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交通事故の後遺障害12級―認定基準・慰謝料・逸失利益と必要資料(AI作成)

第1 後遺障害12級で最初に確認すること

1 12級は痛み・しびれだけの等級ではない

交通事故の後遺障害12級には,局部の頑固な神経症状のほか,関節の機能障害,骨の変形,歯牙障害,外貌の醜状などがある。まず「12級の何号を検討するのか」を確認し,その障害に対応する診断・検査・治療記録を整理する必要がある。
骨折したこと,手術を受けたこと,痛みが残ったことだけで,12級が決まるわけではない。自賠責保険の認定では,事故との相当因果関係,医学的に認められる残存症状,等級表への該当性が問題となる。
認定手続の全体は交通事故の後遺障害の総合案内を参照されたい。本記事は令和8年10月10日に確認した法令・公表資料と赤い本2026年版上巻に基づき,12級全体の見方を整理する。

2 認定と金額の確認を分ける

現在の状況先に読む箇所確認する資料
治療中・症状固定前第5の診断書と資料治療の効果,担当医の見通し,症状の経過
12級に当たるか知りたい第2の等級表・第3の神経症状傷病名だけでなく,残った機能・所見と該当号数
12級の認定通知を受け取った第4の慰謝料・第6の逸失利益認定号数,損害計算書,収入・仕事への影響
非該当・14級の理由を検討したい第7の異議申立て認定理由,提出済み資料,補充できる資料

第2 12級の14種類の障害と該当号数

1 別表第二の12級を号数ごとに読む

次の表は自動車損害賠償保障法施行令別表第二の第12級の内容である。医学的な測定方法や障害の程度の判断を,この表だけで済ませないことが重要である。

号数等級表の障害
1号一眼の眼球に著しい調節機能障害又は運動障害を残すもの
2号一眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの
3号七歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
4号一耳の耳殻の大部分を欠損したもの
5号鎖骨,胸骨,ろく骨,けんこう骨又は骨盤骨に著しい変形を残すもの
6号一上肢の三大関節中の一関節の機能に障害を残すもの
7号一下肢の三大関節中の一関節の機能に障害を残すもの
8号長管骨に変形を残すもの
9号一手のこ指を失ったもの
10号一手のひとさし指,なか指又はくすり指の用を廃したもの
11号一足の第二の足指を失ったもの,第二の足指を含み二の足指を失ったもの又は第三の足指以下の三の足指を失ったもの
12号一足の第一の足指又は他の四の足指の用を廃したもの
13号局部に頑固な神経症状を残すもの
14号外貌に醜状を残すもの

上表は表記を読みやすく整理したものである。手指・足指の「失ったもの」「用を廃したもの」には別表の備考に定義があるため,日常語の「使いにくい」とそのまま置き換えない。正確な条文は上記法令又は国土交通省の等級表を確認されたい。

2 同じ傷病でも検討する障害は異なる

骨折後であれば,痛みだけでなく,関節の動く範囲,変形,手指・足指の機能などを区別する。例えば,膝の靱帯損傷では,関節の可動域だけでなく動揺性が問題となる場合がある。歯牙障害では,事故前の欠損・補綴と事故後に必要となった歯科補綴を区別する必要がある。
複数の障害がある場合は,併合,加重,同一部位の評価関係も確認する。一つの症状を複数の号数に重ねて数えれば必ず等級が上がるというものではない。等級と号数の対照表も参照されたい。

第3 12級13号と14級9号の違い

1 痛みの強さだけで区別しない

等級表では,12級13号は「局部に頑固な神経症状を残すもの」,14級9号は「局部に神経症状を残すもの」とされる。
ただし,「痛みが強いから12級」「画像に異常があるから12級」とは判断できない。事故による損傷,残る症状の部位・性質,画像や神経学的所見,治療経過などがどう結び付くかを確認する必要がある。画像に事故と関係のない変性所見がある場合も,その所見が症状を説明するかを検討することになる。
12級13号と14級9号の立証,画像だけで判断しない理由は,14級9号と画像所見及びむち打ちの後遺障害と判例比較を参照されたい。

