第1 確認範囲と日付の意味
本記事は,新任判事補について,採用内定通知,内閣による任命,辞令交付式及びこれらに伴う案内の日程を整理するものである。
調査の基準日は令和8年9月15日であり,平成28年から令和8年までに公表された資料と,同日施行中の日本国憲法及び裁判所法を確認した。
69期から77期までの詳しい日程は,最高裁判所人事局任用課長の「裁判官任命に関する日程等について」その他の各期向け文書による。
これらは行事前に作成された案内であるため,本記事では,後日の実施資料を確認できたものを除き,「行われた」ではなく「予定されていた」と記載する。
78期については,下級裁判所裁判官指名諮問委員会の答申と内閣の閣議決定に加え,採用内定通知の日時及び辞令交付式の時刻を記載した令和8年3月26日付の最高裁判所事務総局人事局任用課長の事務連絡を確認した(第2の2)。
この事務連絡は令和8年10月に追加で確認したものであり,上記の法令の確認時点(令和8年9月15日)とは異なる。
78期の日程は,過去の日程から推測せず,この事務連絡の記載によっている。
ただし,任命日及び任命された人数は,官報でも確認した(第2の2)。
第2 69期から78期までの日程
1 69期から77期までの一覧
各期向け文書で確認できる日程は,次のとおりである。
「受付」は会場への受付時間であり,「開式」とは区別している。
| 期・根拠資料 | 司法修習終了日 | 採用内定通知 | 通知方法 | 任命日 | 辞令交付式の予定 | 主な案内方法・関連行事 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 77期 | 令和7年3月26日 | 令和7年4月16日午前11時以降 | 電話 | 令和7年4月24日 | 令和7年5月14日。受付午後2時30分から午後3時30分まで,開式午後4時 | 案内文書はメール。式後に大法廷見学及び壮行会を予定 |
| 76期 | 令和5年12月13日 | 令和5年12月20日午前11時以降 | 電話 | 令和6年1月16日 | 令和6年1月16日。受付午後2時30分から午後3時30分まで,開式午後4時 | 案内文書はメール。式後に小法廷見学及び壮行会を予定 |
| 75期 | 令和4年12月7日 | 令和4年12月21日午前11時以降 | 電話 | 令和5年1月16日 | 令和5年1月16日。受付午後1時から午後2時まで,開式午後2時30分 | 案内文書は速達・簡易書留。式後に小法廷見学及び最高裁判所判事との座談会を予定 |
| 74期 | 令和4年4月20日 | 令和4年4月27日午前11時以降 | 電話 | 令和4年5月17日 | 令和4年5月17日午後2時30分開式 | 案内文書は速達・簡易書留。式後に小法廷見学及び最高裁判所判事との座談会を予定 |
| 73期 | 令和2年12月16日 | 令和2年12月23日午前11時以降 | 電話 | 令和3年1月16日 | 令和3年1月18日(月)午後3時開式 | 案内文書は速達・簡易書留。式後に小法廷見学及び最高裁判所判事との座談会を予定 |
| 72期 | 令和元年12月11日 | 令和元年12月25日午前11時頃から午後5時頃まで | 電話 | 令和2年1月16日 | 令和2年1月16日。午後3時までに出頭し,午後4時開式 | 案内文書は速達・簡易書留。午後5時30分から午後7時まで壮行会を予定 |
| 71期 | 平成30年12月12日 | 平成30年12月26日午前11時頃から午後5時頃まで | 電話 | 平成31年1月16日 | 平成31年1月16日。午後3時までに出頭し,午後4時開式 | 案内文書は速達・簡易書留。午後5時30分から午後7時まで壮行会を予定 |
| 70期 | 平成29年12月13日 | 平成29年12月20日午後1時頃以降 | 電報 | 平成30年1月16日 | 平成30年1月16日。午後3時までに出頭し,午後4時開式 | 平成30年1月9日に説明会。式後に午後5時30分から午後7時30分まで壮行会を予定 |
| 69期 | 平成28年12月14日 | 平成28年12月21日午後1時頃以降 | 電報 | 平成29年1月16日 | 平成29年1月16日。午後3時までに出頭し,午後4時開式 | 平成29年1月6日に説明会 |
76期及び77期の資料では,午後2時30分は辞令交付式の開式時刻ではなく,受付開始時刻である。
