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共同保証人間の求償権と消滅時効―主債務者に対する求償権との違い(最高裁平成27年11月19日)(AI作成)

第1 結論

複数の保証人のうち一人が主債務を弁済すると,通常,①主債務者に対する求償権と,②他の共同保証人に対する求償権が問題になります。両者は相手方,目的及び負担の根拠が異なる別の権利です。

最高裁平成27年11月19日判決は,主債務者に対する求償権について消滅時効の中断事由があっても,その効力は共同保証人間の求償権へ及ばないとしました。共同保証人間の求償権は,主債務者に対する求償権を担保する権利ではなく,共同保証人間の最終的な負担を公平に調整するための権利だからです。

したがって,代位弁済をした保証人は,主債務者への請求・訴訟だけで共同保証人に対する時効も管理できていると考えてはいけません。権利ごと,相手方ごとに起算点,期間,完成猶予・更新事由及び証拠を管理する必要があります。

第2 最高裁平成27年11月19日判決

最高裁平成27年11月19日第一小法廷判決(平成25年(受)第2001号・求償金等請求事件)は,共同保証人の一人が主債務者の借入金債務を全額代位弁済し,他の共同保証人へ旧民法465条1項・442条に基づく求償をした事案です。

代位弁済は平成6年2月23日でした。弁済した保証人は,主債務者から一部弁済を受け,平成14年に主債務者へ求償金請求訴訟を提起して認容判決を得ました。他方,共同保証人に対する訴訟を提起したのは平成24年7月25日でした。

弁済した保証人は,主債務者に対する求償権の時効中断により,共同保証人間の求償権にも旧民法457条1項の類推適用による中断効が生じると主張しました。しかし,最高裁はその主張を採用せず,上告を棄却しました。

この主文は「上告棄却」です。平成27年の重要判決ではありますが,平成27年度の「最高裁民事破棄判決」の一例ではありません。

第3 二つの求償権を分ける

1 主債務者に対する求償権

保証人が主債務者の委託を受けて弁済した場合,保証人は主債務者に対して求償権を取得します。これは,本来債務を負担すべき主債務者へ,保証人が支出した額等の償還を求める権利です。

2 共同保証人間の求償権

数人の保証人が存在し,その一人が全額又は自己の負担部分を超える額を弁済したときは,他の共同保証人に対する求償が問題になります。これは,主債務者に資力がない場合に弁済した保証人だけが損失を負担する不公平を避け,共同保証人相互の負担を最終的に調整するための権利です。

両権利が同じ代位弁済を契機として発生することがあっても,一方が他方の附従的な担保になるわけではありません。債務者も請求額も抗弁も異なり得ます。

第4 旧民法457条1項の類推適用が否定された理由

旧民法457条1項は,主たる債務者に対する履行の請求その他の時効中断事由が,保証人に対しても効力を生ずる旨を定めていました。これは主債務と保証債務の関係を前提とする規定です。

最高裁は,共同保証人間の求償権について,主債務者の資力不足の場合に弁済保証人だけが損失を負担する不公平を避け,共同保証人間の負担を最終調整するための権利であると説明しました。そして,主債務者に対する求償権を担保するためのものではないから,旧民法457条1項を類推適用できないとしました。

実務上の要点は,時効の効力が及ぶかを考える前に,二つの権利の「主従関係」又は「附従性」が法的に認められるかを確認することです。経済的に関連するだけでは,ある請求の時効措置が別の請求へ当然に及ぶとは限りません。

第5 現行民法465条・457条と消滅時効

現行民法465条は,数人の保証人がある場合に,その一人が,主債務が不可分であるため又は各保証人が全額を弁済すべき特約があるため,その全額又は自己の負担部分を超える額を弁済したとき,民法442条から444条までを準用すると定めています。

現行民法457条1項は,主債務者に対する履行の請求その他の事由による時効の完成猶予及び更新が保証人にも効力を生ずると定めています。しかし,平成27年判決が示したのは,共同保証人間の求償権は主債務者に対する求償権の担保ではなく,両者の間に同条を類推する前提がないという点です。

現行法の具体的な期間・起算点については,債権がいつ,どの法律行為を原因として発生したか,権利を行使できることをいつ知ったか,債権者が誰か,債権者が法人か個人か,確定判決等による期間の伸長があるかを個別に確認します。平成27年判決だけから,すべての共同保証人間求償権の時効期間を一律に決めることはできません。

第6 経過措置

平成29年法律第44号による債権法改正は,原則として令和2年4月1日に施行されました。改正前に締結された契約又は改正前に発生した債権について,改正前民法が適用される場合があります。

したがって,保証・代位弁済・求償の事件では,少なくとも次の日付を一本の時系列にします。

  • 主債務の原因契約日及び弁済期
  • 各保証契約の締結日,委託の有無及び保証範囲
  • 代位弁済日及び弁済額
  • 主債務者及び各共同保証人への通知・請求・承認・一部弁済の日
  • 訴え,支払督促,強制執行その他の手続の日
  • 令和2年4月1日の前後関係

どの時点を基準に新旧法を振り分けるかは,問題となる条文と改正法附則ごとに確認します。「判決が平成27年だから旧法」「現在請求するから現行法」といった一行の処理は危険です。

第7 時効管理・証拠保存の実務

1 権利別・相手方別の管理表を作る

代位弁済後は,主債務者に対する求償権と,各共同保証人に対する求償権を別の行にします。各行に,法的根拠,債務者,元本,負担部分,起算点,期間,完成予定日,完成猶予・更新事由,証拠,担当者を記録します。

2 通知だけで時効が更新すると決めつけない

通知,催告,承認,裁判上の請求,強制執行等は法律効果が異なります。催告だけでは一定期間の完成猶予にとどまり,再度の催告の効果にも制限があります。相手方の承認と評価できる言動があるか,証拠化できているかを別に確認します。

3 代位弁済と負担部分の証拠を残す

保証契約書,信用保証委託契約,主債務の契約書,弁済証書,振込記録,残高計算書,各保証人の保証範囲,特約及び通知記録を保存します。共同保証人が「各保証人が全額を弁済すべき旨の特約」を負っていたか,分別の利益の有無及び負担部分を確定できる資料が重要です。

4 訴訟前に反論を分ける

他の共同保証人からは,時効,負担部分,保証契約の範囲,弁済額,通知の欠缺,主債務者からの回収額,二重回収等が争われ得ます。主債務者に対する確定判決があることだけで,共同保証人に対する全ての争点が解決するわけではありません。

時効制度全体については,時効の完成猶予と更新の違い―旧法の中断・停止との対応関係と事由の一覧(AI作成)を参照してください。

第8 確認資料と未確認事項

1 一次資料として確認したもの

  • 前記最高裁平成27年11月19日第一小法廷判決の裁判所公表全文
  • e-Gov法令検索の現行民法457条・465条及び改正前民法457条
  • 法務省「民法の一部を改正する法律(債権法改正)について」及び経過措置資料

2 確認の限界

  • 判例秘書は認証済み検索を実施していません。検索件数0件,ヒット件数不明,全文取得0件であり,収録の有無は未確認です。
  • 本件の原判決全文,上告受理申立て理由書及び評釈は本記事では確認していません。
  • 平成27年判決後の下級審裁判例を網羅検索したものではありません。
  • 個別案件では,契約日・代位弁済日・請求日等に即して現行法,改正前法及び経過措置を再確認する必要があります。

この判決から学ぶべき中心は,関連する二つの請求権を一体として管理しないことです。請求権の目的と当事者を確定し,権利ごとに時効措置と証拠を対応させることが,求償漏れを防ぎます。