第1 本書の概要と本記事の範囲
1 書誌と著者
(1) 書誌
宇賀克也『管見 最高裁判所』は,有斐閣が2026年に刊行した書籍であり,はしがきの日付は2026年3月,奥付の発行日は同年5月30日(初版第1刷)である。
著者は,最高裁判所の情報はキャリア裁判官の方が多く持っているという自覚などから,書名を「管見」としたと説明している(宇賀克也『管見 最高裁判所』(有斐閣,2026年)2頁)。
(2) 著者
著者は,宇賀克也最高裁判所判事(当時。令和7年7月定年退官)である。
本書によれば,著者は,平成31年2月22日の閣議決定を経て,約41年間勤務した東京大学を同年3月19日に退職し,翌20日の認証を受けて最高裁判所判事に就任した(宇賀・前掲2頁)。
その後,令和7年7月20日に定年退官しており,在任期間は6年4か月である(宇賀・前掲2頁)。
在任中は第三小法廷に所属し,在任期間の後半の約3年間は同小法廷で最も早く着任した最先任裁判官を務めた(宇賀・前掲10頁,78頁)。
2 本書の構成
(1) 第1部「管見最高裁判所」
第1部(1頁~116頁)は,就任前後の経緯(第1章),最高裁判所における審議(第2章),最高裁判所を構成する人と組織(第3章)及び裁判以外の活動(第4章)を扱い,本記事が主に取り上げるのは第2章と第3章の前半である。
著者は,裁判は公権力の行使であって説明責任を伴うという考えを示した上で,評議の秘密に触れない範囲で,在任中に見聞きした最高裁判所の運用を記述している(宇賀・前掲3頁~6頁)。
(2) 第2部「個別意見」
第2部(117頁~370頁)は,著者が最高裁判所判事として付した個別意見38件を,憲法,行政法,民事実体法,労働法,民事訴訟法関係及び刑事法の分野に分けて収録している。
各項目は,事案の概要,決定・判決の要旨,個別意見の本文及び著者による解説の順に構成されている(宇賀・前掲118頁以下)。
著者は,判例集登載判例について担当調査官が書く解説は調査官の受け止めであって,個別意見を書いた裁判官の真意と一致する保証はないから,意見を書いた本人が趣旨を敷衍する方が有意義であると考えたことを,第2部を設けた理由として挙げている(宇賀・前掲5頁~6頁)。
3 本記事の範囲と出典の区別
本記事は,本書第1部のうち最高裁判所の審理に関する部分を手続の順に整理し,第2部の個別意見38件を一覧にしたものであり,生成AIを用いて作成した。
第1部の記述の多くは,著者が主として第三小法廷で経験した運用であって公表資料で裏付けられるものではないため,本記事では出所が本書であることを示し,著者の意見や提言は運用の説明と区別して記載する。
条文は令和8年9月25日にe-Gov法令検索で確認した現行の条文により,裁判例は裁判所HPの裁判例検索で書誌を確認したものに限って記載した。
最高裁判所規則である民事訴訟規則及び最高裁判所裁判事務処理規則はe-Gov法令検索に収録されていないため,これらの条項は本書の記載によるものとして示す。
本記事で示す本書の頁は,いずれも本書に印字された頁である。
第2 事件の分配と調査官
1 小法廷への機械的な分配
(1) 受付順の分配と分配比
本書によれば,著者の在任中の新受件数は毎年1万件を超えており,令和6年は民事・行政事件7838件,刑事事件3855件の合計1万1693件であった(宇賀・前掲12頁~13頁)。
事件は,専門分野によらず,最高裁判所での受付順に第一,第二,第三小法廷へと機械的に分配される(宇賀・前掲14頁)。
ただし,近年は長官が第二小法廷に所属し,長官は原則として小法廷の審議に加わらないため,第二小法廷は4人体制となり,分配の割合は通常,第一小法廷10,第二小法廷9,第三小法廷10とされている(宇賀・前掲15頁)。
新任の裁判官の就任後1か月間や,定年退官が近い裁判官の退官前にも,所属する小法廷への分配割合が減らされる(宇賀・前掲15頁~16頁)。
(2) 専門分野で振り分けない理由
著者は,専門分野で振り分けない理由として,①恣意を疑われかねない裁量判断を避けること,②専門家のいる小法廷に事件が集中して負担が偏るのを防ぐこと,③特定の裁判官の影響力が大きくなるのを避け,経歴の異なる裁判官の合議で結論を形成することを挙げる(宇賀・前掲14頁~15頁)。
専門家のいない小法廷に事件が分配されることは避けられないため,それを補う仕組みとして調査官が置かれている,というのが著者の説明である(宇賀・前掲17頁)。
(3) 死刑事件の別枠と関連事件
原審が死刑を言い渡した事件は,受付順の分配では特定の小法廷に偶然集中するおそれがあるため,死刑事件だけを別枠として第一,第二,第三小法廷の順に分配している(宇賀・前掲16頁)。
同一の事件や関連事件は同じ小法廷に分配されるが,同じ争点の事件が別々の小法廷に係属することも稀ではなく,その場合は同じ調査官が担当して判断の食い違いが生じないよう配慮されるのが通常である(宇賀・前掲16頁)。
2 最高裁判所調査官
(1) 調査官室の構成
裁判所法57条は,最高裁判所等に裁判所調査官を置くとし,調査官は「裁判官の命を受けて」事件の審理及び裁判に関して必要な調査等をつかさどると定めている。
本書によれば,令和7年4月1日現在,最高裁判所には38名の調査官が在籍している(宇賀・前掲84頁)。
