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令和元年司法試験公法系第2問の模範解答と評価項目―70項目と5段階の重み付け(AI作成)

令和元年司法試験公法系第2問(行政法)の模範解答と、公式資料から独自に抽出した70の評価項目を示す。重み5は25項目、重み合計は264である。法務省の公式採点基準や配点を示すものではない。

第1 この記事の対象と結論

本問は、土地収用の二段階の処分を通じた救済と、道路事業の利益衡量を問う。設問1では事業認定の違法を権利取得裁決の取消訴訟で争えるか、設問2(1)ではC市に対する民事訴訟と裁決無効確認訴訟の救済効果を比較し、設問2(2)では法20条3号の判断過程を審査する。

以下の答案は、違法性の承継と補充性を肯定する構成を採る。これらの結論が公式によって一義的に指定されているわけではない。反対構成も、制度・判決効・事実に即した一貫した理由付けが必要である。

第2 評価項目の示し方と重み付けの基準

1 評価項目の示し方

評価表の番号は記事全体で1~70の通し番号である。「必須」「高評価」「負例」「許容分岐」は項目の性質を表す。負例はその誤りを避けたかを判定する。条件付きの許容分岐をすべての答案への要求にしない。一般的な答案作法と、公式に記載のない補足は集計から除く。

2 5段階の重み付けの基準

  • 重み5:答案の骨格、又は採点実感が評価差・良好・優秀答案の理由として示す重要な検討。
  • 重み4:出題の趣旨が検討を求め、採点実感も評価又は具体的な誤りの指摘を通じて取り上げる事項。本記事では「双方で高評価」という狭い定義は用いない。
  • 重み3:一方が明示する中核の理由付け・概念上の重要な指摘。
  • 重み2:一方が示す補強又は典型的な誤り。
  • 重み1:一方で控えめに触れられる事項。本問の抽出では該当なし。

各重みへの件数割当てはしていない。重み5でも高評価項目・条件付き構成は必須項目とは限らない。表の公式欄は必要最小限の対応箇所であり、引用自体と本記事の評価・重みを区別する。

第3 本問の概要

C市の道路事業についてB県知事が平成28年8月1日に事業認定を告示した。C市は当初任意買収を進めたが、Aとの協議が整わず、平成29年7月12日に裁決を申請した。平成30年5月11日に権利取得裁決がされ、C市への移転登記も済んだ。Aは居住を続け、明渡裁決の申立てはまだない。令和元年5月14日の相談を基に検討する。

道路の利益はネットワーク形成・通行安全・地域防災の三点である。他方、交通量の調査差、池の環境・教育価値、別ルートの比較、地下水と防災井戸の影響が判断過程の争点となる。手続は適法に履行されている。設問1の正当理由、設問2(2)の重大明白性・20条4号・手続違反は検討しない。

第4 評価項目と重み

1 設問1―違法性の承継

番号評価項目重み出題の趣旨採点実感
1【必須】先行認定と後行裁決が別個の処分であるため違法性の承継が問題になると示す5PDF 3頁・第2問:違法性の承継PDF 7頁・第2問:先行行為と後行行為
2【必須】独立の取消訴訟・出訴期間による法的安定性を不承継原則の根拠にする5PDF 3頁・第2問:違法性の承継PDF 8頁・第2問:許されないのが原則
3【必須】処分の目的共通性を制度一般の土地収用として説明する4PDF 3頁・第2問:目的に共通性PDF 8頁・第2問:制度一般を前提
4【必須】事業認定が裁決の法的前提となることを関係法令で示す5PDF 3頁・第2問:法に沿ってPDF 8頁・第2問:要件の一部を構成
5【必須】二段階が結合して一つの収用効果を完成することを説明する5PDF 3頁・第2問:段階的に行われるPDF 8頁・第2問:一体のものとして取り扱って
6【必須】手続的保障を例外判断の観点として規範に置く5PDF 3頁・第2問:様々な手続きPDF 8頁・第2問:手続的な保障
7【高評価】説明・告示・長期縦覧・補償周知を列挙して制度上の保障を具体化する5PDF 3頁・第2問:様々な手続きPDF 8頁・第2問:事業の説明
8【高評価】個別の任意交渉だけでなく制度に内在する救済時期を分析する5PDF 3頁・第2問:法に沿ってPDF 8頁・第2問:制度自体に内在する
9【負例】適法履行が前提であり説明・周知の未実施を創作しない4PDF 3頁・第2問:手続きが法によってPDF 8頁・第2問:適法に履行されています
10【必須】安全認定・建築確認判例の考え方を参照する4PDF 3頁・第2問:最判平成21年12月17日PDF 8頁・第2問:平成21年12月17日判決
11【高評価】安全認定の制度と土地所有者への保障の違いを検討する5PDF 3頁・第2問:参考にPDF 9頁・第2問:判決との違い
12【必須】B県の不承継論をその制度的根拠とともに検討する4PDF 3頁・第2問:違法性の承継の有無PDF 9頁・第2問:積極消極双方の見解
13【必須】収用委員会の権限と裁判所の審査範囲を区別する3PDF 3頁・第2問:法に沿って記載なし(第2問の関連範囲を実読)
14【負例】権利取得裁決を行訴法10条2項の不服申立裁決と混同しない2記載なし(第2問の関連範囲を実読)PDF 8頁・第2問:同項の「裁決」の意味
15【負例】行訴法10条1項を不承継原則の根拠にしない2記載なし(第2問の関連範囲を実読)PDF 8頁・第2問:同条第1項を挙げる
16【負例】処分性の論証で答案の紙幅を費やさない2記載なし(第2問の関連範囲を実読)PDF 8頁・第2問:処分性の論証に紙幅
17【負例】裁決取消しの正当理由を先行認定の手続保障と同一視しない2記載なし(第2問の関連範囲を実読)PDF 9頁・第2問:「正当な理由」
18【負例】設問2の裁量違法の検討を設問1で先取りしない2記載なし(第2問の関連範囲を実読)PDF 7頁・第2問:事業認定の裁量の逸脱濫用

