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地方裁判所支部・家庭裁判所支部の全国一覧と取扱事件(AIリライト)

第1 地家裁支部の位置付け

地方裁判所及び家庭裁判所には,それぞれ全国203庁の支部がある。本記事では,全国一覧と事件別の取扱い,裁判官等の配置,家裁出張所の役割を整理する。
本庁・支部・出張所の基本的な違いと提出先の調べ方は,裁判所支部とはで説明している。回付・移送,統廃合史及び地域司法アクセスは,各項目の要点と詳説へのリンクを参照されたい。

1 支部の設置根拠及び沿革

裁判所法31条1項は,最高裁判所が地方裁判所の事務の一部を取り扱わせるためその管轄区域内に地方裁判所の支部又は出張所を設けることができると定め,同条2項は,最高裁判所が地方裁判所の支部に勤務する裁判官を定めると規定している。これを受けて制定されたのが地方裁判所及び家庭裁判所支部設置規則(昭和22年12月20日最高裁判所規則第14号。以下「地家裁支部設置規則」という。)であり,同規則1条1項が地方裁判所の支部を,同規則2条1項が家庭裁判所の支部を,それぞれ別表の所在地欄の地に設けるものとしている。同規則は,制定後,支部の新設・廃止や管轄区域の変更のたびに改正を重ねており,直近の改正は平成21年1月16日最高裁判所規則第1号である。

地方裁判所の支部は,裁判所法施行の際,経過的に裁判所法施行令7条によって当時設置されていた各区裁判所の所在地に設けられたものとされ,地家裁支部設置規則も原則としてこの状態を引き継いだ。同規則の附則には,施行の際に裁判所法施行令7条の規定により設けたものとされた地方裁判所の支部(旧支部)の取扱いが定められており,家庭裁判所の支部も原則として地方裁判所の支部と同一の地に設けられることとなった。臨時司法制度調査会意見書(昭和39年8月)第八章も,支部の配置がこのような経緯によるものであることを前提として議論を組み立てている。

なお,支部勤務発令は最高裁判所裁判官会議の決議事項であり,この点は最高裁判所事務総局の文書である「裁判所の人事行政事務の実情について」第1の1(1)ウに記載がある。

2 支部は外部に対して本庁と一体である

最高裁昭和44年3月25日第三小法廷決定は,地方裁判所の支部は原則として独立の司法行政権を持たず,外部に対して本庁と一体をなし,支部の権限・管轄区域は内部の事務分配の基準であると判断した。これは回付に対する訴訟法上の不服申立ての可否についての判断であり,地域の司法アクセスを充実させる政策的必要性を否定するものではない。

3 本庁と支部との間の回付

同決定によれば,同じ地方裁判所の本庁と支部間又は支部相互間の事件回付は,訴訟法上の手続ではなく,回付の措置に対して訴訟法に準拠する不服申立てをすることはできない。
これに対し,民事訴訟法上の移送決定等には,同法21条により即時抗告が認められる。両者の違いは,裁判所の本庁と支部の回付―移送との違い・合意管轄条項・不服申立てで詳しく説明している。

4 合意管轄条項と本庁・支部の関係

管轄合意によって裁判所を定めることと,同じ裁判所内部で本庁・支部のどちらが事件を取り扱うかは,区別する必要がある。「東京地方裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所とする」という条項だけで,本庁での審理が確保されるわけではない。

東京弁護士会「LIBRA2013年8月号」の東京地裁交通部の説明には,本庁で審理する必要性を記した上申書を求める取扱いがある。ただし,平成25年の当該部の公表資料であり,全国・全事件類型に共通する現在の方法として断定できない。合意管轄条項と本庁・支部の関係及び上申書の説明を参照し,担当部の現在の取扱いを確認されたい。

5 支部の司法行政組織

地家裁支部に勤務する裁判官が1人のときはその裁判官が支部長となり,2人以上のときは最高裁判所がそのうちの1人に支部長を命ずる(下級裁判所事務処理規則3条1項)。支部には庶務課が設置され(同規則24条2項),庶務課長の上司は本庁の事務局長となる(同規則24条8項参照)。支部が独立の司法行政権を与えられていないという前記決定の説示は,この組織構造にも表れている。

第2 地家裁支部の権限

1 上訴事件及び行政事件訴訟

地家裁支部設置規則1条2項は,「地方裁判所の支部においては,上訴事件及び行政事件訴訟に係る事件に関する事務を除いて,地方裁判所の権限に属する事務を取り扱う。」と定めている。したがって,簡易裁判所の判決に対する控訴事件(レ号事件)及び簡易裁判所の決定・命令に対する抗告事件は支部では取り扱えず,行政事件訴訟に係る事件も同様である。レ号事件及び簡裁の決定・命令に対する抗告事件は必ず合議事件となり(裁判所法26条2項3号),行政事件訴訟も通常は合議体で審理されることを踏まえると,この規定は合議体を構成できる庁に上訴審機能を集約する趣旨と理解できる。

これに対し,家庭裁判所の支部については,地家裁支部設置規則2条2項が「家庭裁判所の支部においては,家庭裁判所の権限に属する事務を取り扱う。」と定めるだけで,地方裁判所の支部のような除外規定は置かれていない。

