メインコンテンツへスキップ
       

交通事故で保険会社から届く同意書―医療照会,資料提供及び一括払委任の確認事項(AI作成)

第1 同意書は表題だけで判断しない

交通事故の後に届く「同意書」は,診断書等の取付け,医療機関への照会,保険会社間での資料提供など,何を認める書類なのかを本文で確認する必要がある。
保険金請求書の一部に同意事項や委任事項が組み込まれている場合もあるため,署名欄だけを見て判断しない。

同意書を提出すれば必ず不利益になるという説明も,同意書なら内容を読まずに提出してよいという説明も適切ではない。
必要な資料が保険会社に伝わることは,事故と治療との関係や症状を確認し,支払手続を進めるためにも役立つ。
一方,誰に,どの情報を,何のために提供するかは確認しておくべき事項である。

三井住友海上の案内は,診断書や診療報酬明細書等を同社が医療機関から直接取り付けるための書類として,同意書を説明している。
出典:https://www.ms-ins.com/contractor/emergency/car/documents/consent.html

第2 医療照会・資料取得の範囲を確認する

1 公開されている同意書の記入例を読む

三井住友海上の公開記入例では,事故日,受傷者及び医療機関を特定した上で,保険金支払を目的とする医療情報の取得・利用について同意する構成になっている。
対象情報には,診断書・診療報酬明細書,症状や既往症等についての所見,画像等の検査資料が挙げられている。
また,所定の場合の自賠責保険会社等への提供と,当該事故の保険金支払完了後の失効に関する記載もある。

これは公開記入例の内容であり,すべての保険会社の書類が同じ範囲・同じ有効期間であることを意味しない。
自分に届いた書類の裏面,注記及び別紙も確認する。
原資料:https://www.ms-ins.com/pdf/contractor/emergency/car/documents/consent01.pdf(1頁)

2 情報の時期と内容を具体的にする

個人情報保護委員会の医療・介護関係のQ&Aは,保険会社が取得した同意書を提示した場合でも,医療機関が情報提供を行う際には,本人の現在の意思を確認する考え方を示している。
その際の説明事項として,情報の対象時期や内容,提供形態等が示されている。
出典:https://www.ppc.go.jp/all_faq_index/faq3-qb4-6/(Q4-6)

書面の内容が分からないときは,「今回の事故について,どの医療機関の,いつの時期の,どの資料が必要なのか」と具体的に尋ねるとよい。
事故前の資料や既往症についての照会がある場合も,必要な理由と範囲を確認する。
事故前の情報であることだけから常に不要と決めつけることも,無関係な資料まで一律に必要と決めつけることも避ける。

このQ&Aは医療機関による情報提供の取扱いを説明したものであり,患者が任意に書き換えた条件を保険会社が必ず受け入れることや,同意しなくても治療費の直接支払が継続することを保証するものではない。

第3 資料提供の同意と請求・受領の委任を分ける

1 保険会社間の資料共有

相手方の任意保険会社と自分の人身傷害保険会社が別である場合などには,一方が保有する診断書,支払資料等を他方へ提供することについて,同意を求められる場合がある。
提供元と提供先,対象となる事故,資料の種類及び利用目的を確認する。
自分がまだ把握していない支払結果を資料だけで済ませず,支払内訳も自分の手元に確保しておくと確認しやすい。

資料を共有することへの同意と,請求権を譲渡すること,金銭を受領する権限を与えること,示談内容を確定することは,それぞれ確認すべき内容が異なる。
同じ書面に書かれている場合は,同意事項の範囲だけでなく,委任・譲渡・清算に関する条項の有無も読む。

2 一括払と自賠責保険への請求

国土交通省は,一括払を,任意保険会社等が自賠責保険金等を含めて支払い,後に自賠責保険会社等へ請求する制度として説明している。
出典:https://www.mlit.go.jp/jidosha/jibaiseki/faq/index.html(請求に関するQ9)

書類に自賠責保険金等の請求・受領に関する委任があるときは,誰が,どの保険契約について,どの範囲の手続をするのかを確認する。
医療情報を照会する権限と,保険金を請求・受領する権限を同じものと考えてはならない。
自分でも請求手続を進めているときは,手続の重複を避けるため,その状況も担当者へ伝える。

3 最高裁令和4年3月24日判決の射程

最高裁令和4年3月24日判決・令和2年(受)第1198号は,人身傷害保険金を支払った保険会社による自賠責保険金の回収について,保険代位の範囲を超えた回収額まで当然に被害者側の損害から控除できるとはしなかった。
請求書面にある権限の表示だけでなく,保険代位によって取得した権利の範囲等が問題となった事案である。
判決原文:https://www.courts.go.jp/assets/hanrei/hanrei-pdf-91048.pdf(PDF実頁3頁,5~7頁)

この判決は,同意書や委任条項をすべて無効とするものでも,内容を問わず署名してよいとするものでもない。
人身傷害保険の約款,実際の支払及び自賠責回収の内訳を踏まえた検討が必要である。
詳しくは,人身傷害保険の補償範囲と請求順序を参照されたい。

第4 署名前に確認する事項

確認する欄具体的に確認する内容
事故と本人対象事故,受傷者,署名する人と本人との関係が正しいか
提供元・提供先どの医療機関・保険会社から,誰へ資料が渡るか
情報と目的診断書,画像,既往症等のどの情報を,何の確認に使うか
時期・効力情報の対象時期,有効期間や失効に関する条項があるか
委任等の条項請求,受領,譲渡,示談又は清算について別の条項がないか
控えと説明署名した完成版と,範囲についての回答を保存したか

疑問のある部分は,署名前に担当者へ説明を求める。
必要に応じて,照会先や対象資料を具体化できるか,別の資料提出で確認できるか,どの手続に影響するかを尋ね,回答を記録する。
書面を一方的に訂正すれば希望どおりの効力になると考えず,訂正方法と受理の可否も確認する。

第5 提出を迷うときの費用と資料の確保

同意しない場合に何が止まるのかを確認しないまま,治療費の支払方法を放置しない。
医療機関への直接支払が行われるのか,自分が立て替えるのか,既に発行された請求書をどう扱うのかを,医療機関と保険会社の双方に確認する。
健康保険の利用を検討する場合は,交通事故でも健康保険は使えるも参照されたい。

届いた書類の全頁,提出した完成版の控え,保険会社からの説明,支払通知及び受領記録を保管する。
説明を受けても委任・譲渡・清算の範囲が分からない場合や,既に別の保険会社との精算が進んでいる場合には,書類一式を示して弁護士等に確認することが考えられる。