2 設問2(1)―無効確認訴訟の補充性

番号評価項目重み出題の趣旨採点実感
19【必須】行訴法36条後段の補充性に問題を限定する5PDF 3頁・第2問:要件に絞ってPDF 9頁・第2問:同条の基本的な理解
20【必須】より直截的で適切な争訟形態という判例の比較基準を示す5PDF 3頁・第2問:目的を達することができないPDF 9頁・第2問:判旨を正確に理解
21【必須】裁決無効を前提とするC市への所有権確認訴訟を示す5PDF 3頁・第2問:土地所有権確認請求PDF 9頁・第2問:所有権の帰属を確定
22【必須】C市への移転登記抹消請求を示す4PDF 3頁・第2問:抹消登記請求PDF 10頁・第2問:適切に示す
23【必須】民事訴訟を行訴法45条の争点訴訟として位置付ける5PDF 3頁・第2問:行政事件訴訟法第45条PDF 9頁・第2問:争点訴訟の明示
24【必須】民事判決が所有権・登記を回復できる利点を示す4PDF 3頁・第2問:自らの所有権を保全PDF 9頁・第2問:利点とその限界
25【必須】民事判決で前提の裁決無効自体が独立に確定するわけではないと示す3記載なし(第2問の関連範囲を実読)PDF 11頁・第2問:具体的に無効確認判決の効力
26【必須】争点訴訟には行訴法33条の拘束力がないと示す5PDF 3頁・第2問:判決に拘束力が認められないPDF 9頁・第2問:拘束力の有無
27【必須】無効確認認容判決の拘束力を38条1項・33条で根拠付ける5PDF 3頁・第2問:拘束力PDF 12頁・第2問:同項,同法第33条
28【必須】C市とB県収用委員会の主体差を判決効の比較へ結び付ける5PDF 3頁・第2問:C市に対してPDF 11頁・第2問:処分権者
29【必須】既存の権利取得裁決を前提とした将来の明渡裁決を問題にする5PDF 3頁・第2問:当該処分又は裁決に続く処分PDF 11頁・第2問:明渡裁決を阻止する必要性
30【高評価】認定告示後1年の新規裁決申請制限をB県の反論として検討する5PDF 3頁・第2問:事業認定から1年PDF 5頁・第2問:事業認定の時期との関係
31【高評価】第三者効の有無を民事との比較に位置付ける5PDF 3頁・第2問:第三者効が認められるのかPDF 9頁・第2問:第三者効の有無
32【高評価】32条1項の明文準用がなく拘束力と第三者効が異なると示す5PDF 3頁・第2問:第三者効PDF 12頁・第2問:明文上はいわゆる第三者効
33【許容分岐】解釈で第三者効を肯定するなら明文欠如を踏まえ理由を示す
適用:解釈で第三者効を肯定する構成を選ぶ場合のみ
3記載なし(第2問の関連範囲を実読)PDF 12頁・第2問:法令の合理的な解釈
34【高評価】執行停止の可能性を行政的救済の具体的利点として比較する5記載なし(第2問の関連範囲を実読)PDF 12頁・第2問:「執行停止」
35【必須】補充性について相手方の実質的反論に答え結論を明示する4PDF 3頁・第2問:B県からの反論PDF 9頁・第2問:結論が示されていない
36【負例】現在の法律関係の訴えをC市への抗告訴訟と混同しない2記載なし(第2問の関連範囲を実読)PDF 10頁・第2問:取消訴訟・差止訴訟
37【負例】収用されない地位等の実質的抗告訴訟を民事訴訟に置換しない2記載なし(第2問の関連範囲を実読)PDF 10頁・第2問:収用されない地位
38【負例】明渡裁決の申立てをC市の行政処分としない2記載なし(第2問の関連範囲を実読)PDF 10頁・第2問:申立て自体には処分性がない
39【負例】補償の形式的当事者訴訟を所有権帰属の救済と混同しない2記載なし(第2問の関連範囲を実読)PDF 10頁・第2問:形式的当事者訴訟
40【負例】民衆・住民訴訟を本件の救済に挙げない2記載なし(第2問の関連範囲を実読)PDF 11頁・第2問:民衆訴訟,住民訴訟
41【負例】設問の前提で排除された裁決取消訴訟を比較対象にしない2記載なし(第2問の関連範囲を実読)PDF 11頁・第2問:無効確認訴訟と取消訴訟
42【負例】所有権取得と明渡しの法的段階を区別する3記載なし(第2問の関連範囲を実読)PDF 11頁・第2問:所有権をC市に取得させたのは権利
43【負例】訴訟要件の可能性と本案勝訴の見込みを区別する2記載なし(第2問の関連範囲を実読)PDF 11頁・第2問:訴訟要件と本案勝訴要件
44【負例】無効を前提とする民事訴訟を公定力で否定しない3記載なし(第2問の関連範囲を実読)PDF 11頁・第2問:裁決には公定力
45【負例】賠償・損失補償を所有権保全の現在の法律関係に代用しない2記載なし(第2問の関連範囲を実読)PDF 11頁・第2問:損害賠償請求訴訟
46【負例】外形の残存又は抜本解決だけでなく具体的判決効を説明する3記載なし(第2問の関連範囲を実読)PDF 11頁・第2問:外形的に権利取得裁決が残存

