第1 この記事の対象と結論
本問の早見表
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象 | 平成30年司法試験論文式・公法系科目第1問(憲法) |
| 評価項目 | 50項目。重み5は11項目 |
| 重み合計 | 187。本記事独自の整理であり,公式配点ではない |
| 答案字数 | 4141字(見出しを含み,空白・改行を除く) |
本記事は,性的な画像を含む図書類の販売・貸与等を規制するA市の条例案を対象に,法務省の出題の趣旨と採点実感から評価項目を整理し,5段階の重みと模範解答を示すものである。
本問の中心は,規制対象の明確性・広さと各手段を区別し,青少年・18歳以上の購入者の知る自由及び3種類の店舗の営業の自由を,条項に対応させて検討することにある。
以下の答案は,第7条の具体化と対象限定を求め,第8条1・2項及び例外のない4項を違憲とする一つの構成である。
3項は対象を適切に限定した場合に合憲とする。
公式資料が唯一の結論を指定したという趣旨ではなく,異なる結論でも,権利・規制態様・目的と手段を整合的に論証する余地がある。
第2 評価項目の示し方と重み付けの基準
1 評価項目の示し方
一項目につき一つの判定対象を基本とし,出題の趣旨及び採点実感の本問部分に根拠のある事項を抽出した。
「通常」は論証の対象,「条件付き」はその構成を採った場合に必要となる事項,「注意」は典型的な誤りの回避である。
条件付きの相反する構成を一つの答案に全て累積させない。
根拠欄はPDFの実頁と短い識別句で所在を示し,「記載なし」は当該資料の本問範囲を読んでも対応する記述を確認しなかったことを示す。
重み及び答案との対応は,本記事による評価である。
2 5段階の重み付けの基準
| 重み | 判断基準 |
|---|---|
| 5 | 答案の骨格又は結論を左右する中核の要求 |
| 4 | 中核を支える主要な論証・事実の当てはめ |
| 3 | 通常必要な法的処理・理由付け・正確性 |
| 2 | 補強となる細部又は限定された注意点 |
| 1 | 補足的な引用・対象範囲の確認 |
重みは,資料の数や「注意」という分類だけでは決めず,欠けたときの論証への影響を個別に判断した。
重み1が0項目でも,数をそろえるための項目を追加するものではない。
3 本問で補った点
明確性について,表現流通の萎縮を防ぐ憲法21条上の要請と,告知・予測可能性及び恣意的処罰防止という31条上の要請を分けた。
また,購入者の情報取得の制約と,販売者の商品選択・設備負担を区別した。
採点実感の共通する論述上の要求は,第4の「答案全体」に置いた。
第3 本問の概要
1 問題文と事実関係
A市は,青少年の健全育成と,規制図書類を買うつもりのない市民が性的画像にむやみに触れない生活環境の保持を目的とする条例を検討している。
第7条は,性交等又は卑わいな姿態を撮影・描写し,殊更に性的感情を刺激する画像・図画を含む図書類を規制対象とする。
市長等による個別指定を介さず,刑法175条で処罰されないものも含む。
| 条項 | 規制の内容 |
|---|---|
| 第8条1項 | 日用品等の販売を主たる業務とする事業者の店舗で販売・貸与を禁止する |
| 第8条2項 | 幼稚園・大学を除く学校の敷地の周囲200メートル以内の店舗で販売・貸与を禁止する |
| 第8条3項 | 青少年(18歳未満)への販売・貸与を禁止する |
| 第8条4項 | 隔壁・扉で区分した陳列場所及びその出入口付近での掲示を義務付ける |
市内の小売店約3000店舗のうち日用品店等は約2400店舗であり,そのうち約600店舗が規制図書類を販売している。
規制区域は市全体の面積の約20%,商業地域の約30%を占める。
区域内約700店舗のうち販売・貸与するのは約150店舗,そのうち対象図書の売上げが全体の20%を超えるのは10店舗である。
600店舗と150店舗の重複数は問題文に示されていないため,合計して規制対象店舗数とはしない。
第8条1~3項違反には直接刑罰があり,4項違反にも改善命令,その不履行の場合の業務停止命令及び各命令違反の処罰があり得る。
条例案の施行は公布から6か月後である。
2 設問が求めること
| 立場・対象 | 指定・前提 | 到達点 |
|---|---|---|
| 法律家甲の立法段階の意見 | 購入者の青少年と18歳以上,販売側3類型を検討する | 条例案のどの部分がどの権利に関わるかを明確にし,判例・反論を踏まえた自説を示す |
訴訟当事者の主張を機械的に三者構成へ分ける設問ではない。
第4 評価項目と重み
