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脊柱の後遺障害等級―6級・8級・11級の変形障害,運動障害及び荷重機能障害の認定基準(AI作成)

第1 脊柱の後遺障害を検討する順序

1 本記事の対象と基準日

(1) 対象とする読者と範囲

本記事は,交通事故で頚椎,胸椎又は腰椎を骨折し,又は脊椎の手術を受けた人が,自賠責保険の後遺障害等級のうち脊柱の障害がどのような基準で認定されるかを確認するための記事である。
令和8年10月9日現在の自動車損害賠償保障法施行令と,厚生労働省が公表している労災保険の障害等級認定基準を確認した。
脊髄損傷による麻痺その他の神経系統の障害,鎖骨・肩甲骨等の個別の骨折及び逸失利益の計算は,それぞれの関連記事に譲る。

(2) 等級認定上の「脊柱」

自賠責の等級表は「脊柱」と表記し,厚生労働省の認定基準は「せき柱」と表記しているが,同じ部位を指している。
認定基準は,等級表上の脊柱の障害が頚部及び体幹の支持・保持機能と運動機能に着目したものであるとして,解剖学上は脊柱の一部である仙骨と尾骨を脊柱に含めていない。
ただし,脊柱の運動障害は,腰仙関節の動きを含めて認定するとされている。

2 等級の全体像

(1) 障害の類型と等級

脊柱の障害は,変形障害,運動障害及び荷重機能障害に分けて認定される。
等級表に明記された号と,等級表の「相当」の規定により認定される等級をまとめると,次のとおりである。

障害等級認定基準の要点
脊柱に著しい変形を残すもの第6級5号圧迫骨折等により2個以上の椎体の前方椎体高が著しく減少して後彎が生じたもの,又は前方椎体高の減少による後彎とコブ法による50度以上の側彎が併存するもの
脊柱に中程度の変形を残すもの第8級相当前方椎体高の減少による後彎,コブ法による50度以上の側彎又は環椎・軸椎の変形・固定による一定角度以上の回旋位等
脊柱に変形を残すもの第11級7号圧迫骨折等が画像で確認できるもの,脊椎固定術が行われたもの又は3個以上の脊椎に椎弓切除術等の椎弓形成術を受けたもの
脊柱に著しい運動障害を残すもの第6級5号圧迫骨折等,固定術又は軟部組織の明らかな器質的変化により,頚部及び胸腰部が強直したもの
脊柱に運動障害を残すもの第8級2号同様の原因により頚部又は胸腰部の可動域が参考可動域角度の2分の1以下に制限されたもの,又は頭蓋・上位頚椎間に著しい異常可動性が生じたもの
荷重機能障害第6級相当・第8級相当原因が画像で確認でき,頚部及び腰部の両方又はいずれかの保持に困難があり,常に硬性補装具を必要とするもの

(2) 最初に確認する順序

等級を傷病名から決めるのではなく,①画像で確認できる骨折・脱臼,固定術等の有無,②椎体の高さの減少と彎曲の角度,③症状固定時の可動域と制限の原因,④硬性補装具の必要性の順に確認すると,どの類型が問題となるかを整理しやすい。
頚椎と胸腰椎は原則として別の部位として扱われるため,この確認も部位ごとに行う。

第2 等級表と労災の認定基準の関係

1 自賠法施行令の等級表

(1) 脊柱とその他の体幹骨の号

自動車損害賠償保障法施行令別表第二は,第6級5号を「脊柱に著しい変形又は運動障害を残すもの」,第8級2号を「脊柱に運動障害を残すもの」,第11級7号を「脊柱に変形を残すもの」と定めている。
鎖骨,胸骨,ろく骨,けんこう骨又は骨盤骨に著しい変形を残すものは,第12級5号である。
保険金額は,第6級が1296万円,第8級が819万円,第11級が331万円,第12級が224万円である。

(2) 相当等級

別表第二の備考6は,各等級の後遺障害に該当しない後遺障害であって,各等級の後遺障害に相当するものは,当該等級の後遺障害とすると定めている。
等級表に「中程度の変形」や「荷重機能障害」という号はないが,これらはこの規定により第8級又は第6級に相当する障害として扱われる。