3 設問2(2)―事業認定の裁量審査

番号評価項目重み出題の趣旨採点実感
47【必須】法20条3号の要件充足に裁量があると明示する5PDF 3頁・第2問:一定の裁量PDF 13頁・第2問:裁量を有するか否か
48【必須】概括的要件と法目的・総合判断から要件裁量の根拠を示す4PDF 3頁・第2問:概括的に定められているPDF 13頁・第2問:裏付けとなる土地収用法上の規定
49【負例】「できる」だけを要件裁量の根拠にしない2記載なし(第2問の関連範囲を実読)PDF 13頁・第2問:「できる」規定
50【負例】Aの立場で裁量の広さを無条件に強調しない2記載なし(第2問の関連範囲を実読)PDF 13頁・第2問:「広い」裁量
51【必須】法1条を踏まえ増進公益と失われる利益を比較衡量する5PDF 3頁・第2問:公共の利益とPDF 13頁・第2問:法解釈の中から
52【必須】失われる利益には公共の自然・教育・防災利益も含むと示す4PDF 4頁・第2問:自然環境への影響PDF 13頁・第2問:公共の利益をも含み得る
53【必須】重要事実の欠如と判断過程の合理性を裁量審査基準に置く5PDF 3頁・第2問:裁量の範囲を逸脱濫用PDF 6頁・第2問:最高裁判例を意識
54【必須】交通量の二調査の差と人口減少の程度から信頼性を検討する4PDF 4頁・第2問:妥当性や信頼性PDF 6頁・第2問:会議録に記載された内容
55【必須】調査手法の誤りの主張を環境予測の事実基礎へつなぐ4PDF 4頁・第2問:騒音等の不利益PDF 6頁・第2問:主たる点を指摘
56【必須】3500台を前提とする利益評価と予測誤りの主張を条件で区別する3PDF 4頁・第2問:道路ネットワークの形成記載なし(第2問の関連範囲を実読)
57【必須】ネットワーク・安全・防災の三利益をそれぞれ検討する4PDF 4頁・第2問:3点であるPDF 6頁・第2問:会議録に記載された内容
58【高評価】B県の政策的・技術的反論を具体的事実に即して検討する5PDF 3頁・第2問:どのような主張が可能PDF 6頁・第2問:B県からの反論を踏まえる
59【必須】池の地域的な自然価値を希少種の学術的価値と区別して評価する4PDF 4頁・第2問:自然環境については考慮されておらずPDF 14頁・第2問:自然環境
60【必須】小学校の毎年の学外授業という教育価値を評価する4PDF 4頁・第2問:本件土地の自然環境PDF 6頁・第2問:会議録に記載された内容
61【必須】小学校の騒音回避と池保全を両立するルートの比較欠落を検討する4PDF 4頁・第2問:ルートが決定PDF 6頁・第2問:会議録に記載された内容
62【必須】2mの掘削と過去の井戸枯渇を地下水の事実調査不足へつなぐ4PDF 4頁・第2問:本件土地周辺の地下水PDF 14頁・第2問:地下水への影響
63【必須】生活用水喪失を失われる利益として評価する4PDF 4頁・第2問:地下水PDF 13頁・第2問:比較衡量
64【必須】防災井戸への影響未調査を道路の防災利益と比較する4PDF 4頁・第2問:防災用の井戸への影響PDF 13頁・第2問:防災用の井戸への影響
65【必須】他事考慮を考慮不尽とは別の概念として具体的に検討する3記載なし(第2問の関連範囲を実読)PDF 13頁・第2問:他事考慮が問題となる
66【必須】考慮不尽と利益の重み付けの誤りを具体的事象に対応させる3記載なし(第2問の関連範囲を実読)PDF 13頁・第2問:きちんと分けて記述
67【必須】事実認定の誤りと認定事実の評価の誤りを区別する3記載なし(第2問の関連範囲を実読)PDF 14頁・第2問:分けて論ずべき
68【高評価】調査・考慮の欠落から著しい不合理という最終審査基準まで論証する5PDF 3頁・第2問:範囲を逸脱濫用PDF 14頁・第2問:社会通念に照らして著しく妥当性を欠く
69【負例】重大明白性の検討をしない4PDF 3頁・第2問:重大性や明白性PDF 12頁・第2問:検討する必要がない
70【必須】事実の引き写しでなく各事実の法的な重要性を示す3記載なし(第2問の関連範囲を実読)PDF 14頁・第2問:法的にどのように評価