1 答案の立場・基本的な論述
| 番号 | 評価項目 | 重み | 出題の趣旨 | 採点実感 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 法律家の立法助言として自説を展開し,必要な反論を織り込む。〔通常〕 当該条項・主体を検討する答案。 重みの理由:訴訟型への置換で答案の全体構造が変わる。 | 5 | PDF実頁1「法令を立案する段階」 | PDF実頁1「法律家としての自らの見解」 |
| 2 | 条例案の具体的な条項と制約される権利を対応させる。〔通常〕 当該条項・主体を検討する答案。 重みの理由:何の規定を何の権利で審査するかが本問の入口。 | 5 | PDF実頁1「どの部分がどのような憲法上の規定」 | PDF実頁1「いかなる権利との関係」 |
| 3 | 各規制の合憲・違憲を理由とともに結論付ける。〔通常〕 当該条項・主体を検討する答案。 重みの理由:立法助言の到達点を閉じる主要な論証。 | 4 | PDF実頁1「合憲といえるかどうかを答える」 | PDF実頁1「違憲か合憲かの結論」 |
| 4 | 権利の性質と制約態様を踏まえて審査基準を理由付ける。〔通常〕 当該条項・主体を検討する答案。 重みの理由:基準の名前から当てはめへ飛ばないための主要な論証。 | 4 | PDF実頁1「いかなる審査基準」 | PDF実頁1「権利の性質や制限の態様」 |
| 5 | 目的と手段を実質的に審査し,定立した基準と当てはめを一致させる。〔通常〕 当該条項・主体を検討する答案。 重みの理由:基準を使って結論を支える審査操作。 | 4 | PDF実頁2「目的と規制の対応関係」 | PDF実頁1「手段審査がその違憲審査基準に沿っていない」 |
| 6 | 判例の名称・結論だけでなく判示の役割を示す。〔通常〕 当該条項・主体を検討する答案。 重みの理由:設問が指定した判例参照の通常の処理。 | 3 | PDF実頁2「小売市場許可制判決や薬事法判決」 | PDF実頁1「単に事件名や結論を提示する」 |
| 7 | 岐阜県条例判決と対象範囲・対面販売・規制目的の相違を比較する。〔通常〕 当該条項・主体を検討する答案。 重みの理由:先例から本問への橋渡しを支える主要な論証。 | 4 | PDF実頁1「岐阜県青少年保護育成条例事件補足意見」 | PDF実頁2「規制目的が青少年保護にとどまらない」 |
2 規制対象
| 番号 | 評価項目 | 重み | 出題の趣旨 | 採点実感 |
|---|---|---|---|---|
| 8 | 規制図書類と刑法175条のわいせつ表現を区別する。〔通常〕 当該条項・主体を検討する答案。 重みの理由:保障範囲と対象理解を誤ると全規制の評価が崩れる。 | 5 | PDF実頁1「規制図書類の定義」 | PDF実頁2「わいせつ表現と同視ないし混同」 |
| 9 | 青少年育成と一般市民の望まない接触防止の二目的を把握する。〔通常〕 当該条項・主体を検討する答案。 重みの理由:目的を一つにすると審査対象そのものが欠落する。 | 5 | PDF実頁1「そのような目的にとどまらず」 | PDF実頁2「規制目的を青少年の健全育成のみ」 |
| 10 | 第8条1~4項の内容・名宛人・販売と陳列の違いを区別する。〔通常〕 当該条項・主体を検討する答案。 重みの理由:四つの措置の審査を正しく分ける主要な処理。 | 4 | PDF実頁2「各規制ごとに審査基準」 | PDF実頁2「規制内容・方法の違い」 |
| 11 | 注意:規制区域の基準となる学校に幼稚園・大学を含めない。〔注意〕 本問の当該注意点。肯定項目の欠落との重複減点はしない。 重みの理由:規制区域の適用範囲を誤る局所的な負例。 | 2 | 記載なし | PDF実頁2「大学が含まれているなどと誤解」 |
3 明確性・広汎性
| 番号 | 評価項目 | 重み | 出題の趣旨 | 採点実感 |
|---|---|---|---|---|
| 12 | 販売者の萎縮から流通の縮小を介して購入者の知る自由が制約される経路を示す。〔通常〕 当該条項・主体を検討する答案。 重みの理由:本問で表現の明確性を問う核心的な因果経路。 | 5 | PDF実頁1「位置する販売者を萎縮させ」 | PDF実頁2「本問で明確性が求められる趣旨」 |
| 13 | 第7条の具体的な評価語を一般人の理解可能性から検討する。〔通常〕 当該条項・主体を検討する答案。 重みの理由:抽象的な不明確批判から結論を支える主要な適用。 | 4 | PDF実頁1「卑わいな姿態」 | PDF実頁2「明確性の論点に全く触れない」 |