2 合議事件の取扱い

平成元年12月28日最高裁判所規則第5号による改正後の地家裁支部設置規則1条及び2条が平成2年4月1日に施行された結果,権限甲号の支部(合議事件取扱支部)と権限乙号の支部(合議事件非取扱支部)という区別は廃止された。他方,同改正により追加された同規則3条1項は,地方裁判所が当該地方裁判所の支部において取り扱う事務の一部を当該地方裁判所において取り扱い,又は当該地方裁判所の他の支部に取り扱わせることができると定め,同条2項がこれを家庭裁判所に準用している。旧乙号支部の合議事件に関する事務を本庁又は旧甲号支部に引き続き取り扱わせることが可能となったのは,この規定によるものである。

そのため,ある支部が合議事件を取り扱うかどうかは,現在では各地家裁の裁判官会議の決議に基づく事務分配によって決まる。この点について,42期の村田斉志最高裁判所事務総局総務局長は,平成31年4月18日の参議院法務委員会において,全国の地家裁支部203庁のうち合議事件を扱わない支部は140庁であると答弁した。裁判所データブック2026によれば,令和8年時点でも合議事件を取り扱う支部は地方裁判所・家庭裁判所ともに63庁であり,この状況は変わっていない。

合議体を構成できる人数の裁判官が常駐していない支部でも,他庁からの出張によって合議事件を取り扱っている例がある。前記村田総務局長は,令和元年11月21日の参議院法務委員会において,那覇地方裁判所の平良支部及び石垣支部について,常駐の裁判官は1名であるが本庁又は他の支部から裁判官が2名出張して合議事件を取り扱っていると答弁している。

3 裁判員裁判取扱支部

裁判員裁判対象事件を取り扱う支部は,次の10支部である(裁判所データブック2026第1部「裁判所の組織」の凡例)。これ以外の支部では裁判員裁判対象事件を取り扱わない。

  • 東京高裁管内 東京地方裁判所立川支部,横浜地方裁判所小田原支部,静岡地方裁判所沼津支部,静岡地方裁判所浜松支部,長野地方裁判所松本支部
  • 大阪高裁管内 大阪地方裁判所堺支部,神戸地方裁判所姫路支部
  • 名古屋高裁管内 名古屋地方裁判所岡崎支部
  • 仙台高裁管内 福島地方裁判所郡山支部
  • 福岡高裁管内 福岡地方裁判所小倉支部

取扱支部は,その支部の管轄区域の事件だけを扱うわけではない。例えば大阪地方裁判所堺支部は,堺支部管轄区域及び岸和田支部管轄区域の裁判員裁判対象事件を取り扱っている。

4 労働審判取扱支部

労働審判事件を取り扱う支部は,東京地方裁判所立川支部,静岡地方裁判所浜松支部,長野地方裁判所松本支部,広島地方裁判所福山支部及び福岡地方裁判所小倉支部の5支部である(裁判所HPの労働審判手続)。立川支部及び小倉支部が先行して取扱いを開始し,浜松支部,松本支部及び福山支部が平成29年4月から取扱いを開始したもので,その後,令和8年7月時点まで取扱支部は増えていない。

5 少年の保護事件の審判を取り扱う支部

少年法で定める少年の保護事件の審判に関する事務を取り扱う家庭裁判所の支部は,令和8年時点で102庁である(裁判所データブック2026)。家庭裁判所の支部203庁の約半数にとどまっており,日本弁護士連合会は後記のとおり少年審判を取り扱う家裁支部の拡大を求めている。

第3 全国の地家裁支部の一覧(都道府県順)

支部名の一覧は,個別事件の提出先一覧ではない。管轄区域表の注意書きと,申立書提出先一覧(地方裁判所)の当該都道府県の資料を併せて確認し,事件類型ごとの本庁・拠点支部への集約を確認されたい。

地方裁判所の支部及び家庭裁判所の支部は,いずれも全国203庁であり,同一の地に置かれている。都道府県順に並べると次のとおりである。

都道府県地方裁判所・家庭裁判所支部
北海道札幌岩見沢,室蘭,小樽,滝川,浦河,岩内,苫小牧
北海道函館江差
北海道旭川名寄,紋別,留萌,稚内
北海道釧路帯広,網走,北見,根室
青森県青森弘前,八戸,五所川原,十和田
岩手県盛岡一関,花巻,二戸,遠野,宮古,水沢
宮城県仙台古川,石巻,大河原,登米,気仙沼
秋田県秋田大館,横手,大曲,能代,本荘
山形県山形米沢,鶴岡,酒田,新庄
福島県福島郡山,白河,会津若松,いわき,相馬
茨城県水戸土浦,下妻,日立,龍ケ崎,麻生
栃木県宇都宮栃木,足利,真岡,大田原
群馬県前橋桐生,高崎,沼田,太田
埼玉県さいたま川越,熊谷,越谷,秩父
千葉県千葉松戸,木更津,八日市場,佐倉,一宮,館山,佐原
東京都東京立川
神奈川県横浜川崎,横須賀,小田原,相模原
新潟県新潟新発田,長岡,高田,三条,佐渡
富山県富山高岡,魚津
石川県金沢七尾,小松,輪島
福井県福井武生,敦賀
山梨県甲府都留
長野県長野上田,松本,諏訪,飯田,佐久,伊那
岐阜県岐阜大垣,高山,多治見,御嵩
静岡県静岡沼津,浜松,富士,下田,掛川
愛知県名古屋一宮,岡崎,豊橋,半田
三重県津四日市,松阪,伊賀,伊勢,熊野
滋賀県大津彦根,長浜
京都府京都舞鶴,園部,宮津,福知山
大阪府大阪堺,岸和田
兵庫県神戸尼崎,姫路,豊岡,洲本,伊丹,明石,柏原,社,龍野
奈良県奈良葛城,五條
和歌山県和歌山田辺,御坊,新宮
鳥取県鳥取米子,倉吉
島根県松江出雲,浜田,益田,西郷
岡山県岡山津山,倉敷,新見
広島県広島呉,尾道,福山,三次
山口県山口岩国,下関,周南,萩,宇部
徳島県徳島阿南,美馬
香川県高松丸亀,観音寺
愛媛県松山西条,宇和島,大洲,今治
高知県高知須崎,安芸,中村
福岡県福岡飯塚,久留米,小倉,直方,柳川,大牟田,八女,行橋,田川
佐賀県佐賀唐津,武雄
長崎県長崎佐世保,大村,島原,平戸,壱岐,五島,厳原
熊本県熊本八代,玉名,山鹿,阿蘇,人吉,天草
大分県大分中津,杵築,佐伯,竹田,日田
宮崎県宮崎都城,延岡,日南
鹿児島県鹿児島名瀬,加治木,知覧,川内,鹿屋
沖縄県那覇沖縄,平良,石垣,名護