4 答案全体の一般的な指摘

以下は一般的な指摘であり、70項目・重み合計に含めない。

区分指摘採点実感
一般的な指摘設問外の処分性・期間等へ分量を使わず問いに対応するPDF 6頁・第2問:問題で問われていない論点
一般的な指摘規範・当てはめ・結論を対応させるPDF 6頁・第2問:法的三段論法
一般的な指摘B県の反論を根拠まで検討するPDF 6頁・第2問:反論の根拠
一般的な指摘公定力と不可争力を混同しないPDF 7頁・第2問:公定力と不可争力
一般的な指摘判例の要件を削って意味を変えないPDF 7頁・第2問:判例の文言や表現ぶり
一般的な指摘法律用語を正確に表記するPDF 7頁・第2問:土地収容
一般的な指摘判読できる文字で書くPDF 7頁・第2問:読みづらい字
一般的な指摘線の細さ・微小挿入を避けるPDF 7頁・第2問:文字の線が細い
一般的な指摘時間配分で最終小問を未完成にしないPDF 7頁・第2問:時間配分
一般的な指摘条文の趣旨・事実評価・応用能力を結合するPDF 14頁・第2問:その趣旨を適切に読み解く

5 重みの分布

重み項目数重み小計
100
21530
31133
41976
525125
合計70264

第5 模範解答

1 答案の前提と表記

2019年5月15日の試験実施日当時の法令を基準とする。答案の「法」は土地収用法、「行訴法」は行政事件訴訟法を指す。答案本文は空白・改行を除き5,436字である。法源の検証説明は枠外へ置く。

2 答案

1 設問1について
(1) 問題の所在と判断枠組み
 Aは,本件権利取得裁決の取消訴訟において,先行する本件事業認定が土地収用法20条3号に反することを裁決の違法事由として主張する。このように先行処分の違法を後行処分の取消事由として主張できるかは,違法性の承継の問題である。
 B県は,事業認定も独立の行政処分であり,その取消訴訟の出訴期間が経過した以上,認定の違法を後から争うことは法的安定性を害すると反論するであろう。行政処分は取り消されない限り効力を有し,取消訴訟の排他的管轄と出訴期間によってその効力が安定する。したがって,先行処分の単なる違法は,原則として後行処分に承継されない。裁決取消訴訟について正当な理由が認められることは,認定の出訴期間まで延長するものではない。
 しかし,先行・後行の処分が結合して一つの法的効果を完成し,先行処分をその段階で争うための手続的保障の制度的な十分性に照らし,後行処分の段階での争訟を許す必要があるときは,例外的に承継を認めるべきである。安全認定と建築確認に関する判例も,両処分の実体的な結合関係と,先行段階で争う手続的保障を検討している。本件ではその考え方を参照しつつ,土地収用制度固有の仕組みを検討する。
(2) 実体的な結合関係
 事業認定は,起業者が土地を収用するために必要な前提であり(法16条),土地利用の合理性等を判断するものである。認定の告示後1年以内に限り裁決申請ができる(39条1項)。収用委員会は,申請事業が認定された事業と異なる場合や計画が著しく異なる場合等を除き,収用裁決をしなければならない(47条,47条の2第1項)。権利取得裁決によって具体的な土地所有権の取得が実現する。
 このように,認定と裁決は,土地収用という一つの目的に向け,公益性等の判断と個別土地の権利取得を分担しており,結合して収用の効果を完成する。事業認定だけでC市がAの所有権を取得するものではなく,両処分の間には実体的な一体性がある。
 B県は,認定をする知事と裁決をする独立の収用委員会とは別の機関であり,委員会には認定の適法性を審査する権限がないと反論し得る。しかし,行政庁相互の権限分配と,裁決取消訴訟において裁判所が裁決の適法性を審査する範囲は別である。委員会が認定に従うこと自体に落ち度がなくても,裁決が依拠する認定の違法を司法審査の対象とすることは可能である。
(3) 手続的保障と本件の経過
 B県は,認定前の事業説明(15条の14),理由を付した告示(26条1項),図面の長期縦覧(26条の2),補償等の周知(28条の2)が適法に行われており,Aには認定を知って争う機会があったと主張するであろう。土地所有者であるAは周辺住民よりも認定による将来の収用を予測しやすく,一年以内の裁決申請という仕組みも,先行処分の早期確定を重視する理由となる。
 もっとも,C市は認定後,当面は収用せず任意買収による方針を表明し,実際に起業地の9割以上を任意買収した。Aにとっては,協議が整わなければ直ちに権利を奪われるとは限らず,収用による具体的な不利益が現実化するまでは争訟を控えることにも理由があった。C市が後に方針を変更したことは,告示等による形式的な機会だけを理由にAの救済を閉ざすべきでない事情である。任意買収方針が収用を法的に禁止するという主張ではなく,先行段階で提訴すべきことをAにどこまで期待できたかの評価に用いる。
 以上の実体的一体性を前提に,認定だけでは権利取得が完成せず任意取得に終わることもある制度では,認定時に土地所有者へ常に争訟を期待する保障が十分とはいえない。説明・告示等の存在から承継を否定する構成も有力であるが,任意買収という制度上の選択可能性を含めて救済時期を保障すべきである。したがって,Aは本件取消訴訟において認定の違法を主張できると論じるべきである。