調査官室は,首席調査官室のほか,民事調査官室(上席調査官のほか調査官18名で,民事第一から第三までの各室に6名),行政調査官室(上席調査官のほか調査官9名)及び刑事調査官室(上席調査官のほか調査官7名で,刑事第一に4名,刑事第二に3名)から成り,首席調査官付の調査官も若干名置かれている(宇賀・前掲85頁)。
一般の調査官は判事補任官から20年前後,上席調査官は25年前後,首席調査官は35年前後の裁判官が務め,一般の調査官は通常4年で交代する(宇賀・前掲85頁,92頁)。
各年度の配置は最高裁判所調査官の配置にまとめている。
(2) 調査官室への事件の振り分け
事件は類型ごとに専門の調査官室へ分配されるが,学界の分類とは異なる面があり,労働事件は行政調査官室に分配され,知的財産関係事件は行政訴訟も含めて民事調査官室に分配される(宇賀・前掲19頁)。
国家賠償請求事件は,行政処分の違法を理由とするものが行政調査官室,それ以外のものが民事調査官室の担当となる(宇賀・前掲19頁)。
(3) 調査官報告書の内容と作成過程
調査官報告書は,一般に,①事案の概要,②第一審判決及び原判決の要旨,③上告理由・上告受理申立理由(論旨),④調査の結果,⑤処理方針等から成る(宇賀・前掲86頁)。
最も重要なのは④であり,論点に関する判例,下級審裁判例,学説,関係法令の立法経緯及び紛争の社会的背景等が検討される(宇賀・前掲87頁)。
期日審議事件の報告書は,担当調査官が起案した後,所属する調査官室での検討と上席調査官の決裁を経て提出される(宇賀・前掲86頁)。
その厚さは平均5センチメートル程度とみられ,大法廷事件では10センチメートル程度のファイルになる(宇賀・前掲25頁,47頁)。
調査官室は,配てんから1年を超えて報告書が提出されない事件を出さないことを目標としている(宇賀・前掲91頁)。
(4) 判例評釈と意見書の扱い
本書によれば,報告書には関連する重要判例が参考判例として添付されるものの,判例評釈は原則として添付されず,稀に添付されても調査官解説に限られる(宇賀・前掲88頁)。
当事者が提出した専門家の意見書も,報告書に常に添付されるわけではない(宇賀・前掲89頁)。
著者は,関連する判例評釈と当該事件で提出された意見書を報告書の資料として添付することが望ましいと述べる(宇賀・前掲89頁)。
また著者は,調査官の間には確立した判例を所与とする意識が根強く,報告書の提出の目標期間もあって学説上の対立に深入りする余裕がないことが,学界で見直しが議論されている判例の変更を難しくしている構造的な要因であると指摘している(宇賀・前掲90頁~91頁)。
第3 審議の方式
1 持ち回り審議
(1) 対象と割合
本書によれば,最高裁判所が扱う事件の約95%は,口頭で審議せず,書面を回して決裁する持ち回り審議で処理される(宇賀・前掲21頁)。
典型は,上告理由に該当しないことが明白な上告事件や,法令の解釈に関する重要な事項を含まない上告受理申立事件である(宇賀・前掲21頁)。
刑事上告事件では約99%が上告棄却決定で処理されている(宇賀・前掲23頁)。
第1次的な判断は担当調査官が行い,行政調査官室では,持ち回り審議事件も含めて報告書の提出前に上席調査官が全件を確認している(宇賀・前掲21頁)。
(2) 一件書類と調書決定
持ち回り審議では,決定案,調査官報告書及び資料(第一審判決・原判決の写し,上告理由書等の副本など)を束ねた一件書類が,主任裁判官から順に各裁判官へ回され,処理方針に賛成する裁判官が押印する(宇賀・前掲21頁~22頁)。
全員が押印すると決定案どおりの審議が成立し,上告棄却決定や上告不受理決定は,決定書に代えて決定の内容を調書に記載する調書決定の方式で行われている(宇賀・前掲22頁)。
本書は,調書決定の根拠を民事訴訟規則50条の2とし,最高裁判所の決定には平成16年10月から導入されたと説明している(宇賀・前掲22頁)。
(3) 付記の運用と著者の提言
第三小法廷では,押印する場合でも感想や疑問点を付記して次の裁判官に回す運用があり,A4で1枚程度の意見が付記されることも稀ではなかったとして,著者は,持ち回り審議も粗雑な審理ではないと強調している(宇賀・前掲23頁)。
著者は,既存の判例で解決できる事件は持ち回り審議とされる傾向が強いが,反対意見や意見が付いた判例が関係する事件は,構成員が入れ替わった裁判体で改めて比較検討する意味があるから,期日審議事件とすべきではないかと提言している(宇賀・前掲24頁)。
2 軽審議
(1) 軽審議の仕組み
本書によれば,第三小法廷では,調査官の報告が持ち回り審議による不受理の案であっても,裁判官が1人でも口頭での審議を希望すれば,全員が評議室に集まって期日審議に付すかどうかを審議しており,これを「軽審議」と呼んでいた(宇賀・前掲24頁)。
軽審議では,通常,主任裁判官が審議用のメモを提出し,主任以外の裁判官が申し出た場合はその裁判官もメモを提出する(宇賀・前掲24頁)。
著者の在任中は大半の裁判官が軽審議を申し出ており,著者自身の申出も二桁に上ったとされる(宇賀・前掲24頁)。
(2) 軽審議の結果
軽審議の結果,多数が期日審議に同意せずに不受理となることもあれば,期日審議を経て原判決が破棄され,判例集に登載される判決に至ることもある(宇賀・前掲24頁)。
