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司法研修所の教官名簿・教官組別表の情報公開―記載項目の変更と不開示資料(AI作成)

第1 教官名簿と教官組別表の不開示をどう読むか

司法研修所の教官名簿については,生年月日及び出身大学が掲載された過去の版と,これらの欄がない版がある。
また,第74期,第75期及び第78期の「教官組別表」を対象とした司法行政文書不開示通知書には,対象文書を作成又は取得していないと記載されている。
これは,保有する文書の個人情報を黒塗りにして開示しない場合とは理由が異なる。

本記事は,開示された名簿の原表及び個別の通知書を比較し,そこから確認できる事実と,確認できないことを説明するものである。
各時点の名簿を探す場合は司法研修所の教官名簿の原資料索引を,期別の担当教官を探す場合は教官組別表・教官担当表の原資料索引を参照されたい。

第2 教官名簿の記載項目はどう変わったか

1 平成28年8月1日版と同年10月24日版の比較

平成28年8月1日現在の教官名簿及び所付名簿(1頁)には,部科別,氏名,出身学校・生年月日,任命年月日及び期別の欄がある。
出身学校・生年月日の欄に記載のない人もいるため,欄があることと全員分の情報が記載されていることとは区別する必要がある。

これに対し,平成28年10月24日及び平成29年2月1日現在の名簿(PDF2頁~3頁)では,部科別,氏名,任命年月日及び期別の欄となり,出身学校・生年月日の欄自体がない。
平成29年3月14日付の開示通知書(同PDF1頁)は,この2種類の名簿をそれぞれ片面1枚として開示したことを示している。

したがって,この比較から確認できるのは,平成28年8月1日版と同年10月24日版との間で,開示された名簿の様式が変わっていることである。
様式変更を決めた正確な日,決裁文書,変更理由までは,この3枚の資料だけでは確定できない。

2 平成29年10月10日付不開示通知書の対象と理由

平成29年10月10日付司法行政文書不開示通知書(最高裁秘書第4166号,1頁)の対象は,平成29年2月2日から同年6月30日までの日付を基準日とする教官名簿のうち,生年月日及び出身大学の記載があるものである。
同通知書は,その文書を作成又は取得していないことを不開示理由としている。

対象期間と記載内容を指定した申出への回答であり,「教官の氏名を含む名簿はすべて不開示である」としたものではない。
また,個人情報を理由に生年月日・大学の記載部分を不開示にした判断や,その取扱いを一般的に定めた判断として引用することもできない。

3 令和8年4月17日現在の名簿を見る際の注意

令和8年4月17日現在の教官名簿及び所付名簿(1頁)も,部科別,氏名,任命年月日及び期別を掲げている。
この名簿は同日現在の配置を確認する資料であり,後日の異動を反映した現在の全教官の一覧と同じではない。
また,任命年月日は,生年月日,裁判官・検察官として最初に採用された日又は弁護士登録日と混同しないようにする必要がある。

第3 教官組別表と教官担当表を区別する

1 第74期,第75期及び第78期の不開示通知書

次の通知書は,いずれも各期の「教官組別表」を対象とし,理由欄でその文書を作成又は取得していないと説明している。

対象通知日・文書番号原資料
第78期教官組別表令和7年4月4日・最高裁秘書第1146号不開示通知書1頁
第75期教官組別表令和3年12月1日・最高裁秘書第3693号不開示通知書1頁
第74期教官組別表令和3年3月30日・最高裁秘書第954号不開示通知書1頁

これらは各申出に対応する個別の判断である。
この3件だけから,第74期以降のすべての期について同じ文書が存在しないことや,担当教官の情報を一切確認できないことまではいえない。

2 同じ期の教官担当表を確認する

教官組別表・教官担当表の原資料索引には,第74期,第75期及び第78期を含む教官担当表の各版を掲載している。
教官組別表の不開示通知書と,別名称の教官担当表とは,文書名と記載内容を区別して読む必要がある。

教官名簿は一定の日の教官の配置を調べる資料であり,教官担当表は特定の期・班・組と各科目の担当教官の対応を調べる資料である。
同じ人が掲載されていても,資料の目的,基準日及び適用する修習段階が異なるため,一方を他方の代わりとして無条件に使うことはできない。

第4 資料を調べる際の確認順序

①文書名と申出の条件を確認する。教官名簿,生年月日・大学付きの名簿,教官組別表及び教官担当表を区別する。
②名簿の基準日,担当表の作成日又は適用日,導入修習・集合修習の別,A班・B班の別を確認する。
③開示・不開示の理由欄を読む。文書を作成又は取得していないという回答と,保有文書の全部又は一部を開示しない判断を混同しない。
④通知書の日付と対象文書の日付を分ける。後日に開示された資料であっても,資料の基準日が最新になるわけではない。
⑤答申があるときは,申出人の主張,最高裁判所事務総長の説明及び委員会の判断を分けて確認する。

例えば,令和2年度(最情)答申第1号及び同第2号の冒頭にある「法律事務所等の内定を得ておくことが有益であるとの指導が分かる文書」という記載は,開示申出文書の特定である。
指導が実際に行われているという委員会の認定ではなく,両答申は,そのような指導はしていないとの説明を踏まえ,該当文書を保有していないと認めている(第1号1頁~3頁,第2号1頁~3頁)。
教官の役割及び任官との関係は,司法研修所教官の制度を説明した記事で取り扱っている。

第5 関連記事と出典

1 山中弁護士ブログの関連記事

①司法研修所の教官名簿―基準日別の原資料と名簿の見方。名簿を基準日別に探すための索引である。
②司法研修所の教官組別表・教官担当表。期別・版別の原資料を掲載している。
③司法研修所の教官担当一覧―クラス別・科目別一覧。掲載対象版の担当教官を文字と表で確認できる。
④実務修習地とクラスの対応関係。修習地と班・組の対応を調べる記事である。

2 比較に用いた原資料

①司法研修所「教官名簿・所付名簿」(平成28年8月1日現在,1頁)。第2の1に原資料へのリンクを掲げている。
②平成29年3月14日付司法行政文書開示通知書及び教官名簿・所付名簿(平成28年10月24日及び平成29年2月1日現在,PDF1頁~3頁)。第2の1にリンクを掲げている。
③平成29年10月10日付司法行政文書不開示通知書(最高裁秘書第4166号,1頁)。第2の2にリンクを掲げている。
④司法研修所「教官名簿・所付名簿」(令和8年4月17日現在,1頁)。第2の3にリンクを掲げている。
⑤第74期,第75期及び第78期の教官組別表に関する不開示通知書(各1頁)。第3の1の表にリンクを掲げている。
⑥情報公開・個人情報保護審査委員会「令和2年度(最情)答申第1号」及び同第2号(各3頁)。第4に最高裁判所公表版へのリンクを掲げている。

本記事で比較した資料は,それぞれの基準日又は通知・答申時点の状況を示すものである。
個別の不開示通知を,現在の名簿全般についての一律の非公開方針として扱わないことが必要である。