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地方裁判所とは―扱う事件・簡易裁判所や家庭裁判所との違い・管轄の調べ方(AI作成)

第1 地方裁判所とは

地方裁判所(地裁)は,民事事件・刑事事件などを最初に審理する,原則的な第一審裁判所である。他の裁判所が第一審の専属管轄を持つ事件等を除き,広い範囲の事件を扱う。簡易裁判所の民事判決に対する控訴も地方裁判所が扱うため,「地裁は必ず第一審」という説明も正確ではない。
本記事では,地方裁判所が扱う事件,簡易裁判所・家庭裁判所との違い,全国の本庁と支部,管轄と提出先の調べ方を説明する。裁判所全体の種類と三審制は,裁判所とは―5種類の役割・三審制・管轄と利用方法を参照されたい。

地方裁判所を利用するときは,「どの種類の裁判所か」「どの地域の裁判所に管轄があるか」「本庁・支部のどの担当部署が受け付けるか」を順に確認する。近い庁舎を見つけただけでは,提出先は決まらない。

第2 地方裁判所で扱う事件

1 主な事件と手続の早見表

地方裁判所の仕事は刑事裁判だけではない。契約や損害賠償をめぐる民事訴訟,行政事件訴訟,破産・民事再生,強制執行,労働審判なども扱う。以下は手続を選ぶための入口であり,個別の管轄や申立要件を全て示す表ではない。

事件・手続主な内容と確認点
民事訴訟貸金・代金・損害賠償・不動産等の争い。請求の内容と訴訟の目的の価額から,地裁と簡裁のどちらに提訴するかを確認する。
刑事事件起訴された被告人について,有罪・無罪や刑を判断する。簡裁等が扱う事件もあるため,全ての刑事事件が地裁の事件ではない。
行政事件訴訟行政処分の取消しなど。訴訟の種類によって管轄が異なり,高裁が第一審を扱う特別な事件もある。
破産・民事再生債務者の財産・債務を法定の手続で処理する。訴訟の140万円という基準をそのまま適用せず,破産・再生手続の管轄を確認する。
民事執行等預金・給与等の差押え,不動産競売,財産開示など。裁判所が扱う手続と,執行官が行う動産執行・明渡し等を区別する。
労働審判労働者と使用者の間の解雇・賃金等の個別労働紛争を扱う。民事訴訟と別の手続であり,申立先と取扱支部を確認する。

手続の概要は,裁判所公式の民事事件Q&Aで確認できる。執行事件では,地域の支部から本庁又は拠点支部へ集約される場合があるため,執行事件の地裁本庁・拠点支部への集約も参照されたい。

2 簡易裁判所の民事判決に対する控訴

簡易裁判所の通常の民事訴訟の判決に不服がある場合,控訴審は地方裁判所である。これに対し,簡易裁判所の刑事判決に対する控訴は高等裁判所が扱う。民事と刑事で経路が異なる。
また,簡裁の少額訴訟には通常の控訴とは異なる異議の制度がある。「簡裁の裁判に不服なら全て地裁へ控訴できる」と考えず,裁判の種類を確かめる必要がある。詳しくは,簡易裁判所の民事訴訟―地方裁判所との違いを参照されたい。

第3 簡易裁判所・家庭裁判所・高等裁判所との違い

1 裁判所の種類と担当する問題

裁判所主な役割身近な例・注意点
地方裁判所広い範囲の第一審事件と簡裁の民事控訴等損害賠償請求,破産,労働審判等。事件ごとに管轄を確認する。
簡易裁判所原則140万円以下の民事請求の第一審等貸金・代金の請求等。少額訴訟・民事調停などもある。
家庭裁判所家事事件,人事訴訟,少年の保護事件等離婚訴訟,遺産分割調停・審判,成年後見等。家族間の全ての紛争が家裁の事件になるわけではない。
高等裁判所地裁・家裁の判決等に対する不服申立てを扱う上級審等地裁の第一審判決への控訴等。選挙に関する訴訟など,第一審を扱う場合もある。