| 14 | 刑罰法規の明確性を告知・予測可能性と恣意防止の趣旨から別に論じる。〔通常〕 当該条項・主体を検討する答案。 重みの理由:表現流通の明確性とは別の憲法的審査経路。 | 5 | PDF実頁2「趣旨を異にするため,別の論述」 | PDF実頁3「刑罰法規の在り方としても明確性」 |
| 15 | 明確性と過度に広い規制範囲を別の問題として論じる。〔通常〕 当該条項・主体を検討する答案。 重みの理由:規範の識別可能性と対象の広さを区別する主要な論証。 | 4 | PDF実頁1「範囲が過度に広汎」 | PDF実頁2「観念的には異なる問題」 |
| 16 | 少量の画像で公共的記事の多い週刊誌全体に規制が及ぶことを評価する。〔通常〕 当該条項・主体を検討する答案。 重みの理由:対象表現の価値と規制範囲の評価を大きく変える。 | 5 | PDF実頁1「範囲が過度に広汎」 | PDF実頁2「所定の画像・図画をわずかでも含む」 |
4 知る自由
| 番号 | 評価項目 | 重み | 出題の趣旨 | 採点実感 |
|---|---|---|---|---|
| 17 | 性的表現の価値を考慮する立場とその限界を検討する。〔通常〕 当該条項・主体を検討する答案。 重みの理由:対象表現の価値を審査へ反映する通常の考慮。 | 3 | PDF実頁1「その表現の価値を考慮するかどうか」 | 記載なし |
| 18 | 購入・借受けする側の知る自由を憲法21条1項に基礎付ける。〔通常〕 当該条項・主体を検討する答案。 重みの理由:受け手側の憲法上の権利を特定する骨格。 | 5 | PDF実頁1「知る自由が,憲法第21条第1項」 | PDF実頁2「知る自由の内容とその憲法上の根拠」 |
| 19 | 青少年と18歳以上の者を区別して各規制を検討する。〔通常〕 当該条項・主体を検討する答案。 重みの理由:主体ごとの保障と制約程度を扱う通常の処理。 | 3 | PDF実頁1「次に,18歳以上の者との関係」 | PDF実頁2「青少年と18歳以上の者のそれぞれ」 |
| 20 | 青少年の情報選別能力と知る自由保障の必要性を踏まえる。〔通常〕 当該条項・主体を検討する答案。 重みの理由:青少年側の密度調整の通常の理由付け。 | 3 | PDF実頁1「受け手が青少年であること」 | 記載なし |
| 21 | 条件付き:内容規制・内容中立規制を用いるなら分類と審査の理由を示す。〔条件付き〕 採用した構成で必要となる場合。別構成への累積要求ではない。 重みの理由:採った分類を基準へ接続する通常の処理。 | 3 | PDF実頁1「内容規制と考えるのか」 | 記載なし |
| 22 | 有害性の実証に対する批判を踏まえて自らの立場を示す。〔通常〕 当該条項・主体を検討する答案。 重みの理由:規制目的を支える立法事実を実質的に検討する主要論証。 | 4 | PDF実頁1「青少年の健全育成の目的」 | PDF実頁2「実証的な根拠が薄弱」 |
| 23 | 岐阜県条例事件の相当の蓋然性等を補足意見として位置付ける。〔通常〕 当該条項・主体を検討する答案。 重みの理由:法廷意見と補足意見の通常の正確な引用。 | 3 | PDF実頁1「岐阜県青少年保護育成条例事件補足意見」 | PDF実頁2「判示も援用しつつ自らの立場」 |
| 24 | 18歳以上の者について受領方法の制限を権利制約と評価するか理由を示す。〔条件付き〕 採用した構成で必要となる場合。別構成への累積要求ではない。 重みの理由:制約肯否の許容分岐を閉じる主要論証。 | 4 | PDF実頁1「知る自由の制約とまでは言えない」 | PDF実頁2「条例案の規制に即してその合憲性」 |
| 25 | 他店で購入できることと購入全面禁止との制約程度の違いを評価する。〔通常〕 当該条項・主体を検討する答案。 重みの理由:18歳以上側の負担を評価する通常の事情。 | 3 | PDF実頁2「購入場所が限定されるにとどま」 | 記載なし |
| 26 | 見たくない感情の保護を当然に重要目的・憲法上の権利とせず吟味する。〔通常〕 当該条項・主体を検討する答案。 重みの理由:二つ目の目的を正当化できる範囲が審査を分ける。 | 5 | PDF実頁2「見たくないものに触れさせないこと一般」 | PDF実頁3「検討ないし一定の留保が必要」 |
| 27 | 注意:立法目的の重要性だけで審査基準を緩和しない。〔注意〕 本問の当該注意点。肯定項目の欠落との重複減点はしない。 重みの理由:目的評価と密度設定の混同を避ける通常の注意。 | 3 | 記載なし | PDF実頁1「立法目的が重要だから審査基準が緩和」 |
