは仮定しない。
第4 評価項目と重み
1 設問1
| 番号 | 評価項目 | 重み | 出題の趣旨 | 採点実感 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 【必須】関係国が条約法条約の当事国であるという設問の前提を確認する | 4 | 36頁・設問1「当事国」 | 44頁・3⑵第2問「当事国であることを確認」 |
| 2 | 【必須】条約法条約31条・32条の解釈原則を用いる | 4 | 36頁・設問1「第31条、第32条」 | 45頁・3⑵第2問「第31条、第32条」 |
| 3 | 【必須】解釈の対象をP協定の「産業」の語に固定する | 4 | 36頁・設問1「「産業」の文言」 | 45頁・3⑵第2問「「産業」概念」 |
| 4 | 【高評価】古い協定と時の経過から発展的解釈を論じる | 5 | 36頁・設問1「発展的解釈」 | 45頁・3⑵第2問「時の経過」 |
| 5 | 【高評価】総称的用語について意味の発展の認識・意図を説明する | 3 | 36頁・設問1「語句が総称的」 | 記載なし |
| 6 | 【高評価】協定の永続性を発展的解釈の根拠にする | 3 | 36頁・設問1「P協定の」 | 記載なし |
| 7 | 【高評価】通航権事件の解釈法理と本問の共通性を示す | 4 | 36頁・設問1「通航権事件」 | 45頁・3⑵第2問「同判決で示された法理」 |
| 8 | 【必須】有償の観光運送の性質を産業目的に当てはめる | 4 | 36頁・設問1「観光業」 | 45頁・3⑵第2問「観光業」 |
| 9 | 【必須】研究目的の生物資源調査の性質を産業目的に当てはめる | 4 | 36頁・設問1「生物資源関連事業」 | 45頁・3⑵第2問「生物資源関連事業」 |
| 10 | 【必須】無償の軍事協力・戦略目的を軍事輸送の評価に用いる | 4 | 36頁・設問1「軍事兵器・物資の輸送」 | 45頁・3⑵第2問「軍事兵器・物」 |
| 11 | 【高評価】結論が分かれ得る活動では採用した評価を理由付けする | 3 | 記載なし | 45頁・3⑵第2問「結論が分かれ得る」 |
2 設問2
| 番号 | 評価項目 | 重み | 出題の趣旨 | 採点実感 |
|---|---|---|---|---|
| 12 | 【必須】Eが非加盟国であるため法人格の対抗性を論じる | 5 | 37頁・設問2「E国はQの非当」 | 45頁・3⑵第2問「E国がQの非加盟国」 |
| 13 | 【必須】国際組織の法主体性を国家の一般的能力と区別する | 3 | 37頁・設問2「本源的主体である国家」 | 記載なし |
| 14 | 【必須】Q設立条約の目的から国際法人格を必要とする理由を示す | 4 | 37頁・設問2「Qの設立条約」 | 45頁・3⑵第2問「Qの目的」 |
| 15 | 【必須】Qの既存の実行を法人格・対抗性の評価へ結び付ける | 4 | 37頁・設問2「その実行」 | 45頁・3⑵第2問「既にあるQの実行」 |
| 16 | 【必須】法人格と賠償請求権能を別の段階として検討する | 5 | 37頁・設問2「法人格が認められるとしても」 | 45頁・3⑵第2問「それぞれ独立に論ずる」 |
| 17 | 【高評価】国連損害賠償事件の判断がQに及ぶ理由を検討する | 4 | 37頁・設問2「損害賠償事件」 | 45頁・3⑵第2問「国連損害賠償事件」 |
| 18 | 【必須】明文がなくても機能遂行に必要な黙示的権能を論じる | 3 | 37頁・設問2「黙示的権限論」 | 記載なし |
| 19 | 【高評価】職員保護と組織の任務との機能的関係を示す | 3 | 37頁・設問2「機能的保護」 | 記載なし |
| 20 | 【許容分岐】別の法人格説を採る場合もQの目的・実行に即して説明する(別説を採る場合) | 2 | 記載なし | 45頁・3⑵第2問「学説が分かれている」 |
| 21 | 【負例】Eの国家責任の詳述だけでQの主体性・権能の検討を置換しない | 2 | 記載なし | 45頁・3⑵第2問「焦点に当たるものではない」 |
3 設問3
| 番号 | 評価項目 | 重み | 出題の趣旨 | 採点実感 |
|---|---|---|---|---|
| 22 | 【必須】国内法による不履行正当化を27条で処理する | 5 | 37頁・設問3「第27条」 | 45頁・3⑵第2問「第27条」 |