2 労災の認定基準を用いる理由

(1) 支払基準の定め

自賠責保険の支払基準は,後遺障害の等級の認定を,原則として労働者災害補償保険における障害の等級認定の基準に準じて行うとしている。
脊柱については,厚生労働省労働基準局長が平成16年6月4日基発第0604003号で定めた「せき柱及びその他の体幹骨,上肢並びに下肢の障害に関する障害等級認定基準」が具体的な基準である。
この認定基準は,平成16年7月1日以降に支給事由が生じたものに適用するとされている。
認定基準は労災保険の号数(例えば第6級の4,第11級の5)で書かれており,自賠責の号数とは異なるので,読み替えは後遺障害等級の号数の読み方で確認されたい。

(2) 頚椎と胸腰椎を分ける原則

認定基準は,頚椎は主として頭部の支持機能を,胸腰椎は主として体幹の支持機能を担っていて主たる機能が異なるとして,原則として頚椎と胸腰椎を異なる部位として扱い,部位ごとに等級を認定するとしている。
そのため,頚部と胸腰部の双方に障害が残った場合は,第5の2のとおり,併合の方法を用いて準用等級を定めることになる。

第3 変形障害

1 脊柱に変形を残すもの(第11級7号)

(1) 三つの類型

認定基準は,「脊柱に変形を残すもの」を次のいずれかに該当するものとしている。
①脊椎圧迫骨折等を残しており,そのことがエックス線写真等により確認できるもの
②脊椎固定術が行われたもの(移植した骨がいずれかの脊椎に吸収されたものを除く。)
③3個以上の脊椎について,椎弓切除術等の椎弓形成術を受けたもの

(2) 類型ごとに確認する点

①の類型には椎体の高さの減少の程度についての数値の要件はなく,圧迫骨折等が画像で確認できることが要件となっている。
②の類型では,固定術が行われたことに加え,移植した骨が吸収されていないかが問題となる。
アディーレ法律事務所編『申請事例からみる交通事故後遺障害の等級認定』(中央経済社,令和4年)は,頚椎の後方固定術の後に骨癒合を確認して抜釘した事例で,固定術を行ったことだけでは脊柱の変形とされず,画像で確認された椎体骨折により第11級7号が認定された例を紹介している(547頁~548頁)。
同書は,骨折がなくても,外傷を契機とする腰椎すべり症に対して固定術が行われ,第11級7号が認定された例も紹介している(553頁~554頁)。

(3) 椎体以外の骨折と時間の経過

同書は,横突起又は棘突起の骨折は荷重を支える椎体の骨折ではないため脊柱の変形としては扱われず,痛み等が残る場合は局部の神経症状として第12級13号又は第14級9号の問題になると説明している(520頁)。
また,圧迫骨折の椎体の変形は受傷直後に小さくても,荷重によって1か月から3か月かけて進行することがあると指摘している(521頁)。
事故前からの陳旧性骨折との区別や,事故との因果関係が争われる場合の画像の読み方は,胸腰椎圧迫骨折は交通事故によるものかで説明している。

2 脊柱に中程度の変形を残すもの(第8級相当)

(1) 三つの類型

認定基準は,平成16年の改正で,第8級に準ずる障害として「脊柱に中程度の変形を残すもの」を設けた。
エックス線写真等により脊椎圧迫骨折等を確認できる場合であって,次のいずれかに該当するものをいう。
①脊椎圧迫骨折等により1個以上の椎体の前方椎体高が減少し,後彎が生じているもの
②コブ法による側彎度が50度以上であるもの
③環椎又は軸椎の変形・固定(環椎と軸椎との固定術が行われた場合を含む。)により,60度以上の回旋位,50度以上の屈曲位若しくは60度以上の伸展位となっているもの,又は側屈位となっていて矯正位の頭蓋底部の両端を結んだ線と軸椎下面との平行線が交わる角度が30度以上の斜位となっていることが画像で確認できるもの

(2) 「前方椎体高が減少」の基準

①の「前方椎体高が減少」とは,減少したすべての椎体の後方椎体高の合計と減少後の前方椎体高の合計との差が,減少した椎体の後方椎体高の1個当たりの高さの50%以上であるものをいう。
前掲書が紹介する第1腰椎・第2腰椎の圧迫骨折の事例では,後方椎体高の合計67mm,前方椎体高の合計45mmで差が24mmとなり,1個当たりの後方椎体高33.5mmの50%である16.75mm以上であったことから,第8級相当とされた(540頁~541頁)。
この事例では,胸腰部の可動域制限は参考可動域角度の2分の1以下には達しておらず,運動障害としては認定されていない。

(3) 環椎・軸椎の変形・固定の測り方

③の回旋位と屈曲・伸展位は,軸椎以下の脊柱を動かさずに,その人にとっての自然な肢位で角度を測定するとされている。
認定基準は,環椎又は軸椎の可動性がほとんど失われると頚椎全体の可動範囲も大きく制限されるため,③に該当する変形・固定は第8級2号の運動障害にも該当することがほとんどであるとし,変形・固定は最大矯正位のエックス線写真等で最もよく確認できるとしている。