不受理とすることに反対する裁判官が多数となった場合は,通常,担当調査官に追加報告が指示され,追加報告書の提出後に期日審議が行われる(宇賀・前掲24頁~25頁)。
著者は,定型の文言で書かれた不受理決定であっても,軽審議で激しい議論を経たものが稀ではないと述べている(宇賀・前掲34頁)。
3 期日審議
(1) 対象となる事件
期日審議は,小法廷の裁判官全員が参集して口頭で行う審議であり,判例となる判断を示すような重要な法律問題を含む事件,すなわち破棄が見込まれる事件や,棄却であっても理由を示して判例とするのが相当な事件が中心となる(宇賀・前掲25頁)。
行政調査官室の事件は,憲法・行政法の難解な解釈を伴う事件や政治的・社会的影響の大きい事件の比率が高く,期日審議事件となる率も高い傾向にある(宇賀・前掲25頁)。
(2) 報告書と審議用メモ
期日審議では,持ち回り審議用よりも格段に詳しい報告書が事前に配布され,全裁判官がこれを読んだ上で,主任裁判官が通常は審議用メモを作成して配布する(宇賀・前掲25頁~26頁)。
主任以外の裁判官も,異なる意見を述べる予定であればメモを事前に出すことが少なくなく,著者はA4で100頁を超えるメモを出したこともあるという(宇賀・前掲26頁)。
著者は,期日審議事件では,調査官は複数の考え方とその長短を示すにとどめ,一つに絞った処理方針までは示さなくてよく,結論を決めるのは合議する裁判体の責任であると考えている(宇賀・前掲25頁~26頁)。
(3) 評議室での審議
審議は小法廷ごとの評議室で行われ,席次は着任順であり,最先任裁判官が司会をする慣行がある(宇賀・前掲27頁~28頁)。
第三小法廷では,主任裁判官がメモに基づいて意見を述べ,メモを出した裁判官が続いた後,残りの裁判官が着任順に述べるため,全員が発言する(宇賀・前掲28頁)。
全員一致であればその日に審議が成立し,意見が分かれれば多数決でその日に終えるか期日を改めて続けることになり,著者の経験した最長の事案では審議が10回を超えた(宇賀・前掲28頁)。
4 案文審議
期日審議で結論の方向がある程度固まると,担当調査官が裁判書の案を起案し,所属する調査官室全体で検討した上で,案文審議期日の前に配布する(宇賀・前掲28頁~29頁)。
案文審議では,事前に配布された案と各裁判官の指摘事項が審議され,当日の新たな提案で修正されることも少なくない(宇賀・前掲29頁)。
著者の経験では,調査官の案がそのまま確定することはまずなく,ほぼ常に裁判官が修正したとされる(宇賀・前掲29頁)。
第4 個別意見
1 個別意見の種類と表示義務
裁判所法11条は,裁判書又は電子裁判書には「各裁判官の意見を表示しなければならない」と定めている。
著者は,結論も理由も法廷意見・多数意見と一致する裁判官は,それを通じて意見を表示しているから,別に個別意見を書かなくても同条に反しないと理解する(宇賀・前掲29頁)。
その上で,主文と理由に賛成しつつ付け加えるものが補足意見,主文に反対するものが反対意見,主文には賛成するが理由に反対するものが意見であり,後二者は同条により表示が義務付けられると説明している(宇賀・前掲29頁~30頁)。
本書は,反対意見・意見がない場合(補足意見のみの場合を含む)の主文及び理由を法廷意見,反対意見又は意見がある場合の主文及び理由を多数意見と呼んでいる(宇賀・前掲28頁)。
自ら執筆しなくても,他の裁判官の個別意見に同調する旨を表示することもある(宇賀・前掲30頁)。
少数意見の種類と実例は,最高裁判所裁判官の少数意見でも整理している。
2 起案・審議・記載の順序
(1) 起案と審議
個別意見の案は,その裁判官自身が起案し,法廷意見等の案について合意ができた後に改めて設定される期日で審議されることが多い(宇賀・前掲29頁~30頁)。
補足意見は法廷意見・多数意見の理由と食い違ってはならないため,他の裁判官から修正意見が出ることが少なくなく,法廷意見として書くことをためらう点を,裁判体の総意として主任裁判官等が補足意見として書く場合もある(宇賀・前掲30頁)。
他方,意見や反対意見は執筆した裁判官個人の見解であるから,他の裁判官が内容に口を出すことは基本的にない(宇賀・前掲30頁~31頁)。
(2) 記載の順序
個別意見は,補足意見,意見,反対意見の順に記載するのが慣例であり,同じ種類の意見が複数あるときは,裁判長かどうかを問わず着任順となる(宇賀・前掲31頁)。
ただし,先行する個別意見に同調しつつ敷衍する意見は,先行する意見を前に置く方が分かりやすいため,その順序によることがある(宇賀・前掲31頁)。
本書は,第2部の15と17で,著者の意見が先任の宮崎裕子裁判官の意見より前に置かれている例を挙げている(宇賀・前掲31頁)。
3 共同で執筆する個別意見
期日審議で意見の分布が明らかになるため,複数の裁判官が個別意見を共同で執筆することがある(宇賀・前掲30頁)。
著者は,袴田事件の再審請求に係る特別抗告事件で林景一裁判官と共同で反対意見を,夫婦同氏制の合憲性が争われた大法廷事件で宮崎裕子裁判官と共同で反対意見を執筆した(宇賀・前掲30頁)。
裁判所HPの全文でも,前者(第10の表の36)と後者(同4)は,いずれも2人の裁判官による一つの反対意見として示されている。
