最高裁判所の口頭弁論期日で配布された,傍聴人の皆様へ

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目次
1 最高裁判所の口頭弁論期日で配布された,「傍聴人の皆様へ」
2 裁判所傍聴規則
3 法廷等の秩序維持に関する法律
4 法廷警察権に基づく裁判長の措置が違法となる場合
5 関連記事その他

1 最高裁判所の口頭弁論期日で配布された,「傍聴人の皆様へ」
(令和4年)
1月分2月分3月分4月分5月分6月分,7月分,
8月分,9月分,10月分,11月分,12月分
(令和3年)
1月分2月分3月分5月分6月分7月分
8月分9月分10月分11月分12月分
(令和2年)
1月分2月分3月分6月分7月分
8月分9月分10月分11月分12月分
(令和元年)
6月分7月分9月分10月分11月分12月分

(平成時代)
・ 平成30年 9月から同年11月までの分
・ 平成31年 1月から同年 4月までの分

2 裁判所傍聴規則
(1) 裁判所傍聴規則(昭和27年9月1日最高裁判所規則第21号)は以下のとおりです。
第一条 裁判長又は一人の裁判官(以下「裁判長」という。)は、法廷における秩序を維持するため必要があると認めるときは、傍聴につき次に掲げる処置をとることができる。
一 傍聴席に相応する数の傍聴券を発行し、その所持者に限り傍聴を許すこと。
二 裁判所職員に傍聴人の被服又は所持品を検査させ、危険物その他法廷において所持するのを相当でないと思料する物の持込みを禁じさせること。
三 前号の処置に従わない者、児童、相当な衣服を着用しない者及び法廷において裁判所又は裁判官の職務の執行を妨げ又は不当の行状をすることを疑うに足りる顕著な事情が認められる者の入廷を禁ずること。
第二条 傍聴人は、入廷又は退廷に際し、裁判長の命令及び裁判長の命を受けた裁判所職員の指示に従わなければならない。
第三条 傍聴人は、法廷において、次に掲げる事項を守らなければならない。
一 静粛を旨とし、けん騒にわたる行為をしないこと。
二 不体裁な行状をしないこと。
三 みだりに自席を離れないこと。
四 裁判長の命ずること及び裁判長の命を受けた裁判所職員の指示することに従うこと。
(2) 裁判所法71条2項は「裁判長又は開廷をした一人の裁判官は、法廷における裁判所の職務の執行を妨げ、又は不当な行状をする者に対し、退廷を命じ、その他法廷における秩序を維持するのに必要な事項を命じ、又は処置を執ることができる。」と定めていますところ,法廷における秩序維持のため必要がある場合においては、退去命令に基づきその執行として、裁判官の指揮により右法廷のある建物の外まで退去させることができます(最高裁昭和31年7月17日判決)。



3 法廷等の秩序維持に関する法律
(1)ア 法廷等の秩序維持に関する法律(昭和27年7月31日法律第286号)は以下のとおりです。
・ 2条(制裁)
① 裁判所又は裁判官(以下「裁判所」という。)が法廷又は法廷外で事件につき審判その他の手続をするに際し、その面前その他直接に知ることができる場所で、秩序を維持するため裁判所が命じた事項を行わず若しくは執つた措置に従わず、又は暴言、暴行、けん騒その他不穏当な言動で裁判所の職務の執行を妨害し若しくは裁判の威信を著しく害した者は、二十日以下の監置若しくは三万円以下の過料に処し、又はこれを併科する。
② 監置は、監置場に留置する。
・ 3条(事件の審判)
① 前条第一項の規定による制裁は、裁判所が科する。
② 前条第一項にあたる行為があつたときは、裁判所は、その場で直ちに、裁判所職員又は警察官に行為者を拘束させることができる。この場合において、拘束の時から二十四時間以内に監置に処する裁判がなされないときは、裁判所は、直ちにその拘束を解かなければならない。
イ 裁判所構成法109条は,審問を妨げた者等に対し,5円以下の罰金又は5日以内の拘留に処することができると定めていました。
(2) 法曹時報5巻1号(昭和28年1月発行)に掲載されている「法廷秩序維持問題」(筆者は田中耕太郎最高裁判所長官)6頁には以下の記載があります。
    我が国における法廷の状態は、とくに特定の思想的傾向を帯びた事件又はかかる思想的傾向の者に関する事件の審理について、特別の立法的措置(山中注:法廷等の秩序維持に関する法律の制定)を必要とするにいたった。かような事件についての公開の法廷の情況は誠に遺憾なものがあった。傍聴人や被告人被疑者等の拍手喝采、喧騒、怒号、罵り等は往々裁判長の訴訟指揮を不可能ならしめる程度に達したこと新聞の報道や、もっと具体的には情況の録音によって明瞭である。さらに裁判官の命令や係員の制止を無視して暴力を振い、係員を傷害し建物や施設を破壊するがごとき事態も再三ならず発生するにいたった。しかも法廷のかような状態は、多くの場合に「法廷闘争」として指導され、計画的組織的に準備し遂行されているところから来ているものと推定しても誤りないのである。
(3) 法廷等の秩序維持に関する法律第2条に基づく監置決定及び同法3条2項による行為者の拘束は,憲法32条,33条,34条及び37条に違反するものではありません(最高裁大法廷昭和33年10月15日決定)。