いずれも受付は午後3時30分までであり,開式は午後4時とされている。
69期から75期までの司法修習終了日は,司法研修所「司法修習ハンドブック」(2024年1月)の沿革(86頁~87頁)によっている。
73期は,裁判官任命日が令和3年1月16日(土)であり,辞令交付式はその2日後の同月18日(月)とされていた(令和2年12月10日付の事務連絡2頁)。
2 78期について確認できる範囲
下級裁判所裁判官指名諮問委員会は,令和8年4月10日,78期に当たる令和8年4月の新任判事補候補者83人全員について,判事補に任命されるべき者として指名することが適当であると最高裁判所に答申することとした。
内閣は,同月17日の閣議で,83人を判事補に任命することを決定した。
任命の事実は,官報令和8年4月27日本紙第1695号5頁の「内閣」欄で確認できる。
同欄には,判事補に任命する旨とともに「(四月二十三日)」の日付が記載されており,任命された者を数えると83人で,委員会の答申及び閣議決定の人数と一致する。
また,令和8年3月26日付の最高裁判所事務総局人事局任用課長の事務連絡「裁判官任命に関する日程等について」では,78期の日程は次のとおりとされている。
①採否の通知(採用内定通知)は,令和8年4月15日午前11時以降に,人事局職員が各人の連絡先へ電話する方法により行う(1頁)。
②採用内定者への案内文書は,採否の通知後にメールで送信する(2頁)。
③宿舎への入居に関しては,同月16日午前11時までに回答する必要がある(2頁)。
④裁判官任命日は,同月23日である(3頁)。
⑤辞令交付式は同年5月13日であり,受付は午後2時30分から午後3時20分まで,進行の説明は午後3時30分,開式は午後4時とされている(3頁)。
これらは行事前の案内に記載された予定であり,任命日(同月23日)は前記の官報で確認できるものの,その他の行事が実際にその日時に行われたことまでは,この事務連絡だけでは確認できない。
また,78期の受付終了は午後3時20分であり,76期及び77期の午後3時30分とは異なるため,77期以前の時刻を78期へ当てはめることはできない。
第3 採用内定通知,任命及び辞令交付式の違い
1 判事補の任命に関する法的な仕組み
日本国憲法80条1項は,下級裁判所の裁判官を,最高裁判所が指名した者の名簿によって内閣が任命すると定めている。
裁判所法40条1項も,判事補を含む下級裁判所裁判官について同じ仕組みを定め,同法43条は,判事補を司法修習生の修習を終えた者の中から任命すると定めている。
下級裁判所裁判官指名諮問委員会は,最高裁判所の諮問を受け,指名候補者を指名することの適否を審議して最高裁判所に意見を述べる機関である。
同委員会の答申それ自体が,内閣による任命ではない。
2 77期及び78期における各段階の日付
77期では,①令和7年4月11日に指名諮問委員会が答申を決定し,②同月16日午前11時以降に人事局職員から採用内定の電話をする予定とされ,③同月18日に内閣が90人を判事補に任命することを閣議決定し,④同月24日付で任命され,⑤同年5月14日に辞令交付式が予定されていた。
この時系列からも,委員会答申,採用内定通知,閣議決定,任命日及び辞令交付式は別の段階であることが分かる。
78期では,①令和8年4月10日に指名諮問委員会が答申を決定し,②同月15日午前11時以降に人事局職員から採否の通知の電話をする予定とされ,③同月17日に内閣が83人を判事補に任命することを閣議決定し,④同月23日付で任命され,⑤同年5月13日に辞令交付式が予定されていた。
答申と閣議決定が金曜日,採否の通知が水曜日,任命日が木曜日,辞令交付式が水曜日であるという曜日の並びは,77期と同じである。
もっとも,この並びを確認できたのは4月に任命された77期及び78期だけであるから,他の期の日程を推測する根拠にはならない。
12月に修習を終えた69期から73期まで,75期及び76期は,第2の1の表のとおり任命日がいずれも1月16日であり,曜日は一定していない(73期は土曜日)。
採用内定通知の日付は,内閣が任命を決定する閣議の日付又は任命日と同じとは限らない。
また,辞令交付式は任命後に行われる場合があるため,式の日を任命日として読み替えることもできない。
第4 通知及び案内方法の変化
1 連絡方法の変化
(1) 電報から電話への変更
