第1 本記事の範囲と結論
1 結論
政党交付金を受ける政党が年の途中で姿を変えるとき,その年の交付金の扱いは,解散,政党の要件の喪失,合併,分割及び分派のどれに当たるかで大きく異なる。
① 解散(合併又は分割によるものを除く。)をした場合,その年の残りの交付金は交付されず,解散の日までに使われなかった額と政党基金の残高について,総務大臣が返還を命ずることができる。
② 合併した場合,解散する政党に交付されるはずだった残りの交付金は存続する政党又は新設される政党に交付され,所定の届出をすれば,翌年以降の算定で解散した政党の得票数が合算される。
③ 一部の国会議員が離党して新しい政党を作る,いわゆる分派は分割に当たらず,その年に総選挙又は通常選挙がなく,元の政党が政党の要件を満たす限り,元の政党には当初の交付決定どおりの額が交付されるというのが総務省の説明である。
④ 分割の場合は所属議員5人以上の新しい政党に議員数で按分して交付され,政党の要件を欠いた場合は月割りの特定交付金となる。
2 基準日と資料
本記事は,令和8年10月25日にe-Gov法令検索で確認した政党助成法,政党交付金の交付を受ける政党等に対する法人格の付与に関する法律(以下「法人格付与法」という。),政治資金規正法,国会法及び公職選挙法の規定と,総務省の公表資料に基づく。
政党助成法は令和8年1月1日施行の版を確認した。
第6では,令和8年に中道改革連合について公表された資料を条文に当てはめるが,同党の判断の当否は扱わない。
第2 交付を受ける政党と交付額の決まり方
1 政党の要件
政党助成法2条1項は,政党交付金の対象となる「政党」を,政治団体のうち次のいずれかに当たるものとしている。
① 所属する衆議院議員又は参議院議員を5人以上有するもの(1号)
② 1号に当たる政治団体に所属していない衆議院議員又は参議院議員を有し,直近の総選挙の小選挙区若しくは比例代表の選挙,又は直近若しくはその前の通常選挙の比例代表若しくは選挙区の選挙のいずれかにおける得票総数が,その選挙の有効投票の総数の100分の2以上であるもの(2号)
したがって,所属国会議員が1人だけでも,その議員が1号に当たる他の政治団体に所属しておらず,直近の総選挙等で2%以上の得票があれば,政党助成法上の政党に当たる。
同条2項により,他の政党(政治資金規正法6条1項により政党である旨の届出をしたもの)に所属している議員が所属する政治団体には,同条1項は適用されない。
2 基準日と年の途中の選挙
交付を受けようとする政党は,毎年1月1日(前年の選挙の選挙基準日がそれより後のときは,その選挙基準日。基準日)現在の所属議員,得票総数等を,基準日の翌日から起算して15日以内に総務大臣に届け出る(政党助成法5条1項)。
その年分の交付額は,原則として基準日現在で算定した額である(同法9条1項)。
その年に総選挙又は通常選挙が行われた場合は,基準日現在の額を選挙基準日の属する月までの月数で月割りした額と,選挙基準日現在で算定し直した額を残りの月数で月割りした額とを合計する(同条2項)。
政党交付金の額は,所属議員の数に応じた議員数割と,得票総数に応じた得票数割の合計である(同法8条1項)。
政党助成法には,選挙が行われた場合を除き,年の途中の所属議員の増減によってその年分の額を算定し直す規定は見当たらない。
ただし,所属議員が減って政党の要件そのものを欠いた場合は,第4の特定交付金の規定による。
3 交付の時期と使途
政党交付金は,4月にその年分の額の4分の1,7月に残額の3分の1,10月に残額の2分の1,12月に残額が交付される(政党助成法11条1項)。
交付を受けるには,総務大臣に請求書を提出し,法人である政党であることを証する登記事項証明書を添付しなければならない(同条2項)。
国は,政党交付金の交付に当たって,条件を付し,又は使途を制限してはならない(同法4条1項)。
他方で,政党は,政党交付金が国民から徴収された税金等で賄われることに留意し,適切に使用しなければならない(同条2項)。
第3 解散した場合
1 届出と以後の交付の停止
政党が解散し,政治団体でなくなり,又は政党の要件を欠く政治団体となったときは,代表者であった者が,その日の翌日から起算して15日以内に,その旨を届け出なければならない(政党助成法21条1項)。
この場合,その年分として交付すべき政党交付金は交付されない(同法22条本文)。
ただし,それより前に交付された政党交付金(既交付金)は,交付しない対象から除かれている(同条ただし書)。