2 設問2(1)について
(1) C市に対する訴訟
 本件権利取得裁決が無効であれば,これに基づくC市の所有権取得は生じず,本件土地の所有権はAに残る。Aは,C市を被告として本件土地の所有権確認を求め,収用を原因としてされた所有権移転登記の抹消登記手続を請求する民事訴訟,すなわち裁決の効力を争点とする争点訴訟(行訴法45条)を提起できる。Aは居住・占有を続けているから,現在C市に土地明渡しを求める必要はない。
 B県は,この現在の法律関係に関する訴えによって所有権と登記を回復できる以上,行訴法36条の補充性を欠くと反論するであろう。民事訴訟で勝訴できるかという見込みと,救済のための訴訟形態が法律上可能かは区別しなければならない。
(2) 補充性の解釈
 同条の目的を達することができない場合とは,現在の法律関係に関する訴えでは処分による不利益を排除できない場合に限らず,紛争の実態と救済効果を比較したとき,処分の無効確認の方がより直截的で適切な争訟形態である場合を含むと解する。最高裁平成4年9月22日判決はこの解釈を示す。換地処分に関する判例も,多数の処分の連鎖と紛争の実態を踏まえ,民事訴訟が可能であることだけから補充性を否定していない。ただし,本件は有利な換地の交付を求める問題ではなく,所有権の保全と将来の明渡しの阻止を求める事案であるから,本件固有の比較が必要である。
(3) 判決効と後続処分の比較
 民事訴訟の勝訴判決は,AとC市の間で所有権を確定し,登記の回復にも役立つ。しかし,本件権利取得裁決の無効はその前提として判断されるにとどまり,その判断自体が独立に既判力を有するわけではない。また,B県収用委員会はC市とは別の行政主体に属し,C市との民事判決によって行訴法33条の拘束力を受けない。
 他方,裁決無効確認の認容判決には38条1項により33条が準用され,裁決庁その他の関係行政庁を拘束する。権利取得裁決を前提とする明渡裁決についても,その無効を無視して手続を進めることを防止できる。明渡裁決は権利取得裁決と同時又はその後にされ(法47条の2第4項),それがされれば占有者は期限までの引渡し等を義務付けられる(102条)。Aは現に居住しており,C市が近く申立てをする可能性を危惧しているから,現在の所有権だけでなく後続処分による居住喪失を防ぐことが紛争解決上重要である。
 もっとも,38条1項は32条1項の第三者効を明文で準用していない。拘束力は関係行政庁を拘束する効力であり,第三者一般へ及ぶ効力とは異なる。無効を主文で確認する性質から第三者効を認める解釈も考えられるが,本答案は明文の拘束力と後続処分の阻止を中心に比較し,第三者効が当然にあるとはしない。
 B県は,民事判決に拘束されるC市は再度の収用に進めず,認定告示から1年が経過しているので,新たな裁決申請もできない(法39条1項)と反論し得る。たしかに,権利取得裁決が無効であるとの判断がされた後,認定が存続するからといって新たな申請がいつでも可能になるわけではない。C市の裁決申請は告示後1年以内にされているから,単なる1年経過だけで29条1項の失効が生じたとするのも誤りである。
 しかし,本件で危惧されるのは新たな権利取得裁決の申請だけでなく,既に存在する権利取得裁決を前提とする明渡裁決の申立てである。39条1項が制限する裁決申請と,47条の2第3項の明渡裁決の申立ては区別すべきであり,1年経過だけで後者が排除されるわけではない。C市の事実上の対応への期待と,収用委員会を法的に拘束することにも差がある。
 また,無効確認訴訟には38条3項により25条の執行停止が準用される。提訴だけでは停止しないが,重大な損害を避けるため緊急の必要がある等の要件を満たせば,裁決の効力又は手続の続行の停止を求め,将来の明渡しへの進行を暫定的に止める余地がある。民事訴訟に仮処分等の救済があり得るとしても,関係行政庁への拘束力及び行政手続を直接止める手段が同じように備わるとはいえない。
 よって,Aは無効確認の方がより直截的で適切であると主張でき,本件では補充性を充足すると解する。他の訴訟要件及び無効事由の成否は,ここでは検討しない。