各支部の管轄区域は裁判所HPの裁判所の管轄区域で市町村ごとに確認でき,所在地及び電話番号は各地の裁判所の所在地・電話番号等一覧で確認できる。

第4 大規模支部及び中規模支部

支部の規模は一様ではない。以下の「大規模支部」及び「中規模支部」は,法令又は裁判所が設けた公式区分ではなく,本ブログが部総括・支部長の配置歴を手掛かりとして用いる実務上の整理である。支部長とは別に部総括が置かれる支部を大規模支部と整理すると,次の14支部がこれに当たる。

  • 東京高裁管内 立川,川崎,小田原,川越,松戸,沼津,浜松(7支部)
  • 大阪高裁管内 堺,尼崎,姫路(3支部)
  • 名古屋高裁管内 岡崎(1支部)
  • 福岡高裁管内 久留米,小倉,佐世保(3支部)

恒常的に部総括経験者が支部長に就任する支部を中規模支部と整理すると,次の14支部がこれに当たる。

  • 東京高裁管内 相模原,熊谷,越谷,土浦,高崎(5支部)
  • 大阪高裁管内 岸和田,葛城(2支部)
  • 名古屋高裁管内 一宮,豊橋,四日市(3支部)
  • 広島高裁管内 呉,福山(2支部)
  • 福岡高裁管内 飯塚,沖縄(2支部)

現に大規模支部長及び中規模支部長の職にある裁判官は,本ブログの現職の大規模地家裁支部長の一覧及び現職の中規模地家裁支部長の一覧で確認できる。いずれも14人である。

本ブログでは大規模地家裁支部長までを幹部裁判官として扱っている。地家裁所長経験者が就任するポストは東京地家裁立川支部長だけである。対応する検察庁についても同様の格差があり,法務省文書決裁規程(平成元年11月14日法務大臣訓令)4条及び別表によれば,立川,川崎,沼津,堺,姫路,岡崎及び小倉の地検支部長(7支部)の人事の決裁者は法務大臣であるのに対し,その余の地検支部長の人事の決裁者は法務事務次官である。

第5 裁判官及び家庭裁判所調査官の非常駐

1 裁判官非常駐支部

前記村田総務局長は,平成31年4月18日の参議院法務委員会において,地家裁支部203庁のうち裁判官が常駐していない支部は44庁であると答弁した。同人は令和元年11月21日の同委員会でも同じ数字を挙げ,非常駐支部については近隣の庁に配置されている裁判官が当該支部に出張して事件を担当していると説明している。日本弁護士連合会が令和5年10月6日の第65回人権擁護大会で採択した決議の提案理由も,家裁支部のうち44か所には裁判官が常駐しておらず,他の裁判所の裁判官が例えば週に数日又は毎月3,4日程度てん補して地裁支部の事件も併せて担当していると記載している。44庁又は44か所という数字は,平成31年・令和元年の国会答弁と令和5年の決議の記載であり,令和8年の配置数を示すものではない。個別支部の現在の担当と開廷日割は,各裁判所の担当裁判官一覧等で確認する必要がある。

令和7年4月10日の参議院法務委員会では,小野寺真也最高裁判所事務総局総務局長が,裁判官又は家庭裁判所調査官が常駐していない庁があることを認めた上で,これらの庁については事件数が少ないといった事情から近隣の庁に配置されている裁判官又は調査官が当該庁の実情に応じて出向いて事件を担当する体制をとっていると答弁し,全ての支部に裁判官を常駐させることが望ましいかどうかについては,裁判所も国の予算で運営される公的な機関であるから業務量に見合った人の配置の在り方を考えていく必要があると述べた。

2 1人支部の取扱い

下級裁判所事務処理規則3条1項により,支部に勤務する裁判官が1人のときはその裁判官が当然に支部長となる。そのため,最高裁判所人事の発令上は「支部長」という肩書が付かない。これは,最高裁判所が支部長を命ずる必要がないことによるものと考えられる。