3 脊柱に著しい変形を残すもの(第6級5号)

(1) 二つの類型

「脊柱に著しい変形を残すもの」は,エックス線写真,CT画像又はMRI画像により脊椎圧迫骨折等を確認できる場合であって,次のいずれかに該当するものをいう。
①脊椎圧迫骨折等により2個以上の椎体の前方椎体高が著しく減少し,後彎が生じているもの
②脊椎圧迫骨折等により1個以上の椎体の前方椎体高が減少し,後彎が生ずるとともに,コブ法による側彎度が50度以上となっているもの

(2) 「著しく減少」の基準と計算例

①の「前方椎体高が著しく減少」とは,減少したすべての椎体の後方椎体高の合計と減少後の前方椎体高の合計との差が,減少した椎体の後方椎体高の1個当たりの高さ以上であるものをいう。
認定基準は,3個の椎体の後方椎体高の合計が12cm,減少後の前方椎体高の合計が7cmである場合,差の5cmが1個当たりの後方椎体高4cm以上となるので,これに当たるという例を示している。
②については,2個の椎体の後方椎体高の合計が8cm,減少後の前方椎体高の合計が5.5cmである場合,差の2.5cmが1個当たりの後方椎体高の50%である2cm以上となるので,50度以上の側彎を伴えばこれに当たるという例が示されている。

4 後彎と側彎の測り方

(1) 後彎は椎体の前後の高さで比べる

後彎の程度は,脊椎圧迫骨折等により前方椎体高が減少した場合に,減少した前方椎体高と当該椎体の後方椎体高を比較して判定する。
したがって,画像の所見としては「圧迫骨折あり」という記載だけでは足りず,減少した椎体ごとの前方・後方の椎体高が読み取れることが,第8級相当又は第6級5号を検討する前提となる。

(2) 側彎はコブ法で測る

コブ法とは,エックス線写真により,脊柱のカーブの頭側と尾側でそれぞれ水平面から最も傾いている脊椎を求め,頭側で最も傾いている脊椎の椎体上縁の延長線と,尾側で最も傾いている脊椎の椎体下縁の延長線が交わる角度を測定する方法である。
後彎又は側彎が頚椎から胸腰部にまたがって生じている場合は,部位ごとの原則にかかわらず,後彎は前方椎体高が減少したすべての脊椎の減少の程度により,側彎はその全体の角度により判定するとされている。

第4 運動障害

1 運動障害の原因要件

(1) 画像で確認できる原因が必要である

認定基準は,脊柱の運動障害の原因として,①脊椎圧迫骨折等がエックス線写真等により確認できること,②脊椎固定術が行われたこと,③項背腰部軟部組織に明らかな器質的変化が認められることを挙げている。
可動域が狭いという事実だけでは足りず,これらの原因と制限との対応が必要となる。

(2) 痛みだけによる制限は神経症状として評価される

エックス線写真等で脊椎圧迫骨折等又は脊椎固定術が認められず,項背腰部軟部組織の器質的変化も認められず,単に疼痛のために運動障害を残すものは,局部の神経症状として等級を認定するとされている。
自賠責の等級表では,第12級13号又は第14級9号が問題となる。
前掲書は,圧迫骨折や固定術がある場合は可動域よりもエックス線写真の変形の程度で等級が判断されることが多く,可動域それ自体が問題となる場面は限られるとの見方を示している(527頁~528頁)。

2 参考可動域角度と2分の1の計算

(1) 参考可動域角度

認定基準の別添「関節の機能障害の評価方法及び関節可動域の測定要領」は,脊柱の主要運動,参考運動及び参考可動域角度を次のとおり定めている。

部位主要運動と参考可動域角度2分の1参考運動
頚部屈曲60度・伸展50度(合計110度)55度側屈(左右各50度)
頚部回旋 左右各60度(合計120度)60度側屈(左右各50度)
胸腰部屈曲45度・伸展30度(合計75度)37.5度回旋(左右各40度)・側屈(左右各50度)

屈曲と伸展のように同じ面にある運動は,両方向の角度を合計して評価する。
頚部は屈曲・伸展と回旋の二つの主要運動を持ち,いずれか一方が参考可動域角度の2分の1以下に制限されていれば足りる。