| 28 | 日用品店販売禁止を二目的と陳列等の手段の対応から審査する。〔通常〕 当該条項・主体を検討する答案。 重みの理由:1項の必要性を支える主要な当てはめ。 | 4 | PDF実頁2「日用品販売店での販売規制と隔壁等」 | PDF実頁2「それぞれの目的の重要性や規制手」 |
| 29 | 学校周囲200メートル規制を青少年育成と結び付けて審査する。〔通常〕 当該条項・主体を検討する答案。 重みの理由:距離と店内取扱いの関係を評価する主要論証。 | 4 | PDF実頁2「青少年の健全育成と結びつく」 | PDF実頁2「陳列そのものがなぜ青少年」 |
| 30 | 隔壁・扉・掲示について両目的への適合性と負担を審査する。〔通常〕 当該条項・主体を検討する答案。 重みの理由:4項固有の手段と効果を評価する主要論証。 | 4 | PDF実頁2「両面を趣旨としている」 | PDF実頁3「隔壁による規制等の態様」 |
| 31 | より小さい制約の代替手段の目的達成能力を具体的に比較する。〔通常〕 当該条項・主体を検討する答案。 重みの理由:販売禁止を必要とするかを決する中心的な操作。 | 5 | PDF実頁2「隔離販売の規制のみで足りる」 | PDF実頁1「実質のある十分な検討」 |
| 32 | 注意:パターナリズムを18歳以上の者や営業者の制約へ誤用しない。〔注意〕 本問の当該注意点。肯定項目の欠落との重複減点はしない。 重みの理由:用語と保護対象のずれを防ぐ通常の注意。 | 3 | 記載なし | PDF実頁2「パターナリズム」 |
5 営業の自由
| 番号 | 評価項目 | 重み | 出題の趣旨 | 採点実感 |
|---|---|---|---|---|
| 33 | 販売側の営業の自由を憲法22条1項に基礎付ける。〔通常〕 当該条項・主体を検討する答案。 重みの理由:事業者側の権利と制約を導く主要な処理。 | 4 | PDF実頁2「営業の自由が憲法上の権利」 | PDF実頁1「販売側の営業の自由」 |
| 34 | 目的・規制態様・営業継続への影響から審査基準を理由付ける。〔通常〕 当該条項・主体を検討する答案。 重みの理由:営業に関する結論を支える主要な枠組み。 | 4 | PDF実頁2「制約される権利の性質,制約の程度」 | PDF実頁3「必要かつ合理的な規制」 |
| 35 | 小売市場・薬事法等の判例を規制目的と制約強度の相違から参照する。〔通常〕 当該条項・主体を検討する答案。 重みの理由:許可制判例を販売方法規制へ移す橋渡し。 | 4 | PDF実頁2「小売市場許可制判決や薬事法判決」 | PDF実頁1「単に事件名や結論」 |
| 36 | 積極目的・消極目的という分類をどこまで使うか理由付ける。〔通常〕 当該条項・主体を検討する答案。 重みの理由:経済政策上の裁量と本問目的を区別する通常処理。 | 3 | PDF実頁2「積極目的,消極目的等」 | 記載なし |
| 37 | 条件付き:規制ごとに基準を分けるなら制約程度の差を示す。〔条件付き〕 各規制ごとに異なる審査基準を設定する構成を採る場合。 重みの理由:複数基準を採る場合の通常の一貫性確認。 | 3 | PDF実頁2「各規制ごとに審査基準」 | 記載なし |
| 38 | 日用品店の直接売上と集客利益を区別して影響を評価する。〔通常〕 当該条項・主体を検討する答案。 重みの理由:1項の営業負担に関する通常の事実評価。 | 3 | PDF実頁2「日用品等販売店舗での販売禁止」 | PDF実頁3「規制図書類を扱っている店舗は一部」 |
| 39 | 学校周辺店の取扱い禁止を営業継続への影響から審査する。〔通常〕 当該条項・主体を検討する答案。 重みの理由:2項の重い負担を具体的に支える主要論証。 | 4 | PDF実頁2「学校から200メートル以内」 | PDF実頁3「既存の店舗が移転や廃業」 |
| 40 | 混合書店・貸ビデオ店の改装費・売場減少と隔離販売の必要性を検討する。〔通常〕 当該条項・主体を検討する答案。 重みの理由:4項を費用と店舗機能に即して評価する主要論証。 | 4 | PDF実頁2「隔離販売規制の合憲性」 | PDF実頁3「隔壁による規制」 |
| 41 | 青少年販売禁止の営業上の負担と保護目的との関係を審査する。〔通常〕 当該条項・主体を検討する答案。 重みの理由:3項の営業面を閉じる通常の処理。 | 3 | PDF実頁2「青少年への販売規制の合憲性」 | PDF実頁3「二つの規制目的との関係」 |
| 42 | 少数店舗への大きな人権制約を少数であることだけで軽視しない。〔通常〕 当該条項・主体を検討する答案。 重みの理由:多数決過程と少数者保護を当てはめへ移す核心。 | 5 | PDF実頁2「制約の程度」 | PDF実頁3「民主制の過程で看過されうる少数者」 |
