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令和2年度司法試験刑事系の出題の趣旨・採点実感―未読復元との一致・相違及び答案上の教訓(AI作成)

第1 この記事の対象と結論

本記事は,令和2年度司法試験の刑事系科目について,対象年度の法務省「出題の趣旨」及び「採点実感」を読まずに作成した出題趣旨の復元版を,作成後に公式資料と照合した結果を整理するものです。

結論を先に述べると,刑事訴訟法は,任意取調べ,自白の証拠能力及び類似事実による犯人性立証という中心問題を高い精度で捉えていました。これに対し刑法は,恐喝,横領,2項強盗殺人,実行の着手,因果関係,故意,時計取得及び罪数という大きな地図は捉えたものの,銀行に対する詐欺,強盗の「暴行」要件及び設問が指定した三事実の粒度に重要な不足がありました。

この比較から分かるのは,論点名を多く挙げるだけでは足りないということです。問題文中の全行為を相手方・客体ごとに分け,条文の全要件を埋め,指定された事実数と理由数を別々に数え,主位罪を否定した後の責任まで閉じる必要があります。

第2 未読復元と公式資料を比較した方法

先に,問題文,令和2年度当時の法令及び裁判例並びに令和3年度から令和7年度までの後年度公式資料を用いて,令和2年度刑事系の出題趣旨を独立に復元しました。その際,令和2年度刑事系に直接対応する出題趣旨・採点実感は,検索結果の抜粋や転載を含めて参照していません。

復元版はSHA-256「48938DFE1C3FA604940DB116EFBEE700C96E23A643F8074556A3380DD1F7D79A」で固定し,上書きせずに保存しました。その後,法務省の公式出題趣旨の刑事系部分(PDF14頁から21頁)及び刑事系採点実感全13頁を通読し,別の比較表で,一致,部分一致,欠落,過剰論点及び事実評価の差を監査しました。

したがって,以下は公式資料の言い換えだけではありません。対象資料を遮断した時点の予測を残したまま,どこまで復元でき,どこで失敗したかを検証した記録です。

第3 刑法で一致した点

1 恐喝罪の被害額

設問1について,虚偽の暴力団員性は相手方を錯誤に陥らせる欺罔というより,畏怖させる材料であり,詐欺より恐喝を中心に検討すべきことを捉えました。また,正当な500万円の債権を含む600万円全額を被害額とする考え方と,超過100万円に限る考え方の双方を示しました。

全額説では,違法な手段により財産処分の自由を侵害したこと又は個別財産を失わせたことを重視します。超過額説では,弁済期にある500万円を保持する利益の要保護性又は債務消滅後の実質的な財産減少を重視します。公式資料も,単に違法性阻却の問題として処理せず,客体と財産的損害の段階から検討することを求めています。

2 横領,2項強盗殺人,腕時計取得及び罪数

委託を受けて回収した500万円を自己の借金返済へ用いる行為について横領罪を中心に据えたこと,債権者を殺害して返還請求を事実上不可能又は著しく困難にする利益を2項強盗の対象として検討したことは,公式資料と一致しました。

睡眠薬を飲ませた後,予定した第二行為の前に死亡結果が発生した場面では,第一行為と第二行為の不可欠性,時間的・場所的近接性及び第二行為へ進む障害の不存在から実行の着手を検討し,予定より早い結果について因果関係と故意を分けた点も一致しました。腕時計取得について,取得意思が睡眠薬投与後に生じたことから窃盗を出発点とし,死亡時点・占有及び同一機会における強盗との関係を検討した点も共通します。

第4 刑法で不足した点

1 銀行に対する1項詐欺を落とした

最も大きな欠落は,甲が銀行窓口で600万円の払戻しを請求し,犯罪被害金であることを秘して受領した行為について,銀行に対する1項詐欺罪を検討しなかったことです。

甲名義の有効な預金債権があるとしても,犯罪被害金であることが銀行の払戻判断に重要か,払戻請求が「犯罪被害金ではない」との黙示の表示を含むか,告知義務に違反する不作為による欺罔と構成できるかを検討する必要があります。また,詐欺の客体額は,先行する恐喝の被害額を600万円又は100万円のどちらと捉えたかと整合させなければなりません。

