第1 この記事の対象
本記事は,令和2年司法試験論文式試験の選択科目8科目・16問について,公開済みの模範解答記事を案内するものである。
対象は倒産法,租税法,経済法,知的財産法,労働法,環境法,国際関係法(公法系)及び国際関係法(私法系)である。
主要7科目,短答式試験,予備試験及び旧司法試験は含めない。
| 確認事項 | 内容 |
|---|---|
| 対象年度・区分 | 令和2年司法試験・論文式選択科目 |
| 試験実施日 | 令和2年8月12日 |
| 対象範囲 | 8科目・各2問,計16問 |
| 集計 | 評価項目505項目,重み5は146項目,重み合計1961 |
| 子記事の確認日 | 令和8年10月18日 |
| 資料の状態 | 子記事は出題の趣旨・採点実感に基づく記事として公開されている。各記事の実読範囲と限界は第7を参照。 |
| 他年度への案内 | 第6の同種ハブ及び総合索引を参照。 |
集計は,令和8年10月18日に取得した16子記事の実際の公開評価表に基づく。
各記事で1~5の5段階を採用しているが,個々の項目の区分・適用条件及び定義の細かな違いは保持している。
項目数と重みは各記事の独自分析であり,法務省の公式採点基準・配点・予測得点ではない。
一覧の科目・問題から子記事へ進み,第3の概要と設問指定を確認してから,重み5の事項を評価表・答案・解説と照合する。
番号は各子記事の現在の公開評価表の通し番号であり,子記事ごとに1から始まる。
高評価・負例・許容分岐を重みとは別に読み,条件付きの構成を全答案へ累積要求しない。
第2 16記事の一覧
| 科目・問題 | 主な論点 | 評価項目 | 重み5 |
|---|---|---|---|
| 倒産法第1問 | 詐害行為取消訴訟,第三者担保,所有権留保と否認 | 31項目 | 10項目 |
| 倒産法第2問 | 事業譲渡までの融資,担保権,仕入先との取引維持 | 43項目 | 11項目 |
| 租税法第1問 | 馬券払戻金,増額賃料,高額譲受けと転売 | 50項目 | 14項目 |
| 租税法第2問 | 役員給与,従業員貸付け,解除後の更正の請求 | 39項目 | 14項目 |
| 経済法第1問 | 垂直型企業結合,投入物・顧客閉鎖,協調 | 30項目 | 5項目 |
| 経済法第2問 | 事業者団体の加入拒否,顧客争奪制限,供給拒否要請 | 35項目 | 9項目 |
| 知的財産法第1問 | 特許を受ける権利の解除,診断方法,FRAND宣言 | 34項目 | 13項目 |
| 知的財産法第2問 | 二次的著作物,鑑定証書の引用,掲示板の差止め | 31項目 | 9項目 |
| 労働法第1問 | 基本給への割増賃金の組入れと賃金債権放棄 | 18項目 | 5項目 |
| 労働法第2問 | 団交拒否,二重加入,利益代表者,救済機関 | 26項目 | 9項目 |
| 環境法第1問 | 土壌調査・形質変更,知事の措置,人格権救済 | 31項目 | 6項目 |
| 環境法第2問 | 自然公園法の許可・届出,既存建築物,損失補償 | 28項目 | 10項目 |
| 国際関係法(公法系)第1問 | 国家免除,書面契約による放棄,外交口座の執行 | 22項目 | 8項目 |
| 国際関係法(公法系)第2問 | 国際河川の環境保全,条約廃棄・対抗措置,ICJ | 24項目 | 7項目 |
| 国際関係法(私法系)第1問 | 裁判離婚主義,国際裁判管轄,財産分与と慰謝料 | 36項目 | 8項目 |
| 国際関係法(私法系)第2問 | 財産所在地の管轄,準拠法の変更,国際物品売買 | 27項目 | 8項目 |
第3 各問題の概要と重み5の事項
1 倒産法
(1) 第1問
破産会社の親会社債務を担保する抵当権設定と,所有権留保車両の代物弁済が問題となる。
破産開始時に係属する詐害行為取消訴訟の処理,担保供与の否認,車両引渡請求を区別する。
設問1では管財人と相手方の手続を分け,設問2では破産法160条1項又は162条1項による主張を検討する。
160条3項を別の主たる経路にせず,設問3は162条1項による否認と共同担保の価値を踏まえて結論まで述べる。
重み5は10項目である。
以下は子記事の現在の評価項目であり,区分・適用条件を含む項目文を保持している。
①番号2:【必須】A社が訴訟当事者でないため,破産法44条1項の直接適用を否定する。
②番号3:【必須】破産法45条1項を適用し,開始決定時に訴訟手続が当然に中断すると当てはめる。
③番号4:【必須】破産管財人Yが45条2項により中断訴訟を受け継ぐことができると示す。
④番号8:【必須】160条1項と162条1項の双方について別々に適用の可否を検討する。
⑤番号13:【必須】162条1項の『既存の債務』を,破産者自身の債務と解釈する。
⑥番号14:【必須】担保されるのはB社の債務でありA社自身の債務でないため,162条1項を適用しない。
⑦番号16:【高評価】160条1項柱書の『担保の供与』という除外文言を,自らの債務の担保供与に限定して解釈する。
⑧番号24:【必須】偏頗行為否認にも共同担保を害する有害性が必要であると,制度趣旨を踏まえて論じる。
具体的要件を検討せず結論だけにしない。
⑨番号25:【高評価】有害性を一般的な積極要件とするか,欠如を否認阻却要件とするか,採る位置付けを明示する。
⑩番号29:【必須】代物弁済前後の一般債権者の引当価値を比較し,既存担保の把握価値にとどまり共同担保が減損しないと説明する。