| 23 | 【必須】条約無効の主張を46条で別に検討する | 5 | 37頁・設問3「第46条第1項」 | 45頁・3⑵第2問「第46条」 |
| 24 | 【必須】締結権限に関する基本的重要性・明白性という例外を本件国内法へ当てはめる | 4 | 37頁・設問3「違反が明白であり」 | 45頁・3⑵第2問「本件が同条における例外」 |
| 25 | 【必須】条約効力と緊急避難による国家責任の阻却を区別する | 5 | 37頁・設問3「国家責任法の問題」 | 46頁・3⑵第2問「明確に区別される」 |
| 26 | 【必須】国家責任条文自体は条約でないことを示す | 5 | 37頁・設問3「にはなっていないので」 | 46頁・3⑵第2問「国家責任条文は条約ではない」 |
| 27 | 【必須】緊急避難の国家拘束根拠を慣習国際法に置く | 5 | 37頁・設問3「慣習国際法」 | 46頁・3⑵第2問「慣習国際法となっている」 |
| 28 | 【高評価】ガブチコボ・ナジマロシュ計画事件の要件枠組みを参照する | 4 | 37頁・設問3「ガブチコボ・ナジマロシュ計画事件」 | 45頁・3⑵第2問「ガブチコボ」 |
| 29 | 【必須】経済・環境上の利益が根本的利益かを検討する | 4 | 37頁・設問3「根本的利益」 | 間接:45頁・3⑵第2問「具体的な事実を当てはめ」 |
| 30 | 【必須】重大で急迫した危険を利益の重要性と区別して当てはめる | 4 | 37頁・設問3「重大かつ差し迫」 | 間接:46頁・3⑵第2問「その適用」 |
| 31 | 【必須】全面停止が唯一の方法かを代替措置との関係で検討する | 4 | 37頁・設問3「唯一の方法」 | 間接:46頁・3⑵第2問「その適用」 |
| 32 | 【必須】4基一体性とAの既投資を相手国の根本的利益への影響に用いる | 4 | 37頁・設問3「根本的利益の深刻な毀損」 | 間接:46頁・3⑵第2問「その適用」 |
| 33 | 【必須】Cの危険発生への寄与を規範だけでなく与件との関係で検討する | 4 | 37頁・設問3「緊急避難の発生への寄与」 | 間接:46頁・3⑵第2問「その適用」 |
| 34 | 【負例】判決自体を本件国家を拘束する根拠としない | 3 | 記載なし | 46頁・3⑵第2問「この判決自体が妥当する根拠にはならない」 |
4 答案全体
| 番号 | 評価項目 | 重み | 出題の趣旨 | 採点実感 |
|---|---|---|---|---|
| 35 | 【高評価】全設問に法的構成と説得的な理由付けを備える | 3 | 記載なし | 46頁・3⑶答案の水準と評価「説得力のある論述」 |
5 重みの分布
重み1は0項目,重み2は2項目,重み3は8項目,重み4は17項目,重み5は8項目である。
総項目数Nは35,重み合計Wは136であり,N=n1+n2+n3+n4+n5,W=n1+2n2+3n3+4n4+5n5による。
この合計を公式得点又は合格可能性として扱わない。
番号4:古い協定と時の経過から発展的解釈を論じる。
区分は高評価であり,適用対象は設問1である。
番号12:Eが非加盟国であるため法人格の対抗性を論じる。
区分は必須であり,適用対象は設問2である。
番号16:法人格と賠償請求権能を別の段階として検討する。
区分は必須であり,適用対象は設問2である。
番号22:国内法による不履行正当化を27条で処理する。
区分は必須であり,適用対象は設問3である。
番号23:条約無効の主張を46条で別に検討する。
区分は必須であり,適用対象は設問3である。
番号25:条約効力と緊急避難による国家責任の阻却を区別する。
区分は必須であり,適用対象は設問3である。
番号26:国家責任条文自体は条約でないことを示す。
区分は必須であり,適用対象は設問3である。
番号27:緊急避難の国家拘束根拠を慣習国際法に置く。
区分は必須であり,適用対象は設問3である。
第5 模範解答
1 答案の前提と表記
試験実施日当時の法を基準に,条約解釈,組織の請求能力,条約効力と国家責任を順に検討する。
答案本文は見出しと改行を含む2014字,空白・改行を除くと1990字で,1問当たり2500字の上限内である。
以下の判例法理の紹介は本問の公式資料の説明に基づき,条約・国家責任条文の文言確認とは確認状態を分ける。
2 答案
1 設問1
(1)関係国は全て条約法条約の当事国である。
