第1 遺産分割・遺留分侵害額請求・遺言無効確認など
金額はすべて消費税込みであり、基準日は2026年9月12日です。
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遺産分割、遺留分侵害額請求、遺言の無効確認など、相続人間などに争いのある相続事件は、以下の基準によります。
1 経済的利益の考え方
2の着手金及び3の成功報酬金を、それぞれ基本着手金及び基本成功報酬金とします。
基本着手金は、依頼の対象として現実に請求し、又は請求されている額を基礎として算定します。
基本成功報酬金は、現実に取得し、又は支払・財産の移転を免れることができた額を基礎として算定します。
これらの基本額に、4の複雑な争点に関する加算及び5の手続移行に関する加算が生じる場合があります。
具体的な経済的利益の算定方法は、以下の事件類型別の基準によります。
① 遺産分割の場合、基本着手金は取得を見込む相続分などの額を基礎とし、基本成功報酬金は現実に取得した相続分などの額を基礎とします。
② 遺留分侵害額を請求する場合、基本着手金は相手方に請求する遺留分侵害額を基礎とし、基本成功報酬金は現実に獲得した額を基礎とします。
③ 遺留分侵害額を請求された場合、原則として、基本着手金は相手方からの請求額を基礎とし、基本成功報酬金は相手方の請求額から現実に支払うこととなった額を差し引いた減額分を基礎とします。
ただし、相手方からの請求額のうち、明らかに理由がない部分を除いた金額とすることもあります。
④ 遺言の無効確認の場合、基本着手金及び基本成功報酬金は、遺言が無効となった場合に取得する額と、遺言が有効なままの場合に取得する額との差額を基礎とします。
遺言の有効を主張する場合も同じです。
遺留分減殺に基づく持分移転登記請求など、金銭以外の権利が対象となる事件にも、本基準を適用します。
不動産等については、原則として、請求又は防御の対象となる権利・持分の時価相当額を基礎とし、評価資料、評価方法及び評価の基準日は、委任契約書等で定めます。
訴訟物の価額や固定資産税評価額を、当然に弁護士費用の算定上の経済的利益とするものではありません。
訴訟物の価額と経済的利益の違いは、「遺留分減殺請求の訴額の算定―不動産の持分移転登記請求,土地の2分の1,建物,訴額と価額弁償額・弁護士費用の違い(AI作成)」で説明しています。
遺留分減殺に基づく持分移転登記を請求された事件の成功報酬金は、和解で解決した場合と判決で終了した場合とを分けて、3のとおり定めます。
固定資産税評価額から時価相当額を推計する場合、宅地は地価公示価格等の7割を目途に評価されていることから10分の7で割り戻すことがありますが、建物や農地には当てはまらないため、査定書等の資料によります。
訴訟外の請求や争いも、依頼の対象として具体的に定めた範囲で算定対象に含めます。
遺産総額や争点となる財産の価額全額を、一律に算定対象とするものではありません。
算定対象額が確定していない場合は、資料に基づく暫定額及びその見直し条件を、あらかじめ依頼者に説明して定めます。
例えば、着手金は受任時の資料による暫定額で確定させてその後の評価替えや鑑定の結果では変更せず、成功報酬金は事件の終了時の資料で算定する、といった定め方があります。
2 着手金
基本着手金は、経済的利益の額に応じて、次のとおりとします。
- 3000万円以下の場合 経済的利益の3.3パーセント(最低33万円)
- 3000万円を超え3億円以下の場合 経済的利益の2.2パーセントに33万円を加えた額
- 3億円を超える場合 経済的利益の1.1パーセントに363万円を加えた額
遺留分侵害額を請求された事件の基本着手金は、220万円を上限とします。
この上限には、4の複雑な争点に関する加算及び金融機関照会の加算並びに5の手続移行に関する加算を含みません。
* 「分割の対象となる財産の範囲及び相続分について争いのない部分」がある場合であっても、具体的にどの部分がこれに該当するかが必ずしも明らかではないため、着手金の計算方法で考慮するにとどめます。
3 成功報酬金
基本成功報酬金は、経済的利益の額に応じて、次のとおりとします。
- 300万円以下の場合 経済的利益の17.6パーセント又は33万円のいずれか多い額(ただし,経済的利益が33万円以下の場合,経済的利益と同額とします。)
- 300万円を超え3000万円以下の場合 経済的利益の11パーセントに19万8000円を加えた額
- 3000万円を超え3億円以下の場合 経済的利益の6.6パーセントに151万8000円を加えた額
- 3億円を超える場合 経済的利益の4.4パーセントに811万8000円を加えた額
* 「分割の対象となる財産の範囲及び相続分について争いのない部分」がある場合であっても、具体的にどの部分がこれに該当するかが必ずしも明らかではないため、成功報酬金の計算方法で考慮するにとどめます。
