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子の監護者はどう決まるか―4つの着眼点と判断資料(AI作成)

第1 監護者指定で判断されること

子の監護者を定めるときの中心は,子の利益である。
父母のどちらが婚姻の破綻に責任を負うかという問題と,これから誰の下でどのような養育を受けることが子の利益にかなうかという問題は,分けて考える必要がある。

民法766条は,父母が離婚する場合の監護者又は監護の分掌,親子交流,費用分担等について,子の利益を最も優先して考慮するものとしている。
父母の話合いで定められない場合等には,家庭裁判所の手続が問題になる。

本記事は,令和8年10月24日を確認日として,現行法と,司法研修所編『子の監護・引渡しをめぐる紛争の審理及び判断に関する研究』(法曹会,令和6年)の整理及び裁判例を用いて,何を具体的な事実として示すかを説明する。
同書は令和8年4月1日の改正法施行前に刊行された研究であり,以下の4着眼点は裁判所を拘束する4つの法定要件ではない。

1 親権者・監護者・親権の行使方法を分ける

令和8年4月1日施行後は,離婚後に父母双方を親権者とすることも可能になった。
もっとも,双方が親権者であることと,子が双方の家で同じ期間生活することは同じではない。
監護者を定めるか,監護を分掌するか,親子交流や費用をどうするかを具体的に考える必要がある。

民法824条の3による監護者は,監護及び教育,居所の指定等の身上監護に関する権利義務を単独で行使する。
裁判所の案内も,重大な医療,転居,進路等に関する決定と,財産管理・身分行為を区別している。
親権者と監護者の呼び名だけで,全ての法律行為を一人でできると理解しないことが大切である。

第2 養育を評価する4つの着眼点

1 従前の監護状況

これまで,いつ,誰が,どのような養育を担ってきたかを整理する。
食事や送迎だけでなく,受診,園・学校との連絡,学習,生活上の困難への対応なども,実際の分担が分かるようにする。

父母の役割が時期によって変わった場合には,出産後,就職・転職後,別居前後を分ける。
福岡高裁令和元年10月29日決定は,乳児期の母の監護だけでなく,その後の父の監護,子の学校生活,母との交流等を検討した。
母の申立てを却下した決定であり,主文で父を監護者に指定した決定ではない。

2 今後の監護態勢

これからの生活を,実行できる計画として示す。
住居,通学,勤務時間,健康上の支援,親本人と補助者の分担を,平日・休日の予定に結び付ける。

祖父母等の助けがあることだけで有利・不利が決まるわけではない。
補助者が何を担当でき,その協力が続く見込みがあるか,親本人が子の状態を把握して必要な対応をできるかが,具体的な検討事項になる。
本研究は4着眼点を同じ配点の採点表とせず,将来の監護を評価する上で監護態勢の影響が大きいと整理している。

3 子との関係性

子が各親とどのような経験を重ね,困ったときに誰に頼り,現在の生活をどう受け止めているかを考える。
写真が多いことや,一度「一緒に住みたい」と言ったことだけで,関係全体を決めつけない。

福岡高裁令和元年10月29日決定は,母への思慕を示す発言と,学校・友人から離れることへの不安を併せて評価した。
子の発言を伝える際は,日時,場面,質問の仕方,その前後の事情を示し,親の希望と子の言葉を区別することが有用である。

4 他方の親と子の関係に対する姿勢

親子交流の提案と実施の経過,連絡や情報共有,子の移動の負担等を整理する。
回数の多い提案だけで適切な監護者が決まるものではない。

東京高裁平成29年1月26日判決は,年間100日程度の面会交流を提案した父と母の間で親権者指定が争われた離婚訴訟の判決である。
同判決は交流への姿勢だけでなく,従前・現在の監護,子の心情,移動の負担等も検討した。
監護者指定の審判そのものとは手続が異なる。

交流が実施されなかったときも,どのような経緯があり,子の負担や安全上の事情がどうであったかを検討する。
一度の拒否だけを取り出して監護の適否を決める説明は避ける必要がある。

第3 子の個別事情と裁判例の読み方

1 15歳になるまで希望が考慮されないわけではない

家事事件手続法65条は,適切な方法で子の意思を把握するよう努め,年齢及び発達の程度に応じてその意思を考慮するものとしている。
一定の事件で15歳以上の子の陳述を聴かなければならないという規定と,意思をどの程度重視するかという評価は別の問題である。

