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臨時司法制度調査会の弁護士制度改革―共同化,紛争予防,費用負担及び法律扶助(AI作成)

第1 昭和39年意見書の位置付け

1 決議と審議意見を分けて読む

昭和39年8月28日付の臨時司法制度調査会意見書は,裁判官,弁護士,検察官,司法試験,司法修習などを横断する制度改革の意見書である。
本記事は,その第二編第二章「弁護士制度」(原本75頁~93頁)を中心に,弁護士活動の共同化,紛争予防,利用者の費用負担及び法律扶助を整理する。
これは当時の提言の内容を説明する記事であり,現在の法的義務や現行制度のすべてを説明するものではない。

意見書には,調査会として採択した結論,検討を求めた事項,審議過程で述べられた意見及び採択されなかった案が含まれる。
審議意見をそのまま調査会の決議として紹介せず,提言があったことと,その後に法改正が実現したことも区別する必要がある。

2 法曹一元との関係

臨時司法制度調査会設置法2条は,裁判官の任命制度を含む裁判所制度その他の司法制度について調査審議することを調査会の任務とした。
意見書は,法曹一元が円滑に実現されるなら望ましい制度であるとしながら,その基盤となる諸条件は整備されていないため,現行制度の改善と基盤の培養を図るという結論を採った(原本47頁~48頁)。

弁護士制度の改革も,弁護士任官だけのための施策ではない。
国民が法律上の問題を相談し,紛争を予防し,適切な裁判を受けるために,弁護士の活動と組織をどう整えるかという問題を含んでいる。

第2 弁護士の偏在是正と活動の共同化

1 総数の増加と地域での利用可能性

意見書は,弁護士が少ない地域又は裁判所所在地に弁護士がいない地域では,期日指定や国選弁護人の選任などにも支障が生じることを問題とした。
地元弁護士会と日弁連が自主的な方策を講じることに加え,国も対策を検討するという結論である(原本81頁~83頁)。

審議では,法曹人口の増加を根本的な解決策とする意見のほか,大都市で活動できない弁護士が地方へ移ることに期待するだけでは望ましくないという意見も述べられた。
巡回弁護士や合同事務所なども論じられたが,これらの具体策のすべてを採用するという決議ではない。
弁護士の総数と,地域の住民が実際に相談できる体制とは,別の検討事項である。

2 共同化が解こうとした問題

弁護士活動の共同化は,業務の能率化や事務所経営の合理化に加え,専門分野への対応,一般の人の相談のしやすさ,収入があまり伴わない事件への対応及び研修の時間を確保することなどの観点から論じられた(原本83頁~84頁)。
弁護士が裁判官に任官する場合の依頼者との関係処理を容易にすることも,理由の一つであった。

これに対し,依頼者との対人的信用を重視し,共同化は事務所内部の必要と社会情勢に委ねるべきだという意見も記録されている。
最終的には,共同化を進める方向が望ましく,関係機関が事情を考慮して適宜の措置を講じるべきであるとされた。
特定の法人形態や事務所の規模だけを唯一の正解としたものではない。

第3 倫理と弁護士会の継続的な活動

1 綱紀委員会の構成と運営

意見書は,弁護士倫理の確立のため,綱紀委員会の構成・運営の改善と,日弁連・各弁護士会による措置を求めた。
本文では,外形的な公正と調査の適正を担保するための第三者の参加,委員の交代等による処理の停滞を避ける運営改善が論じられている(原本85頁~86頁)。

これは昭和39年当時の制度と審議を前提とした提言である。
現在の綱紀・懲戒委員会の構成や手続を説明するときは,現行の弁護士法と会則・会規を別に確認する必要がある。

2 役員交代と機構の充実

意見書は,弁護士会が一貫した活発な活動を行うため,役員及び事務機構を充実させる必要があるとした(原本86頁~87頁)。
役員の常勤化や任期を2年にする案も審議意見として挙げられるが,決議は機構の充実を求めるものであり,任期2年を一律に採用したわけではない。

会務の継続性という問題は,個々の役員の熱意だけで解決するものではない。
担当者が替わっても,判断の理由,進行中の課題及び関係機関との約束を引き継げる組織を整えることが,この提言から考えられる実務上の課題である。

第4 紛争予防と法律相談への入口

1 紛争解決から紛争予防への拡張

意見書は,弁護士が国民生活に密着し,信頼を得るため,紛争解決だけでなく紛争予防的活動を強化する方策を講じるべきであるとした(原本87頁~88頁)。
そのための執務体制と,社会一般の弁護士の役割についての理解を整えることが論じられている。