(2) 参考運動による補充と測定方法

主要運動の可動域が参考可動域角度の2分の1を「わずかに」上回る場合に,参考運動が2分の1以下に制限されているときは,頚椎又は胸腰椎の運動障害と認定するとされている。
「わずかに」は原則として5度であるが,頚部の屈曲・伸展と回旋については10度とされている。
可動域は原則として他動運動による測定値を用い,脊柱には左右一対の健側がないため,健側との比較ではなく参考可動域角度との比較で評価する。
頚部の測定肢位と計算例は,頚椎(頸椎)の可動域制限と後遺障害8級2号で詳しく説明している。

3 運動障害の二つの等級

(1) 脊柱に運動障害を残すもの(第8級2号)

「脊柱に運動障害を残すもの」は,①脊椎圧迫骨折等,脊椎固定術又は項背腰部軟部組織の明らかな器質的変化により,頚部又は胸腰部の可動域が参考可動域角度の2分の1以下に制限されたもの,又は②頭蓋・上位頚椎間に著しい異常可動性が生じたものをいう。

(2) 脊柱に著しい運動障害を残すもの(第6級5号)

「脊柱に著しい運動障害を残すもの」は,頚椎及び胸腰椎のそれぞれの脊椎圧迫骨折等,頚椎及び胸腰椎のそれぞれの脊椎固定術,又は項背腰部軟部組織の明らかな器質的変化により,頚部及び胸腰部が強直したものをいう。
強直とは,完全強直又はこれに近い状態をいい,「これに近い状態」とは,原則として可動域が参考可動域角度の10%程度以下に制限されているものとされる。
「10%程度」は,参考可動域角度の10%に相当する角度を5度単位で切り上げた角度とされているので,本記事の計算では,胸腰部の屈曲・伸展(合計75度)であれば7.5度を切り上げた10度以下が目安となる。

第5 荷重機能障害と複数の障害

1 荷重機能障害(第6級相当・第8級相当)

(1) 等級と原因要件

荷重機能の障害は,その原因が明らかに認められる場合であって,頚部及び腰部の両方の保持に困難があり,常に硬性補装具を必要とするものが第6級,頚部又は腰部のいずれかの保持に困難があり,常に硬性補装具を必要とするものが第8級に準ずる運動障害として扱われる。
原因が明らかに認められる場合とは,脊椎圧迫骨折・脱臼,脊柱を支える筋肉の麻痺又は項背腰部軟部組織の明らかな器質的変化が存在し,それらがエックス線写真等により確認できる場合をいう。

(2) 硬性補装具の意味

前掲書は,硬性補装具をセルロイド製,プラスチック製又は金属フレーム製等の伸縮性のない素材による補装具と説明し,軟性の補装具にとどまる場合には荷重機能障害は認定されないとしている(530頁~531頁)。
常に装着する必要があることについては,装具の種類と処方の経過,装着を外したときに生じる支障を診療記録で確認できるかが問題となる。

2 頚部と胸腰部の双方に障害がある場合

(1) 併合の方法による準用等級

頚部と胸腰部のそれぞれに障害がある場合は,併合の方法を用いて準用等級を定める。
認定基準は,頚椎(環軸椎)が60度回旋位(準用第8級)で胸腰椎に脊椎固定術が行われた(第11級)場合は準用第7級,頚部の可動域が2分の1以下に制限され胸腰椎にコブ法50度以上の側彎又は準用第8級の後彎を残す場合は,併合の方法を用いると第6級となるが第6級には達しないので準用第7級,頚部の可動域が2分の1以下に制限され胸腰椎に第6級に当たる後彎を残す場合は準用第6級とする例を示している。
頚部と胸腰部の可動域がそれぞれ2分の1以下に制限された場合も,準用第7級とされている。

(2) 同じ部位に複数の障害がある場合

頚部に複数の障害がある場合は,いずれか上位の等級で認定し,胸腰部に複数の障害がある場合も同様である。
認定基準は,腰椎の圧迫骨折による変形(第11級)とともに腰部の可動域が参考可動域角度の2分の1以下に制限された(第8級)場合は,第8級2号とする例を示している。

3 神経症状・脊髄損傷との関係

(1) 骨折部位の痛み

圧迫骨折等による脊柱の変形に伴う受傷部位の疼痛については,変形障害と神経症状のいずれか上位の等級により認定するとされている。
したがって,第11級7号が認定される場合に,同じ部位の痛みを第12級13号又は第14級9号として別に加えて併合することにはならないと考えられる。
前掲書の事例でも,腰痛や頚部痛は変形障害から通常派生する関係にあるとして,変形障害の等級に含めて評価されている(540頁,547頁)。