69期及び70期の採用内定通知は,最高裁判所人事局長名の電報によるものとされ,受領者は当日中に人事局へ電話するよう求められていた。
71期以降に確認できる各期向け文書では,人事局職員が各人の連絡先へ電話する方法に変わっている。
(2) 書面郵送からメールへの変更
75期までは,採用内定者に対する案内文書を採用内定通知の日に速達・簡易書留で発送する予定とされていた。
76期から78期までは,採用内定者に案内文書をメールで送信する方式が確認できる。
78期では,これに加えて,司法研修所から研修関係の案内文書をTeamsで送信する予定とされている(令和8年3月26日付の事務連絡2頁)。
2 採用希望者に対するテストメール
76期向け文書では,令和5年12月11日に採用希望者へテストメールを送信し,同月13日までに返信するよう求めていた。
77期向け文書でも,令和7年4月7日にテストメールを送信する予定が記載されているため,確認できた資料上,テストメールは遅くとも76期には実施されていた。
78期向け文書では,令和8年4月2日午前中にテストメールを送信し,遅くとも同月3日までに空メールで返信するよう求めている。
採否の通知の日から見ると,77期は9日前(令和7年4月7日)の送信であったのに対し,78期は13日前の送信であり,返信の期限も送信の翌日とされている(令和8年3月26日付の事務連絡1頁)。
第5 辞令交付式とその後の日程
1 受付時刻と開式時刻
75期は午後1時から午後2時までの受付を経て午後2時30分開式とされ,76期及び77期は午後2時30分から午後3時30分までの受付を経て午後4時開式とされている。
78期は,受付が午後2時30分から午後3時20分まで,進行の説明が午後3時30分,開式が午後4時とされている。
資料の時刻を引用するときは,受付開始,受付終了及び開式を区別する必要がある。
2 見学,座談会,壮行会及び研修
74期及び75期では,式後に小法廷見学及び最高裁判所判事との座談会が予定され,76期では小法廷見学及び壮行会,77期では大法廷見学及び壮行会が予定されていた。
78期でも,式後に大法廷見学及び壮行会が予定されていた(令和8年3月26日付の事務連絡3頁)。
76期から78期までの壮行会は,いずれも午後5時30分から午後7時までとされている。
新任判事補研修の日程及び配布資料は,「新任判事補研修の資料」に分けて掲載している。
77期では,任命日の令和7年4月24日から研修が始まり,辞令交付式が予定された同年5月14日まで研修日程が組まれていた。
78期では,令和8年4月23日及び24日にウェブ会議による研修1,同月27日から5月8日までの6日間を在宅研修期間とし,同月11日から13日まで司法研修所に参集する研修2が予定され,研修2の最終日が辞令交付式の日と重なっていた。
採用庁に登庁する日時及び場所は,研修2で知らせるとされている(令和8年3月26日付の事務連絡4頁~5頁)。
したがって,任命日に直ちに採用庁で執務を始めるわけではなく,辞令交付式の日を任命日と読み替えることもできない。
第6 案内文書及び情報公開資料
1 国家公務員宿舎及び事務手続の案内
75期から77期までの「裁判官任命に関する日程等について」は,宿舎への入居に関する回答期限を記載しているが,宿舎の案内文書そのものは別の文書である。
76期については「国家公務員宿舎への入居について」及び「国家公務員宿舎について」を,77期については「国家公務員宿舎への入居について」及び「国家公務員宿舎について」を掲載している(77期の2つのPDFは,ファイル名と中身の表題が入れ替わっている。)。
77期では,宿舎への入居に関する書面を採用内定通知翌日の令和7年4月17日午前11時までにメールで提出するよう求めていた。
78期については,最高裁判所事務総局経理局総務課公務員宿舎係の「国家公務員宿舎への入居について(78期新任判事補向けの文書)」を掲載している。
この資料(5頁)は,本文(1頁),宿舎関係手続チャート(2頁),宿舎貸与希望の回答から入居までの流れ(概要)(3頁)及び別添「国家公務員宿舎について」(4頁~5頁)から成り,文書自体には発出日が記載されていない。
78期の宿舎への入居に関する回答期限は,前記の事務連絡では,採否の通知の翌日である令和8年4月16日午前11時とされている(第2の2)。
78期の宿舎関係手続チャートによれば,回答はFormsで行い,宿舎への入居を希望しない者も回答することとされていた。
