第1 結論
1 令和9年1月に名古屋地区で先行導入予定
令和8年2月27日付の最高裁判所事務総局から日弁連事務総長宛ての通知によれば,TreeeSは令和9年1月から,名古屋高等裁判所本庁,名古屋地方裁判所本庁・支部及び同地裁管内の簡易裁判所へ先行導入される予定である。
2 全国一斉の確定日は未公表
全庁導入は令和9年度中を目指すとされるが,裁判所ごとの導入日を示す確定日程表は今回確認した資料にない。調達仕様書の工程は開発・運用予定の一次資料であるが,実際のサービス開始を確認する資料ではない。
第2 令和8年5月21日以後の現行運用
1 民事訴訟の全面デジタル化
改正民事訴訟法等は令和8年5月21日に全面施行された。弁護士等の所定の訴訟代理人には電子申立てが原則として義務付けられ,現在,裁判所はmintsを電子申立て等のシステムとして案内している。
2 対象外手続
民事執行,倒産,労働審判,家事事件等は,令和8年5月21日の民事訴訟フェーズ3と同じ範囲で一律にオンライン申立ての対象になったものではない。手続類型ごとの施行日及びシステムを確認する。
第3 紙・mints・TreeeSの判定
1 旧法適用事件
日弁連会員向け案内では,令和8年5月20日までの旧法適用事件は,控訴・上告を含め,事件終了まで紙を基本とする整理が示されている。具体的事件では裁判所の案内を確認する。
2 新法適用事件
令和8年5月21日以後の新法適用事件は,現在は原則mintsを用いる。TreeeS先行導入後は,対象裁判所へ新たに提起する事件についてTreeeSを用いるとの案内がある。
3 事件単位で記録する
事務所の事件台帳に,提起日,裁判所,適用法,使用システム,移送歴及び確認した裁判所案内の日付を記録する。「令和9年になったらすべてTreeeS」といった一律処理をしない。
第4 移送時の取扱い
1 mints事件がTreeeS導入庁へ移送された場合
日弁連会員向け案内には,mints事件をTreeeS導入庁へ移送した場合,移送先では新たに立件する事件をmintsで扱うとの説明がある。既存事件データが自動でTreeeSへ移ると考えない。
2 TreeeS事件が他庁へ移送された場合
TreeeS事件を非導入庁へ移送した場合も,移送先で新たに立件する事件をmintsで扱うとの案内がある。提出済みデータ,送達状況及び記録の引継ぎ範囲は移送時に確認する。
3 運用予定として扱う
上記は先行導入前の公式案内に基づく予定である。本番運用を観察した結果ではないため,移送決定後に両裁判所の指示と事件画面を確認する。
第5 mintsから自動移行するとは限らない
1 アカウント
令和8年4月3日付調達仕様書には,mintsと同じメールアドレスを利用してTreeeSのユーザIDを取得するための改修案がある。しかし,mintsのID・パスワードがそのままTreeeSのIDになることを意味しない。
2 事件データ
今回確認した公開資料では,移行対象データ,並行運用期間及びmints終了日を確定できない。必要な提出書面・受信書面・受付結果を事件記録へ保存する。
第6 導入確認のチェックリスト
1 提出前
①裁判所のTreeeS導入日,②事件の提起日,③旧法・新法,④移送歴,⑤事件一覧の表示,⑥裁判所の障害情報を確認する。
2 導入後
対象事件を新システムで扱う根拠,アカウント,招待キー,送達受取人及び記録の引継ぎを確認し,確認日と資料を保存する。
第7 出典と証拠区分
1 確認済みの一次資料
裁判所「民事裁判手続のデジタル化」,最高裁判所事務総局令和8年2月27日付通知及び令和7年7月2日付調達仕様書等を確認した。
2 予定と未確認事項
令和9年1月の先行導入,移送時のmints利用及び全国導入目標は公式資料上の予定であり,実施済みの事実ではない。具体的稼働日,受付時間,並行運用及び本番移送例は未確認である。判例秘書でTreeeS導入・移送を扱った個別判決本文も確認していない。