遺留分減殺に基づく持分移転登記を請求された事件では、和解で解決した場合と判決で終了した場合とで、成功報酬金の定め方を分けています。
和解の場合は、判決の場合と異なり、その後の共有物分割のための時間と費用が不要になるという大きなメリットがありますから、和解できたこと自体が大きな成功といえます。
また、弁護士費用を含めた支払額に納得できない場合は、判決を求めればよいのであって、和解を強制されることはありません。
そのため、和解できた場合の成功報酬金は、和解の内容に応じた定額とし、委任契約書で定めます。
逆に言えば、判決は和解よりもメリットが小さいため、判決で終了した場合の成功報酬金は、上記の計算式よりも控えめな計算方法とし、委任契約書で定めます。
判決の場合の計算の基礎は、移転を免れた持分の時価相当額とし、価額弁償によって持分の移転を免れたときは、その時価相当額から支払うこととなった弁償金の額を差し引いた額とします。
4 複雑な争点がある場合の加算
次のような争点について調査、主張又は立証を行う場合は、基本着手金及び基本成功報酬金に、以下の加算を行います。
① 使途不明金
② 特別受益
③ 寄与分
④ 遺産の範囲・該当性
加算対象となる争点、その経済的利益及び算定方法は、当該争点についての対応を開始する前に説明し、委任契約書又は追加の合意書に明記します。
着手金には、当該争点について現実に争われている経済的利益の2.2パーセント又は22万円のいずれか多い額を加算します。
成功報酬金には、当該争点について現実に取得又は防御できた経済的利益の5.5パーセント又は22万円のいずれか多い額を加算します。
一部の取得又は防御にとどまった場合、成功報酬金の加算は、その取得又は防御できた部分を基礎として算定します。
当該争点について取得又は防御できた経済的利益がない場合、その争点についての成功報酬金の加算は行いません。
この加算を行う場合で、事件全体で現実に取得又は防御できた経済的利益が55万円以下であるときは、加算を含む成功報酬金の合計額を、その経済的利益と同額とします。
複数の争点がある場合は、重複する経済的利益を除いた合計額を基礎として加算額を算定します。
加算の最低額である22万円及び33万円は、同一事件についてそれぞれ1回適用し、争点の数に応じて重ねて適用しません。
受任後に加算対象の争点又はその対象額が増えた場合は、加算額を再計算し、既に支払われた当該加算額を控除した差額を追加着手金とします。
使途不明金について照会を要する金融機関が5社を超える場合は、超過する1社につき3万3000円を着手金に加算します。
5 交渉・調停・審判・訴訟への移行
交渉から調停までは、同一の着手金の範囲内で対応し、手続の移行だけを理由とする追加着手金は生じません。
同一事件を引き続き受任して審判又は訴訟へ移行し、又は上訴審を受任する場合は、基本着手金と4の争点加算着手金の合計額の4分の1を追加します。
ただし、専ら相手方の申立てによる場合は、8分の1とします。
金融機関照会の加算及び既に生じた手続移行の加算は、この計算の基礎に含めません。
審判、訴訟又は上訴審の段階から初めて当職が受任する場合は、その段階の着手金を算定し、それ以前の手続が行われていたことだけを理由とする移行加算は行いません。
請求の拡張又は新たな争点の追加による費用の変更は、手続移行の加算と区別して説明します。
6 委任契約及び費用の共通事項
具体的な費用については、受任する事務の範囲、経済的利益、基本額、加算額、支払時期及び中途終了時の精算方法を説明し、委任契約書等で定めます。
複数の依頼者から受任する場合は、経済的利益を合算する範囲及び依頼者間の費用負担も定めます。
複数の依頼者の間で利害の対立が生じるおそれがある場合は、受任に当たり、辞任の可能性その他の不利益を及ぼすおそれがあることを、依頼者それぞれにご説明します(弁護士職務基本規程32条)。
遺留分減殺請求を受けたご家族から受任する場合の注意点は、「遺留分減殺請求を受けた親子・夫婦を一人の弁護士が代理できるか―減殺の順序,受贈者自身の遺留分,利益相反の説明(AI作成)」で説明しています。
事件全体について現実に取得又は防御できた経済的利益がない場合は、基本成功報酬金及び成功報酬金の加算は生じません。
ただし、3のとおり和解で解決した場合の成功報酬金を定額とする合意をしたときは、その定めによります。
和解で解決した場合の定額の成功報酬金は、財産の移転や価額弁償金の支払の有無等の和解の内容に応じて定め、本基準により計算した参考額との違いをご説明した上で、委任契約書に定めます。
本ページの改訂だけを理由として、既に締結した委任契約の費用を変更することはありません。
第2 遺言・相続放棄・遺言執行などのメニュー
1 作業の範囲がはっきりしている手続については、次のとおりの費用基準で承ります。