3 設問2(2)について
(1) 法20条3号の判断と裁量審査
 法1条及び2条は,公共の利益の増進と私有財産との調整を通じ,適正かつ合理的な土地利用を実現することを目的とする。20条3号の判断では,事業により得られる公共の利益と,収用により失われる財産・生活・自然環境等の私的・公共的利益を比較衡量するとともに,事業計画が適正かつ合理的であるかを検討すべきである。
 B県は,交通需要や環境への影響の予測,路線の選定,防災等の評価には専門技術的・政策的判断が必要で,知事に裁量があると反論するであろう。3号の要件が概括的であり,法1条の目的の下で多様な公益と損失を総合するため,一定の要件裁量が認められる。ただし,柱書の「できる」だけを要件裁量の根拠とはしない。Aとしては裁量の幅を無条件に広く認める必要もなく,裁量は無制限ではない。重要な事実の基礎を欠き,考慮すべき事情を考慮せず,又は評価・重み付けが合理性を欠くことにより判断が社会通念上著しく妥当性を欠く場合には,裁量権の逸脱・濫用として違法となる。Aは,裁判所に別の道路計画を選ばせるのでなく,知事の判断過程の具体的な欠陥を指摘すべきである。
(2) 交通量調査と道路の利益
 平成元年調査では交通量が1日約1万台と予測され,環境への影響が大きいとして道路整備は中断された。平成22年調査では約3500台に減少した一方,その間の人口減少は1割未満である。B県は,予測対象年や道路事情,調査時点が異なり,人口と交通量が比例するわけではないと反論し得る。それ自体は正しいから,数字の差だけで誤りを断定できない。しかし,大幅減少の合理的な説明と調査手法の検証がなければ,環境影響を軽微とした判断の基礎には疑問が残る。Aは主張する調査手法の誤りを具体化し,交通量と騒音・排気ガス等の予測が過小評価となっていることを論じるべきである。
 また,3500台という予測が正しい場合には,道路ネットワーク形成の必要性を高く評価し過ぎていないかが問題となる。これは,予測が過小であるとの主張とは条件を分けた主張であり,矛盾しない。B県は,幹線道路へのアクセス改善に加え,狭い道路への通過車両の流入を解消する通行安全と,避難・消防活動の円滑化という利益は交通量が少なくても存在すると反論できる。Aはこれらを無視せず,本件道路が通過車両を増やして従前の住環境を悪化させる可能性と,安全・防災の改善の具体的程度を対比し,三利益の評価が十分な根拠に支えられているかを争うべきである。
(3) 池の環境・教育価値と代替ルート
 B県は,小学校への騒音を緩和するため一定の距離を確保し,池に学術上貴重な生物等はいないから,自然環境への影響を重く評価する必要はないと反論するであろう。しかし,池には様々な水生生物が生息し,C市では珍しく,毎年小学校の学外授業に利用されている。希少種の保全とは別に,地域の自然環境及び教育の場としての利益がある。学術的希少性だけを価値判断の基準にして教育・地域環境の利益を排除するなら,考慮不尽又は利益の過小評価となる。学術的希少性の有無を考慮すること自体は不合理でなく,これを直ちに他事考慮とはいえない。Aは,法の目的と無関係な判断基準を持ち込んだといえる限度で他事考慮も主張し,単に考慮要素を落とした問題と区別する。
 小学校への騒音対策自体は合理的でも,それと池の保全が両立するルートの検討を全くしないまま現在の計画を合理的とした判断は,計画の比較検討を欠く。Aは別ルートが確実に可能であると創作するのでなく,調査・比較の欠落によって失われる利益の最小化が適切に検討されなかったと主張する。
(4) 地下水と防災井戸
 知事は,掘削が約2メートルなので地下水への影響はないと判断した。しかし,Aの指摘する過去の同程度の掘削による井戸の枯渇が認められるなら,浅い掘削という理由だけで影響を否定できない。B県は過去の工事と本件とは地質等が異なり,直ちに因果関係を推定できないと反論し得るが,その差異こそ調査すべき事項である。調査なしに生活用水への影響を捨象したことは,重要な事実の調査不足又は損失利益の過小評価といえる。
 さらに,非常時の水源となる防災井戸への影響は調査も考慮もされていない。道路による避難・消防活動の改善を防災利益として評価する一方で,井戸の喪失による防災上の不利益を比較衡量から除いたのは,一面的な評価である。損害の確実な発生まで断定できなくても,防災性向上の評価に必要な事情の見落としを主張できる。
 考慮の欠落があれば直ちに違法となるわけではない。しかし,交通量は環境負担と必要性の双方の基礎であり,地下水・教育環境・防災水源は生活と公共利益に直結する。それらの調査・比較を欠き,利益だけを厚く評価した欠陥が衡量の結論を左右するなら,判断は社会通念に照らして著しく妥当性を欠く。以上を総合すれば,本件事業認定は法20条3号の判断に係る裁量権の逸脱・濫用により違法であるとの主張が考えられる。これは法定手続違反の主張ではなく,実体判断の基礎と衡量の合理性の問題である。
以上

3 出題の趣旨・採点実感を踏まえた解説

評価項目との対応

設問1の主ルートは番号1~12である。特に実体的一体性だけで終えず、適法な説明・告示等をB県の反論として扱い、制度一般としていつ争う機会を保障すべきかを検討する。設問2(1)は番号19~35を中心に、C市との所有権・登記の争いとB県収用委員会の後続処分を区別する。設問2(2)は番号47~70について、法解釈から利益を抽出し、事実認定・考慮要素・重み付け・最終的な不合理性を接続する。

