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国際親子関係の準拠法―嫡出推定・嫡出否認・重国籍・出訴期間(AI作成)

国際的な親子関係では,DNA上の父子関係だけでなく,どの国の法が嫡出推定を置き,誰が,どの方法・期間で否認できるかを確定しなければならない。本記事は,令和8年9月28日現在の法の適用に関する通則法を基礎に整理する。

第1 準拠法を決める単位

離婚の準拠法,嫡出親子関係の成立・否認の準拠法,認知の準拠法,親権等の親子間の法律関係の準拠法は同じとは限らない。離婚が成立した国又は親子関係を争う裁判所の所在地だけで準拠法を決めてはならない。

第2 嫡出親子関係の成立

通則法28条1項は,夫婦の一方の本国法で,子の出生時に子が嫡出となるべきときは,その子を嫡出である子とする。夫と妻のいずれか一方の本国法が嫡出性を認めれば足りる選択的連結であり,子の身分の安定を図る規定である。

どの期間に生まれた子を夫の子と推定するか,推定が及ばない場合があるかは,この準拠法によって判断する。出生時の夫婦双方の国籍を確認し,それぞれの国の嫡出推定規定を調査する必要がある。

第3 嫡出否認

嫡出否認は嫡出推定と表裏の関係にあるため,通則法28条の問題と解される。双方の本国法が子を嫡出とする場合,嫡出性を否定するには,原則として双方の法により否認が可能でなければならないと解されている。否認権者,出訴期間,訴えの方法,推定の及ばない子の扱いも準拠法の規律対象となる。

例えば,一方の法が母にも否認権を認め,出生を知った時から90日以内と定め,他方の法が母又は子にも否認権を認めて3年の期間を定めるときは,誰がいつ提訴したかを両法について検討する。片方の法の期間だけを満たしても,もう片方の法による嫡出性が残れば,否認請求が認められないことがある。

日本法については,令和4年法律第102号による改正後の民法772条以下と経過措置を確認する。現在の民法777条は原則3年の出訴期間を定めるが,出生時期によって改正前法が適用される可能性がある。

第4 重国籍者の本国法

通則法38条1項は,当事者が二つ以上の国籍を有するとき,原則として常居所を有する国が国籍国の一つであればその国の法を本国法とし,そうでなければ最も密接な関係がある国の法を本国法とする。ただし,日本国籍を含む重国籍者については日本法を本国法とする。

したがって,日本国籍と外国国籍を有する子又は親については,外国に常居所があっても,通則法上の本国法は日本法となる。ただし,扶養義務の準拠法については別の「扶養義務の準拠法に関する法律」が適用されるため,通則法38条をそのまま当てはめない。

第5 実務上の確認事項

①出生時の父母の婚姻関係と国籍,重国籍の有無。
②出生証明書,戸籍,婚姻・離婚の成立日。
③各国法の嫡出推定期間,否認権者,出訴期間及び起算点。
④外国法上の裁判手続と,日本の人事訴訟・家事事件の国際裁判管轄。
⑤反致を扱う事案では通則法41条。ただし,問題設定又は契約で反致を除外している場合はその前提を明示する。
⑥日本法の改正前後を分けるための出生年月日。

第6 出典

①e-Gov法令検索「法の適用に関する通則法」28条,29条,30条,38条,41条。
②e-Gov法令検索「民法」772条~778条の2。
③法務省「無戸籍でお困りの方へ・よくある御質問」。
④小出邦夫編著『一問一答 新しい国際私法』(商事法務,平成18年)138頁~140頁(設問135・136)。
⑤東京家庭裁判所令和3年1月4日審判(令和2年(家イ)第8523号。裁判所ウェブサイト未掲載)。判例の位置付けは北澤安紀「嫡出否認に関する準拠法」令和4年度重要判例解説283頁以下で確認した。