例えば,離婚そのものを求める訴訟と,貸した金銭の返還を求める訴訟では,裁判所を選ぶ基準が異なる。相手が配偶者・親族であることだけで全て家庭裁判所に申し立てるわけではない。遺産分割と,相続財産に関係する所有権・金銭請求の訴訟も,手続の性質を分けて確認する。

2 140万円の基準だけでは決まらない場合

裁判所法33条1項1号は,簡易裁判所の民事の第一審について,訴訟の目的の価額が140万円を超えない請求を定め,行政事件訴訟に係る請求を除いている。金銭請求では請求額が主要な判断材料となるが,「訴訟の目的の価額」は民事訴訟法8条・9条により算定する。
さらに,裁判所法24条1号により,不動産に関する訴訟は140万円以下でも地方裁判所の管轄がある。また,簡裁の管轄事件を地裁が自ら審理する自庁処理の制度もある。これは無条件に地裁へ提訴できるという意味ではなく,民事訴訟法16条2項の範囲で判断される。

基本的な比較は簡易裁判所と地方裁判所の違い,例外の要件と移送申立ては地方裁判所の自庁処理で説明している。訴訟がその簡裁の専属管轄(当事者の合意で定めたものを除く。)に属する場合には,自庁処理の規定は適用されない。

第4 全国の地方裁判所と本庁・支部

1 全国50か所の地方裁判所と203支部

裁判所の公式組織案内によれば,地方裁判所は全国50か所あり,北海道が札幌・函館・旭川・釧路の四つの区域に分かれるほか,各都府県に対応する区域を持つ。地方裁判所の支部は203か所である。
これは裁判所の組織の数であり,庁舎や裁判官の人数ではない。地方裁判所と家庭裁判所,簡易裁判所等が同じ庁舎に置かれる場合もある。

全国の本庁名と支部名を調べるときは,地方裁判所支部・家庭裁判所支部の全国一覧を参照されたい。訪問・郵送の際の住所や電話番号は,公式の各地の裁判所の所在地・電話番号等一覧で最新の案内を確認する。

2 本庁・支部で扱う事件は一律ではない

支部は地方裁判所の事務の一部を取り扱う組織であり,地裁とは別の種類の裁判所ではない。通常の民事訴訟が地域の支部で扱われる場合でも,労働審判,合議事件,裁判員裁判,執行事件等は本庁又は別の支部に集約される場合がある。
本庁・支部・出張所・簡裁の違いは裁判所支部とは,事件別の集約と開廷頻度の資料は全国の地方裁判所支部における本庁集約と開廷頻度を参照されたい。支部が存在することだけで,目的の事件をそこで扱うと判断しないことが重要である。

第5 管轄と提出先の調べ方

1 手続名・地域・取扱庁の順に確認する

①まず,民事訴訟,労働審判,破産,債権差押えなど,利用する手続を特定する。140万円の基準は通常の民事訴訟の事物管轄を考える際の基準であり,全ての申立ての窓口を分ける基準ではない。
②次に,その手続の管轄規定を確認する。通常の民事訴訟では被告の住所地等が基本となるが,義務履行地,不法行為地,合意管轄,専属管轄などが問題となる場合もある。原告が自宅から近い裁判所を自由に選べる制度ではない。
③対象地域がどの裁判所の区域に属するかを,公式の裁判所の管轄区域で確認する。市町村と裁判所名の行だけでなく,事件類型ごとの欄と注意書きも読む。
④最後に,本庁・支部の実際の取扱いと担当部署を確認する。申立書提出先一覧(地方裁判所)と対象庁の手続案内・変更告知を照合し,分からない点は手続名と対象地域を示して窓口へ確認する。

