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物流効率化法の2026年改正とは-4月全面施行,特定荷主・CLO及び中継輸送(AI作成)

「物流効率化法改正 2026年」という言葉は,一つの改正だけを指すものではない。
2026年4月1日には令和6年法律第23号による特定事業者向けの義務的措置が施行され,2026年5月20日には中継輸送を促進する令和8年法律第21号が公布された。
本記事は,2026年10月15日現在の一次資料に基づき,二つの制度変更を区別した上で,対象事業者,届出・計画・報告,CLO,罰則及び実務対応を整理するものである。

第1 結論-2026年の物流効率化法は二つに分けて理解すること

1 4月1日の全面施行

令和6年法律第23号による改正は,2025年4月1日と2026年4月1日の二段階で施行された。
2025年4月からは,すべての荷主・連鎖化事業者・物流事業者等に物流効率化の努力義務が課された。
2026年4月からは,一定規模以上の荷主,連鎖化事業者,貨物自動車運送事業者等及び倉庫業者が「特定事業者」として,中長期計画,定期報告等を行う制度が施行され,特定荷主・特定連鎖化事業者には物流統括管理者の選任も義務付けられた。

2 5月20日に公布された中継輸送改正

これとは別に,令和8年法律第21号は,一つの長距離輸送を複数の運転者で分担する貨物自動車相互間の中継輸送を促進する制度を設けた。
同法は,中継輸送に関する基本方針,国・地方公共団体・関係事業者の責務,関係者が共同作成する貨物自動車中継輸送実施計画の認定及び認定計画への支援措置を定める。
2026年10月15日現在,国土交通省が公表した政令案の概要では主要部分を同年11月1日に施行する予定とされているが,最終的な施行日は公布された政令で確認する必要がある。

3 直ちに確認すべき事業者

前年度の取扱貨物量,保有車両台数又は保管量が指定基準に近い事業者は,自社が特定事業者に該当するかを確認する必要がある。
基準未満の事業者にも2025年4月から努力義務は適用されているため,「大企業だけの制度」と理解するのは正確でない。
長距離幹線輸送を行う運送事業者,荷主,倉庫業者,物流施設運営者等は,中継輸送改正による計画認定・支援の利用可能性と,参加者間の役割分担を別途検討する必要がある。

第2 2025年施行事項と2026年施行事項の違い

1 すべての事業者に関係する2025年の措置

2025年4月1日から,荷主には,トラック事業者との連携の下で,積載効率の向上,荷待ち時間の短縮及び荷役等時間の短縮に資する措置を講ずる努力義務が課された。
第一種荷主は主として運送を委託する側,第二種荷主は主として運転者から貨物を受け取り,又は運転者へ貨物を引き渡す日時等を指示できる側である。
一つの会社が取引場面により第一種荷主と第二種荷主の双方になることもあるため,発荷主か着荷主かを会社単位で固定せず,取引・拠点ごとに確認する必要がある。

貨物自動車運送事業者等には,複数荷主の貨物の積合せ,共同配送,配送量に応じた適正な車種の選択等により,運転者一人当たり一回の運送ごとの貨物重量を増やすことなどが求められる。
倉庫業者等にも,入出庫の平準化,予約受付,情報連携その他の判断基準に沿った取組が求められる。

2 一定規模以上に上乗せされる2026年の措置

2026年4月1日からは,前年度実績が政令の指定基準以上となる事業者に,届出を経た特定事業者としての義務が上乗せされた。
中長期計画と定期報告は,単に書類を提出する制度ではなく,取扱貨物量,積載効率,荷待ち時間,荷役等時間及び実施措置を継続的に把握・改善する制度である。
特定荷主と特定連鎖化事業者では,これらを部門横断で統括する物流統括管理者の選任が必要となる。