著者は,互いの裁判官室を何度も行き来して議論を重ねたこの経験を,分担して執筆することの多い学界の共著とは異なる熟議であったと振り返っている(宇賀・前掲30頁)。
第5 上告受理と不受理(要点)
1 受理の判断要素
民事訴訟法318条1項は,原判決に最高裁判所の判例と相反する判断がある事件「その他の法令の解釈に関する重要な事項を含むものと認められる事件について、申立てにより、決定で、上告審として事件を受理することができる」と定めている。
本書によれば,「法令の解釈に関する重要な事項」を含むかどうかは,①法令解釈の誤りが原判決の結論に与える影響の程度,②個別事件を超えた一般的な意義の有無,③最高裁判例の有無,④下級審裁判例や学説が大きく分かれて統一の必要が大きいか,⑤下級審に同種事件が多数係属しているか,⑥傍論だけに関わる問題でないか,⑦議論の成熟性などを総合して判断される(宇賀・前掲35頁)。
同条3項は,上告受理の申立ての理由中に重要でないと認めるものがあるときは,これを排除することができると定めており,本書によれば実際にも一部の排除は多く,その当否は最終的に多数決で決まる(宇賀・前掲35頁)。
2 不受理決定の意味
本書によれば,重要な問題であっても判断の機が熟していないとして不受理とすることがあり,原審の判断に問題があると認めつつ,介入するほどの不合理はないとして不受理とすることも稀ではない(宇賀・前掲35頁~36頁)。
著者は,不受理決定は原審の判断に介入しないというものにすぎず,原判決を是認したと報じられるのは正確でないと述べる(宇賀・前掲35頁)。
また,上告受理申立ての理由に挙げられていない誤りは,原判決に重大な問題があっても職権で取り上げることができず,不受理決定の中で付言として指摘することもできない(宇賀・前掲33頁)。
不受理決定に反対した裁判官がいる場合,令和3年以降は,全員一致で不受理とするのではなく,その裁判官の反対意見がある旨を表記する運用に改められたが,反対の具体的な理由は書かれない(宇賀・前掲39頁)。
著者自身は,裁判体の判事が1人でも「法令の解釈に関する重要な事項」があると判断すれば受理する運用とすべきだという見解を正論と評価している(宇賀・前掲40頁)。
不受理決定の意味は,上告不受理決定は原判決を正しいと認めたことになるかで詳しく扱う。
第6 大法廷
1 回付の要件と違憲判断の要件
(1) 裁判所法と最高裁判所裁判事務処理規則
裁判所法10条は,①当事者の主張に基づいて法律等の合憲性を判断するとき(前に大法廷でした合憲の裁判と意見が同じときを除く),②法律等が憲法に適合しないと認めるとき,③憲法その他の法令の解釈適用について意見が前に最高裁判所のした裁判に反するときは,小法廷では裁判をすることができないと定めている。
本書によれば,最高裁判所裁判事務処理規則9条は,すべての事件をまず小法廷に分配した上で,これらの場合のほか,小法廷の意見が二説に分かれて同数のときや,大法廷で裁判することを相当と認めたときにも大法廷で審理するものとしている(宇賀・前掲46頁)。
同規則12条により,法律等を違憲とする裁判には8人以上の裁判官の意見の一致が必要である(宇賀・前掲47頁~48頁)。
(2) 回付の手続と大法廷の審議
大法廷の裁判長は長官であり,原則として小法廷の主任裁判官が引き続き主任を務め,担当調査官は通例2名が指名される(宇賀・前掲47頁)。
著者は,小法廷で違憲の疑いが濃いとする意見が多数又は同数で回付されても,大法廷では違憲論が少数にとどまることがあるとし,夫婦同氏制に関する前記の大法廷決定で違憲とした裁判官が4名にとどまった例を挙げている(宇賀・前掲47頁~48頁)。
2 在任中の大法廷事件と「小法廷の壁」
著者の在任期間中に大法廷で審議された事件は11件である(宇賀・前掲48頁)。
大法廷の判決・決定は,最高裁判所大法廷の判決及び決定の一覧にまとめている。
著者は,大法廷で違憲判断に8人以上を要することには合理性があるとする一方,小法廷の審議で回付の要件を満たさないとされる「小法廷の壁」には検討の余地があると述べる(宇賀・前掲48頁)。
5人の小法廷で回付に賛成2,反対3となった事件でも,別の小法廷に分配されていれば賛成3,反対2となり得るから,どの小法廷に分配されたかという偶然で違憲判断の有無が左右され得るというのがその理由である(宇賀・前掲48頁~49頁)。
そこで著者は,当面は5人体制の小法廷で2人が回付に賛成すれば回付するように改め,一定期間運用して回付の件数がほとんど増えなければ,さらに1人の賛成でも回付できるようにすることも検討に値すると提言している(宇賀・前掲49頁)。
もっとも著者自身,合憲と考えつつ回付を相当とする場合もあるから,回付に賛成する裁判官が増えても直ちに違憲判断の可能性が高まるとは限らないと付け加えている(宇賀・前掲49頁)。
第7 口頭弁論と判決の言渡し
1 口頭弁論を開くかどうか
(1) 条文と従来の運用
民事訴訟法87条1項は口頭弁論を原則とする一方,同法319条は,上告裁判所は,書類により上告を理由がないと認めるときは,口頭弁論を経ないで判決で上告を棄却することができると定めている。
そのため,原判決を破棄し又は変更する場合には,原則として口頭弁論が必要になる(宇賀・前掲49頁)。