したがって,10月の交付を受けた後に解散すれば,12月分は交付されない。
2 残額と政党基金の返還命令
総務大臣は,政党が解散(合併又は分割によるものを除く。)をし,又は目的の変更その他により政治団体でなくなった場合,次の合計額の返還を命ずることができる(政党助成法33条2項3号)。
① その年の1月1日から解散の届出をした日までに交付を受けた政党交付金の総額から,その年の1月1日から解散の日までにした「政党交付金による支出」の総額を控除した残額(いずれも政党基金の増減による調整を含む。)
② 解散の届出をした日における政党基金の残高
返還命令の名宛人は,政党が解散し,又は政治団体でなくなった場合には,その代表者であった者である(同項柱書)。
政党の支部についても,支部政党交付金の残額等を返還させる規定がある(同項4号)。
控除される支出は解散の日までにしたものに限られているため,条文の文言上,解散した後の清算中に支払った額は,この計算で控除される支出に含まれない。
3 借入金の返済と「政党交付金による支出」
「政党交付金による支出」は,政党交付金を充て又は政党基金を取り崩して充てる支出をいい,借入金の返済及び貸付金の貸付けを除く(政党助成法14条1項)。
ここでいう支出は,政治資金規正法4条5項の支出であり,同項は,金銭,物品その他の財産上の利益の供与又は交付(運用のためにする金銭等の供与又は交付を除く。)を支出としている。
そのため,政党交付金を借入金の返済に充てても,返還額の計算で控除される支出には当たらない。
これに対し,選挙で生じた事業者への未払い代金の支払は,借入金の返済ではなく金銭の交付であるから,支出として扱われると考えられる。
政党基金は,特定の目的のために政党交付金の一部を積み立てた積立金である(同項)。
毎年の残額の返還(同法33条2項1号)の計算では,その年の政党基金の増減が考慮される。
解散の場合(同項3号)も政党基金の増減は考慮されるが,さらに届出の日における政党基金の残高そのものが返還の対象に加わる。
4 返還金の徴収
返還を命ぜられた政党交付金を納期日までに納付しないときは,年14.6%の割合の延滞金がかかる(政党助成法33条9項)。
総務大臣は,返還を命じた額を,未交付の政党交付金や翌年以後に交付すべき政党交付金から控除することもできる(同条10項)。
国税滞納処分の例による徴収と,国税及び地方税に次ぐ先取特権を定める同条12項は,対象を「第一項の規定により返還すべき政党交付金」等としている。
同条1項は,政党交付金の交付の決定をこの法律の規定に違反して受けた場合の交付の停止・返還である。
同条2項による残額の返還は,12項の対象として書かれていないから,条文上,国税滞納処分の例による徴収と先取特権は,2項の返還については定められていない。
5 法人である政党の清算と破産
法人である政党等は任意に解散することができ(法人格付与法10条1項),解散した後も,清算の目的の範囲内で,清算の結了まで存続するものとみなされる(同法10条の2)。
清算中に財産が債務を完済するのに足りないことが明らかになったときは,清算人は直ちに破産手続開始の申立てをしなければならない(同法10条の9第1項)。
残余財産は党則等で指定した者に帰属し,指定がなければ代表権を有する者が類似の目的のために処分することができ,処分されない財産は国庫に帰属する(同法10条の10)。
最高裁令和7年10月20日決定(令和6年(許)第17号,民集79巻7号2765頁)は,法人である政党等は,解散していなくても破産手続開始の決定を受けるべき適格を有するとした。
この決定と政党交付金の返還命令との関係は,法人である政党は解散前にも破産できるか―最高裁令和7年10月20日決定と政党交付金の論点(AI作成)で説明している。
第4 政党の要件を欠いた場合
政党が政治団体として存続していても,所属議員の減少等で政党助成法2条1項の要件を欠いたときは,同法上の政党ではなくなる。
この場合,選挙のない年は,基準額をその年の1月から政党でなくなった日の属する月までの月数で月割りした額から既交付金を控除した残額が,「特定交付金」として交付される(同法27条1項1号)。
総選挙又は通常選挙があった年は,選挙の前後で算定した額をそれぞれ月割りした額の合計から既交付金を控除した残額となる(同項2号から4号まで)。
特定交付金の交付を受けるには,解散等の届出の際にその旨等を届け出る必要があり,届出の後最初に来る交付時期に全額が交付される(同条2項・4項)。