財団外との一言だけにしない。
根拠の頁・節及び条件の詳しい説明は,子記事の同じ番号の評価表と解説で確認できる。
記事:令和2年司法試験倒産法第1問の模範解答と評価項目―出題の趣旨・採点実感から抽出した31項目と5段階の重み付け
(2) 第2問
資金繰りが悪化したA社は,同業D社への事業譲渡を予定している。
開始前の資金援助,工場等の抵当権実行,代替調達が困難な仕入先との取引継続が事業維持の課題となる。
弁護士Cの立場から,開始前融資の優先性,抵当権実行の阻止と消滅,仕入先への支払を破産と再生で比較し,申立ての助言まで示す。
問題文にない保全管理人の選任や契約類型を確定事実として補わない。
重み5は11項目である。
以下は子記事の現在の評価項目であり,区分・適用条件を含む項目文を保持している。
①番号1:三つの指定方策を破産手続と再生手続で比較する。(必須/両者由来)
②番号2:事業を維持継続してD社へ譲渡する目的に即して制度を選ぶ。(必須/両者由来)
③番号4:民事再生法120条による開始前融資の共益債権化を指摘する。(必須/両者由来)
④番号10:120条の制度趣旨から要件を解釈し,その解釈と事案の当てはめを順に示す。(高評価/採点実感由来)
⑤番号15:民事再生法31条の担保権実行手続中止命令を指摘する。(必須/両者由来)
⑥番号21:民事再生法148条の担保権消滅許可制度を指摘する。(必須/両者由来)
⑦番号25:中止だけでは一時的,消滅だけでは実行が先行し得るため,両制度が補完すると説明する。(高評価/両者由来)
⑧番号28:E銀行が破産法187条に基づき実行を申し立てると消滅許可を阻止できるとする。(必須/両者由来)
⑨番号30:民事再生法85条5項後段の早期弁済許可を本件の対応手段とする。(必須/両者由来)
⑩番号38:制度趣旨から少額性・著しい支障を解釈した上で事案を丁寧に当てはめる。(高評価/採点実感由来)
⑪番号43:三方策の比較結果を自らの理由付けで申立て選択の助言へ結び付ける。(必須/両者由来)
根拠の頁・節及び条件の詳しい説明は,子記事の同じ番号の評価表と解説で確認できる。
記事:令和2年司法試験倒産法第2問の模範解答と評価項目―出題の趣旨・採点実感から抽出した43項目と5段階の重み付け
2 租税法
(1) 第1問
馬券払戻金の所得分類と販売事業への付随性,係争増額賃料の収入帰属年度,土地の高額譲受けと転売時の損益を扱う。
私法上の権利発生と税法上の権利確定,取得対価と無償の利益移転を分ける。
Aの各年分の所得分類・賃料の帰属年と,B社の取得時の損金及び転売時の益金・損金を答える。
設問1⑵では事業関連性を否定する構成も区別し,C社や取得後のAの課税,外れ馬券の経費及び寄附金限度額の具体計算へ広げない。
重み5は14項目である。
以下は子記事の現在の評価項目であり,区分・適用条件を含む項目文を保持している。
①番号2:自己の危険と計算・独立性・営利有償性・反復継続意思と社会的地位の事業基準。(必須)
②番号6:行為態様と利益発生状況を総合して継続性・客観的営利性を判定する。(必須)
③番号9:一時所得にも当たらず雑所得35条1項と結論する。(必須)
④番号12:事業に付随する経済活動の所得という接続を示す。(必須)
⑤番号20:収入原因となる権利の確定的発生を権利確定主義として示す。(必須)
⑥番号21:形成権行使による私法上の発生と税法上の確定を区別する。(必須)
⑦番号23:係争増額賃料は原則として裁判確定時という規範を示す。(必須)
⑧番号25:裁判確定の平成29年分に算入し平成28年・30年を排除する。(必須)
⑨番号28:時価3000万円と債権4000万円との差額1000万円の社外流出を把握する。(必須)
⑩番号32:37条7項の経済的利益の贈与・無償供与を根拠にする。(必須)
⑪番号34:援助目的と反対給付のない差額を無償の利益供与へ評価する。(必須)
⑫番号40:有償譲渡の収益3300万円を22条2項により益金算入する。(必須)
⑬番号41:損金の根拠は22条3項1号の原価と特定する。(必須)
⑭番号42:寄附金部分を除く取得原価3000万円を売却時の損金とする。(必須)
根拠の頁・節及び条件の詳しい説明は,子記事の同じ番号の評価表と解説で確認できる。
記事:令和2年司法試験租税法第1問の模範解答と評価項目―公式資料から抽出した50項目と5段階の重み付け
(2) 第2問
毎月一定額の役員給与,介護費用のための従業員への貸付け,事業用車両の譲渡解除と更正の請求を扱う。
従業員は元本200万円と利息1万円を残して死亡し,車両の解除判決が確定した年分と先行更正にも注意が必要である。
役員給与の損金算入の根拠・趣旨と部分否認,利息所得の分類・年度と貸倒れ,解除後の請求根拠・期間まで答える。
高額部分の存在は仮定されており,その金額の実体審査を中心にしない。
雑所得を前提とする評価項目は,その構成を採る場合の枝として読む。
重み5は14項目である。
以下は子記事の現在の評価項目であり,区分・適用条件を含む項目文を保持している。
①番号1:【必須】一般管理費である役員給与を法人税法22条3項2号による原則的な損金算入へ接続する
②番号5:【必須】34条2項の除外を1項により実際に損金不算入となった給与と解し、重複否認の回避を説明する
③番号10:【必須】勤務実績・継続勤務への期待を福利厚生と評価し、貸付けの事業関連性を基礎付ける