本書によれば,大法廷事件と,原審で死刑判決が言い渡された上告事件は,棄却が見込まれても口頭弁論を開く慣行がある(宇賀・前掲50頁)。
それ以外の事件では,破棄・変更の場合にだけ弁論を開き,棄却判決では開かない運用がほぼ定着していたため,期日の指定が破棄の見通しを意味することになり,当事者が弁論で説得に努める意味が失われて弁論が形骸化しているとの批判を免れなかった(宇賀・前掲56頁)。
そこで,棄却判決では弁論を開かないという運用が見直され,事例の積み重ねによって,期日の指定が原判決の見直しを意味するわけではないという認識が形成されることが期待された(宇賀・前掲56頁)。
(2) 棄却見込みでも弁論を開く運用
第三小法廷では,著者の在任中,口頭弁論を経て上告を棄却した例がいくつかあり,本書はその著名な例として,マンションの相続税評価が争われた最高裁第三小法廷令和4年4月19日判決(令和2年(行ヒ)第283号,民集76巻4号411頁)を挙げている(宇賀・前掲51頁~52頁)。
裁判所HPの裁判要旨によれば,同判決は,財産評価基本通達の定める方法による画一的な評価を行うことが実質的な租税負担の公平に反するというべき事情がある場合には,同通達の定める方法による評価額を上回る価額で課税価格を算定しても,租税法上の一般原則としての平等原則に違反しないと判断して,上告を棄却したものである。
統計的には口頭弁論が開かれると破棄・変更が多いため,期日の指定を受けて原判決の維持を望む側が和解を働きかけ,上告等が取り下げられることがあり,処分権主義の下では最高裁判所が判断を示したくても止められない(宇賀・前掲52頁,60頁~61頁)。
著者は,こうした事態を避けるためにも,棄却が見込まれる事件で口頭弁論を開く例を増やすべきだと考えている(宇賀・前掲52頁)。
2 口頭弁論期日の運営
(1) 期日の調整と当日の流れ
口頭弁論を開く場合,担当書記官が当事者と期日を調整し,弁論する代理人の数と氏名,答弁書や弁論要旨の提出期限,弁論時間及び弁論の順序などを協議する(宇賀・前掲50頁)。
上告審の口頭弁論は1回だけとするのが慣行であり,弁論から判決の言渡しまでは1か月ほどが一般的である(宇賀・前掲52頁~53頁)。
本書によれば,開廷する曜日は小法廷ごとに異なり,第三小法廷は通常火曜日又は金曜日の午後3時,第一小法廷は月曜日又は木曜日,第二小法廷は月曜日又は金曜日,大法廷は水曜日である(宇賀・前掲52頁~53頁)。
(2) 裁判官の質問と事案概要ペーパー
かつての最高裁判所の口頭弁論は,書面に記載したとおり陳述すると述べるだけの形式的なものであったが,次第に弁論要旨に沿った口頭陳述が一般化し,数は限られるものの裁判官が質問する例も出てきている(宇賀・前掲54頁)。
質問が不意打ちにならないよう,期日外釈明などで事前に裁判所の問題意識が伝えられることがあり,第三小法廷では,令和7年7月8日の口頭弁論で質疑応答の骨子が調書に記載された(宇賀・前掲54頁)。
傍聴人向けには,争点,原判決の判断及び最高裁判所で争われている点を簡潔に説明したA4で1枚の事案概要ペーパーが,大法廷事件では平成29年7月から配布され,著者の就任後まもなく小法廷事件でも基本的に配布されるようになった(宇賀・前掲57頁~58頁)。
配布された事案概要ペーパーは,最高裁判所の口頭弁論期日で配布された,傍聴人の皆様へに掲載している。
3 判決の言渡しと口頭弁論の配信
(1) 理由の要領の口頭告知
刑事上告事件では従来から判決の言渡しの際に理由の要旨を告げていたが,民事上告事件の小法廷では主文だけを告げていた(宇賀・前掲61頁~62頁)。
平成28年2月に,各小法廷が相当と認める事件では言渡しの際に理由の要領を口頭で告げることができることが裁判官の間で確認され,著者の在任中の第三小法廷では全件で告知していたとされる(宇賀・前掲62頁)。
本書は,その根拠を民事訴訟規則155条2項(令和6年最高裁判所規則第14号の施行後は157条2項)とし,法令上の義務ではなく裁判長の裁量によるものと位置付けている(宇賀・前掲61頁)。
(2) ライブ配信の検討
著者は,英国,カナダ,韓国及び中国のように最高裁判所の口頭弁論をインターネットでライブ配信する国があることを紹介し,配信は移動の負担や抽選で傍聴できない問題を解消して口頭弁論の公開を実質化するものであるから,日本でも検討に値すると述べる(宇賀・前掲59頁)。
他方で著者は,秘匿すべき当事者の氏名が弁論中に実名で述べられることがあるためライブ配信に踏み切れていないオーストラリア連邦最高裁判所の例を挙げ,慎重な検討も要するとしている(宇賀・前掲59頁~60頁)。
第8 判例集・裁判集と判例委員会
1 登載の決定と判例委員会
重要な判決・決定については,最高裁判所判例集(民集・刑集)又は最高裁判所裁判集(集民・集刑)への登載が検討され,審理した裁判体が通常は案文審議の終了時にその是非を議論する(宇賀・前掲62頁)。
判例集への登載が適当とされた原案は判例委員会に諮られ,最終的な決定権限は判例委員会にある(宇賀・前掲62頁)。
判例委員会は,各小法廷から原則として最先任の裁判官とその次に着任した裁判官が2名ずつ出る計6名で構成され,原則として毎月1回,通例は月曜日の午後に開かれる(宇賀・前掲66頁)。