特定交付金の交付を受けた政治団体は,使途の報告等の規定の適用について政党とみなされ(同条7項),33条の返還命令の規定も適用される(同条1項括弧書き)。
所属議員が1人になっても,その議員が他の政党に所属しておらず,直近の選挙で2%以上の得票があれば2条1項2号の要件を満たすから,この規定は適用されない。
第5 合併・分割・分派
1 合併
直近の届出をした2以上の政党が合併した場合,合併により解散する政党(合併解散政党)にその年分として交付すべきであった額から既交付金を控除した残額は,合併後に存続する政党(存続政党)又は合併により設立される政党(新設政党)に交付される(政党助成法23条1項)。
存続政党は,合併の日に政党の要件を満たし,かつ直近の届出をしたものに限られる(同項)。
この交付を受けるには,合併の日の翌日から起算して15日以内(その年の12月の交付時期までに限る。)に届け出て,合併に関する文書の写し等を提出する(同条4項・5項)。
合併解散政党が使い残した政党交付金と政党基金を存続政党等が引き継いだときは,存続政党等はその旨を届け出なければならず,それらは存続政党等に交付されたものとみなして使途の報告や返還命令の規定が適用される(同法33条3項)。
この届出をしないときは,その合併は政党助成法上の合併でないものとみなされ,第3の2の返還の規定が適用される(同条4項)。
2 翌年以降の得票数の合算
存続政党又は新設政党の翌年以降の得票数割の算定では,合併解散政党の得票総数が,存続政党等の得票総数に加えられる(政党助成法24条4項)。
ただし,存続政党等が届出の際に合併解散政党の得票総数等を併せて届け出ない場合は,合算されない(同条1項,4項ただし書)。
合併後の政治団体が2条1項2号の得票の要件を満たすかどうかの判断でも,同様に得票総数が合算される(同法23条2項)。
政党助成法は,ある政党の得票を別の政党の交付額に反映させる規定を,合併(24条4項)と分割(25条4項)について置いている。
3 分割
分割により解散する政党の未交付分は,分割により設立される政治団体のうち,設立の日に所属国会議員を5人以上有するもの(分割政党)に,所属議員数に応じて按分して交付される(政党助成法23条3項)。
分割政党は「当該分割により設立される政治団体」に限られているから,既にある別の政党への移籍は,分割に当たらない。
翌年以降の得票数割の算定では,分割解散政党の得票総数が,各分割政党の選挙時所属議員数(分割政党の議員のうち,その選挙で分割解散政党の候補者であった者の数)に応じて按分される(同法25条1項・4項)。
4 分派
総務省は,政党から一部の所属国会議員が脱退して新たに政党を設立する,いわゆる分派は「分割」に当たらないと説明している。
同省の表によれば,その年に総選挙又は通常選挙がない場合,分派の年の政党交付金は,元の政党には当初の決定どおりの額が交付され,新たに設立された政党には交付されない。
次回以降の算定では,得票数は元の政党に残り,新しい政党には引き継がれない。
次回以降の議員数割は,それぞれの政党の基準日現在の所属議員数によって算定される。
同省の表は,各政党とも政党の要件を満たす場合の扱いとして示されている。
条文から見ても,分派では元の政党は解散しておらず,政治団体として存続し政党の要件を満たす限り,22条の交付の停止や33条2項3号の解散時の返還は働かない。
5 比較
| 場面 | その年の未交付分 | 既に交付された分 | 翌年以降の得票数 |
|---|---|---|---|
| 解散 | 交付されない(22条) | 解散の日までに使わなかった額と政党基金の残高に返還命令があり得る(33条2項3号) | 政党が存続しない |
| 政党の要件の喪失 | 月割りの特定交付金(27条1項) | 政党とみなして報告の規定を適用(27条7項),33条2項1号等の返還命令も適用(同条1項括弧書き) | 政党でなくなる |
| 合併 | 存続政党・新設政党に交付(23条1項) | 引継ぎの届出で存続政党等に交付されたものとみなす(33条3項) | 届出をすれば合算する(24条4項) |
| 分割 | 分割政党に議員数で按分(23条3項) | 引継ぎの届出で分割政党に交付されたものとみなす(33条3項) | 選挙時所属議員数に応じて按分(25条4項) |
| 分派 | 選挙がない年は元の政党に当初の決定どおり(総務省の表) | 元の政党が政治団体として存続し政党の要件を満たす限り,22条・33条2項3号は働かない | 元の政党に残る(総務省の表) |