契約を締結するとき,債権回収が難しくなり始めたとき,事業を承継するときなど,紛争が顕在化する前に法律上の問題を確認できる相談の入口を用意することは,この問題意識を実務に生かす方法と考えられる。
ただし,これらの場面の列挙は本記事の応用例であり,意見書が列挙した相談類型ではない。

2 費用と依頼範囲を分かりやすくする

審議では,一般の人が気軽に安心して弁護士を利用できるよう,報酬を分かりやすくすることや,費用が高いのではないかという不安を是正する組織的な働き掛けが論じられた(原本87頁~88頁)。
報酬の不安と相談先の分かりにくさを,利用を妨げる問題として捉えた点に意義がある。

実務では,相談だけの依頼,交渉までの依頼,裁判までの依頼を分け,費用の発生時点,追加作業,実費及び専門家の追加が必要となる場合を説明することが考えられる。
価格だけでなく,どの判断や手続を誰が担当するのかを分かるようにすることが重要である。

第5 弁護士強制・費用負担・法律扶助

1 三つの施策を一体として検討した理由

意見書は,弁護士強制,弁護士報酬の訴訟費用化及び法律扶助の拡充を関連する問題として扱った(原本88頁~90頁)。
弁護士による援助を訴訟に必要なものとするなら,その費用を誰が負担し,資力の乏しい人の裁判利用をどう保障するかも同時に考える必要があるためである。

弁護士報酬を敗訴者に負担させる案については,勝訴者の負担を軽減するという意見だけでなく,経済的に弱い敗訴者の負担,資力のある相手への提訴のしにくさ及び一律負担が妥当でない場合の扱いも論じられた。
法律扶助の拡充は,資力による裁判利用の障壁を小さくする課題として位置付けられている。

2 決議は「検討」であった

この三つの施策について,全員一致の結論は得られず,3分の2以上の多数によって,その実現について検討するという結論が採択された(原本90頁)。
弁護士強制の即時導入や,相手方への弁護士報酬全額の請求を決定したものではない。
現在の事件で弁護士費用を相手方に請求できるかは,請求の根拠と当該事件の法令・裁判例によって検討しなければならない。

論点意見書での位置付け読む際の注意
共同化・紛争予防推進・強化の方策を求めた。特定の事務所形態を強制したものではない。
弁護士強制・報酬の訴訟費用化・扶助関連する施策の検討を求めた。即時導入や報酬全額の敗訴者負担の決定ではない。
役員常勤化・任期2年審議過程で述べられた案である。機構充実の決議と区別する。
活動の地域的・審級的制限検討・考慮案は必要な多数に達しなかった。調査会の採択された提言に数えない。

第6 採択されなかった制限案と実務への学び

1 過半数と採択を区別する

弁護士活動の地域的制限と審級的制限について,何らかの制限を検討・考慮する案への賛成は過半数を占めたが,3分の2以上の多数には達しなかった(原本93頁)。
したがって,意見書がこれらの制限を導入又は検討することを決議したと紹介するのは正確でない。

2 組織化を依頼者の継続的な支援につなげる

この意見書から得られる実務上の学びは,人数や組織の形だけでなく,専門性,相談への入口,費用説明,研修及び案件の継続的な処理を一緒に整えることである。
担当者が替わる際には,期限,証拠の所在,未了事項,金銭及び依頼者への説明を引き継ぎ,誰も担当していない事項を残さない運用が考えられる。

税理士との連携でも,税額計算,取引事実の確認,法的争点及び不服申立ての担当を明らかにすることが有用である。
もっとも,昭和39年の職域論から,現在の税務代理や訴訟代理の資格・権限を導くことはできない。
各職種の業務範囲は現行法で確認する必要がある。

第7 関連記事

①法曹一元とは―歴史・弁護士任官・現行制度との関係
②弁護士法人の仕組み――設立,社員の責任,退社,支店及び税務
③税務調査に関するメモ書き

第8 出典

①臨時司法制度調査会『意見書』(昭和39年8月28日,法曹時報掲載資料)47頁~48頁・75頁~93頁。
②臨時司法制度調査会設置法(昭和37年法律第122号)2条。
③司法制度改革審議会第2回会議・房村精一提出資料3別添3「決議要目」(鹿児島大学司法政策研究センター掲載)。