④番号11:【必須】小売業への付随収入として利息を事業所得に分類し、貸金業でないことだけで雑所得としない
⑤番号16:【必須】事業遂行上の貸付債権であることを示して所得税法51条2項を適用する
⑥番号17:【必須】貸倒れの規範として債権全額の回収不能が客観的に明らかであることを示す
⑦番号19:【必須】元本200万円と未収利息1万円を合わせた201万円を平成28年の必要経費とする
⑧番号25:【許容分岐】雑所得を採用する場合、元本損失の経費算入は平成28年分雑所得の金額を上限とする
⑨番号26:【必須】甲を事業用固定資産と認定し、棚卸・反復継続売買との区別から譲渡所得とする
⑩番号28:【必須】解除判決により譲渡の事実が遡及的に失われ、平成28年分の譲渡所得を減額すると説明する
⑪番号31:【必須】2項柱書の期間満了日比較を適用し、本件で2項による延長が使えないと説明する
⑫番号32:【必須】2項の後発的事由も通常期間内は1項1号による更正請求が可能と説明する
⑬番号34:【必須】既存増額更正後の課税標準等・税額等も23条1項の請求対象で、不服申立てなしは妨げにならないと説明する
⑭番号36:【高評価】所得分類によって損失発生年の経費処理と原年分の更正請求が分かれる意義を説明する
根拠の頁・節及び条件の詳しい説明は,子記事の同じ番号の評価表と解説で確認できる。
記事:令和2年司法試験租税法第2問の模範解答と39の評価項目―5段階の重み付け
3 経済法
(1) 第1問
甲部品と乙機器の市場を結ぶ全株式取得計画について,供給拒絶,購入拒絶及び情報取得を通じた協調的行動を検討する。
同質性,製造仕様の転換,製造余力,内製計画及び別商品の取引関係を市場ごとに評価する。
独占禁止法10条1項の競争の実質的制限が到達点である。
供給拒絶が影響する乙市場と購入拒絶が影響する甲市場を取り違えず,情報経路と協調を妨げる事情も各市場で論じる。
重み5は5項目である。
以下は子記事の現在の評価項目であり,区分・適用条件を含む項目文を保持している。
①番号1:YのX全株式取得に独禁法10条1項を適用する。〔必須〕
②番号9:垂直型の単独行動・協調的行動を区別し、水平型だけの分析に終始しない。〔必須〕
③番号10:XからE/F等への供給拒絶が乙市場の競争圧力を減ずる経路を示し、影響市場を甲と取り違えない。〔必須〕
④番号15:YのA/B/Cからの購入拒絶が甲市場を閉鎖する経路を示し、乙市場と取り違えない。〔必須〕
⑤番号18:Y経由でXと甲競争者、X経由でYと乙競争者が情報を取得し、行動予測や逸脱監視により協調しやすくなる経路を区別する。〔必須〕
根拠の頁・節及び条件の詳しい説明は,子記事の同じ番号の評価表と解説で確認できる。
記事:令和2年司法試験経済法第1問の模範解答と評価項目―出題の趣旨・採点実感から抽出した30項目と5段階の重み付け
(2) 第2問
浄化槽協会が,低料金者の加入を拒み,会員の顧客争奪や非会員との提携を制限し,薬剤メーカーへ供給拒否を要請した。
会員が県内役務の約9割を占める一方,競争は激化し料金も下落している。
協会の各行為を独占禁止法8条各号の要件と結び付け,誰のどの行為が違反するかを示す。
メーカーの行為を5号の前提として扱うことと,そのメーカー自身の19条違反を独立に断定することを分ける。
協会の違反から全会員の違反を当然に導かない。
重み5は9項目である。
以下は子記事の現在の評価項目であり,区分・適用条件を含む項目文を保持している。
①番号2:共通の経済的利益の増進を主目的とする要件を,紹介・大口取引斡旋等から判断する。(必須)
②番号9:約9割のシェアと行為後の競争激化・料金下落を併せ,1号該当性を検討する。(必須)
③番号12:3号の「一定の事業分野」を説明し,「一定の取引分野」と区別する。(必須)
④番号15:清掃許可・登録更新・会員全員性を結び,非会員に代替提携経路がないことを評価する。(必須)
⑤番号17:3号について,1号より低い自由競争減殺の程度を示して具体的排除効果を評価する。(必須)
⑥番号21:除名示唆による既存顧客尊重指導を,顧客争奪の制限として4号で検討する。(必須)
⑦番号25:5号の「不公正な取引方法に該当する行為」につき,行為要件のみか効果要件も必要かを示す。(必須)
⑧番号28:メーカーの個別同意・供給範囲・代替調達不能を,5号の要請と非会員排除の効果へ当てはめる。(必須)
⑨番号34:正当化を一部行為だけで終わらせず,4つの団体行為について回収する。(必須)
根拠の頁・節及び条件の詳しい説明は,子記事の同じ番号の評価表と解説で確認できる。
記事:令和2年司法試験経済法第2問の模範解答と評価項目―出題の趣旨・採点実感から抽出した35項目と5段階の重み付け
4 知的財産法
(1) 第1問
特許を受ける権利の譲渡契約の解除,疾病発見率と副作用を伴う診断方法,標準必須特許のFRAND宣言後の権利行使を扱う。
出願人の地位の回復,第三取得者への請求,発明該当性と産業利用可能性,差止めと損害賠償がそれぞれの到達点である。
設問及び設問1の各小問は独立しており,異なる制度構成の比較と,設問3の二つの救済の区別を落とさない。
第三取得者の移転登録や具体的な交渉態度など,問題文にない事実は必要な前提を明示するか場合を分ける。
原事件の契約文言・外国準拠法・交渉経緯を本問へ補わない。
重み5は13項目である。