ただし,P協定は20世紀初頭に締結されているため,同条約を遡及適用するのではなく,31条・32条に表れる慣習法上の解釈原則による。
条約は,文脈及び趣旨目的に照らした用語の通常の意味に従い誠実に解釈し,締結事情等を補足手段とする。
Bは,当初から石炭輸入のために川が利用されていた事情を挙げ,「産業目的」を石炭輸送に限定できる。
しかし,協定は石炭とは書かず,総称的な「産業」という語を用い,Bの主権とAの永久の航行利用権を調整している。
通航権事件の発展的解釈では,総称的用語について意味の発展が認識され,条約が長期又は継続的性格を有する場合,用語の発展を当事者が意図したと推定する。
Pの永続性に照らしても,産業を締結時の形態に固定するのは適切でない。
石炭以外の利用がなかったことも,それを排除する両国の解釈合意を直ちには示さない。
(2)有償で観光客を運送する事業は,現代の観光・運送というサービス産業である。
したがって,産業目的の航行に含まれ,Bの違反主張は認められない。
研究目的の生物資源調査は,外国学術機関と契約しただけでは,営利性や産業との結び付きが確定しない。
産業的な研究サービスと評価する余地はあるが,本問は研究目的を明示しており,純粋な学術調査として産業目的から区別する。
調査自体も航行利用の範囲を当然に含むものではなく,本問の利用権では正当化できない。
軍事物資輸送は,無償の軍事協力の一環であり,航路選択も戦略上の理由による。
同じ石炭輸送船を用いても,目的は産業的でなく,P協定の権利の範囲を超える。
2 設問2
(1)Qの国際法人格,Eに対するその対抗性,賠償請求能力を区別する。
国際組織は設立条約により形成される派生的主体で,国家と同じ一般的権能を当然には有しない。
国連損害賠償事件では,組織の目的・機能を実現するための国際法人格が認められた。
Qも平和,安全及び進歩を目的とし,総会・理事会・事務局等を備えて継続的な活動を積み重ねている。
その機能は加盟国とは別個に国際面で権利義務を担う主体を必要とするから,国際法人格を有すると主張できる。
(2)Eは非加盟国であるため,加盟国間の設立条約による承認だけでは足りない。
しかし,地域のほぼ全ての30数か国が加盟し,中心的な組織として幅広い実行を積み重ねたことは,加盟国間に限られない客観的法人格を支える。
普遍的な国連と地域組織との相違はあるが,Qはこの代表性と実効的活動に基づきEに対しても法人格を対抗できると主張する。
(3)法人格があっても請求権能は別に必要である。
国連損害賠償事件の黙示的権限論によれば,明文がなくても任務遂行に不可欠な権能は認められ得る。
Qが監視団を派遣して安全保障任務を行う際,職員を保護し,その殺害で自らに生じた損害を回復する権能は,組織の独立した機能の実効性に必要である。
したがって,QはEに自己損害の賠償を請求する能力を持つと主張できる。
職員・遺族の損害への機能的保護とは請求対象を区別する。
3 設問3
(1)条約法条約27条により,国内法は条約不履行の正当化根拠にならない。
Cが後から制定した保護区法によってR協定の履行を拒むことは認められない。
同条約46条による無効の例外は,締結権限に関する基本的に重要な国内法への明白な違反である。
本件の保護区法は締結後の建設規制であり,締結権限に関する規則ではない。
環境保護の重要性だけで例外を満たさず,R協定も無効にならない。
(2)緊急避難は条約効力の問題と異なる国家責任法上の違法性阻却事由である。
国家責任条文は条約ではないが,ガブチコボ・ナジマロシュ計画事件が確認した緊急避難の厳格な要件は慣習国際法を反映する。
重要利益を重大かつ急迫した危険から守る唯一の手段で,相手国等の重要利益を深刻に害しないことが必要であり,義務が援用を排除し,又は自国が危険の発生に寄与した場合も援用できない。
経済的苦境と生態系保護は重要利益となり得る。
しかし,危険が重大で急迫しているかは別で,経済状況の悪化や環境団体の反対だけで確定できない。
設計変更・工期調整・協議等の代替手段を排し,全面停止が唯一の手段であるともいえない。
4基の一体運用を予定し,Aが5年目に2基を完成させた点は,Aの重要利益への深刻な影響を支える。
Cが建設計画を共同決定した点は環境危険への寄与の検討対象となるが,危険の具体的内容が示されず,寄与を断定しない。
自ら制定した保護区法による法的障害を,客観的な緊急状態と同一視することもできない。