第6 令和8年の中道改革連合の例
1 公表資料で確認できる経過
総務省の公表資料によれば,令和8年1月1日(基準日)現在で届出をした政党は10党であり,中道改革連合は含まれていない。
同年2月9日(選挙基準日)現在の届出では,中道改革連合の所属国会議員は衆議院議員49人・参議院議員0人であり,立憲民主党(参議院議員39人)と公明党(参議院議員21人)も別に届出をしている。
総務省は,同年4月8日,1月1日現在及び2月9日現在の届出に基づき,各政党の令和8年分の交付決定額を公表し,中道改革連合の額を23億3881万2000円とした。
同党は1月1日現在の届出をしていないから,同党の額は,2月9日現在の届出に基づき,同法9条2項により3月から12月までの10か月分を月割りで算定したものと考えられる。
同年10月20日の10月分の交付では,同党の既交付額は11億6940万6000円,請求書の提出日は同年10月1日,交付額は5億8470万3000円である。
これは,交付決定額から既交付額を控除した残額の2分の1に当たる。
報道によれば,同党は同年9月9日,立憲民主党出身と公明党出身の衆議院議員がそれぞれ離党する「分派」の形式で党を分けることを決め,衆議院議員1人を残して存続し,清算手続を進めることとした(秋田魁新報電子版令和8年9月9日)。
同年9月8日の報道は,解散して複数の政党に分かれる「分割」も検討されたが,事務手続が多く煩雑で,秋の臨時国会までに新しい体制を作るのに間に合わないと判断されたと伝えている(秋田魁新報電子版同日)。
立憲民主党出身の議員は新しい政党を結成し,公明党出身の議員は公明党に戻ると報じられ(同年9月9日の秋田魁新報電子版),同年9月24日には,中道改革連合を離党した立憲民主党出身の議員20人のうち18人が民主改革の会に参加する見通しと報じられている(熊本日日新聞電子版)。
同党に残る代表1人が清算業務を進めており,総支部の閉鎖や法定監査に時間を要するとも報じられている(産経新聞令和8年10月21日)。
ここでいう清算は,同党を解散させないまま残務を整理する意味で用いられており,第3の5の解散後の清算とは異なると考えられる。
2 条文に当てはめると
中道改革連合は解散しておらず,政治団体として存続し政党の要件を満たす限り(要件については次の段落で述べる。),22条の交付の停止は適用されず,選挙が行われない限りその年分の額を算定し直す規定もない(第2の2,第3の1)。
総務省の分派の説明(第5の4)は,その年に総選挙又は通常選挙がない場合の扱いであるが,令和8年の総選挙は分派より前に行われ,選挙基準日現在の届出に基づく交付決定額が同年4月に定まっている。
実際にも,10月分は,交付決定額を基礎とする通常の計算どおりの額が交付されている(第6の1)。
同党の令和8年総選挙の得票総数は,小選挙区で約1221万票(届出政党11党の合計約5249万票),比例代表で約1044万票(同約5391万票)である(総務省の2月9日現在の届出の別紙2)。
2条1項2号の基準は有効投票の総数の2%であり,本記事では有効投票の総数そのものは確認していないが,同党の得票は届出政党の合計の約2割に当たる。
そのため,残る議員が他の政党に所属していなければ,所属国会議員が1人でも,政党助成法2条1項2号の要件を満たすと考えられる。
仮に同党が解散すれば,以後の交付金は交付されず(第3の1),解散の日までに使われなかった交付金と政党基金の残高が返還命令の対象となり得る(第3の2)。
報道によれば,同党は今年受け取る交付金を衆議院議員総選挙に伴う民間事業者への未払い費用等に充てる方針である(産経新聞令和8年10月21日)。
未払い代金の支払は,借入金の返済と異なり,「政党交付金による支出」から除かれていないから,支出に当たると考えられる(第3の3)。
同じ報道によれば,民主改革の会の幹事長は,同党が清算を終えて民主改革の会と合流すれば,来年は合流後の政党に政党交付金が入るとの見通しを示した。
政党助成法の合併の特例(23条1項)は,合併する双方が直近の届出をした政党であることを要件としている(第5の1)。
民主改革の会は,令和8年の届出をした政党にも,同年10月分の交付を受けた政党にも含まれていない(総務省の2月9日現在の届出資料,10月分の資料)。
そのため,令和8年中に新たな総選挙又は通常選挙が行われない限り,同年中の合流は,この特例の要件を満たさないと考えられる。