重み5の全項目と適用条件

  • 番号1:先行認定と後行裁決が別個の処分であるため違法性の承継が問題になると示す。本件の当該設問(負例は誤りを犯していないかの監査)。重み5:「先行認定と後行裁決が別個の処分であるため違法性の承継が問題になると示す」が,当該小問の規範→効果→救済の主ルートを構成する。根拠は引用頁の当該設問の記述。
  • 番号2:独立の取消訴訟・出訴期間による法的安定性を不承継原則の根拠にする。本件の当該設問(負例は誤りを犯していないかの監査)。重み5:「独立の取消訴訟・出訴期間による法的安定性を不承継原則の根拠にする」が,当該小問の規範→効果→救済の主ルートを構成する。根拠は引用頁の当該設問の記述。
  • 番号4:事業認定が裁決の法的前提となることを関係法令で示す。本件の当該設問(負例は誤りを犯していないかの監査)。重み5:「事業認定が裁決の法的前提となることを関係法令で示す」が,当該小問の規範→効果→救済の主ルートを構成する。根拠は引用頁の当該設問の記述。
  • 番号5:二段階が結合して一つの収用効果を完成することを説明する。本件の当該設問(負例は誤りを犯していないかの監査)。重み5:「二段階が結合して一つの収用効果を完成することを説明する」が,当該小問の規範→効果→救済の主ルートを構成する。根拠は引用頁の当該設問の記述。
  • 番号6:手続的保障を例外判断の観点として規範に置く。本件の当該設問(負例は誤りを犯していないかの監査)。重み5:「手続的保障を例外判断の観点として規範に置く」が,当該小問の規範→効果→救済の主ルートを構成する。根拠は引用頁の当該設問の記述。
  • 番号7:説明・告示・長期縦覧・補償周知を列挙して制度上の保障を具体化する。本件の当該設問(負例は誤りを犯していないかの監査)。重み5:「説明・告示・長期縦覧・補償周知を列挙して制度上の保障を具体化する」は採点実感が良好・優秀答案又は評価差の説明で示した検討密度に当たる。根拠は引用頁の当該設問の記述。
  • 番号8:個別の任意交渉だけでなく制度に内在する救済時期を分析する。本件の当該設問(負例は誤りを犯していないかの監査)。重み5:「個別の任意交渉だけでなく制度に内在する救済時期を分析する」は採点実感が良好・優秀答案又は評価差の説明で示した検討密度に当たる。根拠は引用頁の当該設問の記述。
  • 番号11:安全認定の制度と土地所有者への保障の違いを検討する。本件の当該設問(負例は誤りを犯していないかの監査)。重み5:「安全認定の制度と土地所有者への保障の違いを検討する」は採点実感が良好・優秀答案又は評価差の説明で示した検討密度に当たる。根拠は引用頁の当該設問の記述。
  • 番号19:行訴法36条後段の補充性に問題を限定する。本件の当該設問(負例は誤りを犯していないかの監査)。重み5:「行訴法36条後段の補充性に問題を限定する」が,当該小問の規範→効果→救済の主ルートを構成する。根拠は引用頁の当該設問の記述。
  • 番号20:より直截的で適切な争訟形態という判例の比較基準を示す。本件の当該設問(負例は誤りを犯していないかの監査)。重み5:「より直截的で適切な争訟形態という判例の比較基準を示す」が,当該小問の規範→効果→救済の主ルートを構成する。根拠は引用頁の当該設問の記述。
  • 番号21:裁決無効を前提とするC市への所有権確認訴訟を示す。本件の当該設問(負例は誤りを犯していないかの監査)。重み5:「裁決無効を前提とするC市への所有権確認訴訟を示す」が,当該小問の規範→効果→救済の主ルートを構成する。根拠は引用頁の当該設問の記述。
  • 番号23:民事訴訟を行訴法45条の争点訴訟として位置付ける。本件の当該設問(負例は誤りを犯していないかの監査)。重み5:「民事訴訟を行訴法45条の争点訴訟として位置付ける」が,当該小問の規範→効果→救済の主ルートを構成する。根拠は引用頁の当該設問の記述。
  • 番号26:争点訴訟には行訴法33条の拘束力がないと示す。本件の当該設問(負例は誤りを犯していないかの監査)。重み5:「争点訴訟には行訴法33条の拘束力がないと示す」が,当該小問の規範→効果→救済の主ルートを構成する。根拠は引用頁の当該設問の記述。
  • 番号27:無効確認認容判決の拘束力を38条1項・33条で根拠付ける。本件の当該設問(負例は誤りを犯していないかの監査)。重み5:「無効確認認容判決の拘束力を38条1項・33条で根拠付ける」が,当該小問の規範→効果→救済の主ルートを構成する。根拠は引用頁の当該設問の記述。
  • 番号28:C市とB県収用委員会の主体差を判決効の比較へ結び付ける。本件の当該設問(負例は誤りを犯していないかの監査)。重み5:「C市とB県収用委員会の主体差を判決効の比較へ結び付ける」が,当該小問の規範→効果→救済の主ルートを構成する。根拠は引用頁の当該設問の記述。
  • 番号29:既存の権利取得裁決を前提とした将来の明渡裁決を問題にする。本件の当該設問(負例は誤りを犯していないかの監査)。重み5:「既存の権利取得裁決を前提とした将来の明渡裁決を問題にする」が,当該小問の規範→効果→救済の主ルートを構成する。根拠は引用頁の当該設問の記述。
  • 番号30:認定告示後1年の新規裁決申請制限をB県の反論として検討する。本件の当該設問(負例は誤りを犯していないかの監査)。重み5:「認定告示後1年の新規裁決申請制限をB県の反論として検討する」は採点実感が良好・優秀答案又は評価差の説明で示した検討密度に当たる。根拠は引用頁の当該設問の記述。
  • 番号31:第三者効の有無を民事との比較に位置付ける。本件の当該設問(負例は誤りを犯していないかの監査)。重み5:「第三者効の有無を民事との比較に位置付ける」は採点実感が良好・優秀答案又は評価差の説明で示した検討密度に当たる。根拠は引用頁の当該設問の記述。
  • 番号32:32条1項の明文準用がなく拘束力と第三者効が異なると示す。本件の当該設問(負例は誤りを犯していないかの監査)。重み5:「32条1項の明文準用がなく拘束力と第三者効が異なると示す」は採点実感が良好・優秀答案又は評価差の説明で示した検討密度に当たる。根拠は引用頁の当該設問の記述。
  • 番号34:執行停止の可能性を行政的救済の具体的利点として比較する。本件の当該設問(負例は誤りを犯していないかの監査)。重み5:「執行停止の可能性を行政的救済の具体的利点として比較する」は採点実感が良好・優秀答案又は評価差の説明で示した検討密度に当たる。根拠は引用頁の当該設問の記述。
  • 番号47:法20条3号の要件充足に裁量があると明示する。本件の当該設問(負例は誤りを犯していないかの監査)。重み5:「法20条3号の要件充足に裁量があると明示する」が,当該小問の規範→効果→救済の主ルートを構成する。根拠は引用頁の当該設問の記述。
  • 番号51:法1条を踏まえ増進公益と失われる利益を比較衡量する。本件の当該設問(負例は誤りを犯していないかの監査)。重み5:「法1条を踏まえ増進公益と失われる利益を比較衡量する」が,当該小問の規範→効果→救済の主ルートを構成する。根拠は引用頁の当該設問の記述。
  • 番号53:重要事実の欠如と判断過程の合理性を裁量審査基準に置く。本件の当該設問(負例は誤りを犯していないかの監査)。重み5:「重要事実の欠如と判断過程の合理性を裁量審査基準に置く」が,当該小問の規範→効果→救済の主ルートを構成する。根拠は引用頁の当該設問の記述。
  • 番号58:B県の政策的・技術的反論を具体的事実に即して検討する。本件の当該設問(負例は誤りを犯していないかの監査)。重み5:「B県の政策的・技術的反論を具体的事実に即して検討する」は採点実感が良好・優秀答案又は評価差の説明で示した検討密度に当たる。根拠は引用頁の当該設問の記述。
  • 番号68:調査・考慮の欠落から著しい不合理という最終審査基準まで論証する。本件の当該設問(負例は誤りを犯していないかの監査)。重み5:「調査・考慮の欠落から著しい不合理という最終審査基準まで論証する」は採点実感が良好・優秀答案又は評価差の説明で示した検討密度に当たる。根拠は引用頁の当該設問の記述。