3 非常駐支部の事務分配上の扱い

裁判官が常駐していない支部の事件は,本庁又は近隣支部の裁判官が担当する。例えば徳島地方裁判所の阿南支部及び美馬支部は裁判官が常駐していない支部であるところ,徳島地方裁判所の平成31年度事務分配においては,阿南支部の裁判事務も担当する66期の安藤巨騎裁判官及び美馬支部の裁判事務も担当する60期の園部伸之裁判官は,いずれも本庁との兼任であるため,事務分配上は支部長代理とされ,最高裁判所人事の上では支部勤務とはなっていない。非常駐支部の裁判官の所在は,最高裁判所人事の発令だけを見ても分からないということである。

4 家庭裁判所調査官の配置

家庭裁判所調査官の配置状況は,裁判官よりもさらに偏っている。清藤健一最高裁判所事務総局総務局長は,令和8年4月14日の衆議院法務委員会において,家庭裁判所調査官が配置されている支部は支部203庁のうち113庁であり,その割合は支部全体の55パーセント程度であると答弁した。同局長は,家庭裁判所調査官について平成12年以降合計80人の増員を行ったほか,令和7年度に5人,令和8年度に10人を増員したことを説明している。

第6 支部,簡易裁判所及び家裁出張所の統廃合

1 臨時司法制度調査会意見書

現在の裁判所の配置は,昭和39年8月28日付けの臨時司法制度調査会意見書に淵源を持つ。同意見書の決議要目第八「裁判所の配置等」は,①高等裁判所の支部を原則として廃止すること,②地方裁判所及び家庭裁判所の支部を整理統合して甲号・乙号の別を廃し,現在の乙号支部を原則として廃止すること,③簡易裁判所の名称を「区裁判所」(仮称)に改めること,④人口,交通事情等の社会事情の著しい変動に伴い簡易裁判所を整理統合することを考慮すること,⑤最高裁判所は簡易裁判所の調停を除く事務の全部又は一部を他の簡易裁判所に取り扱わせることができるものとすることを掲げていた。

同意見書の本文は,権限乙号の支部について,事件数が少なく限られた裁判官数ではあまねく裁判官を配置することが必ずしも合理的でないため裁判官が配置されていない庁が相当数に上ること,合議体を構成するに足りる員数の裁判官が配置されていない権限甲号の支部も相当数あること,これらの庁における事件処理のために他庁から出張する裁判官の時間的損失が訴訟遅延の原因ともなっていることを指摘した上で,裁判所全体の配置を適正化し事務処理の能率化・適正化を図る見地から整理統合を図ることが適当ではないかという問題提起をした。もっとも同意見書は,この問題について国民の利便を十分考慮して慎重に決定されるべきであるという要請も忘れてはならないと付言している。

なお,地方裁判所・家庭裁判所支部の整理統合については,審議の過程で格別の反対意見はなく,簡易裁判所の事物管轄が拡張された暁には支部における事件数,特に権限乙号の支部におけるそれが相当程度減少すると予想されることも考慮された上で,全員一致の意見により決定されたと記載されている。実際に統廃合が実現したのは,意見書から二十数年を経た昭和63年以降である。

2 昭和63年5月1日の統廃合

昭和62年法律第90号を受け,昭和63年5月に簡易裁判所の統合が実施された。昭和62年8月21日の国会答弁では,小規模独立簡裁101庁の統合と,そのうち家裁出張所が併置された37庁について出張所も統合することが説明されている。
小規模独立簡裁の統合,事務移転庁の廃止,大都市の簡裁集約等は,区分と実施時期を分けて読む必要がある。職員再配置を含む主要な再編の経過は,裁判所支部・簡易裁判所・家裁出張所の統廃合史を参照されたい。

3 平成2年4月1日の地家裁支部の統廃合

平成2年4月1日の地家裁支部配置の見直しでは,41支部が廃止された。平成2年3月27日の国会答弁は,併設簡易裁判所は存続し,廃止支部のうち20か所に家裁出張所を設置することを説明している。
支部廃止と,その所在地から裁判所機能がすべてなくなることとは同一ではない。最高裁側の説明と日弁連の会長コメント,存続した組織の役割は,平成2年の支部廃止と20家裁出張所の設置で整理している。

4 苫小牧支部及び相模原支部の新設

平成27年5月22日の国会答弁によれば,平成2年4月の全国的な配置見直しの際,札幌地家裁苫小牧支部と横浜地家裁相模原支部の新設を決定した。実際の開庁は,苫小牧支部が平成5年,相模原支部が平成6年である。
新設方針の決定と実際の開庁を区別した年表は,苫小牧・相模原支部の新設と開庁を参照されたい。

5 簡易裁判所の新設及び集約

平成4年1月1日に所沢簡易裁判所が,平成8年4月1日に町田簡易裁判所が,それぞれ新設された。他方,大都市部では集約が進み,平成5年4月1日に大阪市内の3簡裁(生野,西淀川,阿倍野)が大阪簡易裁判所に,平成5年4月8日に名古屋市内の2簡裁(愛知中村,昭和)が名古屋簡易裁判所に,平成6年9月1日に都内11簡裁(新宿,台東,墨田,大森,渋谷,中野,豊島,東京北,足立,葛飾,江戸川)が東京簡易裁判所に,それぞれ集約された。大阪地裁管内では,都島簡裁,東淀川簡裁及び西成簡裁が昭和22年5月3日の設立当初から大阪簡裁に事務移転していた例もある。