- 相続人・相続財産の初期調査パック(法定相続情報一覧図の作成及び戸籍類の取り寄せ並びに手元の通帳類の分析を含みますが,金融機関の取引履歴の取得は含みません。) 16万5000円(ご依頼に至った場合は着手金に充当します)
- 遺産分割協議書の作成のみ(交渉を伴わないもの) 11万円から
- 公正証書遺言の作成支援(証人・段取りを含む) 16万5000円から(複雑な内容や予備的条項がある場合は加算します。目安の上限は33万円です)
- 相続放棄(1名) 熟慮期間内は3万3000円から、期間経過後は5万5000円から(2人目以降は1名あたり2万2000円から)
遺言執行者、又は遺言執行者の代理人の手数料は、遺産額に応じて、次のとおりとします。
- 3000万円以下の場合 遺産額の1.65パーセント(最低33万円)
- 3000万円を超え3億円以下の場合 遺産額の1.1パーセントに16万5000円を加えた額
- 3億円を超える場合 遺産額の0.55パーセントに181万5000円を加えた額
遺産額は、相続債務を控除する「前の」額とします。解約又は名義変更を要する金融機関が5社を超える場合は、1社につき3万3000円を加算します。
* 弁護士が遺言執行者に就任すると、その後に特定の相続人の代理人となることについて、利益相反や職務の中立性の問題が生じ得ます(「遺言執行者が特定の相続人の代理人をしたことに関する,弁護士会の懲戒例(AIリライト)」参照)。
当職は、この問題を避けるため、遺言者の家族からのご依頼であった場合、遺言執行者にはご家族等をご指定いただき、当職がその代理人として遺言執行の実務を行うことを前提としています(民法1016条1項)。この場合、遺言書に、遺言執行者が第三者にその任務を行わせることを禁ずる定めがないことが前提となります(民法1016条1項ただし書)。当職が遺言書の作成を支援する場合には、念のためその旨を明記しています。
なお、令和元年7月1日より前に作成された遺言については改正前の民法が適用され、やむを得ない事由がなければ復任することができませんので(平成30年法律第72号附則8条3項)、遺言書の作り直しをご提案することがあります。
第3 特定の相続人の遺産整理の補助業務
1 AIが分析するところの所要見込み時間に1時間当たり1万6500円を乗じた金額を目安とし、対象となる遺産の金額を加味した上で定めますが、最低額は33万円(税込み)です。
この金額は、受任時に業務を洗い出して事前に定めるものであり、実際に要した時間に応じて精算する時間制報酬(タイムチャージ)ではありません。
2 1人又は2人以上の相続人の依頼に基づき,例えば,以下の業務を行います。
① 法定相続一覧図の作成
② 死亡後の入出金の仕分け
③ 公正証書遺言の検索(必要があれば)
④ 金融機関の取引履歴の取得その他金融機関とのやり取り
⑤ 証券会社の取引履歴の取得その他証券会社とのやり取り
⑥ 生命保険・損害保険の調査
・ 生命保険契約紹介制度による未発見の契約の探索も行います。
・ 保険金請求自体はご自身でされた方が早いです。
⑦ 金融機関の取引履歴に基づく使途不明金その他の入出金の分析
⑧ 特定の使途不明金の振込先を裏付けるための振込記録の取得
・ 弁護士会照会の利用が必要となります。
⑨ 財産目録の作成
⑩ その他遺産に関して合理的に必要と判断される業務
3 対立する可能性が高い相続人間の調整業務は行っていません。
第4 法律相談料・実費・日当・尋問期日の追加手数料
1 法律相談料
(1) 初回の法律相談は、30分ごとに3000円(税込み)です。
(2) 20分以上の電話相談後に面談相談となった場合、電話相談の時間も加味して面談相談における法律相談料をいただきます。
(3) 複雑困難な案件のため、私の方で面談時間外における資料調査等が必要になった場合,資料調査等に要した時間についても法律相談料をいただきます。
(4) 2回目以降の法律相談は、30分ごとに6000円(税込み)ですし、資料調査等に要した時間を加算することがあります。
(5) 初回の法律相談直後に事件依頼を決められた場合を除き、着手金とは別に法律相談料をいただきます。
(6) 相談終了時間が午後6時以降となった場合、時間外手数料として6000円をいただきます。
2 実費
収入印紙、郵便切手、戸籍等の交付手数料、交通費などの実費は、実際にかかった額をご負担いただきます。
3 日当
- 大阪市外への出張、大阪家庭裁判所の期日への出頭、ご依頼者や事件関係者の自宅・事務所その他の現地を訪問する場合 3万3000円
- 日帰りを前提として、拘束時間(事務所を出てから戻るまで)が4時間を超える場合、又は大阪高等裁判所の管轄外への出張などの場合 5万5000円
- 宿泊を伴う出張の場合 8万8000円
4 尋問期日の追加手数料
遺言無効確認請求訴訟等で必要となる尋問期日につき、当事者又は証人1人当たり11万円をいただきます。