一つの金銭移動を「委託金の費消」という一つの物語にまとめたため,途中にある銀行への請求,銀行の財産処分及び現金受領という別の行為が消えたことが原因でした。

2 2項強盗殺人の「暴行」を独立に検討しなかった

債務免脱という財産上不法の利益,殺害結果,実行の着手及び因果関係を詳しく検討しても,強盗の基本的手段である暴行がなければ2項強盗殺人の構成要件は閉じません。

睡眠薬入りワインを相手方が自ら飲んだことについて,有形力の行使といえるか,薬物混入を知らない同意に意味があるか,薬理作用又は殺害行為自体を暴行と捉えられるか,第一行為と予定された第二行為を一連の実行行為として評価できるかを独立に論じる必要がありました。

3 指定された「三つの事実」の粒度を外した

公式資料が想定した三事実は,①睡眠薬が一般的な処方薬で,特殊疾患がなければ生命の危険がない量であったこと,②その特殊疾患が稀で一般人にも甲にも認識できなかったこと,③甲がその量の睡眠薬で死亡することを認識・予見していなかったことです。

未読復元は,②疾患の不可知性と③甲の予見欠如を一つの項目へまとめ,代わりに予定した第二行為を実行していないことを独立の一事実として挙げました。実行行為・因果関係・故意という法的三層を捉えても,問題文が数えさせた三つの事実と一対一に対応しなければ,設問への直接応答としては不十分です。

4 客体・主観的要件・否定後の犯罪が薄かった

口座振込が恐喝罪の「財物の交付」か「財産上不法の利益」か,横領行為を払戻時と第三者への交付時のどこに置くかに応じて客体と占有をどう定めるか,故意・不法領得意思等をどう認定するかも不足しました。

さらに,強盗殺人の成立を否定する場合には,殺人予備,強盗予備,傷害致死,過失致死又は重過失致死等,否定理由と残存事実に応じた代替犯罪を検討する必要があります。中止犯は未遂を前提とするため,既遂不成立の理由として先に置くことはできません。

第5 刑事訴訟法で一致した点

1 任意取調べの二段階審査

任意同行後の取調べについて,まず強制手段に当たるか,強制手段でないとしても社会通念上相当な方法・態様・限度かを検討する二段階の枠組みを示しました。退去の申出がなかったことだけで任意性を即断せず,約24時間,一睡もさせない徹夜,顕著な疲労及び虚偽の目撃情報を,時間軸に沿って総合した点も公式資料と一致しました。

2 自白法則と違法収集証拠排除法則

刑事訴訟法319条1項の自白法則と違法収集証拠排除法則の趣旨・判断対象を区別し,任意性に疑いがない場合でも,重大な手続違反を理由に独立排除し得るとの二元的な構成を示しました。また,取調べの違法性について評価した長時間,徹夜,疲労及び偽計を,自白の証拠能力でも一貫して用いました。

3 類似事実による犯人性立証

未起訴の類似事実から犯罪傾向を推認し,そこから本件犯人性を推認することによる不当な偏見と争点拡散の危険を示しました。その上で,顕著な特徴と相当程度の類似があり,犯人が同一であるとの推認が合理的で,犯罪傾向を介さない場合に許容し得るという枠組みを示した点は,公式資料と非常に強く一致しました。

第6 刑事訴訟法で不足した点

任意取調べでは,社会的相当性の理論的基礎として,捜査の必要性と被侵害利益を比較衡量する見解と,捜査機関に対する行為規範として判断する見解の違いを明示していませんでした。また,別の事案で示された「必要性・緊急性」等の表現を用いるなら,元判例の事案と任意取調べへの移植理由を説明する必要があります。