東京高裁令和2年2月18日決定は,長子の生活経験に基づく意向等を踏まえて長子の監護者を父,他の2子の監護者を母とした。
希望する親を言えば必ずそのとおりになる,親の影響が少しでもあれば意思を無視してよい,という一般則を示したものではない。

2 きょうだいの関係も一人ずつ検討する

きょうだいの関係を保つ利益と,それぞれの子の生活・発達・親との関係を併せて検討する。
前記令和2年決定は,各子の事情に加え,別居後も比較的近距離で頻繁に交流していたことを考慮した。

大阪高裁令和元年6月21日決定では,双生児の男児部分だけが抗告対象となり,その監護者を父とする判断がされた。
双方の子について監護者を新たに指定した事案として紹介しないこと,近隣でのきょうだい交流等の具体的事情を落とさないことが必要である。

3 不貞の責任と養育への影響を区別する

京都家裁平成29年2月17日審判は,母の不貞があっても,子の監護への具体的な悪影響等を検討した上で,仮の引渡しを認めた。
不貞があれば必ず監護者になれない,反対に全く関係しない,といういずれの説明にもならない。
行動が現実の養育,安全,子の受け止め,今後の生活にどう影響したかを示す必要がある。

4 共同監護が機能している場合と,争いが激しくなった場合

大阪家裁平成26年8月15日審判は,実際の共同監護の状況を踏まえて一方の指定を必要としなかった。
他方,名古屋高裁金沢支部平成28年4月7日決定は,父母の対立が強まった後の子の状態や今後の監護の可能性等を更に調べる必要があるとして,原審を取り消して差し戻した。

行き来しているという事実だけで結論を出さず,連絡調整が機能しているか,子に負担が生じていないか,今後も維持できるかを確かめる。
後者は最終的な監護者を決めた決定ではない。

第4 主張と資料を整理するときの手順

まず,別居前後から現在までの重要な出来事を時系列でまとめる。
次に,現在の生活と,希望する監護が実現した後の生活を分け,各項目の裏付けとなる資料を対応させる。
日付,作成者,直接確認した範囲が分かると,事実と評価を区別しやすい。

自分の説明と合わない資料も確認し,時期や場面の違いで説明できるのか,説明自体を訂正する必要があるのかを整理する。
大量の写真やメッセージを提出すれば足りるということではない。
提出書式,期限,部数,住所等の保護については,担当裁判所の案内に従う。

調査に向けた準備は家庭裁判所調査官の面接・家庭訪問,調査結果と意見の読み分けは家庭裁判所調査官とはを参照されたい。

監護者の本案判断と,本案の確定を待たずに仮の引渡し等を求める保全処分は,判断の対象が異なる。
急いで対応する必要がある場合は,子の引渡しの保全処分で,今の生活を変える必要性と裏付け資料を確認されたい。

第5 出典

1 民法766条,824条の2,824条の3,家事事件手続法65条・152条。
e-Gov法令検索。

https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089

https://laws.e-gov.go.jp/law/423AC0000000052

2 裁判所「子の監護者の指定調停」「離婚と子どもをめぐる新しいルールについて」。

https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_kazi/kazi_07_21/index.html

https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_kazi/kazi_kaisei/index.html

3 司法研修所編『子の監護・引渡しをめぐる紛争の審理及び判断に関する研究』(法曹会,令和6年)本文42~64頁,89~106頁。
4着眼点は同研究の提案であり,上記の資料整理例には本記事の説明を加えている。

4 判例秘書掲載判文:福岡高裁令和元年10月29日決定(平成31年(ラ)第97号,判例秘書の判例番号 L07420633),東京高裁平成29年1月26日判決(平成28年(ネ)第2453号,判例秘書の判例番号 L07220076),東京高裁令和2年2月18日決定(令和元年(ラ)第2151号・第2153号,判例秘書の判例番号 L07520327),大阪高裁令和元年6月21日決定(平成31年(ラ)第242号,判例秘書の判例番号 L07420553),京都家裁平成29年2月17日審判(平成28年(家ロ)第78号,判例秘書の判例番号 L07260003),大阪家裁平成26年8月15日審判(平成25年(家)第7620号・第7621号,判例秘書の判例番号 L06960031),名古屋高裁金沢支部平成28年4月7日決定(平成28年(ラ)第20号,判例秘書の判例番号 L07120349)。
いずれも個別事案の判断として参照している。