2 提出方法・費用・期日参加方法も確認する

書面の提出先と,手数料等の納付方法,期日への参加方法は別に確認する。オンラインで利用できる範囲や提出方法は手続・事件によって異なるため,民事訴訟のデジタル化の案内を,他の手続へそのまま当てはめない。
費用は申立手数料,送達等に要する費用,弁護士費用等を分けて確認する。必要書類や費用が不明なまま送付せず,対象手続の最新の公式案内を読む。裁判所の手続案内と,請求が認められるか・どの証拠を出すべきかという法律相談は異なる。

第6 地方裁判所を利用するときの目的別案内

地方裁判所を利用する前に,どの手続で解決するかを考えたい場合は,民事事件の具体例・解決方法と相談の準備を参照されたい。通常訴訟で訴状・答弁書の提出後に何が行われるかは,民事裁判の流れで,争点整理,証拠調べ,和解・判決及び終了後の回収まで説明している。

1 訴えたい・訴状が届いたとき

訴えを起こす場合は,請求の内容,相手方,管轄,提出方法,費用と必要書類を確認する。時効や提訴期間が問題となる場合もあるため,期限のある手続を後回しにしない。
地方裁判所から訴状等が届いた場合は,事件番号,担当部,答弁書の提出期限,期日,提出方法を確認し,書類一式と受領日を記録する。無視せず,請求に対する認否と反論を準備する。オンライン提出を含む対応の案内は,訴状が届いた被告の対応とmintsを参照されたい。

2 傍聴したい・裁判例を調べたいとき

公開の法廷で行われる民事の口頭弁論や刑事の公判等は,原則として一般の人も傍聴できる。事件に関係する全ての打合せや手続を傍聴できるわけではない。日時・法廷・傍聴券の要否等を確認して訪問する。
予定の調べ方,予約と傍聴券,服装・持ち物,当日の流れは,初めての裁判所傍聴ガイドで説明している。公表された裁判例は公式の裁判例検索で調べられるが,全ての判決・決定が掲載されるわけではない。傍聴,裁判例検索,事件記録の閲覧・謄写は別の制度である。

第7 よくある疑問

1 地方裁判所では必ず3人の裁判官が審理するか

必ず3人ではない。裁判所法26条は,原則として1人の裁判官が事件を扱い,同条が定める事件は合議体で扱うと定めている。簡裁の民事判決に対する控訴事件などでは3人の裁判官による合議体となる。裁判員裁判など,他の法律による仕組みもある。

2 所長が全ての裁判の結論を決めるか

地方裁判所長は,裁判官会議の議長となり,司法行政事務を総括する。組織運営上の役割と,個別事件の裁判官の判断は区別される。裁判所法81条は,司法行政上の監督権が裁判官の裁判権に影響を及ぼし,又は制限することを認めていない。
所長・裁判官会議・事務局長の関係は,地方裁判所長・家庭裁判所長の役割を参照されたい。

3 最寄りの支部に行けば相談も申立てもできるか

最寄りの支部が目的の手続を扱うとは限らない。担当区域,事件の種類,窓口,受付時間を確認する。手続案内を受けられることと,請求・反論の方針について法律相談を受けられることも同じではない。訴状が届いている場合は,一般案内を探すだけでなく,届いた書類の担当部と期限を先に確認する。

第8 出典と確認時点

法令と公式案内は令和8年10月11日に確認した。個別庁の窓口,住所,取扱事件,提出方法等は,利用する際に最新の案内を確認されたい。

裁判所法16条・24条・26条・29条・31条・31条の3・33条・80条・81条:
裁判所法(e-Gov法令検索)
民事訴訟法4条・5条・8条・9条・11条・16条・311条・377条~380条:
民事訴訟法(e-Gov法令検索)

裁判所「下級裁判所」:
https://www.courts.go.jp/about/sosiki/kakyusaibansyo/index.html
裁判所「裁判手続 民事事件Q&A」:
https://www.courts.go.jp/saiban/qa/qa_minzi/index.html
裁判所「裁判所の管轄区域」:
https://www.courts.go.jp/about/sosiki/kankatu/index.html
裁判所「申立書提出先一覧(地方裁判所)」:
https://www.courts.go.jp/saiban/tetuzuki/chisai/index.html