自白の証拠能力では,任意性一元説,違法排除一元説及び二元説という理論類型,並びに自白法則の虚偽排除・人権擁護・違法排除という根拠論の配置が不足しました。最高裁昭和53年9月7日判決の証拠物に関する排除基準を自白へ用いる場合,取調べが通常は令状主義違反そのものではないことを踏まえ,何を重大な違法及び将来抑止の根拠とするかを説明する必要があります。

なお,偽計は「犯行そのものを目撃した」という内容ではなく,犯行当夜に外出するのを見た者がいるという内容でした。偽計という名称だけで強く評価せず,告知内容の射程,疲労との相乗及び自白への具体的作用を原文に即して示す必要があります。

第7 採点実感から分かる答案上の注意

不十分になりやすい書き方改善方法
難しい論点を詳述し,基本的な構成要件を飛ばす。条文文言を全て並べ,各要素に対応する事実を記入してから発展論点へ進む。
事実を列挙して,重要・不相当と結論だけを書く。各事実がどの権利・利益又は要件を,どの方向に,なぜ動かすかを書く。
複数の法則を並べるだけで,適用関係を示さない。一元説・二元説,特則・一般則,択一・累積のどれかを明示する。
前の設問と後の設問で同じ事実の評価が変わる。前問の結論,評価理由及び後問での役割を対応表にする。
主位罪を否定したところで終える。残る行為,結果及び主観から成立し得る責任を再計算する。

第8 法律実務へ応用する五つの監査

  1. 法的行為原子化:全ての請求,受領,交付,取得,告知,不告知及び停止を動詞として抽出し,行為者,相手方,客体,金額,同意及び状態変化を記録する。
  2. 全要件スタック:主張する罪名,請求又は処分について,条文上の全要素,対応事実,未充足要素及び要素固有の対立を表にする。
  3. 個数・粒度監査:依頼又は裁判所が求めた事実数,理由数,証拠数又は請求数を別に数え,二つの事実を一枠へ無自覚に結合しない。
  4. 責任・救済残高監査:主位的な犯罪,請求又は救済を否定した後に残る行為,結果,権利及び手続を再入力し,予備的な責任又は救済まで示す。
  5. 枠組み由来・関係監査:判例基準の元事案,根拠条文,本件との差及び移植理由を確認し,複数の法則の適用順序と前後の整合性を示す。

これらは司法試験だけの技術ではありません。刑事事件の聴取記録,預金払戻しを含む財産事件,複数の請求原因がある準備書面,行政処分と後続救済が分岐する意見書でも,途中の行為又は基本要件の脱落を防ぐために利用できます。

第9 確認状態と調査の限界

一次資料で確認済み:令和2年度司法試験刑事系の問題文,法務省の公式出題趣旨の刑事系部分及び刑事系採点実感全文,並びに固定資料として収集した主要裁判例の裁判所公開本文。

資料の記載:公式資料が,出題者の検討対象又は採点上の着眼点として示した内容。公式出題趣旨・採点実感は,試験意図を確認する一次資料ですが,個別事件における判例命題の独立した根拠そのものではありません。

当ブログの推論:行為原子化,全要件スタック,個数・粒度監査,責任残高監査及び枠組み由来・関係監査を法律実務へ応用する部分。

不明・未確認:判例秘書は本検討では未検索であり,検索件数・本文閲覧件数はいずれも0件です。裁判所公開データベースは全裁判例を収録するものではないため,直接同型の下級審裁判例又は反対裁判例の不存在を意味しません。

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第11 出典

法務省「令和2年司法試験の結果について」
法務省「令和2年司法試験の出題の趣旨」(刑事系科目はPDF14頁から21頁)
法務省「令和2年司法試験の採点実感」
法務省「令和2年司法試験の採点実感(刑事系科目)」(全13頁)
e-Gov法令検索・刑法
e-Gov法令検索・刑事訴訟法