平成23年4月22日には,福島富岡簡易裁判所の事務が当分の間,裁判所法38条に基づき事務移転された。裁判所データブック2026によれば,令和8年時点でも事務移転は継続しており,福島富岡簡易裁判所の事務のうち刑事事件に関する事務はいわき簡易裁判所が,民事事件に関する事務を含むその余の事務は郡山簡易裁判所が,それぞれ取り扱っている。

6 矢口洪一元最高裁判所長官の回想

一連の適正配置を主導したのは,高輪1期の矢口洪一最高裁判所長官である。同人の「最高裁判所とともに」121頁には,退官時,大法廷に2つ審理中の事件があったほかやり残した仕事も多かったが,懸案だった全国の地家裁支部,簡裁の配置の見直しでも関係する法律や最高裁判所規則の改正が実現したこと,明治以来の人口分布や産業配置に対応して設けられた地家裁支部と戦後そのままの簡裁の配置を見直したものであること,地家裁41の支部を廃止する一方で苫小牧,相模原に新たに支部が設けられ,123の簡裁が統合されて町田,所沢に簡裁が新設されることになったこと,法曹三者の協力が可能にした事業であったことが記されている。

第7 家庭裁判所の出張所及び受付出張所

裁判所データブック2026によれば,家庭裁判所の出張所は全国77庁である。令和8年4月14日の国会答弁は,57庁が家事審判・家事調停等を自庁で処理し,20庁がいわゆる受付出張所であると説明している。受付出張所では受付事務のほか,裁判官又は調停委員会が出張して行う家事審判・家事調停の事務も取り扱う。
以下の具体的な20庁の名称と新設の経緯は,平成29年の国会答弁の記載である。個別出張所の現在の取扱いは,末尾の窓口案内等で別に確認する必要がある。前記中村総務局長は,平成29年3月31日の衆議院法務委員会において,この20か所の受付出張所は平成2年4月に地家裁支部の適正配置を行った際に廃止された家裁支部の一部について様々な要因を考慮してその所在地に新設したものであり,その後数は変わっていないと答弁した上で,具体的な庁名として,前橋家裁中之条,長野家裁飯山,長野家裁木曾福島,長野家裁大町,新潟家裁村上,新潟家裁柏崎,新潟家裁南魚沼,新潟家裁糸魚川,和歌山家裁妙寺,岐阜家裁郡上,福井家裁小浜,富山家裁砺波,山口家裁柳井,岡山家裁笠岡,松江家裁雲南,福岡家裁甘木,大分家裁豊後高田,熊本家裁御船,宮崎家裁高千穂及び函館家裁寿都の各出張所を挙げている。

家裁出張所の新設が簡易裁判所ほど進まない理由についても,同局長は同じ答弁の中で,家庭裁判所の場合は簡裁のように簡裁事件のみを行う権限を有する簡裁判事という職種がなく,判事,判事補が本庁又は支部から出張して事件を処理することになるため,出張所の新設については本庁又は支部までのアクセスの困難性を中心に事件数の動向等を考慮して慎重に検討する必要があると説明した。同じ日,42期の村田斉志最高裁判所家庭局長は,受付のみを取り扱う家庭裁判所出張所においても成年後見関係事件の申立てを受理することはでき,家庭裁判所において成年後見関係事件を処理する際に必ず当事者に裁判所に来てもらわなければならないわけではなく,現に書面のみで審理している事件も少なくないこと,直接当事者から話を聞く必要がある場合で当事者が裁判所に来ることが困難な事情があるときは裁判官が出張して話を聞く対応も可能であることを答弁している。

もっとも,受付出張所の運用実態には地域差がある。令和8年4月14日の衆議院法務委員会において,西村智奈美議員は,長野家裁大町出張所では令和7年の出張回数が83回,家事調停が123件であったのに対し,新潟家裁の村上,柏崎,南魚沼及び糸魚川の各出張所は令和7年の出張審判・家事調停がいずれもゼロ件であったこと,他方でこれらの出張所も受付は少ないところで63件,多いところで173件を処理していることを指摘し,格差が生じる理由を質した。同議員は,大町の裁判所の充実を求める協議会から受付出張所ではない通常の家裁出張所とすること,裁判官及び家庭裁判所調査官を常駐させること,児童室を設置することなどを求める要望書が出ていることも紹介している。

現在の具体的な取扱いは,当該家裁の窓口案内を確認する。例えば,福岡家庭裁判所の窓口案内は,甘木出張所では調停・審判の申立ての受付に関する事務のみを取り扱い,受付後の審理等は福岡家裁本庁で行うと説明している。同出張所の管轄区域の調停・審判は,本庁へ申し立てることもできる。出張所での受付が可能であることと,そこで審理等も行われることを区別すべきである。

令和7年の受付出張所20庁への出張回数は全国合計221回,出張調停等の回数は合計399回と前記令和8年答弁は説明している。集計単位を区別し,特定の出張所の開廷頻度に読み替えてはならない。配置・出張と地域差の検討は,裁判所支部の機能拡充と地域司法アクセスを参照されたい。

第8 支部の新設及び機能拡充に関する国会答弁

1 支部の新設

平成27年5月22日の国会答弁は,支部配置について人口動態,交通事情,事件動向,IT技術等を考慮し,アクセスと司法サービスの質を総合して検討すると説明した。同日の答弁は当時の判断であり,各地域の現在の新設必要性を示すものではない。配置判断と人的・物的機能の拡充については,支部新設と地域司法アクセスの検討で整理している。