2 整理するのは症状と所見の対応関係である

整理する事項記録する内容
症状痛む場所,しびれの範囲,発症時期,持続・増悪する動作
医学的所見診察で確認された所見,検査日・検査結果,画像の部位と医師の説明
治療経過初診時からの訴え,改善した点,残った点,転院・中断の事情
生活・仕事への影響動作,所要時間,休憩,職場の配慮,家族の援助の具体例

この表は相談前の整理用である。自己判断で検査を追加したり,診断書へ希望する等級を書いてもらうことを目的としない。まず,既にある資料で説明できる点と,医師に確認すべき点を分ける。
14級の基準や賠償額の確認は後遺障害14級の記事を参照されたい。

第4 12級の慰謝料と自賠責の224万円

1 94万円・290万円・224万円は意味が違う

金額意味読み方
94万円自賠責支払基準の12級の慰謝料等令和2年4月1日以後の事故に適用される現行基準。傷害分の入通院慰謝料とは別である
290万円赤い本2026年版上巻223頁の12級の後遺症慰謝料裁判実務上の目安であり,全ての事故で当然に支払われる確定額ではない
224万円別表第二の12級の自賠責支払限度額後遺障害分の逸失利益と慰謝料等を含む枠であり,慰謝料だけの額でも,賠償総額の上限でもない

94万円は金融庁・国土交通省の自賠責支払基準の第3の2,224万円は施行令別表第二による。令和2年3月31日以前の事故については,事故日に適用される支払基準を別に確認する必要がある。
自賠責と裁判実務の金額を重ねて足すことはしない。既に支払われた自賠責保険金等については,賠償額の清算で既払金として扱う関係を確認する。交通事故慰謝料の算定基準も参照されたい。

2 示談金の内訳を確認する

示談案では,①傷害分の治療費・休業損害・入通院慰謝料,②後遺障害分の慰謝料・逸失利益,③過失相殺その他の減額,④既払金,⑤今回の支払額を別々に確認する。
「12級の相場」という一つの数字だけでは,収入や年齢,障害による仕事への影響,治療内容,事故の過失割合が異なる案件を比較できない。保険会社の計算書に用いた基礎収入・喪失率・喪失期間・慰謝料の基準を記載してもらい,計算の前提を確認することが重要である。

第5 後遺障害診断書と12級の認定資料

1 症状固定と申請の準備を分ける

症状固定は,症状が安定し,一般に認められた医療を行っても医療効果が期待できなくなった時をいう。保険会社による治療費支払終了の提案と,医師の医学的な判断を混同しない。
担当医と治療方針を確認した上で,症状固定後の診断書,診療記録,必要な検査資料を整える。治療中から,症状の場所や困る動作を具体的に伝えておくことは有用であるが,認定を目的に訴えを誇張することは適切でない。
作成の依頼方法,様式,受領後の確認,申請までの流れは後遺障害診断書の記事に整理している。

2 号数に応じた資料をそろえる

検討する障害まず整理する資料・確認事項
神経症状初診からの症状の経過,診察所見,画像・検査と症状の対応,事故前の症状
関節機能・動揺性対象関節,左右の測定結果,測定方法,画像,手術・装具・リハビリの記録
骨の変形・手指足指の障害損傷部位,事故前後の画像,残存する変形・欠損・機能についての医師の所見
歯牙・眼・耳・外貌事故前の状態,専門科の診療記録,対象部位・測定結果,必要に応じた写真等

上表は資料を整理する順序であり,全ての検査や写真を全員に要求するものではない。追加検査の必要性や負担は担当医に確認する。事故前からの障害がある場合や,複数部位を負傷した場合は,診断書の一欄だけでなく経過全体を整理する。

3 事前認定と被害者請求の提出内容を確認する

事前認定は任意保険会社を通じて,自賠責の後遺障害等級をあらかじめ確認する手続である。被害者請求は,被害者が加害車両の自賠責保険会社等へ必要書類を提出して請求する方法である。
どちらを選んでも,提出資料と追加照会への対応が重要である。提出先,提出日,書類名,画像の形式,追加照会の有無を控え,控えがないまま認定理由だけを検討しない。損害保険料率算出機構の説明と総合案内の申請手続も確認されたい。