3 貨物自動車運送事業法の改正と混同しないこと

同じ令和6年法律第23号には,貨物自動車運送事業法の改正も含まれている。
運送契約締結時等の書面交付,健全化措置及び実運送体制管理簿は,契約・再委託関係を可視化する制度であり,物流効率化法の努力義務,中長期計画,CLO及び定期報告とは根拠条文と義務内容が異なる。
運送契約の書面,荷待ち・荷役の対価,再委託等の詳しい実務は,物流2法・改正物流特殊指定が運送契約に与える影響で整理している。

第3 特定事業者の指定基準

1 特定荷主及び特定連鎖化事業者

特定第一種荷主の基準は,前年度に貨物自動車運送事業者又は貨物利用運送事業者に運送を行わせた貨物の合計重量が9万トン以上であることである。
特定第二種荷主の基準も取扱貨物重量9万トン以上であるが,算定対象は,自らの事業に関して運転者から受け取り,又は運転者に引き渡すなどの貨物であり,第一種荷主として委託する貨物等は除かれる。
第一種荷主と第二種荷主の重量は合算せず,それぞれの立場ごとに判定する。

特定連鎖化事業者の基準は,連鎖対象者が運転者から受け取る一定の貨物等について,前年度の合計重量が9万トン以上であることである。
重量を直接把握することが著しく困難な場合には,商品マスタ,容積,トラックの最大積載量,売上額・仕入額等に基づく合理的な換算方法が認められる場合がある。

2 特定貨物自動車運送事業者等及び特定倉庫業者

特定貨物自動車運送事業者等の基準は,年度末の保有事業用自動車が150台以上であることである。
特定倉庫業者の基準は,寄託を受けた物品を保管する倉庫への前年度入庫量が70万トン以上であることである。
複数の事業又は拠点を運営する企業は,法令・手引きが定める集計範囲を確認し,社内の車両台帳,倉庫実績及び貨物重量データと一致させる必要がある。

3 届出と指定

前年度実績が指定基準以上となった事業者は,原則として毎年5月末までに所管大臣へ届出を行う。
届出後に特定事業者として指定され,翌年度も引き続き基準以上である場合は,指定のための届出を繰り返す必要はない。
基準以上であるのに届出をせず,又は虚偽の届出をした場合には,50万円以下の罰金の対象となる。

第4 特定荷主に必要なCLO,中長期計画及び定期報告

1 物流統括管理者(CLO)

特定荷主と特定連鎖化事業者は,物流統括管理者を選任し,その選任を届け出る必要がある。
物流統括管理者は,事業運営上の重要な決定に参画する管理的地位にある者であり,単に物流実務を担当しているだけでは足りない。
中長期計画,定期報告,事業方針,管理体制,設備投資,デジタル化,調達・生産・販売・在庫・物流部門の調整及び取引先との連携を統括する役割が想定されている。

物流統括管理者を選任しない場合は100万円以下の罰金,選任届を怠った場合は20万円以下の過料の対象となる。
指定通知を受けてから人選を始めるのではなく,候補者,社内権限,補佐体制及び取締役会等への報告経路をあらかじめ定めることが望ましい。

2 中長期計画

各特定事業者は,判断基準を踏まえ,積載効率の向上,荷待ち時間の短縮及び荷役等時間の短縮等のために実施する措置,目標並びに実施時期を記載した中長期計画を作成・提出する。
提出は毎年度を基本とするが,内容に変更がない場合は5年に一度とされる。
初回の提出期限は指定年度の7月末が原則であるが,2026年度に限り10月末とされている。
中長期計画を提出しない場合は50万円以下の罰金の対象となる。

3 定期報告

特定事業者は,指定を受けた年度の翌年度から,毎年7月末までに前年度の取組状況を定期報告する。
報告に必要なデータを後から集めるのは困難であるため,予約時刻,入退場時刻,荷役開始・終了,貨物重量,積載率,追加作業及び改善措置を日常の業務システムで保存する必要がある。
第一種荷主と第二種荷主の双方に該当する場合は,各立場で必要な範囲を区別して記録することが重要である。