その後は,同月23日までに宿舎貸与申請書の書式等が送信され,同月27日までに申請書を提出し,5月8日まで(遅くとも同月13日まで)に宿舎貸与承認書が送信される予定とされ,承認書に記載された入居日から10日以内に入居することとされていた。
各期の案内文書の比較,宿舎の規格・使用料及び住居手当との比較は,「新任判事補の国家公務員宿舎―採用内定翌日の回答期限,規格・使用料,住居手当との比較及び退去時の明渡し」に整理している。
73期から77期までの新任判事補向け事務手続資料は,「新任判事補研修の資料」から確認できる。
宿舎の所在地又は一般的な評価は,本記事の主題である採用内定通知から辞令交付式までの日程と異なるため扱わない。
2 最高裁判所長官の話の内容に関する文書
平成31年2月19日付の司法行政文書不開示通知書は,71期新任判事補に対する最高裁判所長官の話の内容が書かれた文書を対象とするものである。
同年3月8日付の理由説明書は,その内容を記載した司法行政文書を作成する定めはなく,必ず作成しなければならないものではないと説明している。
この不開示通知及び理由説明は71期に関する開示申出の結果であり,全ての期について同種文書が存在しないことを証明するものではない。
第7 関連記事
採用願,採用面接及び内定通知までの手続は,「判事補採用願等の書類,並びに採用面接及び採用内定通知の日程」を参照されたい。
委員会答申後の閣議決定及び官報掲載日は,「新任判事補任命の閣議決定及び官報掲載の日付」に整理している。
二回試験の不合格発表,司法修習終了及び新人弁護士の一斉登録を含む日程は,「65期以降の二回試験の不合格発表及びその後の日程」を参照されたい。
旧司法修習と新司法修習の時期の違いは,「判事補の採用日程における,旧司法修習と新司法修習の比較」に整理している。
第8 出典・参考資料
1 法令
①e-Gov法令検索「日本国憲法」80条
https://laws.e-gov.go.jp/law/321CONSTITUTION
②e-Gov法令検索「裁判所法」40条及び43条
https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000059
2 裁判所及び内閣の公表資料
①最高裁判所「下級裁判所裁判官指名諮問委員会」
https://www.courts.go.jp/saikosai/iinkai/kakyusaibansyo/index.html
②最高裁判所「下級裁判所裁判官指名諮問委員会(第119回)議事要旨」(令和7年4月11日)1頁~2頁
https://www.courts.go.jp/saikosai/vc-files/saikosai/2025/simeisimon/ss-119.pdf
③最高裁判所「下級裁判所裁判官指名諮問委員会(第125回)議事要旨」(令和8年4月10日)1頁~2頁
https://www.courts.go.jp/saikosai/vc-files/saikosai/ss-125.pdf
④首相官邸「令和7年4月18日(金)定例閣議案件」
https://www.kantei.go.jp/jp/kakugi/2025/kakugi-2025041801.html
⑤首相官邸「令和8年4月17日(金)定例閣議案件」
https://www.kantei.go.jp/jp/kakugi/2026/kakugi-2026041701.html
⑥官報令和8年4月27日本紙第1695号5頁(「内閣」欄)
https://www.kanpo.go.jp/old/20260427/20260427h01695/pdf/20260427h016950005.pdf
3 各期向けの人事局文書
69期から77期までの最高裁判所人事局任用課長「裁判官任命に関する日程等について」は,第2の表の各期名から原資料を参照できる。
76期及び77期については,本文の時刻をPDF頁単位でも確認した。
78期については,最高裁判所事務総局人事局任用課長「裁判官任命に関する日程等について」(令和8年3月26日付の事務連絡)1頁~3頁と,最高裁判所事務総局経理局総務課公務員宿舎係「国家公務員宿舎への入居について」(78期新任判事補向けの文書)を参照し,本文の日時をPDF頁単位で確認した。
69期から75期までの司法修習終了日は,司法研修所「司法修習ハンドブック」(2024年1月)86頁~87頁の沿革で確認した。