2 合議事件取扱支部の拡大

前記中村総務局長は,平成28年3月16日の衆議院法務委員会において,地方裁判所の支部203庁のうち140庁については支部で合議事件を扱っておらず,そのような支部について合議事件の取扱いを求める要望が出ていることは承知していること,合議事件を支部で扱うかどうかは手続上は最高裁判所規則に基づき各裁判所が決めることになるが,体制整備あるいは全国的状況を検討する必要があることから最高裁判所においても検討していることを答弁した上で,合議を取り扱っていない各支部における事件数の動向,最寄りの合議取扱庁へのアクセス等を考慮すれば合議事件の取扱いをする支部を増加させる必要は現時点ではないと考えていると述べた。前記のとおり,令和8年時点でも合議事件取扱支部は63庁のままである。

3 労働審判取扱支部の拡大

37期の菅野雅之最高裁判所民事局長は,平成28年3月16日の衆議院法務委員会において,労働審判事件は当時全国の地裁本庁のほか東京地裁立川支部と福岡地裁小倉支部において取り扱っていたところ,日弁連との意見交換を重ねる中で取扱支部拡大の要望を認識してきたこと,予想される労働審判事件数や本庁に移動するための所要時間等の利便性を基本としつつ,事務処理体制,労働審判事件の運用状況及び労働審判員の安定的な確保を含めた地域的事情を総合的に勘案して検討した結果,静岡地裁浜松支部,長野地裁松本支部及び広島地裁福山支部において平成29年4月から労働審判事件の取扱いを開始できるよう準備を開始することとしたと答弁した。同局長は,それ以外の支部での取扱いを求める要望があることも認識しているが,新たに取り扱うことになる3支部における具体的な運用状況やその他の庁の運用状況等を十分に注視したいと述べており,その後,取扱支部は増えていない。

4 独立簡易裁判所の2人庁化

前記中村総務局長は,平成28年3月16日の衆議院法務委員会において,裁判所も国の予算で運営される公的な機関であるから業務量に見合った人の配置を考えていく必要があるとした上で,これまで書記官,事務官合わせて3人の配置であった独立簡易裁判所について,特に事件の少ない庁につき,人員の有効活用の観点から,利用者に対する司法サービスの低下につながるおそれがないかどうか,職員の休暇時や緊急時の応援体制等を的確に組むことができるかどうかといった業務体制の観点も踏まえつつ,事件処理に支障がないよう配慮した上で2人による執務体制をとることとしたこと,2人による執務体制をとっている庁は全国独立簡裁185庁のうち平成27年4月1日現在で28庁であることを答弁した。独立簡易裁判所の数は,裁判所データブック2026においても185庁で変わっていない。

第9 弁護士ゼロ・ワン支部

弁護士ゼロ・ワン支部とは,地裁支部の管轄地域を単位として,弁護士がいない地域又は一人しかいない地域を指す。裁判官非常駐支部とは別の分類である。
日弁連の弁護士ゼロワンマップは,令和8年4月1日現在,ゼロ支部0か所,ワン支部1か所(岡山地裁新見支部)とする。過去の変遷は,出典欄に掲げた法務省の資料で確認できる。

弁護士が複数いることだけで,地域の相談・受任可能性が十分であるとは判断できない。所在地,交通,専門分野,費用及び利益相反等も影響する。人数指標と利用者のアクセスを区別する考え方は,弁護士偏在と地域司法アクセスを参照されたい。

第10 日弁連及び弁護士会連合会の要望

1 日本弁護士連合会

日本弁護士連合会は,地域に根ざした司法の人的・物的基盤の拡充を求めている。令和5年10月6日の家裁改善・充実決議は,裁判官の全家裁支部への常駐,家裁調査官の増員,児童室・バリアフリー等の整備,出張所の運用改善等を求めた。
弁護士会の要望,裁判所側の説明及び実際に実施された措置は,区別する必要がある。全国的な課題と令和8年の資料を踏まえた検討は,裁判所支部の機能拡充と地域司法アクセスで説明している。

2 弁護士会連合会の決議

各弁護士会連合会も,管内の支部の司法基盤整備を求める決議を採択している。関東弁護士会連合会の東京高等裁判所管内の司法基盤の整備充実を求める決議(平成23年9月30日)は,①東京地方・家庭裁判所立川支部を独立した地家裁本庁とすること,②市川簡易裁判所と千葉家庭裁判所市川出張所の管轄地域に地家裁支部を新設すること,③横浜地方裁判所相模原支部において民事・刑事の合議事件が扱えるようにすること,④さいたま地家裁秩父支部,前橋地家裁沼田支部,千葉地家裁館山支部,同佐原支部,水戸地家裁麻生支部及び静岡地家裁掛川支部に裁判官が常駐するようにすることの4点を早急に実現すべきであるとした。

近畿弁護士会連合会の大阪高等裁判所管内の地家裁支部の司法基盤の整備充実を求める決議(平成25年9月20日)は,①京都地家裁管内の南部地域及び和歌山地家裁管内の橋本市に各支部を新設すること,②神戸地裁姫路支部及び同尼崎支部において労働審判を取り扱えるようにすること,③奈良地裁葛城支部において民事の合議事件をより多く取り扱えるよう裁判官の増員を図ること,④京都地裁園部支部,神戸地裁柏原支部及び和歌山地裁御坊支部に裁判官が常駐するようにすることの4点を掲げた。