4 勧告,公表,命令及び罰則

特定事業者の取組状況が判断基準に照らして著しく不十分である場合,国は必要な措置をとるよう勧告することができる。
勧告に従わないときはその旨が公表され,正当な理由なく必要な措置をとらないときは命令へ進むことがある。
命令に違反した場合は100万円以下の罰金の対象となる。
したがって,提出書類の体裁だけでなく,改善措置を実施し,効果を評価し,次の計画へ反映する運用が必要である。

第5 特定事業者でない荷主にも必要な対応

1 基準未満でも努力義務はなくならないこと

9万トン未満の荷主にCLOの選任や中長期計画の提出義務はないが,荷待ち・荷役等時間の短縮等に向けた努力義務は適用される。
国は判断基準に沿った取組が不十分な事業者へ指導・助言を行うことができるため,指定基準だけを確認して対応を終えるべきではない。

2 実務で優先する事項

荷主は,発注量・納品頻度の平準化,十分なリードタイムの確保,予約受付,入退場時刻の記録,パレット等の標準化,検品の効率化,荷役設備・作業員の配置及び繁忙期の事前協議を検討する必要がある。
運送事業者だけに改善責任を転嫁せず,発荷主,着荷主,倉庫業者,元請運送事業者及び実運送事業者が管理できる事項を分けることが重要である。
荷待ち・荷役が契約上の役務に含まれるか,追加料金・待機時間料を誰が負担するかも,発注書,基本契約及び現場記録で一致させる必要がある。

第6 2026年5月の中継輸送改正

1 中継輸送とは何か

中継輸送は,一つの長距離輸送を複数の運転者が分担し,中継地点で車両,トレーラ,コンテナ又は貨物等を引き継ぐ輸送方法である。
一人の運転者が長距離の往復全体を担当する働き方を見直し,日帰り運行の拡大,拘束時間の短縮及び輸送力の維持につなげることが期待されている。

2 計画認定制度と支援措置

令和8年法律第21号は,国土交通大臣が中継輸送に関する基本方針を定め,国,地方公共団体,トラック事業者,荷主,倉庫業者等に必要な連携・協力を求める枠組みを設けた。
中継輸送を行おうとする関係者は,共同で貨物自動車中継輸送実施計画を作成し,国土交通大臣の認定を受けることができる。
認定計画には,施設整備に関する税制上の措置,鉄道・運輸機構による出資・貸付け,計画策定・初年度運行への支援,開発許可等における配慮及び関係許認可の特例等が用意される。

3 2026年4月の義務的措置との違い

中継輸送改正は,9万トン等の指定基準に達した特定事業者へ一律に中継輸送を義務付ける制度ではない。
4月施行の制度は特定事業者の計画・報告・CLO等を中心とし,5月公布の改正は中継輸送に参加する複数の関係者による認定計画と支援を中心とする。
同じ物流効率化法の改正であっても,対象,手続及び法的効果を分けて理解する必要がある。

4 中継輸送の契約実務

中継輸送に参加する場合は,中継地点,運行区間,車両・貨物・書類・データの引継ぎ方法,遅延時の連絡,施設利用,荷役,保管,損傷・滅失,事故対応,保険,費用分担及び責任分界を契約で定める必要がある。
特に,誰が運送契約の当事者であり,誰が実運送を担当するか,区間ごとの指揮命令・安全管理・運行管理を誰が担うかを曖昧にしてはならない。
認定計画の内容と,荷主・元請・実運送事業者・施設運営者間の契約,発注書及び現場手順を一致させることが重要である。

第7 PAAで問われやすい事項

1 物流効率化法はいつ改正されたか

2026年の実務との関係では,二つの日付を区別する必要がある。
令和6年法律第23号は2024年5月15日に公布され,その主要部分が2025年4月1日と2026年4月1日に段階施行された。
中継輸送に関する令和8年法律第21号は2026年5月20日に公布された。

