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従業員が撮った写真の著作権は誰のものか―職務著作・退職時のデータ管理と差止め(AI作成)

第1 会社の写真かどうかを最初に確認する

会社のカメラで撮影し,会社のサーバーに保存した写真でも,それだけで会社が著作者になるわけではない。
構図,光の選択,撮影角度などに創作性のある写真については,著作権法15条1項の職務著作が成立するか,撮影者から著作権の譲渡を受けたかを確認する。
カメラや記録媒体の所有と,写真の著作権の帰属は区別する必要がある。

退職者が業務写真を持ち出したときも,写真ごとの権利の帰属,保持しているデータ,予定されている利用行為を分けて整理する。
本記事は,令和8年10月16日時点の法令と文化庁資料を基礎に,会社側・撮影者側が確認する事項を示す。

第2 職務著作の5つの確認事項

写真について会社が著作者となるには,著作権法15条1項の要件を満たす必要がある。
確認するのは,①法人等の発意,②その業務に従事する者による作成,③職務上の作成,④法人等の著作名義で公表するものといえること,⑤作成時の契約・勤務規則等に別段の定めがないこと,の5点である。
文化庁「著作権テキスト」令和8年度版も,従業員が作った著作物のすべてが会社の著作物になるわけではないと説明している。

写真台帳には,撮影日,撮影指示者,利用目的,担当業務,撮影者,公表予定の名義,適用される契約・就業規則を記録する。
これは法定様式ではなく,後日の帰属判断に必要な事実を残すための整理方法である。
勤務時間中に撮ったことだけで全要件を満たすと判断せず,私的な撮影と業務上の撮影を区別する。

職務著作が成立すれば会社が著作者となる。
撮影した個人から会社へ著作権が移るという説明とは異なる。
成立しない場合には,撮影者の権利を前提に,譲渡や利用許諾の有無・範囲を別に確認する。

第3 社内だけで使う写真と公表名義

写真を社内資料や制作の参考に使い,外部への公表を予定していない場合には,公表名義の要件をどう満たすかが問題となる。
プログラムの著作物には15条2項の特則があるが,写真にその特則をそのまま適用することはできない。

令和3年司法試験知的財産法第2問の出題の趣旨は,内部利用だけを予定した写真について,仮に公表するとすれば法人等の名義で公表するものも含めるという解釈を示している。
内部利用であるために,かえって従業員に公表権等が帰属する不合理を避けるという理由付けである。
この公式資料は試験の解説であり,個別事件の判決ではない。

実務では,撮影依頼の経緯,会社の制作工程での位置付け,利用目的,名義に関する合意や運用を確認し,仮に公表する場合の名義を説明できる資料を残す。
会社の商品やゲームが会社名で公表されたというだけで,制作参考用の写真も公表されたと扱わない。
商品と写真は別個の著作物であり,写真が商品に複製されているかどうかも別の事実である。

第4 退職時の返還・削除と証拠の保全

退職時は,業務用端末,共有フォルダ,個人クラウド,バックアップ等について,業務写真の保存先とアクセス権を確認する。
写真の著作権,会社との返還・削除合意,端末の所有者を区別し,対象ファイルと処理方法を一覧にする。
会社が著作権を有するという理由だけで,退職者の私物端末へ自由にアクセスできると判断してはならない。

紛争が予想される場合は,削除の前に,撮影指示,元画像,編集履歴,契約,利用の予告等を必要な範囲で保全する。
保全用の写しはアクセスを限定し,対象データ,取得日時,取得者,取得方法を記録する。
証拠を残すことと,無制限にコピーを利用することは別である。

返還・削除の確認書では,対象ファイル,保存先,バックアップの扱い,証拠保全分の保管者・期間,完了報告の方法を具体化する。
個人写真まで含めた一括削除や,保存先を調べないままの「全削除済み」という確認に頼らない。
これらは,権利帰属と利用状況を確認した上で設計する実務上の対策である。

第5 印刷・販売の差止めとデータ廃棄

会社が著作権者で,退職者が写真を無断で印刷し販売する場合には,複製権(21条)と譲渡権(26条の2第1項)を検討する。
差止めには,侵害があること又は侵害のおそれがあることを示す必要がある(112条1項)。
販売告知,印刷の発注,配布先への連絡等は,予定される行為を特定するための資料となる。

112条2項の廃棄等は,同条1項の請求に際し,侵害の停止又は予防に必要な措置として検討する。
権利の対象,侵害行為,対象データ,廃棄が必要な理由を対応させる必要がある。
単に写真データを保持しているという事実だけから,あらゆるデータの廃棄を当然に請求できるわけではない。

職務著作が成立せず会社が著作権の譲渡を受けた場合は,撮影者に残る著作者人格権も別に検討する。
譲渡後の改変と不行使合意の確認事項は,著作権全部譲渡後の改変と著作者人格権(AI作成)で説明している。

第6 外注写真との違いと税務資料

外部の撮影者に報酬を支払ったことと,会社が著作者になることは同じではない。
業務従事者性を含む職務著作の要件,譲渡・許諾の条項,納品の対象を確認する。
制作委託契約では,撮影作業の対価と利用許諾・著作権譲渡の対価を対応させ,実態のある内訳を残す。

税務では,給与に当たる支払と,居住者に支払う原稿料・写真報酬・著作権使用料等を区別する。
所得税法204条2項1号は給与等に該当するものを同条1項の報酬等の源泉徴収から除外しているため,給与としての処理を別に判断する。
外注の場合も,個人・法人の区別,支払者の源泉徴収義務,報酬の具体的内容を確認する。

写真撮影の報酬について,所得税法施行令320条1項は,雑誌・広告その他の印刷物に掲載するための写真を掲げている。
写真に関する支払を一律に同じ扱いにせず,利用先と報酬の性質を確認する。
源泉徴収と請求書の確認方法は,業務委託・外注費の源泉徴収は必要か(AI作成)を参照されたい。

第7 出典と関連記事

著作権法2条1項1号,10条1項8号,15条,21条,26条の2,59条,61条,112条。

文化庁「著作権テキスト」令和8年度版PDF実頁12・冊子9頁「職務著作」。

法務省「令和3年司法試験論文式試験問題出題の趣旨」PDF実頁31,及び採点実感・選択科目PDF実頁22,25末~26の職務著作の説明。

所得税法204条及び所得税法施行令320条。
国税庁「源泉徴収が必要な報酬・料金等とは」及び文化庁「契約書の作り方」。

試験問題における職務著作と差止めの組立ては,令和3年司法試験知的財産法第2問の模範解答と評価項目(AI作成)にまとめている。