2 判例集登載と裁判集登載の差
(1) 調査官解説の有無
判例集に登載された判例については,担当調査官がジュリストに速報的な解説を,法曹時報に詳細な解説を書き,それがまとめられて『最高裁判所判例解説』(法曹会)として刊行される(宇賀・前掲63頁)。
学界でも,判例研究会や判例百選の対象は原則として判例集登載判例とされており,判例集と裁判集のどちらに載るかで受け止め方が大きく異なる(宇賀・前掲62頁~63頁)。
(2) 裁判集にとどまる個別意見の影響
著者は,判例集登載判例が変更されない限り,裁判集登載にとどまる判決の個別意見で繰り返し問題を指摘しても,下級審の実務にはほとんど影響せず,判例集登載判例と調査官解説がいわば「バイブル」として影響力を持ち続けると指摘する(宇賀・前掲65頁)。
そこで著者は,判例集登載判例に重要な疑問を呈する個別意見が付いた判決は,事例判決であっても判例集に登載すべきであり,個別意見が付いた判決は少なくとも裁判集には登載すべきだと提言している(宇賀・前掲65頁~66頁)。
著者が意見を付した最高裁第三小法廷令和7年6月3日判決(令和5年(行ヒ)第335号)については,第三小法廷で判例集への登載を提案することに全員が同意したとされ(宇賀・前掲65頁),裁判所HPでも民集79巻4号1389頁に登載された判決として表示されている。
情報公開訴訟における情報単位論をめぐる個別意見の系譜と同判決の意義は,情報単位論と最高裁令和7年6月3日判決で扱う。
3 判決の公開と民事裁判情報のデータベース化
著者は,判例集・裁判集に登載される判決は最高裁判所の判決・決定のごく一部にすぎないとして,日本は判決の公開で立ち遅れていたと評価する(宇賀・前掲67頁~68頁)。
その上で著者は,令和7年5月30日に公布された民事裁判情報の活用の促進に関する法律(令和7年法律第49号)によって,判決の全件と重要な決定がデータベースで公開される方向に進んでいることを歓迎している(宇賀・前掲68頁)。
同法1条は,民事裁判情報の適正かつ効果的な活用のための基盤の整備を図ることを目的として掲げている。
第9 最高裁判事の構成と国民審査
1 出身別の構成の慣行
(1) 任命資格
憲法79条1項は,長たる裁判官以外の最高裁判所の裁判官は内閣が任命すると定めている。
裁判所法41条1項は,識見の高い,法律の素養のある年齢40年以上の者から任命するとし,そのうち少なくとも10人は,裁判官,検察官,弁護士,大学の法律学の教授等の職に一定の年数以上在った者でなければならないと定めている。
著者は,法律専門職としての経験が要件とされるのは最低10人分に限られるから,残る5人までは法律の素養があれば法律専門職の出身である必要はないとし,そこに多様な知見を審議に反映させるという価値判断を読み取っている(宇賀・前掲69頁~70頁)。
(2) 構成の慣行と小法廷への配属
本書によれば,近年の15名の内訳は,慣行上,キャリア裁判官6名,弁護士4名,検察官2名,大学教授1名,外交官1名,外交官以外の行政官1名であるが,法律に定めがあるわけではなく,過去には弁護士出身者が5名の時期や大学教授出身者が2名の時期もあった(宇賀・前掲70頁)。
著者は,キャリア裁判官6名の内訳は民事系4名,刑事系2名で固定しており,民事系の後任には民事系,刑事系の後任には刑事系が任命されているようにみえると述べる(宇賀・前掲71頁)。
小法廷への配属にも暗黙のルールがあり,外交官出身者と大学教授出身者は第三小法廷に所属するため,著者は,法曹三者以外の者が2名いる第三小法廷を最も多様性に富んだ小法廷と評している(宇賀・前掲73頁)。
2 国民審査の課題と著者の提言
(1) 制度と課題
憲法79条2項は,最高裁判所の裁判官の任命を,任命後初めて行われる衆議院議員総選挙の際に国民の審査に付し,その後10年を経過した後初めて行われる総選挙の際に更に審査に付すと定めている。
著者の在任中には,令和3年に11人,令和6年に6人の国民審査が行われ,著者自身も令和3年に審査を受けた(宇賀・前掲82頁)。
著者は,国民審査が任命後最初の総選挙の際に行われるため,任命から審査までの期間が短いと最高裁判所で関与した主要な裁判がほとんどないまま審査されることになる点と,近年は全員が60歳代で任命されるため,10年後の再審査の機会が実際上ない点を課題として挙げる(宇賀・前掲82頁~83頁)。
(2) 二つの提言
第1に,著者は,情報提供の対象を最高裁判所で関与した裁判に限らず,それまでの職務に広げることを提案し,大学教授出身者については,重要な最高裁判決の評釈でどのような意見を述べたかを示すことが適切だとする(宇賀・前掲83頁)。
この方法は,憲法や法律を改正しなくても実現できるとされる(宇賀・前掲83頁)。
第2に,著者は,憲法改正が必要なため当面の実現可能性は乏しいとしつつ,審査の時期を,任命後2年を経過した後に初めて行われる衆議院議員総選挙又は参議院議員通常選挙の時とすることを提案している(宇賀・前掲83頁~84頁)。
任命後2年ほどで重要な事件に関与する機会が相当数あること,参議院議員通常選挙は3年に1回確実に行われることが,その理由とされる(宇賀・前掲83頁~84頁)。