| 43 | 移転・廃業,顧客喪失,6か月の猶予等を既存店の負担として評価する。〔通常〕 当該条項・主体を検討する答案。 重みの理由:制度変更に伴う現実の負担を評価する主要論証。 | 4 | PDF実頁2「制約の程度」 | PDF実頁3「既存の店舗が移転や廃業」 |
| 44 | 営業面の広汎性を商品選択・設備負担等として知る自由とは別に評価する。〔通常〕 当該条項・主体を検討する答案。 重みの理由:二つの権利で広汎性の問題状況を分ける主要論証。 | 4 | PDF実頁2「必ずしも同じ問題状況ではない」 | 記載なし |
| 45 | 条件付き:書店の表現流通上の役割に基づく保護を採るなら根拠を示す。〔条件付き〕 書店の営業の自由を通常の営業主体より厚く保護する構成を採る場合。 重みの理由:通常の営業主体との区別を採る場合の補強。 | 3 | PDF実頁2「表現物の流通過程における書店」 | 記載なし |
6 補足と条件付きの検討
| 番号 | 評価項目 | 重み | 出題の趣旨 | 採点実感 |
|---|---|---|---|---|
| 46 | 注意:与件のない法律と条例の抵触・既存条例・補償を主論点にしない。〔注意〕 本問の当該注意点。肯定項目の欠落との重複減点はしない。 重みの理由:期待対象外の検討で主ルートを圧迫しないための注意。 | 2 | 記載なし | PDF実頁3「これらに言及することは期待されていない」 |
| 47 | 条件付き:補償を論じるなら長年の依存営業と特別犠牲等の前提を置く。〔条件付き〕 補償を論じる構成を採る場合。全答案への累積要求ではない。 重みの理由:例外的に補償枝を採る場合の適用条件確認。 | 2 | 記載なし | PDF実頁3「一定の前提をおいてこの点を論述」 |
7 答案全体
| 番号 | 評価項目 | 重み | 出題の趣旨 | 採点実感 |
|---|---|---|---|---|
| 48 | 注意:憲法上の判断枠組みを欠く政策的当否の議論だけで終えない。〔注意〕 本問の当該注意点。肯定項目の欠落との重複減点はしない。 重みの理由:法的審査と政策提言の区別を保つ通常の注意。 | 3 | PDF実頁1「憲法論をどのように活用,展開」 | PDF実頁1「政策的当否の議論に終始」 |
| 49 | 注意:論述を極端に細分化せず読み手に伝わる文章にする。〔注意〕 本問の当該注意点。肯定項目の欠落との重複減点はしない。 重みの理由:文章構造に関する補強的な注意。 | 2 | 記載なし | PDF実頁3「論述を極端に細分化」 |
| 50 | 注意:憲法条項・重要用語を正確に摘示する。〔注意〕 本問の当該注意点。肯定項目の欠落との重複減点はしない。 重みの理由:権利根拠を誤らない通常の正確性確認。 | 3 | 記載なし | PDF実頁3「憲法の条項の正確な摘示」 |
8 重みの分布
| 重み | 項目数 | 重み×項目数 |
|---|---|---|
| 5 | 11 | 55 |
| 4 | 19 | 76 |
| 3 | 16 | 48 |
| 2 | 4 | 8 |
| 1 | 0 | 0 |
| 合計 | 50 | 187 |
重み5は番号1・2・8・9・12・14・16・18・26・31・42の11項目である。
重み合計187は項目の整理に用いる数値であり,配点100点の試験で187点が得られるという意味ではない。
第5 模範解答
1 答案の前提と表記
平成30年の出題時点の問題設定と,それまでの判例を前提とする。
以下は法律家甲の見解であり,規範の選択・合憲性の結論・修正提案は本記事の構成である。
判例の法廷意見と補足意見を区別し,規制対象の限定を仮定した部分はその仮定を明示した。
答案は見出しを含め5000字以内であり,一論点ごとに段落を分け,段落内では一文ごとに改行した。
2 答案
第1 検討の基本的な視点
本条例案によって図書類を購入・借受けする機会を制限される者には,憲法21条1項の保障する知る自由が問題となる。
性的表現も当然に保障対象から外れるわけではなく,刑法175条のわいせつ物に当たらないものをも含む本件図書類については,その内容と規制の態様に即した検討が必要である。
青少年についても知る自由を認めた上で,18歳以上の者とは区別して考える。
販売側では,取扱商品,営業場所及び店舗設備を制約することが,22条1項の営業の自由との関係で問題となる。
書店等が表現の流通を支える機能も,規制の必要性と負担を評価する際に考慮すべきである。
以下,規制対象と各規制を区別し,甲として条例案の修正を含む意見を述べる。