以下は子記事の現在の評価項目であり,区分・適用条件を含む項目文を保持している。
①番号1:【必須】譲渡契約解除の遡及効と民法545条1項本文の原状回復を出願上の権利復帰へ接続する。(適用条件:全答案)
②番号3:【高評価】Yの協力がなければXの特許を受ける権利の確認訴訟をYに提起し、勝訴確定判決を添えて単独で名義変更する経路とその理由を示す。(適用条件:全答案)
③番号5:【高評価】74条の特例と545条の解除前第三者保護を対比し、自己の依拠する制度が優先する理由を示す。(適用条件:全答案)
④番号9:【高評価】74条の移転を認める枝で、善意Zの79条の2第1項の通常実施権と同2項の相当対価を示す。
移転否定枝で適用しない。
(適用条件:74条移転認容枝(採用又は比較))
⑤番号11:【必須】2条1項の定義を示し、自然法則利用に必要な反復可能性は必ずしも高確率を要しないという黄桃判決の規範を示す。(適用条件:全答案)
⑥番号15:【必須】副作用の問題を未完成発明か産業利用可能性かに位置付け、両要件を区別して規範と当てはめを示す。
低確率・副作用を高度性へ安易に分類しない。
(適用条件:全答案)
⑦番号18:【必須】Mが人体診断方法であり、医師の特許侵害責任を免除する明文制度を欠くため29条1項柱書の産業利用可能性が問題となることを示す。(適用条件:全答案)
⑧番号26:【必須】差止めではXがFRAND条件で許諾を受ける意思を有するとき、民法1条3項の権利濫用によりWの請求を制限する。(適用条件:権利濫用構成)
⑨番号27:【高評価】Xの許諾意思の有無を場合分けし、意思がない枝では差止めを認めるなど、各枝を理由付き結論まで示す。(適用条件:権利濫用構成)
⑩番号28:【必須】FRAND料相当額を超える賠償請求は原則として制限されることと、その信頼・普及等の論拠を示す。(適用条件:権利濫用構成)
⑪番号30:【必須】FRAND料相当額の範囲内は原則として損害賠償を認める。(適用条件:権利濫用構成)
⑫番号31:【高評価】料相当額の範囲内でも著しく不公正となる特段の事情があるときは請求を制限する。(適用条件:権利濫用構成)
⑬番号32:【必須】差止めと損害賠償を同じ効果として一括せず、それぞれ独立に結論を導く。(適用条件:全答案)
根拠の頁・節及び条件の詳しい説明は,子記事の同じ番号の評価表と解説で確認できる。
記事:令和2年司法試験知的財産法第1問の模範解答と評価項目―出題の趣旨・採点実感から抽出した34項目と5段階の重み付け
(2) 第2問
小説から翻案された漫画の絵の部分利用,鑑定証書への絵画のカラーコピー,無断投稿を放置した掲示板運営者への差止めを扱う。
鑑定用コピーは16×10センチメートルであり,原作品と証書それぞれに対する面積比を区別する。
設問1は異なる意見にも留意した販売予防請求,設問2は丁の反論とその成否,設問3は価値中立的な掲示板の性質を踏まえた送信差止めを問う。
各設問は独立し,著作者人格権は検討しない。
損害賠償や掲示板全体の閉鎖へ到達点を置き換えない。
重み5は9項目である。
以下は子記事の現在の評価項目であり,区分・適用条件を含む項目文を保持している。
①番号3:【必須】28条により原著作者に同一の種類の権利が併存することを示す。
②番号5:【必須】販売の対象権利を28条を介する26条の2第1項の譲渡権とし,112条1項へ接続する。
③番号7:【高評価】対立する両見解の根拠を示し,反対説に応答して自説を選ぶ。
④番号10:【必須】丁の引用の反論を32条1項と47条の7による譲渡の適法化まで結ぶ。
⑤番号14:【高評価】公正な慣行を規範的に解釈し,既存慣行がほぼないことだけで引用を否定しない。
⑥番号25:【必須】戊が規範的な侵害主体となる条件を,自説の規範として示す。
⑦番号26:【高評価】適法用途のある媒体の提供・利益だけで侵害主体とせず,過度の常時監視負担を避ける規範を示す。
⑧番号27:【高評価】侵害を認識後,一定期間内に適切に対応せず不当に放置した段階での主体性を論じる。
⑨番号29:【高評価】受領・閲読後の3週間の無措置を規範に当てはめる。
根拠の頁・節及び条件の詳しい説明は,子記事の同じ番号の評価表と解説で確認できる。
記事:令和2年司法試験知的財産法第2問の模範解答と評価項目―出題の趣旨・採点実感から抽出した31項目と5段階の重み付け
5 労働法
(1) 第1問
月額40万円の基本給が月140~180時間で変わらない約定と,その理解・署名押印が問題となる。
月間労働時間の枠と法定時間外労働を区別し,基本給に割増賃金が含まれるとの反論と,賃金債権を放棄したとの反論を検討する。
設問1・2で各反論の成否とXの請求の可否まで示す。
180時間超の手当が支払われた6月も,180時間以内の法定時間外労働分は対象となる。
消滅時効は検討せず,具体的な請求総額を創作しない。
重み5は5項目である。
以下は子記事の現在の評価項目であり,区分・適用条件を含む項目文を保持している。
①番号3:通常賃金部分と割増賃金部分の判別を要件として示す
②番号4:法定額との比較を可能にするため判別性が必要であると理由付ける
③番号10:労基法24条1項の賃金全額払い原則から放棄の問題を立てる
④番号14:自由意思を認める合理的理由の客観的存在を規範として示す
⑤番号18:実際の繁忙状況や契約時の知り得た事情へ着目して客観的裏付けを掘り下げる(高評価。全答案の独立必須要件ではない)