2 物流法は2026年に改正されるのか

物流効率化法では,2026年4月1日に特定事業者向けの義務的措置が施行され,2026年5月20日に中継輸送を促進する別の改正法が公布された。
「2026年改正」とだけ表現すると両者が混ざるため,4月施行の制度か,5月公布の中継輸送改正かを明らかにする必要がある。

3 運送業の残業時間規制は2026年も続くか

自動車運転者への時間外労働の上限規制は2024年4月から適用されており,2026年も続く。
物流効率化法は,荷待ち・荷役の削減,積載効率の向上,中継輸送等を通じて,限られた労働時間の中で輸送力を維持するための事業者側の仕組みを整えるものである。

4 トラック運賃は2026年に一律に値上げされるか

物流効率化法が,すべてのトラック運賃を同じ割合で一律に引き上げるものではない。
もっとも,荷待ち・荷役,燃料,有料道路,再委託,必要設備及び中継施設の利用等の費用を把握し,役務と対価を適切に契約・発注書へ反映する必要性は高まっている。
実際の運賃・料金は,適用法令,標準的運賃・標準運送約款,役務内容及び当事者間の協議に基づいて個別に決まる。

5 2026年度の物流分野で重要な事項は何か

重要事項は,特定事業者の指定,2026年度に限る中長期計画の10月末期限,翌年度以降の定期報告,CLOを中心とする社内体制及び中継輸送改正の具体化である。
荷主・物流事業者は,法令の施行日だけでなく,自社の届出・計画・報告期限と,現場データを収集できる時期から逆算して対応する必要がある。

第8 実務対応のチェックリスト

1 指定基準と届出

第一種荷主,第二種荷主及び連鎖化事業者の立場ごとに前年度取扱貨物重量を算定する。
貨物自動車運送事業者等は年度末車両台数,倉庫業者は前年度入庫量を確認する。
基準以上となる可能性がある場合は,算定根拠,集計範囲,換算方法,届出先及び5月末期限を確認する。

2 社内体制とデータ

CLO候補者の地位・権限,補佐部署及び経営会議への報告経路を決める。
荷待ち・荷役等時間,貨物重量,積載効率,予約変更及び改善措置を継続記録できるようにする。
中長期計画の目標を,調達,生産,販売,在庫,物流,法務,情報システム及び取引先との協議に接続する。

3 契約と現場運用

基本契約,個別発注,料金表,予約ルール,現場手順及び実績記録を相互に照合する。
発荷主・着荷主・倉庫業者・元請・実運送事業者の役割を分け,追加の荷役・待機・変更・再委託に関する責任と対価を定める。
中継輸送へ参加する場合は,認定計画だけでなく,区間別の契約,当事者,運行管理,貨物引継ぎ,事故・損害及び費用分担を文書化する。

第9 出典・参考資料

1 法令及び国会資料

物資の流通の効率化に関する法律(e-Gov法令検索)
流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律及び貨物自動車運送事業法の一部を改正する法律(令和6年法律第23号,衆議院)
物資の流通の効率化に関する法律の一部を改正する法律の法令情報(令和8年法律第21号,日本法令索引)
令和8年法律第21号の審議経過(衆議院)

2 2026年4月施行に関する国土交通省資料

物流効率化法について(荷主・物流事業者の皆様へ)(国土交通省)
特定事業者の指定(物流効率化法理解促進ポータルサイト)
中長期的な計画の作成(同)
物流統括管理者(CLO)の選任(同)
勧告及び命令(同)
特定荷主の物流効率化法への対応の手引き第1.1版(国土交通省,2026年4月)

3 中継輸送改正に関する国土交通省資料

物資の流通の効率化に関する法律の一部を改正する法律案を閣議決定(国土交通省)
改正法案の概要(国土交通省)
改正法案の案文・理由(国土交通省)
施行令改正案に関する意見募集(e-Govパブリック・コメント)

本記事は一般的な制度整理であり,個別事業者への適用,貨物重量等の算定範囲,届出先,認定計画又は契約条項は,最新の法令・通達・手引き及び具体的事実を確認して判断する必要がある。