(2) 脊髄損傷を伴う場合

脊髄損傷による神経系統の障害を伴う脊柱の障害は,神経系統の障害として総合的に認定するとされている。
麻痺,感覚障害,排尿・排便障害等が残る場合は,脊柱の変形や運動障害だけでなく,神経系統の障害としての評価を検討する必要がある。

4 その他の体幹骨の変形(第12級5号)

(1) 裸体で明らかに分かる程度の変形

鎖骨,胸骨,肋骨,肩甲骨又は骨盤骨に著しい変形を残すものは,裸体となったときに変形(欠損を含む。)が明らかに分かる程度のものをいい,エックス線写真によって初めて発見できる程度のものはこれに当たらない。
肋骨の変形は,本数,程度及び部位等に関係なく,肋骨全体を一括して一つの障害として扱い,骨盤骨には仙骨を含め,尾骨を除くとされている。

(2) 脊柱の障害との併合と関連記事

脊柱の変形障害又は運動障害とその他の体幹骨の変形が存する場合は,系列を異にする障害として併合して等級を認定する。
鎖骨の変形は交通事故による鎖骨骨折の後遺障害等級,肩甲骨は交通事故による肩甲骨骨折の後遺障害等級認定,骨盤の寛骨臼は交通事故による寛骨臼骨折の後遺障害等級認定で扱っている。

第6 認定資料と申請後の対応

1 画像と後遺障害診断書

(1) 画像で確認すべき事項

認定基準は,変形障害の確認資料としてエックス線写真,CT画像又はMRI画像を挙げている。
第11級7号では圧迫骨折等又は固定術の存在,第8級相当と第6級5号では減少した椎体ごとの前方・後方の椎体高とコブ法による角度,環椎・軸椎の変形・固定では最大矯正位の画像が,それぞれ中心となる資料である。
事故直後から症状固定までの受診・検査の流れは,交通事故治療の流れで説明している。

(2) 後遺障害診断書の脊柱の欄

前掲書が掲載する自賠責保険の後遺障害診断書の様式には,脊柱の障害について,圧迫骨折・脱臼(椎弓切除・固定術を含む。)の部位を頚椎部と胸腰椎部に分けて記載する欄,前屈・後屈・左右の側屈・左右の旋回の角度を記載する運動障害の欄,荷重機能障害として常時コルセット装用の必要性の有無を記載する欄がある(485頁)。
画像所見,測定値及び装具の必要性が診療録と食い違っていないかは,交通事故の後遺障害診断書で説明した確認方法により点検するとよい。

2 逸失利益と異議申立て

(1) 等級と損害額の検討

第11級7号の脊柱変形については,労働能力喪失率と喪失期間が争われることが多い。
裁判例の認定内容と立証資料は,胸腰椎圧迫骨折の後遺障害逸失利益で,逸失利益の計算一般は交通事故の後遺障害逸失利益で説明している。

(2) 認定結果に不服がある場合

非該当又は予想より低い等級となった場合は,否定されたのが画像上の骨折の存在なのか,椎体高や角度の数値なのか,可動域制限の原因なのかを認定理由から分けて読む必要がある。
異議申立て等の手続と補充する資料は,非該当・低い等級への異議申立てと必要資料で,等級認定の全体の流れは交通事故の後遺障害の総合案内で説明している。

第7 出典・参考資料

1 法令・告示

①e-Gov法令検索「自動車損害賠償保障法施行令」第2条並びに別表第二第6級5号,第8級2号,第11級7号,第12級5号,第12級13号,第14級9号及び備考6(令和8年10月9日確認)
②金融庁・国土交通省「自動車損害賠償責任保険の保険金等及び自動車損害賠償責任共済の共済金等の支払基準」第3(損害保険料率算出機構掲載)

2 所管行政機関の認定基準

①厚生労働省労働基準局長「せき柱及びその他の体幹骨,上肢並びに下肢の障害に関する障害等級認定基準について」(平成16年6月4日基発第0604003号)
②同「別紙 せき柱及びその他の体幹骨,上肢並びに下肢の障害に関する障害等級認定基準」第1節
③同「別添 関節の機能障害の評価方法及び関節可動域の測定要領」及び各論(せき柱)

3 文献

①アディーレ法律事務所編『申請事例からみる交通事故後遺障害の等級認定』(中央経済社,令和4年)485頁,520頁~521頁,527頁~528頁,530頁~531頁,540頁~541頁,547頁~548頁,553頁~554頁