根拠の頁・節及び条件の詳しい説明は,子記事の同じ番号の評価表と解説で確認できる。
記事:令和2年司法試験労働法第1問の模範解答と評価項目―出題の趣旨・採点実感から抽出した18項目と5段階の重み付け
(2) 第2問
既存組合が減給処分を取り合わなかった課長Cが,既存組合籍を残したまま地域合同労組Eへ加入した。
会社は全組合員の名簿不開示,二重交渉の可能性,管理職であることを理由に団交を拒んでいる。
E組合の立場で,労働委員会と裁判所の救済を,機関・根拠・内容及び可否に分けて論じる。
三つの拒否理由と支配介入を具体的に評価し,労組法上の利益代表者性を労基法上の管理監督者性と混同しない。
C個人の減給の実体的有効性や割増賃金請求を独立に解く問題ではない。
重み5は9項目である。
以下は子記事の現在の評価項目であり,区分・適用条件を含む項目文を保持している。
①番号1:【必須】労働委員会を救済機関として挙げる
②番号2:【必須】裁判所を救済機関として挙げる
③番号3:【必須】団交拒否の救済根拠として労組法7条2号を示す
④番号4:【必須】支配介入の救済根拠として労組法7条3号も示す
⑤番号10:【必須】労委は制度目的の範囲で救済内容を選択する広い裁量を持つと論ずる
⑥番号18:【高評価】二重交渉が拒否の正当理由になり得る理由を、交渉権限・矛盾する要求や合意・重複負担等から説明する
⑦番号21:【必須】組合の自主性確保という2条但書1号の趣旨・構造に沿い、職名だけで法適合性を否定しない
⑧番号23:【必須】機密接触を一般的人事情報と区別し、労働関係の計画方針の機密・組合員責任との直接抵触を検討する
⑨番号25:【必須】労組法の利益代表者と労基法41条2号の管理監督者を区別し、手当・割増なし・時間自由だけで前者を判断しない
根拠の頁・節及び条件の詳しい説明は,子記事の同じ番号の評価表と解説で確認できる。
記事:令和2年司法試験労働法第2問の模範解答と評価項目―出題の趣旨・採点実感から抽出した26項目と5段階の重み付け
6 環境法
(1) 第1問
有害物質使用工場を廃止した後,調査等をしないまま約1500平方メートルを掘削し,隣接公園の井戸・池への地下水汚染が報道された。
廃止時及び掘削時の義務,知事の行政措置,住民からの直接請求を分ける。
免除確認を受けていない現実の状態を保ち,調査・指定・計画等の条文上の段階を検討する。
C市への権限委任はない。
公的な汚染確認,井戸の飲用指定,健康被害や公園利用制限を当然の与件として補わず,人格権差止めと損害賠償の要件・内容まで示す。
重み5は6項目である。
以下は子記事の現在の評価項目であり,区分・適用条件を含む項目文を保持している。
①番号3:廃止時に土地所有者等Aの土壌調査及び知事への結果報告義務を示す(必須)
②番号13:5条の健康被害要件を令3条の厳格な要件まで具体化する(必須)
③番号14:令3条1号ロでは現実の地下水汚染の確認を要すると示す(必須)
④番号18:調査結果を踏まえ6条の要措置区域指定へ進める(必須)
⑤番号19:7条による措置・期限を示した汚染除去等計画の作成提出指示を示す(必須)
⑥番号28:抽象的・包括的差止請求の可否を請求特定・実効的救済の観点から論じる(高評価)
根拠の頁・節及び条件の詳しい説明は,子記事の同じ番号の評価表と解説で確認できる。
記事:令和2年司法試験環境法第1問の模範解答と評価項目―出題の趣旨・採点実感から抽出した31項目と5段階の重み付け
(2) 第2問
ホテル建築後に周辺が国立公園の第一種特別地域へ指定され,地震で損壊したホテルを解体した3年後に同じ位置・規模・デザインで再建する計画を扱う。
修繕自体は可能だったことと,修繕費が価値を上回ったことを区別する。
設問1は特別地域と普通地域の規制手法・内容・理由の比較,設問2は別紙条文の連鎖と事実に即した許可基準適合性を問う。
設問3は建築が認められないことを前提に損失補償の可否・範囲を検討し,この前提を覆す救済へ置き換えない。
重み5は10項目である。
以下は子記事の現在の評価項目であり,区分・適用条件を含む項目文を保持している。
①番号6:風景保護・利用増進と私的財産権の尊重(法4条)との調和を説明し,差異の列挙だけに終始しない。【高評価】
②番号8:前各項の建物に該当しないという注は11条6項の適用を導くと読み,6項不適用という誤読を避ける。【必須】
③番号9:11条6項本文から1項2号イへ接続し,第一種特別地域で原則不許可となる構造を先に示す。【必須】
④番号10:11条6項ただし書から2項ただし書へ進み,既存建築物の改築等に当たる場合の例外を示す。【必須】
⑤番号12:6項ただし書の例外に該当しても37項の基準は別に充足する必要があると説明する。【必須】
⑥番号13:修繕可能だが修繕費が価値を超える経済的全損を,災害による滅失の解釈に結び付ける。【高評価】
⑦番号17:例外該当性を主要な争点として両方向の事情を評価し,許可・不許可につき理由を伴う一定の見通しを示す。【高評価】
⑧番号18:不許可を前提とする救済として法64条1項の損失補償を挙げる。【必須】
⑨番号26:Aの得べかりし利益が各説で補償されるかを比較し,相当因果関係説の可能性と他説の困難を区別する。【高評価】
⑩番号28:不許可を覆す取消訴訟・許可義務付け・国賠を,本設問が求める救済として展開しない。【負例】
根拠の頁・節及び条件の詳しい説明は,子記事の同じ番号の評価表と解説で確認できる。