4 法廷警察権に基づく裁判長の措置が違法となる場合
(1) レペタ訴訟に関する最高裁大法廷平成元年3月8日判決は以下の判示をしています。
    法廷警察権は、裁判所法七一条、刑訴法二八八条二項の各規定に従つて行使されなければならないことはいうまでもないが、前示のような法廷警察権の趣旨、目的、更に遡つて法の支配の精神に照らせば、その行使に当たつての裁判長の判断は、最大限に尊重されなければならない。したがつて、それに基づく裁判長の措置は、それが法廷警察権の目的、範囲を著しく逸脱し、又はその方法が甚だしく不当であるなどの特段の事情のない限り、国家賠償法一条一項の規定にいう違法な公権力の行使ということはできないものと解するのが相当である。
(2) 大阪地裁令和元年5月27日判決(判例秘書に掲載。裁判長は49期の大須賀寛之裁判官)は以下の判示をしています。
    法廷警察権は,迅速かつ適正な裁判の実現という憲法上の要請を踏まえ,裁判所の職務の執行を妨げ,又は不当な行状をする者に対して,法廷の秩序を維持するための相当な処分をする権限である。そして,裁判所の職務の執行を妨げたり,法廷の秩序を乱したりする行為は,裁判の各場面においてさまざまな形で現れ得るものであって,法廷警察権は,その各場面において,その都度,これに即応して適切に行使されなければならないことにかんがみれば,その行使は,当該法廷の状況等を最も的確に把握しうる立場にあり,かつ訴訟の進行に全責任をもつ裁判長の広範な裁量に委ねられて然るべきものというべきであるから,その行使の要否,執るべき措置についての裁判長の判断は,最大限に尊重されなければならない。したがって,法廷警察権に基づく裁判長の措置は,それが法廷警察権の目的,範囲を著しく逸脱し,又はその方法が甚だしく不当であるなどの特段の事情のない限り,国賠法1条1項の適用上,違法の評価を受けないものと解される最高裁昭和63年(オ)第436号平成元年3月8日大法廷判決・民集43巻2号89頁参照)。


5 関連記事その他
(1) 裁判所HPの「最高裁判所開廷期日情報」に載ってある「事案の概要」は,「傍聴人の皆様へ」のことです。
(2) 最高裁判所に対して,裁判の傍聴及び事件記録の閲覧・謄写に関する問い合わせをする場合,訟廷事務室裁判関係庶務係(03-4233-5176)に電話をすればいいです(裁判所HPの「最高裁判所の所在地」参照)。
(3)ア 以下の資料を掲載しています。
・ 裁判所の庁舎等の管理に関する規程(昭和43年6月10日最高裁判所規程第4号)
・ 裁判所の庁舎等の管理に関する規程の運用について(昭和60年12月28日付の最高裁判所経理局長依命通達)
・ 裁判所庁舎設計基準(平成19年3月30日付の最高裁判所事務総局経理局営繕課の文書)
・ 裁判所庁舎設計標準図(平成19年3月30日付の最高裁判所事務総局経理局営繕課の文書)
イ 以下の記事も参照してください。
・ 最高裁判所における民事事件の口頭弁論期日
・ 上告審から見た書記官事務の留意事項



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