国民審査で判断材料を集める方法は,最高裁判所裁判官国民審査の判断方法-審査公報・関与裁判・多数意見・個別意見の調べ方で扱っている。
第10 第2部の個別意見38件
1 第2部の構成と意見の種別
第2部に収録された38件は,令和2年から令和7年までの判決・決定に著者が付した個別意見であり,憲法(1~13),行政法(14~30),民事実体法(31),労働法(32),民事訴訟法関係(33~35)及び刑事法(36~38)の順に並んでいる(宇賀・前掲117頁~370頁)。
意見の種別は,反対意見が20件(うち共同反対意見2件),補足意見が15件,意見が3件である。
共同反対意見は,夫婦同氏制に関する4(宮崎裕子裁判官と共同)と,袴田事件に関する36(林景一裁判官と共同)である。
本記事では,38件のすべてについて,裁判所HPの詳細ページと全文PDFにより,法廷,裁判年月日,事件番号及び著者の個別意見の種別が本書の記載と一致することを確認した。
下の表の掲載誌は裁判所HPの「判例集等巻・号・頁」欄の記載によっており,同欄が空欄のものは記載していない。
事件の名称は本書の表題を簡略にしたものであり,判決文中の名称ではない。
同じ日に同じ論点の別事件があるもの(6,7,8,14,27,31及び33)は,本書の掲載誌と一致する事件を掲げた。
31の旧優生保護法大法廷判決は改正前民法724条後段の除斥期間と最高裁令和6年7月3日大法廷判決で,25の納骨堂の原告適格は墓地・納骨堂の経営許可を争う行政訴訟で扱っている。
2 38件の一覧
(1) 憲法(1~13)
| 番号 | 裁判(最高裁判所) | 事件(本書の表題による) | 著者の意見 |
|---|---|---|---|
| 1 | 第三小法廷令和3年11月30日決定,令和2年(ク)第638号,集民266号185頁 | 未成年の子なし要件(性別の取扱いの変更) | 反対意見 |
| 2 | 大法廷令和5年10月25日決定,令和2年(ク)第993号,民集77巻7号1792頁 | 生殖不能要件(性別の取扱いの変更) | 反対意見 |
| 3 | 第三小法廷令和5年7月11日判決,令和3年(行ヒ)第285号,民集77巻5号1171頁 | 経済産業省トイレ事件 | 補足意見 |
| 4 | 大法廷令和3年6月23日決定,令和2年(ク)第102号,集民266号1頁 | 夫婦同氏制(婚姻届不受理処分) | 共同反対意見 |
| 5 | 第三小法廷令和7年6月10日判決,令和6年(行ツ)第54号 | 児童扶養手当の併給調整 | 反対意見 |
| 6 | 大法廷令和2年11月18日判決,令和2年(行ツ)第78号,民集74巻8号2111頁 | 令和元年参議院議員選挙(投票価値の較差) | 反対意見 |
| 7 | 大法廷令和5年1月25日判決,令和4年(行ツ)第130号,民集77巻1号1頁 | 令和3年衆議院議員選挙(投票価値の較差) | 反対意見 |
| 8 | 大法廷令和5年10月18日判決,令和5年(行ツ)第54号,民集77巻7号1654頁 | 令和4年参議院議員選挙(投票価値の較差) | 反対意見 |
| 9 | 第三小法廷令和7年1月28日判決,令和5年(行ツ)第404号 | 千葉県議会議員選挙(定数配分) | 反対意見 |
| 10 | 大法廷令和2年11月25日判決,平成30年(行ヒ)第417号,民集74巻8号2229頁 | 地方議会議員の出席停止処分 | 補足意見 |
| 11 | 第三小法廷令和5年2月21日判決,令和3年(オ)第1617号,民集77巻2号273頁 | 金沢市庁舎前広場事件 | 反対意見 |
| 12 | 第三小法廷令和6年5月7日判決,令和5年(行ツ)第334号 | 青色申告承認取消処分と事前手続 | 反対意見 |
| 13 | 第三小法廷令和5年9月27日決定,令和4年(許)第21号,集民270号161頁 | 死刑確定者による口頭弁論期日への出席 | 補足意見 |
(2) 行政法(14~30)
| 番号 | 裁判(最高裁判所) | 事件(本書の表題による) | 著者の意見 |
|---|---|---|---|
| 14 | 第三小法廷令和2年2月25日判決,平成30年(行ヒ)第215号,民集74巻2号19頁 | 原爆症認定申請却下処分 | 補足意見 |
| 15 | 第三小法廷令和3年7月6日判決,令和3年(行ヒ)第76号,民集75巻7号3422頁 | 辺野古さんご類移植の特別採捕許可 | 反対意見 |
| 16 | 第三小法廷令和3年12月21日判決,令和2年(行ヒ)第335号 | 政務活動費の返還請求(住民訴訟) | 補足意見 |
| 17 | 第三小法廷令和2年3月24日判決,平成30年(行ヒ)第422号,集民263号63頁 | 所得税基本通達(取引相場のない株式) | 補足意見 |
| 18 | 第三小法廷令和3年3月2日判決,令和2年(受)第763号,民集75巻3号317頁 | 間接補助金による財産の処分の承認 | 補足意見 |
| 19 | 第三小法廷令和2年7月14日判決,平成31年(行ヒ)第40号,民集74巻4号1305頁 | 国家賠償法1条2項に基づく求償権 | 補足意見 |
| 20 | 第三小法廷令和3年6月15日判決,令和2年(行ヒ)第102号,民集75巻7号3064頁 | 刑事施設における診療録の開示請求 | 補足意見 |