記事:令和2年司法試験環境法第2問の模範解答と評価項目―出題の趣旨・採点実感から抽出した28項目と5段階の重み付け
7 国際関係法(公法系)
(1) 第1問
私人と外国政府のコンピュータ売買をめぐり,絶対免除と制限免除,裁判合意,外交使節団名義口座への強制執行を扱う。
両国は国連国家免除条約の締約国であるが,条約は未発効であるとの指定がある。
設問1では絶対免除の立場からのB国の主張,設問2では制限免除と放棄に関するXの主張を区別する。
設問3では本案の裁判権免除と執行免除を混同せず,財産の用途を検討する。
国際裁判所の管轄,外交的保護,判決前の仮差押えへ広げない。
重み5は8項目である。
以下は子記事の現在の評価項目であり,区分・適用条件を含む項目文を保持している。
①番号1:【必須】国家が他国裁判所の裁判権から免除される制度を説明する。
②番号4:【必須】絶対免除主義は原則として国家の行為・財産を広く免除すると説明する。
③番号6:【必須】B国の立場から,放棄は国家から国家へなされる必要があり私人との契約条項だけでは足りないと主張する。
④番号8:【必須】制限免除主義を主権的行為と業務管理的行為の区別及び前者のみ免除という形で説明する。
⑤番号14:【必須】私人との書面契約の明示裁判条項にも免除放棄の効力を認め,本件条項へ適用する。
⑥番号17:【必須】裁判権の行使と強制執行を別手続と位置付け,それぞれの免除を区別する。
⑦番号18:【必須】裁判同意・裁判免除放棄から執行への同意・放棄を当然に導かない。
⑧番号20:【必須】本件の使節団経費用口座は非商業的公共目的の財産であるから差押えできないと当てはめる。
根拠の頁・節及び条件の詳しい説明は,子記事の同じ番号の評価表と解説で確認できる。
記事:令和2年司法試験国際公法第1問の模範解答と評価項目―22項目と5段階の重み付け
(2) 第2問
国際河川のダム・発電所計画をめぐり,流域環境条約上の手続と環境影響評価,電力供給条約の廃棄・供給停止が問題となる。
両国には選択条項受諾宣言がない。
設問1はB国からA国の認可を争い,慣習法と1975年条約を区別する。
設問2はA国からB国の措置を争い,条約法と対抗措置の双方を検討する。
設問3では条約19条の範囲と前置要件を踏まえ,B国の付託根拠・申立てとA国の二つの抗弁を論じる。
重み5は7項目である。
以下は子記事の現在の評価項目であり,区分・適用条件を含む項目文を保持している。
①番号1:【必須】慣習国際法上の義務と1975年条約上の義務を区別する。
②番号4:【必須】環境影響評価を行う慣習国際法上の義務を説明する。
③番号17:【必須】条約法上の終了・停止と国家責任法上の対抗措置の両方から検討する。
④番号19:【必須】浄水施設の必要とA国の約50%の電力依存を比較し,全面停止の均衡性を争う。
⑤番号20:【必須】1975年条約19条の裁判条項をICJ管轄の根拠として特定する。
⑥番号21:【必須】B国は4・12条の解釈・適用について両国の意見が不一致であることから条約紛争の存在を論証する。
⑦番号22:【必須】B国はA国の当初からの条約適用否定を理由に交渉による解決可能性がなかったと主張する。
根拠の頁・節及び条件の詳しい説明は,子記事の同じ番号の評価表と解説で確認できる。
記事:令和2年度司法試験国際関係法(公法系)第2問の模範解答と評価項目―出題の趣旨・採点実感から抽出した24項目と5段階の重み付け
8 国際関係法(私法系)
(1) 第1問
裁判離婚だけを認める本国法の下での日本の調停離婚と,別事例における離婚・清算的財産分与・慰謝料の国際裁判管轄及び準拠法を扱う。
設問2の慰謝料は,離婚自体の苦痛と不貞自体の苦痛を区別する。
設問1では調停離婚を否定する場合に訴訟以外の裁判所の手続を示す一方,調停事件自体の国際裁判管轄は検討しない。
設問2小問1は各請求の管轄,小問2は全請求に管轄があるとの仮定の下で各準拠法を検討する。
財産分与は清算的要素に限る。
重み5は8項目である。
以下は子記事の現在の評価項目であり,区分・適用条件を含む項目文を保持している。
①番号1:離婚方法を実質・手続・方式のどの問題と性質決定するかを示し,選んだ分類の理由を述べる。[必須](全答案)
②番号3:甲国法の離婚手続を日本の調停で代行できるかという実体と手続の適応問題を立てる。[必須](実質説を採る場合)
③番号7:調停代行を否定する場合,審判が裁判の一種であることを踏まえ,訴訟だけに進まず審判による代行を示す。[必須](調停代行を否定する場合)
④番号14:離婚を人事訴訟と位置付け,施行済み改正後の人事訴訟法を民事訴訟法の国際管轄規定に優先させる。
[必須](全答案) 裏返しの注意:試験時に施行されている人事訴訟法等の改正を無視して,改正前判例の一般枠組みだけで管轄を判断しない。
⑤番号15:離婚請求について人事訴訟法3条の2第6号を特定して管轄を判断する。[必須](全答案)
⑥番号21:財産分与の国際管轄について人事訴訟法3条の4第2項から家事事件手続法3条の12へ接続する。[必須](全答案)
⑦番号23:慰謝料の国際管轄の直接根拠を,人事訴訟法17条でなく3条の3に求める。
[必須](全答案) 裏返しの注意:人事訴訟法17条を慰謝料の国際裁判管轄の直接根拠としない。
⑧番号30:清算分与を27条の離婚又は26条の夫婦財産制と性質決定し,離婚当事者間の清算に即した理由を述べる。[必須](全答案)