以上から,Cの緊急避難の主張は認められない。
仮に成立しても条約を無効にせず,国家責任条文27条(b)の趣旨に照らして物的損失の補償問題は留保されるため,賠償・補償義務が全て消えるとの主張も認められない。
以上
3 出題の趣旨・採点実感を踏まえた解説
(1) 答案と評価項目の対応
設問1は番号1~11,設問2は番号12~21,設問3は番号22~34,答案全体は番号35に対応する。
正面項目の対応は,条約の解釈原則と3活動の性質,Qの法人格・対抗性・権能,国内法の不履行正当化と無効及び緊急避難という各段落で確認できる。
番号20は別説を採る場合の許容分岐であり,派生的主体を採る答案が別説を網羅しないことだけでは欠落としない。
(2) 設問1の解釈と結論の幅
発展的解釈は,古い条約だからという一事だけで成立するものではない。
総称的用語の意味の発展が認識され,長期・継続的な条約の性格があるという結び付きを示す。
観光輸送は有償のサービス業として,軍事輸送は無償の戦略的協力として,それぞれの目的を評価する。
研究目的の生物資源調査は,学術研究として外す構成を採った。
研究受託が産業的サービスであると理由付けする構成も,具体的な契約内容と「産業」の外延を説明する限り検討可能である。
契約が存在するというだけで未記載の対価・営利性を追加せず,産業目的の範囲と航行利用の範囲の双方を意識する。
(3) 設問2の三段階と自己損害
重み5の番号12は非加盟Eへの対抗性,番号16は法人格と賠償請求権能の区別である。
Qの広い目的や独立機関から法人格を導いても,そのことだけでEへの対抗性や個別の請求能力が全て確定するわけではない。
地域の代表性と実行,任務遂行に必要な黙示的権能という別の理由を付ける。
職員本人や遺族の損害を代わって請求する機能的保護と,組織自身の損害回復を混同しない。
(4) 設問3の効力・責任・補償
重み5の番号22・23・25・26・27は,国内法による不履行正当化,締結無効,違法性阻却,条文の非条約性及び慣習国際法としての根拠である。
後発の建設規制を締結権限の瑕疵へ変換せず,条約法条約46条の例外の入口を正しく限定する。
緊急避難は有効な義務の違反についての責任法上の問題であり,国家責任条文を条約として適用しない。
危険が重大で急迫するか,全面停止が唯一の方法か,Aの利益を深刻に害しないか,Cが危険に寄与したかを順に検討する。
経済や環境という利益の名称だけで例外を起動しない。
Cの共同計画への参加から環境危険への寄与を機械的に断定せず,必要な因果関係を検討する。
国家責任条文27条(b)の物的補償留保は公式評価表外の法源補足であり,全答案の必須項目に加えていない。
(5) 答案の弱点と扱わなかった事項
研究活動の評価と地域組織の非加盟国への法人格対抗には,具体的な活動・承認・契約等により変わる余地がある。
本問の与件から採用した構成の理由を示すことを重視する。
Eの国家責任の詳細,X個人や遺族の損害請求,国際裁判管轄,事情変更による条約終了の詳細は主たる設問対象から外した。
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第7 出典及び確認状態
1 公式資料
①法務省・令和5年司法試験論文式試験問題(選択科目)40頁~41頁。
②同・出題の趣旨36頁~37頁の国際関係法(公法系)第2問。
③同・採点実感(選択科目)43頁の共通採点方針,44頁~46頁の第2問・水準評価。
2 条約・国際法資料
①国連・条約法に関するウィーン条約原文4条,26条,27条,31条,32条,46条。
②国連国際法委員会・国家責任条文25条,27条,31条。
国家責任条文は条約ではなく,緊急避難について慣習国際法の整理として参照する。
3 裁判例
①通航権事件・ICJ2009年7月13日判決。
②国連損害賠償事件・ICJ1949年4月11日勧告的意見。
③ガブチコボ・ナジマロシュ計画事件・ICJ1997年9月25日判決。
本記事の判例法理の説明は,法務省公式資料の紹介部分に基づく。
4 確認状態
問題文,出題の趣旨及び採点実感は上記範囲を実読した。
条約法条約と国家責任条文の該当条文は国連掲載の原文を確認した。
ICJ判決・勧告的意見の全文原文は取得できておらず,公式資料の判例紹介と原文の独立確認を区別している。
評価項目,重み及び事例への当てはめは独自の抽出・推論であり,公式の項目別配点や採点結果ではない。