| 21 | 第三小法廷令和4年5月17日判決,令和2年(行ヒ)第340号,集民267号53頁 | 預託法違反に係る調査結果報告書等の開示 | 補足意見 |
| 22 | 第三小法廷令和7年6月3日判決,令和5年(行ヒ)第335号,民集79巻4号1389頁 | 警察庁保有個人情報管理簿の開示 | 意見 |
| 23 | 第三小法廷令和7年6月6日判決,令和6年(行ヒ)第94号 | 機能性関与成分検証事業報告書の開示 | 補足意見 |
| 24 | 第三小法廷令和4年12月13日判決,令和3年(行ヒ)第120号,民集76巻7号1872頁 | 被扶養者非該当通知の処分性と教示 | 反対意見 |
| 25 | 第三小法廷令和5年5月9日判決,令和4年(行ヒ)第150号,民集77巻4号859頁 | 納骨堂の経営許可と周辺住民の原告適格 | 意見 |
| 26 | 第三小法廷令和5年6月27日判決,令和4年(行ヒ)第274号,民集77巻5号1049頁 | 懲戒免職処分と退職手当支給制限処分 | 反対意見 |
| 27 | 第三小法廷令和7年6月27日判決,令和5年(行ヒ)第397号,民集79巻4号1640頁 | 生活扶助基準の改定(生活保護) | 反対意見 |
| 28 | 第三小法廷令和7年2月26日決定,令和6年(行フ)第1号,民集79巻2号1頁 | タクシー運賃変更命令の仮の差止め | 反対意見 |
| 29 | 第三小法廷令和5年9月12日判決,令和4年(行ツ)第144号,民集77巻6号1515頁 | 臨時会召集決定を行う義務の確認請求 | 反対意見 |
| 30 | 大法廷令和4年5月25日判決,令和2年(行ツ)第255号,民集76巻4号711頁 | 在外国民の国民審査権 | 補足意見 |
(3) 民事実体法(31)及び労働法(32)
| 番号 | 裁判(最高裁判所) | 事件(本書の表題による) | 著者の意見 |
|---|---|---|---|
| 31 | 大法廷令和6年7月3日判決,令和5年(受)第1319号,民集78巻3号382頁 | 旧優生保護法と除斥期間 | 意見 |
| 32 | 第三小法廷令和2年10月13日判決,令和元年(受)第1190号,民集74巻7号1901頁 | メトロコマース事件(退職金) | 反対意見 |
(4) 民事訴訟法関係(33~35)
| 番号 | 裁判(最高裁判所) | 事件(本書の表題による) | 著者の意見 |
|---|---|---|---|
| 33 | 第三小法廷令和2年3月24日決定,令和元年(許)第12号,集民263号135頁 | 北海道大学事件(文書提出命令) | 補足意見 |
| 34 | 第三小法廷令和2年4月7日判決,平成31年(受)第606号,民集74巻3号646頁 | 執行費用と費用額確定処分の排他性 | 補足意見 |
| 35 | 第三小法廷令和4年11月30日決定,令和3年(許)第17号,集民269号71頁 | 子の引渡しの間接強制 | 補足意見 |
(5) 刑事法(36~38)
| 番号 | 裁判(最高裁判所) | 事件(本書の表題による) | 著者の意見 |
|---|---|---|---|
| 36 | 第三小法廷令和2年12月22日決定,平成30年(し)第332号,集刑328号67頁 | 袴田事件(再審請求) | 共同反対意見 |
| 37 | 第三小法廷令和6年1月29日決定,令和4年(し)第206号,集刑333号1頁 | 名張ぶどう酒事件(再審請求) | 反対意見 |
| 38 | 第三小法廷令和7年2月25日決定,令和5年(し)第412号 | 大崎事件(再審請求) | 反対意見 |
第11 出典
法令(e-Gov法令検索。令和8年9月25日確認)
①日本国憲法79条1項・2項
②裁判所法10条,11条,41条1項,57条
③民事訴訟法87条1項,318条1項・3項,319条
④民事裁判情報の活用の促進に関する法律(令和7年法律第49号)1条
裁判例(裁判所HP)
①最高裁第三小法廷令和4年4月19日判決(令和2年(行ヒ)第283号,民集76巻4号411頁)
②最高裁大法廷令和3年6月23日決定(令和2年(ク)第102号,集民266号1頁)
③最高裁第三小法廷令和2年12月22日決定(平成30年(し)第332号,集刑328号67頁)
④最高裁第三小法廷令和7年6月3日判決(令和5年(行ヒ)第335号,民集79巻4号1389頁)
⑤第2部の個別意見38件は,第10の2の表の各行に掲げた裁判所HPの詳細ページ
文献
①宇賀克也『管見 最高裁判所』(有斐閣,2026年)1頁~116頁(第1部),117頁~370頁(第2部)
第12 関連記事
宇賀克也の経歴
最高裁判所は判決をどう決めるか-大法廷・小法廷・評議・多数意見・少数意見
最高裁判所調査官とは?職務・調査報告書・判例解説を解説
最高裁判所調査官の配置
最高裁判所判例解説(調査官解説)の意味・読み方・探し方
最高裁判所における民事事件の口頭弁論期日
最高裁判所裁判官国民審査の判断方法-審査公報・関与裁判・多数意見・個別意見の調べ方
上告審に関するメモ書き
最高裁判所裁判官の少数意見
情報単位論と最高裁令和7年6月3日判決
上告不受理決定は原判決を正しいと認めたことになるか
最高裁判所判事の裁判以外の職務