第2 第7条の明確性と対象範囲
1 明確性
第7条は行政による個別指定を介さず対象を定め,第8条1~3項違反には直接刑罰が科される。
販売者が処罰等を恐れて境界的な図書まで取り扱わなくなれば,流通が減り,購入者の知る自由も制約される。
したがって,21条との関係では,青少年及び18歳以上の者の知る自由を支えるための明確性が要求される。
他方,31条上の明確性は,処罰対象の告知と恣意的な処罰の防止を目的とする。
徳島市公安条例事件に従えば,絶対的一義性ではなく,通常の判断能力を有する一般人が適用の有無を判断できる基準を読み取れるかが問題となる。
この趣旨は前記の表現流通の萎縮防止とは区別される。
「性交」等の類型と「殊更に性的感情を刺激する」という要件から,裸体一般ではなく,性的刺激の強い画像等を対象とすることは理解できる。
その意味で,直ちに31条違反とまではいえない。
しかし,刺激の強さや「卑わいな姿態」の判断には幅があり,一般週刊誌や漫画を含めて販売者が安定した線引きをすることは難しい。
岐阜県青少年保護育成条例事件の伊藤正己裁判官の補足意見は,青少年保護との関係で明確性をある程度緩和する余地を示すが,同事件には写真の紙面割合や規則等による具体化があった。
本件には同様の具体化がなく,18歳以上の者の生活環境保持も独立の目的である。
緩和をそのまま及ぼすことはできず,少なくとも18歳以上の者への販売禁止に用いる限度では,21条の要請する明確性を欠くと考える。
刑法上のわいせつ物に限定すればよいとの反論も,それ以外を規制する本条例案の趣旨と整合しない。
2 対象範囲
対象の不明確さとは別に,明確に対象となる図書まで過剰に規制していないかが問題となる。
第7条は対象画像を「含む」図書全体を規制するため,要件を満たす少量の性的画像を含むだけで,政治的・社会的記事を多く掲載する週刊誌にも規制が及び得る。
規制される情報を性的表現だけと評価することはできない。
図書全体の性格や画像の量・配置・文脈を考慮する限定解釈は考えられる。
しかし,「含む」という文言から画像の割合等の新たな要件を創設することは困難である。
対象範囲を立法上具体化する必要があり,現在の広さは以下の販売禁止等の過剰性にもつながる。
以下では,対象を適切に限定した場合にも各手段が許されるかを検討する。
第3 青少年への販売等を禁ずる第8条3項
青少年にも知る自由があり,保護目的が重要であるというだけで審査を緩めることはできない。
もっとも,判断能力が発達途上にあり,情報を選別して批判的に評価する力が十分でないこと,対象が有害性の強い性的表現に限定されることは,18歳以上の者と異なる規制を許す理由となる。
その範囲では,重要な保護目的と手段との実質的な関連性を審査する。
性的画像による害の実証が十分でないとの批判はあり得る。
岐阜県条例事件の法廷意見は,有害図書の悪影響に関する社会的共通認識を認め,伊藤補足意見は,厳密な科学的証明までは要しないが,相当の蓋然性を必要とする立場を示している。
科学的証明の欠如だけで規制を否定せず,他方で,不快感を根拠に有害性を安易に認めない立場が妥当である。
同事件の自動販売機には,対面せず昼夜購入でき,街頭で目に触れやすい事情があった。
本件は対面販売も禁ずるため,判例の結論を直結できない。
ただし,有害性の高い図書を購入して閲読すること自体への対策としては,陳列の遮蔽だけでは足りず,年齢確認を伴う販売禁止に実効性がある。
18歳という区分にも運用上の合理性が認められる。
したがって,対象が適切に限定されるなら3項は合憲と考える。
性に関する知識や公共的記事の取得まで広く妨げる現行第7条の範囲を,そのまま正当化するものではない。
第4 18歳以上の者への販売等の制限
1 審査の視点
他店で購入できる以上,知る自由の制約はないとの反論も考えられる。
しかし,情報を受領する場所・方法もその実現に関係し,購入経路の相当な縮小は制約に当たる。
代替店舗の存在は,制約の程度を評価する事情となるにとどまる。
本件は性的内容によって対象を選別する。
場所を限定するからといって,内容と無関係な場所規制と同じには扱えない。
公共的記事まで巻き込む対象の広さと刑罰も踏まえ,重要な目的との実質的関連性に加え,より制限の小さい手段によって目的を達成できないかを慎重に審査する。
2 第8条1項
本項には,青少年保護と,購入意思のない者の性的画像への接触防止という二つの目的がある。
後者も回避困難な接触から生活の平穏を守る限りでは正当であるが,見たくないという感情を当然に権利としたり,多数者の性道徳の維持を当然に重要な目的としたりすることはできない。