東北弁護士会連合会のすべての裁判所支部管内における司法の機能充実を求める決議(平成24年7月6日)は,①全ての地方・家庭裁判所及び地方検察庁に裁判官・検事を速やかに常駐させ支部の人的・物的基盤を整備すること,②地裁本庁に集約されている労働審判・不動産競売・債権執行事件等を含め支部管内の事件は可能な限り当該支部で取り扱うようにすること,③執行官,公証人役場,法務局出張所,検察審査会等の司法関係機関の配置を見直すことを国に要請するとした。北海道弁護士会連合会の裁判官・検察官非常駐支部の解消に向けた行動をとることの宣言(平成22年12月11日)も,裁判官・検察官が1人も常駐していない支部に少なくとも1人が常駐する体制を早急に実現するため従前にも増して主導的かつ精力的に運動を行う旨を宣言している。

その後,日本弁護士連合会と最高裁判所との間で,地域司法の基盤整備に関する協議が行われた。関東弁護士会連合会の日本弁護士連合会及び最高裁判所に対し、地域司法の基盤整備に関する協議の再開を求める理事長声明(令和4年11月25日)によれば,この協議は平成26年10月から9回にわたって行われ,労働審判について平成29年4月から長野地裁松本支部及び静岡地裁浜松支部に加えて広島地裁福山支部での実施が決まったほか,平成28年4月から松江地家裁出雲支部で裁判官の常駐化を実施すること,静岡地家裁掛川支部等の裁判官のてん補回数を増加させることなどの成果があった。他方,近畿弁護士会連合会の最高裁判所に対し、日本弁護士連合会との間で地域司法の基盤整備に関する協議を再開するよう求める決議(令和5年12月1日)は,日本弁護士連合会が平成26年9月から約1年半にわたり「民事司法改革・最高裁協議」において協議を重ね,平成28年1月に3支部における労働審判実施支部の拡大などが決定されて同協議は終了したと述べており,協議の開始月の記載は資料によって異なる。

両連合会の声明・決議は,いずれもこの協議の再開を求めている。近畿弁護士会連合会の上記決議は,「裁判等手続がIT化しても、本人訴訟の場合など、地方で生活する市民の司法アクセスの問題を解決することができない」と述べている。また,東北弁護士会連合会は,裁判所支部管内における司法機能の整備・拡充を求める決議(平成27年7月3日)及び裁判所支部管内における司法の機能充実を求める決議(令和元年7月5日)でも,合議事件,労働審判,不動産競売,債権執行事件等を含め,支部管内の事件を当該支部で扱えるよう求めている。

3 東京地家裁立川支部の本庁化

支部の本庁化を求める運動として最も長く続いているのが,東京地家裁立川支部に関するものである。立川支部の現状については,東京弁護士会のLIBRA2009年10月号の「多摩支部の活動-裁判所本庁化への期待も-」が参考になり,東京三弁護士会多摩支部が本庁昇格に向けた取組みを続けている。京都弁護士会も,平成20年11月,京都府南部地域の司法アクセス改善のためには地家裁支部の創設が必要であるとの考えに立ち,南部地域における地家裁支部設置推進対策本部を設置した。

令和2年12月18日付けの最高裁判所事務総長の理由説明書には,日本弁護士連合会から最高裁判所に対して参考として送付された決議について,その内容も最高裁判所に対して何らかの応答を求めるものではないことから,同決議に関し最高裁判所としての検討内容を記載した文書は作成していないと記載されている。ここでいう決議は,平成30年5月25日の日弁連定期総会の「安心して修習に専念するための環境整備を更に進め,いわゆる谷間世代に対する施策を早期に実現することに力を尽くす決議」を指す。

第11 民事裁判手続のデジタル化と支部

1 デジタル化による負担軽減と限界

裁判所の民事裁判手続デジタル化の案内は,令和8年5月21日施行の改正民事訴訟法等を説明している。オンライン申立てやウェブ会議によって移動負担が軽減される可能性がある一方,機器・通信環境・利用支援及び対面が必要な手続も検討する必要がある。
同日施行のオンライン申立て等の対象から,民事執行,倒産,労働審判等の非訟手続,人事訴訟及び家事事件手続は除かれている。支部のすべての手続が一斉にオンライン化されたと理解してはならない。

2 支部の形式的存続と実質的機能は別である

支部という組織が存続していることと,必要な事件を身近な場所で,必要な時期に,十分な担当体制で扱えることは別である。デジタル化による補助と地域の人的・物的機能の確保も,それぞれ評価する必要がある。
東北弁護士会連合会の令和8年7月3日決議が述べる機動的審理運営の意義・懸念は,デジタル化と地域司法への影響で,制度の説明と同連合会の評価を区別して整理している。個別支部の利用前の確認例は,稚内支部の司法アクセスを参照されたい。

第12 関連記事その他

遠隔地での具体的な利用方法は,稚内支部の管轄・本庁集約・開廷頻度及び利用前の確認事項で,書類提出,保管金及び期日参加を区別して説明している。

支部があることと,個別の事件をその支部で取り扱うことは別問題である。大阪地裁堺・岸和田両支部の不動産執行を含む執行事件の集約については,執行事件の地裁本庁・拠点支部への集約-不動産執行,債権執行等の状況と理由(AI作成)で,BITの日程,交通事情,事務分配及び職員負担を含めて整理している。行政事件,合議事件,裁判員裁判,労働審判及び民事執行の本庁・拠点支部への集約と,全国203支部の公表開廷日割の比較は,全国の地方裁判所支部における本庁集約と開廷頻度―合議・裁判員・労働審判・民事執行の比較(AI作成)で整理している。同記事の176支部・27支部という数は,裁判所が公表した係別日割の集計であり,実際の開廷件数や処理期間を示すものではない。不動産競売の申立てから配当までの手続の流れと各段階の期間は,不動産競売の手続の流れと期間―申立て,差押え,現況調査・評価,期間入札,売却許可,代金納付,引渡命令及び配当(AI作成)で整理している。

