第1 結論
国税庁・国税局・税務署又はe-Taxを名乗るメール,SMS,LINE若しくは電話を受けても,その連絡だけで支払を決めてはならない。
メール等のリンクではなく,あらかじめ保存したブックマーク又は自分で入力した公式サイトからe-Taxのメッセージボックスへ入り,必要に応じて所轄税務署の公式番号へ折り返して確認する。
第2 国税庁が送らない連絡
国税庁の注意喚起によれば,国税庁・国税局・税務署は,納税者の同意なく,国税の納付を求める旨又は差押えに関するメッセージをSMS,メール又はLINEで送信しない。
SMSにURLを記載して誘導する連絡,差押えを予告して即時決済を迫るメール,ATMの操作又は国税庁が指定する口座への振込みを求める電話は信用すべきでない。
もっとも,国税庁又はe-Taxからの正規メールが一切存在しないという意味ではない。
第3 正規のe-Taxメール
e-Taxの正規の「税務署からのお知らせ」は,登録されたメールアドレスへメッセージボックスに情報を格納した旨などを知らせるものである。
e-Taxの注意喚起によれば,送信元は原則として[email protected]であり,添付ファイルはなく,本文にURLを記載しないのが原則である。
ただし,メールアドレス等の登録情報を変更したときの確認用URLなど,公式に説明された例外があるため,「URLがあるから必ず偽物」「国税庁名だから本物」という一要素だけで判断してはならない。
送信元表示は偽装できる。
正規性は,受信メールのリンクを使わず,e-Taxの公式メッセージボックスへ自分でアクセスし,同じ通知が格納されているかによって確認するのが安全である。
第4 AI・自動音声電話の見分け方
国税庁・国税局をかたるAI又は自動音声の電話が,税金と称して金銭を要求する事例が発生している。
このような着信では,音声案内に従って番号を押したり,個人情報を入力したり,指定先へ送金したりせず,いったん電話を切って公式番号へ折り返すべきである。
他方,国税庁は,納税者が相談窓口へ電話した場合のAI電話相談等も実施している。
したがって,AI音声であること自体を真偽の基準にせず,誰がどの番号へ発信したか,金銭又は認証情報を要求しているか,公式番号への折返しで確認できるかを基準とする必要がある。
第5 不審な連絡を受けたときの初動
不審なメール等を受けたときは,①URL及び添付ファイルを開かない,②返信しない,③個人情報・暗証番号・クレジットカード情報を入力しない,④支払わない,⑤公式サイトから連絡先を確認して折り返す,という順序で対応する。
リンク先で認証情報を入力した場合は,正規サイトからパスワードを変更し,ログイン履歴,登録情報及び二要素認証の状態を確認する。
第6 証拠保全と相談先
被害の有無を問わず,送信日時,送信元表示,実際のメールアドレス,メールヘッダー,本文,リンク先URL,電話番号,留守番電話,SMS画面及び支払記録を削除せず保存する。
スクリーンショットだけでなく,可能であれば原メールをeml形式等で保存し,URLは開かず文字列として記録する。
送金又はカード情報入力がある場合は金融機関・カード会社へ直ちに連絡し,警察,消費生活センター,関係する税務署及び組織内の情報セキュリティ担当者への相談も行う。
第7 事務所の予防ルール
事務所では,①税務連絡を受ける担当窓口を限定する,②e-Taxと国税庁の公式URLをブックマークする,③納付・口座変更・認証情報入力は二人で確認する,④取引先又は官公署の支払先変更は既知の連絡先へ別経路で照会する,⑤不審メールを組織内で共有する,という最低限のルールを定めることが有効である。
e-Taxの通常の利用方法は「e-Taxの利用方法-WEB版・電子納税・令和9年改正(AI作成)」を参照されたい。
第8 出典・参考資料
①国税庁「不審なメールや電話にご注意ください」
②e-Tax「e-Taxを装った不審なメール等にご注意ください」
③e-Tax「税務署からのお知らせメール」
④e-Tax「メッセージボックス」
⑤国税庁「AI電話相談」