日用品購入時の予期しない接触を避けるためなら,不透明な包装,遮蔽,隔離陳列及び掲示等が考えられる。
書店等では第4項で足りるとしながら,日用品店では陳列方法を問わず販売を全廃させる必要性は示されていない。
画像が図書の内部にだけある場合まで禁ずる点でも,接触防止との対応は弱い。
青少年保護には3項と陳列上の措置を組み合わせる方法がある。
約600店舗が取扱いをやめることによる流通への影響も小さくない。
他店で購入できることを考慮しても,必要な範囲を超え,1項の販売等の全面禁止は21条に反すると考える。
3 第8条2項
本項の学校周辺規制は,青少年の健全育成を目的とする。
幼稚園・大学を除く学校の敷地から200メートルの範囲では児童・生徒の往来が多く,保護の必要性はある。
しかし,規制対象は店内での販売等であり,その店舗が存在するだけで有害な接触が生ずるわけではない。
外から画像が見えない措置,店内の陳列対策及び青少年への販売禁止では足りない理由が必要である。
規制区域が市全体の20%,商業地域の30%にとどまるとの反論はある。
しかし,学校からの距離だけで一律に販売を禁じ,約150店舗の取扱いを失わせる影響は無視できない。
18歳以上の者の購入機会も制限する以上,より小さい制約で目的を達成できない事情が認められず,2項も21条に反する。
第5 各店舗の営業の自由
薬局距離制限事件が示すとおり,規制目的・必要性・内容と,自由の性質・内容・制約程度等を比較すべきである。
小売市場の許可制に関する積極的な経済政策の広い裁量を,本件にそのまま及ぼすことはできない。
他方,消極目的という分類だけで審査基準を決めるのでもなく,本件が営業方法の規制であることと,実際の営業継続への影響を評価する。
青少年保護等の重要な目的と,各店舗に及ぶ負担の大きさに見合う合理的な関連性があるかを,代替措置の有効性も踏まえて審査する。
第8条1項に該当する日用品店では対象図書の直接の売上比率は小さいが,集客が他の商品の売上げに結び付く可能性もある。
商品選択を全面的に制限する負担は,直接売上だけでは測れない。
より穏やかな陳列規制等がある以上,1項は22条1項にも反する。
第2項も,対象商品の取扱いをやめれば営業を継続できるとはいえ,依存度の高い店舗では影響が大きい。
売上げの20%を超える店舗が10店舗だけであることは,その権利制限を軽く扱う理由にならない。
販売を継続するための移転には,費用や既存顧客の喪失等の負担がある。
市内に移転先があるとの推測や6か月の猶予だけでは十分でなく,必要性に乏しい一律禁止は22条1項にも反する。
第3項は,対象を適切に限定するなら,18歳以上の者への販売を残しつつ青少年を保護する合理的な営業方法規制として許容できる。
また,第7条の広さは営業面でも,一般週刊誌等を含む商品選択の制限や,多数の商品を分別する設備負担を増す。
この点は,知る自由についての情報流通の萎縮とは別に考慮すべきである。
第6 第8条4項と制裁
第4項は,青少年保護と望まない接触防止の両目的を持つ。
購入自体を禁じず,専用区画と掲示によって性的画像を避けられる点で,全面禁止より制約は小さく,目的にも適合する。
しかし,隔壁と扉を一律に求めれば,対象図書を一部扱うだけの書店・レンタルビデオ店にも改装費や売場減少の負担が生ずる。
しかも,この規定だけでは青少年の区画への立入りを禁じない。
不透明な包装や遮蔽,年齢確認等の組合せでは足りない事情を示さず,店舗規模や取扱量を問わず固定設備を要求することは過剰である。
具体的な費用額は不明でも,改装が必要という負担と代替措置の可能性は問題文から認められる。
したがって,例外や代替措置を許さない現在の4項は,情報流通と営業の双方を必要以上に制約し,21条・22条1項に反すると考える。
目的を同程度に達成する代替措置を認め,一律6か月の施行猶予を踏まえても設備変更が困難な店舗には,実情に応じた経過措置を設けるべきである。
第4項違反は直ちに第15条1号で処罰されないが,改善命令,不履行の場合の業務停止命令及びこれらの命令に違反した場合の処罰により強制されるため,負担を軽視できない。
第9条の業務全部停止も,違反と無関係な商品販売に及ぶことがあり,違反の程度等に応じた必要最小限の範囲に限る必要がある。
以上から,第7条を明確化して対象を限定し,第8条1・2項の全面禁止と4項の硬直的な設備義務を改め,適切に限定された3項及び柔軟な陳列措置を中心とする条例へ修正することを勧める。
以上
3 出題の趣旨・採点実感を踏まえた解説
番号1・2は立法助言としての全体構成に関わる。
答案は各規制と権利を対応させ,第2から第6で理由と結論を示し,最後に修正の方向を述べた。