裁判所の組織に関する本ブログの記事としては,高等裁判所支部,検察庁の支部,下級裁判所の裁判官の定員配置,裁判所職員定員法の一部を改正する法律に関する国会答弁資料等及び最高裁判所事務総局総務局の事務分掌がある。支部ごとの事件数を調べるときは,裁判統計報告及び最高裁判所が作成している事件数データが手掛かりになる。

裁判所の全体像を数値で把握するには,裁判所HPの裁判所データブックが便利である。裁判所データブック2026によれば,高等裁判所は本庁8庁・支部6庁(このほか東京高等裁判所に特別の支部として知的財産高等裁判所が置かれている),地方裁判所は本庁50庁・支部203庁,家庭裁判所は本庁50庁・支部203庁・出張所77庁,簡易裁判所は438庁(地方裁判所の本庁又は支部に併置されたもの253庁と独立簡易裁判所185庁),検察審査会は165庁(地方裁判所本庁所在地67庁と地方裁判所支部所在地98庁)である。裁判員裁判の運用状況は,裁判所HPの裁判員制度の実施状況等に関する資料で確認できる。

このほか,本ブログには,地家裁支部設置規則,下級裁判所事務処理規則,下級裁判所事務処理規則の運用について(平成6年7月22日付けの最高裁判所事務総長依命通達),裁判所職員の赴任期間について(平成4年4月28日付けの最高裁判所事務総長の依命通達),裁判所の組織(平成29年度支部長研究会の資料),家庭裁判所出張所設置規則,大阪地方裁判所堺支部・堺簡易裁判所及び大阪地方裁判所岸和田支部・岸和田簡易裁判所の各庁舎平面図を掲載している。廃止された裁判所及び簡易裁判所の一覧は外部ブログの「裁判所~廃止された裁判所」及び「裁判所~廃止された簡易裁判所」が,全国の裁判所庁舎の外観写真は「日本全国裁判所めぐり」が詳しい。

なお,労働審判に対し適法な異議の申立てがあったため訴えの提起があったものとみなされて訴訟に移行した場合において,当該労働審判は民事訴訟法23条1項6号にいう「前審の裁判」に当たらない(最高裁判所平成22年5月25日第三小法廷判決・平成21年(オ)第1727号・集民234号99頁)。労働審判を担当した裁判官が,異議後の訴訟を担当することは妨げられないということである。

本庁・支部の法的な関係は,回付・移送・合意管轄の解説,主要な再編の経過は,裁判所の統廃合史,配置・弁護士偏在・デジタル化の課題は,機能拡充と地域司法アクセスを参照されたい。

出典・参考資料

法令・規則

  • 裁判所法(昭和22年法律第59号)26条,31条,38条(e-Gov法令検索)
  • 地方裁判所及び家庭裁判所支部設置規則(昭和22年12月20日最高裁判所規則第14号。最終改正・平成21年1月16日最高裁判所規則第1号)1条,2条,3条,附則
  • 下級裁判所事務処理規則(昭和23年8月18日最高裁判所規則第16号)3条,24条
  • 下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律の一部を改正する法律(昭和62年9月11日法律第90号)
  • 民事訴訟法等の一部を改正する法律(令和4年法律第48号)及び同法の施行期日を定める政令(令和7年政令第414号)

裁判例

  • 最高裁判所昭和44年3月25日第三小法廷決定・昭和44年(し)第3号・刑集23巻3号212頁(裁判所HP)
  • 最高裁判所平成22年5月25日第三小法廷判決・平成21年(オ)第1727号・集民234号99頁(裁判所HP)
  • 東京高等裁判所昭和51年11月25日決定・昭和51年(ラ)第510号・下級裁判所民事裁判例集27巻9~12号786頁(裁判所HP未掲載。判例秘書プラスで全文確認)

国会会議録

  • 平成2年3月27日衆議院法務委員会(会議録)
  • 平成2年3月29日参議院法務委員会(会議録)
  • 平成27年5月22日衆議院法務委員会(会議録)
  • 平成28年3月16日衆議院法務委員会(会議録)
  • 平成29年3月31日衆議院法務委員会(会議録)
  • 平成29年4月11日参議院法務委員会,平成31年4月18日参議院法務委員会,令和元年11月21日参議院法務委員会,令和4年5月10日参議院法務委員会,令和5年11月10日衆議院法務委員会,令和7年4月10日参議院法務委員会,令和8年4月14日衆議院法務委員会(いずれも国会会議録検索システム)

公的資料・統計

弁護士会資料

文献

  • 岡口基一「民事訴訟マニュアル 第3版 上巻」(ぎょうせい・2021年)210頁
  • 秋武憲一=岡健太郎編著「離婚調停・離婚訴訟 四訂版」(青林書院・2023年)49頁
  • 伊藤栄樹「秋霜烈日-検事総長の回想」(朝日新聞社)100頁~101頁
  • 矢口洪一「最高裁判所とともに」(有斐閣)121頁