期間制限と判決効を混同しない

出題の趣旨3頁には、認定から1年経過で認定が失効するとする表現と法39条1項への参照がある。当時の法29条1項は1年内に裁決申請がない場合の失効を定め、39条1項は裁決申請の期限を定める。本件は1年内に申請済みである。したがって、単なる1年経過による認定失効と断定せず、無効判断後の新たな裁決申請ができないという反論と、既存裁決を前提とする明渡申立てを分けて比較した。

行訴法38条1項は33条の拘束力を準用するが、32条1項の第三者効の明文準用はない。この差を無視して「第三者効が当然にある」としない。38条3項・25条による執行停止は、制度の利用可能性と個別要件充足を分けて述べる。

公式に明記されていない補足

  • 告示後1年の再申請制限と既存裁決に基づく明渡申立てを区別する(試験時土地収用法39条1項・47条の2第3項)。
  • 執行停止の準用条項と自動停止でないことを確認する(行訴法38条3項・25条)。
  • 法29条2項の4年失効は検討可能だが本問の1年の反論を代用しない(試験時土地収用法29条2項)。

他事考慮・考慮不尽・事実誤認・利益評価の誤りは同じ意味ではない。学術的希少性を考慮したこと自体を直ちに他事考慮と決め付けず、教育等の利益を排除する基準としての不合理性を検討する。

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第7 出典及び確認状態

1 公式資料

2 法令

3 裁判例

4 確認状態

Confirmed:上記問題・公式資料の該当頁、当時の法令版、引用した裁判例の本文を確認した。Source statement:評価表の公式欄は法務省資料の記載を示す。Inference:項目分割・重み・答案の構成と事案への適用は本記事の判断である。Unknown:公式の個別配点や本答案の実得点は公表資料から確定できない。予測調査の真偽、別ルートの実現可能性、過去の井戸枯渇との因果関係は問題文を超えて断定しない。

確認基準日:2026年10月8日。後発の行政実務・法律改正によって本問当時の答案要求を変更していない。