根拠の頁・節及び条件の詳しい説明は,子記事の同じ番号の評価表と解説で確認できる。
記事:令和2年司法試験国際関係法(私法系)第1問の模範解答と評価項目―出題の趣旨・採点実感から抽出した36項目と5段階の重み付け
(2) 第2問
日本の売主と甲国の買主による素材売買で,代金請求の管轄,甲国法選択後の日本民法の主張,見本より強度の低い納品物を扱う。
甲国はウィーン売買条約の非締約国であり,買主は日本で登録された特許権を持つ。
各設問は独立した前提に立ち,設問2ではウィーン売買条約を考慮しない。
設問3小問1では条約2~6条,小問2では38~40条及び74~77条を検討しない。
特殊な使用目的を売主へ一切伝えていないとの指定を守り,損害額の計算へ広げない。
重み5は8項目である。
以下は子記事の現在の評価項目であり,区分・適用条件を含む項目文を保持している。
①番号3:【必須】日本で登録されたYの特許権を日本国内の差押可能財産として3条の3第3号に結び付ける。(両者由来)
②番号5:【高評価】価額が著しく低いという括弧書きについて,趣旨に基づく判断基準を提示し,価額の印象だけで結論を出さない。(両者由来)
③番号11:【必須】契約違反の損害賠償を法律行為の効力と性質決定し,不法行為の連結規定へ移さない。(両者由来)
④番号13:【必須】訴訟での日本民法に基づく主張を,通則法9条の準拠法変更の問題として構成する。(両者由来)
⑤番号19:【必須】条約1条1項(b)の国際私法を介する適用経路を示す。(両者由来)
⑥番号21:【必須】無選択契約は通則法8条1項の最密接関係地法を原則とし,2項だけで準拠法を決めない。(両者由来)
⑦番号26:【必須】売主の契約・条約上の義務不履行を,条約45条1項(b)の買主の損害賠償請求に接続する。(両者由来)
⑧番号27:【必須】見本と納品Gの強度の差から,条約35条,特に2項(c)の品質基準に違反すると認定する。(両者由来)
根拠の頁・節及び条件の詳しい説明は,子記事の同じ番号の評価表と解説で確認できる。
記事:令和2年司法試験国際関係法(私法系)第2問の模範解答と評価項目―出題の趣旨・採点実感から抽出した27項目と5段階の重み付け
第4 16記事に共通する作り方
1 評価項目の抽出
各子記事は,出題の趣旨と採点実感に示された検討対象,理由付け,事実評価,救済及び不十分な答案の特徴を,答案の記載から判定できる単位へ分けている。
肯定項目の裏返しである負例を統合した記事と,独立した負例を加重表の中へ残した記事がある。
本記事の件数は内部の追跡単位ではなく,現在の公開評価表の行数である。
根拠欄の頁は各記事に示されたPDF実頁である。
記載なしは関連範囲を読んだ上で個別の対応記載がないこと,間接は記述からの推論であるという説明を,各子記事の実際の表記に従って読む。
表示のない記事へ同じラベルを補い,未確認を記載なしへ置き換えるものではない。
2 5段階の重み付け
多くの子記事は,次の共通基準を用いている。
①重み5:採点実感が評価の分かれ目とした事項,又は答案の骨格そのもの。
②重み4:出題の趣旨が検討を求め,採点実感も取り上げた事項(高く評価した・多数の答案の不足を指摘した)。
③重み3:どちらか一方が明示する中核の理由付け。
④重み2:一方が軽い表現で触れる補強,又は典型的な誤り。
⑤重み1:一方が控えめに触れるだけの事項。
具体的な定義の言い方は完全には同一ではない。
例えば環境法第2問は,重み5を条文連鎖・主要争点・重要な事実評価・救済の射程,重み4を両公式資料の具体的な説明・検討要求に対応する重要事項としている。
経済法第1問には,両資料に現れるだけで重み4にせず,評価上の位置付けから重み3とした項目がある。
本記事ではこれらを各記事の実際の判断として整理し,定義の差を理由に換算・再採点しない。
必須・高評価・負例・許容分岐は重みとは別の区分である。
租税法第2問の雑所得を前提とする枝や,経済法第2問の特定の条項構成を採る場合の枝などは,適用条件を満たす構成だけで点検する。
段階別の件数を割り当てず,ある重みが0件でも不足を推定しない。
3 模範解答と解説
各子記事は,答案の前提と表記,模範解答,解説及び出典・確認状態を区別している。
答案は設問で指定された立場と到達点に応じて構成する。
制度比較,異なる意見の検討,反論や救済の可否が指定されている場合に,一つの一般的な論証型だけを全科目へ当てはめるものではない。
第5 重みの分布の比較
| 科目・問題 | 重み5 | 重み4 | 重み3 |
|---|---|---|---|
| 倒産法第1問 | 10 | 13 | 7 |
| 倒産法第2問 | 11 | 19 | 12 |
| 租税法第1問 | 14 | 18 | 8 |
| 租税法第2問 | 14 | 11 | 6 |
| 経済法第1問 | 5 | 16 | 5 |
| 経済法第2問 | 9 | 19 | 7 |
| 知的財産法第1問 | 13 | 16 | 2 |
| 知的財産法第2問 | 9 | 11 | 8 |
| 労働法第1問 | 5 | 7 | 6 |
| 労働法第2問 | 9 | 13 | 2 |
| 環境法第1問 | 6 | 12 | 7 |
| 環境法第2問 | 10 | 11 | 7 |
| 国際関係法(公法系)第1問 | 8 | 10 | 3 |
| 国際関係法(公法系)第2問 | 7 | 3 | 12 |
| 国際関係法(私法系)第1問 | 8 | 16 | 7 |