これに対し,両党が令和9年1月1日現在の届出をした後に合併し,所定の届出をすれば,同党の令和9年分の未交付分は存続政党等に交付され(23条1項),その後の得票数割の算定では同党の得票総数が合算され得る(24条4項)。
報道された見通しがどの時期のどの形の合流を想定しているかは,報道からは分からない。
合併の届出がされたか,令和9年分の交付額がどうなるかは,本記事の基準日までに確認した総務省の公表資料には見当たらない。
第7 あわせて確認する規律
1 政党から候補者個人への寄附
政治資金規正法21条の2は,「何人も、公職の候補者の政治活動(選挙運動を除く。)に関して寄附(金銭等によるものに限るものとし、政治団体に対するものを除く。)をしてはならない。」と定める。
令和7年10月1日施行の版までは,同条2項が「前項の規定は、政党がする寄附については、適用しない。」と定めていたが,令和8年1月1日施行の版には同項がない。
「公職の候補者」には,候補者となろうとする者と公職にある者も含まれる(同法3条4項)。
したがって,現在は,政党から公職の候補者個人への金銭等による寄附も,選挙運動に関するものを除き,同条の禁止の対象となる。
政治団体に対する寄附は,同条の対象から除かれている。
政党が総支部長等を資金面で支える場合は,寄附の相手方が個人か政治団体かを確認する必要がある。
2 比例代表選出議員の移籍
衆議院の比例代表選出議員は,選出された選挙で名簿を届け出た他の政党等に所属する者となったときは,退職者となる(国会法109条の2第1項)。
参議院の比例代表選出議員についても,同条2項が同様に定めている。
選挙の期日以後の当選人についても,公職選挙法99条の2第1項が同様に当選を失う旨を定めている。
選出された選挙で名簿を届け出ていなかった政党や,選挙の後に設立された政党に所属しても,これらの規定の対象にはならない。
自分が名簿に載っていた政党を含む合併で存続する政党に所属する場合も除かれている(国会法109条の2第1項括弧書き)。
総務省の2月9日現在の届出資料では,立憲民主党と公明党の令和8年総選挙の得票欄は,いずれも「-」とされている。
もっとも,同資料は得票総数の表であり,両党が同選挙で比例代表の名簿を届け出たかどうかは,同資料からは直接分からない。
仮に両党が名簿を届け出ていなかったとすれば,同選挙で中道改革連合の名簿から当選した比例代表選出議員が公明党に所属しても,名簿を届け出た他の政党への所属には当たらないことになる。
第8 関連記事
政党交付金と政党の破産については,法人である政党は解散前にも破産できるか―最高裁令和7年10月20日決定と政党交付金の論点(AI作成)で説明している。
政治団体の資金の承継と税金については,政治団体の資金承継と相続税―代表者交代・寄附・遺贈と個人への移転を分ける(AI作成)で説明している。
第9 出典
1 法令
政党助成法(e-Gov法令検索) 2条,4条,5条,6条,8条,9条,11条,14条,21条から25条まで,27条,33条
政党交付金の交付を受ける政党等に対する法人格の付与に関する法律(e-Gov法令検索) 10条,10条の2,10条の9,10条の10
政治資金規正法(e-Gov法令検索) 3条4項,4条5項,21条の2(令和7年10月1日施行の版と令和8年1月1日施行の版)
国会法(e-Gov法令検索) 109条の2
公職選挙法(e-Gov法令検索) 99条の2
2 裁判例
最高裁令和7年10月20日決定(令和6年(許)第17号,民集79巻7号2765頁)(裁判所ウェブサイト)
3 総務省の資料
総務省「政党助成制度のあらまし VIII 政党の解散・合併・分割等」
総務省「政党助成法に基づく政党の届出(令和8年1月1日現在)の概要」(令和8年1月19日)
総務省「政党助成法に基づく政党の届出(令和8年2月9日現在)の概要」(令和8年2月25日)
総務省「令和8年分政党交付金の交付決定」(令和8年4月8日)
総務省「令和8年分政党交付金の10月分の請求及び交付額」(令和8年10月20日)
4 報道
秋田魁新報電子版「中道、立民と公明系離党し分派へ 一部残り存続、衆院で連携維持」(令和8年9月8日)
秋田魁新報電子版「中道、分裂決定 立民系新党、公明系復党へ」(令和8年9月9日)
熊本日日新聞電子版「民主改革の会、参加議員は18人と階幹事長」(共同通信配信,令和8年9月24日)
産経新聞「民主改革、中道合流後の交付金で総支部長支援へ 階氏『批判は甘んじて受けざるを得ない』」(令和8年10月21日)