第6 12級の逸失利益と労働能力喪失率

1 14%を収入へ機械的に掛けて終わらせない

自賠責支払基準の労働能力喪失率表では,別表第二の12級は14%とされる。基本的な計算の形は,年間の基礎収入×労働能力喪失率×喪失期間に対応するライプニッツ係数である。
ただし,民事の損害賠償では,実際の職務,障害の内容,年齢,減収の有無,本人の努力,職場の配慮,将来の影響などを踏まえて主張・立証を行う。12級なら必ず14%,必ず同じ年数という結論にはならない。
給与が維持されている場合も,それだけで判断せず,作業時間の増加,担当変更,同僚の援助,昇進・転職への影響などを具体化する。歯牙障害や醜状障害などでは,障害が仕事や収入へ与える影響を特に丁寧に説明する必要がある。

2 計算例の仮定と実際の認定を区別する

例えば,年間基礎収入500万円,喪失率14%,喪失期間10年,年3%で計算した係数8.530と仮定すると,500万円×0.14×8.530=597万1000円となる。
これは計算方法を示す仮定例である。10年を12級の一律の喪失期間とする意味はなく,事故日による適用利率,症状固定日,認められる収入・率・期間を別に確認する。慰謝料,過失相殺,既払金を含む最終的な受取額でもない。
会社員,家事従事者,自営業者ごとの収入と影響の立証は,後遺障害逸失利益の記事を参照されたい。

第7 非該当・14級の認定に不服がある場合

1 12級を希望する理由を資料と結び付ける

非該当又は14級の通知を受け取ったら,判断理由と提出済み資料を確認する。事故との関係,症状の継続,医学的な裏付け,機能障害の程度など,どこが認められなかったのかを区別する。
その上で,12級のどの号数を検討するのか,既に提出した資料のどこに対応する記載があるか,新たに補充できる資料は何かを整理する。希望する等級を繰り返すだけでは,認定理由への具体的な反論にならない。

2 異議申立て・紛争処理・訴訟を検討する

追加資料の内容に応じて,保険会社等への異議申立て,自賠責保険・共済紛争処理機構の手続,民事訴訟などを検討する。それぞれ対象と手続が異なるため,同じ申立書をそのまま流用しない。
自賠責の認定通知だけで民事の損害額まで確定するものではない。裁判では個別の主張・証拠に基づく判断が行われる。認定理由・追加資料・異議申立ての記事で,整理表と手続の選び方を確認されたい。

第8 相談前の確認と部位別の記事

1 認定通知と仕事・生活への影響を持参する

相談前には,①事故日と症状固定日,②認定通知と理由,③診断書・提出資料の控え,④症状と検査の経過,⑤事故前後の収入資料,⑥仕事・家事で困る動作,⑦示談案と既払金の内訳をそろえる。
資料が全部そろっていない場合は,保管先と未取得の資料名を確認する。示談書への署名前に,後遺障害分の損害がどのように扱われているかを確認することが重要である。
当事務所への相談方法は交通事故の問い合わせ案内を参照されたい。

2 部位ごとの確認に進む

手指機能・神経症状は正中神経麻痺及び尺骨神経麻痺,膝の動揺性・関節機能は十字靱帯・側副靱帯損傷,踵の骨折後の症状は踵骨骨折の記事に整理している。
これらは病名から等級を確約する記事ではない。認定号数に対応する機能・所見・資料を確認するために利用されたい。

第9 出典・参考資料

① 自動車損害賠償保障法施行令2条・別表第二第12級・備考(e-Gov法令検索)。
② 国土交通省「限度額と補償内容」及び「支払までの流れと請求方法」。
③ 金融庁・国土交通省「自賠責保険金等の支払基準」第3,別表Ⅰ・Ⅱ,末尾の等級表(損害保険料率算出機構掲載)。
④ 損害保険料率算出機構「自賠責の損害調査に関するよくあるご質問」。
⑤ 大阪地方裁判所「交通事件の審理について」の訴え提起前の準備・証拠・損害賠償額の算定。
⑥ 公益財団法人日弁連交通事故相談センター東京支部『民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準』2026年版上巻223頁(後遺症慰謝料表)。
段階別の案内,資料の整理表及び計算例は,これらの資料を踏まえた本記事の説明である。個別の認定・賠償結果を示すものではない。