| 国際関係法(私法系)第2問 | 8 | 7 | 10 |
| 合計(16問) | 146 | 202 | 109 |
| 科目・問題 | 重み2 | 重み1 | 項目数 | 重みの合計 |
|---|---|---|---|---|
| 倒産法第1問 | 1 | 0 | 31 | 125 |
| 倒産法第2問 | 1 | 0 | 43 | 169 |
| 租税法第1問 | 10 | 0 | 50 | 186 |
| 租税法第2問 | 8 | 0 | 39 | 148 |
| 経済法第1問 | 4 | 0 | 30 | 112 |
| 経済法第2問 | 0 | 0 | 35 | 142 |
| 知的財産法第1問 | 3 | 0 | 34 | 141 |
| 知的財産法第2問 | 3 | 0 | 31 | 119 |
| 労働法第1問 | 0 | 0 | 18 | 71 |
| 労働法第2問 | 2 | 0 | 26 | 107 |
| 環境法第1問 | 6 | 0 | 31 | 111 |
| 環境法第2問 | 0 | 0 | 28 | 115 |
| 国際関係法(公法系)第1問 | 1 | 0 | 22 | 91 |
| 国際関係法(公法系)第2問 | 2 | 0 | 24 | 87 |
| 国際関係法(私法系)第1問 | 5 | 0 | 36 | 135 |
| 国際関係法(私法系)第2問 | 2 | 0 | 27 | 102 |
| 合計(16問) | 48 | 0 | 505 | 1961 |
各重みの行数をn1~n5とすると,N=n1+n2+n3+n4+n5,W=n1+2×n2+3×n3+4×n4+5×n5である。
全16問では,n1~n5は順に0・48・109・202・146であり,N=505,W=1961となる。
本記事では,この表を各子記事の評価表の規模と分布を確認するものとして整理する。
科目ごとに設問数,評価単位の細かさ,負例の統合の仕方及び重みの具体的な説明が異なるため,項目数や重み合計を難易度,科目の有利不利,公式配点,予想得点又は合格可能性に置き換えない。
第3に示したように,制度や請求の区別と,設問の指定に応じた結論への接続は複数の科目で確認できる。
本記事ではこの点を復習の入口として整理するが,特定の法律構成や結論を全問題へ一般化しない。
第6 関連記事
①司法試験の過去問・参考答案一覧―令和元年~令和8年の年度別・科目別ガイド
②令和2年司法試験論文式試験の主要7科目の模範解答
③令和3年度司法試験論文式試験の選択科目8科目の模範解答
④令和8年度司法試験論文式試験の選択科目8科目の参考答案
⑤法務省HPの司法試験・予備試験の資料の所在―年度別の実施・結果・出題趣旨・採点実感のページ一覧
⑥司法試験の採点実感から学ぶ法律文書の書き方―準備書面・意見書・相談メモのチェックリスト
同年度の主要7科目はその専用ハブ,令和3年度の選択科目は同種ハブ,その他の年度・科目は総合索引から探すことができる。
令和8年度の選択科目ハブは参考答案としての位置付けが異なるため,各記事の資料状態を確認して利用する。
第7 出典
1 公式資料
①法務省・令和2年司法試験の実施について https://www.moj.go.jp/jinji/shihoushiken/jinji08_00179.html
②法務省・令和2年司法試験問題 https://www.moj.go.jp/jinji/shihoushiken/jinji08_00016.html
③令和2年司法試験論文式試験・選択科目問題 https://www.moj.go.jp/content/001326059.pdf
④法務省・令和2年司法試験の結果について https://www.moj.go.jp/jinji/shihoushiken/jinji08_00007.html
⑤令和2年司法試験論文式試験問題の出題の趣旨 https://www.moj.go.jp/content/001339369.pdf
⑥法務省・令和2年司法試験の採点実感 https://www.moj.go.jp/jinji/shihoushiken/jinji08_00053.html
⑦令和2年司法試験の採点実感・選択科目 https://www.moj.go.jp/content/001344499.pdf
⑧令和2年司法試験の実施日程等について https://www.moj.go.jp/content/001328228.pdf
2 確認状態
本記事の問題概要,設問指定,評価項目及び重みは,令和8年10月18日に取得した16子記事の現在本文に基づく。
公開評価表の全505行について番号・項目本文・重みを対応させ,重み5の全146項目及び各問の分布・合計を再計算した。
子記事の題名・公開URL・公開状態も確認した。
公式資料は,掲載ページとの対応,リンクの応答,最終URL,PDFの資料見出しと科目及び日程を確認した。
このハブの作成に際して,出題の趣旨・採点実感の全本文を実読し,16問の公式要求を独立に再審査したという意味ではない。
子記事ごとの公式資料の実読範囲,法令の基準時,判決原文の確認範囲及び残る限界は,各子記事の第7に示されている。
本記事では裁判例の判旨や法令条文を直接引用していない。
評価項目の抽出,重み付け及び答案の採用構成は各子記事の独自分析であり,公式資料の記載そのものとは区別される。