番号8・9・18については,第1と第4で,刑法上のわいせつ物との区別,二目的及び知る自由を出発点とした。
番号12・14・16は第2に対応する。
販売者の萎縮が流通を縮める経路を示し,これとは別に31条の趣旨を示した上で,少量の対象画像により公共的記事の多い週刊誌全体が規制されることを評価した。
番号26は第4の2,番号31は第4及び第6,番号42は第5で具体化した。
「見たくない」という感情を当然の権利とせず,代替措置の目的達成能力を比較し,10店舗という少数性で重い負担を切り捨てない。
重み4の各項目と採用した条件付き項目は,次の表の位置で扱った。
| 番号 | 答案の位置・論証上の役割 |
|---|---|
| 3 | 第4 18歳以上の者への販売等の制限:「1項の販売等の全面禁止は21条に反する」。各規制の合憲・違憲を理由とともに結論付ける |
| 4 | 第4 18歳以上の者への販売等の制限:「公共的記事まで巻き込む対象の広さと刑罰」。権利の性質と制約態様を踏まえて審査基準を理由付ける |
| 5 | 第4 18歳以上の者への販売等の制限:「外から画像が見えない措置」。目的と手段を実質的に審査し,定立した基準と当てはめを一致させる |
| 7 | 第3 青少年への販売等を禁ずる第8条3項:「本件は対面販売も禁ずるため」。岐阜県条例判決と対象範囲・対面販売・規制目的の相違を比較する |
| 10 | 第2~第6の各条項別の検討。第2の「第8条1~3項違反には直接刑罰」に加え,第3~第6で販売・貸与と陳列,購入者と事業者の負担を分けている。第8条1~4項の内容・名宛人・販売と陳列の違いを区別する |
| 13 | 第2 第7条の明確性と対象範囲:「「卑わいな姿態」の判断には幅があり」。第7条の具体的な評価語を一般人の理解可能性から検討する |
| 15 | 第2 第7条の明確性と対象範囲:「対象の不明確さとは別に」。明確性と過度に広い規制範囲を別の問題として論じる |
| 21 | 第4 18歳以上の者への販売等の制限:「本件は性的内容によって対象を選別する」。条件付き:内容規制・内容中立規制を用いるなら分類と審査の理由を示す |
| 22 | 第3 青少年への販売等を禁ずる第8条3項:「性的画像による害の実証が十分でないとの批判」。有害性の実証に対する批判を踏まえて自らの立場を示す |
| 24 | 第4 18歳以上の者への販売等の制限:「情報を受領する場所・方法もその実現に関係し」。18歳以上の者について受領方法の制限を権利制約と評価するか理由を示す |
| 28 | 第4 18歳以上の者への販売等の制限:「日用品購入時の予期しない接触」。日用品店販売禁止を二目的と陳列等の手段の対応から審査する |
| 29 | 第4 18歳以上の者への販売等の制限:「学校周辺規制は,青少年の健全育成を目的」。学校周囲200メートル規制を青少年育成と結び付けて審査する |
| 30 | 第6 第8条4項と制裁:「第4項は,青少年保護と望まない接触防止」。隔壁・扉・掲示について両目的への適合性と負担を審査する |
| 33 | 第1 検討の基本的な視点:「22条1項の営業の自由」。販売側の営業の自由を憲法22条1項に基礎付ける |
| 34 | 第5 各店舗の営業の自由:「各店舗に及ぶ負担の大きさに見合う合理的な関連性」。目的・規制態様・営業継続への影響から審査基準を理由付ける |
| 35 | 第5 各店舗の営業の自由:「小売市場の許可制に関する積極的な経済政策」。小売市場・薬事法等の判例を規制目的と制約強度の相違から参照する |
| 39 | 第5 各店舗の営業の自由:「依存度の高い店舗では影響が大きい」。学校周辺店の取扱い禁止を営業継続への影響から審査する |
| 40 | 第6 第8条4項と制裁:「改装費や売場減少の負担」。混合書店・貸ビデオ店の改装費・売場減少と隔離販売の必要性を検討する |
| 43 | 第5 各店舗の営業の自由:「市内に移転先があるとの推測や6か月の猶予だけでは十分でなく」。移転・廃業,顧客喪失,6か月の猶予等を既存店の負担として評価する |
| 44 | 第5 各店舗の営業の自由:「多数の商品を分別する設備負担」。営業面の広汎性を商品選択・設備負担等として知る自由とは別に評価する |
条件付きの番号21は内容と場所の両面を検討する構成として,第4の1で採用した。
番号24は受領場所・方法の相当な縮小を権利制約とみる構成として採用した。
番号37の規制ごとに営業審査基準を分ける構成は採らず,共通の比較枠組みで個別の負担を区別した。
番号45の,書店の営業の自由を通常の営業主体より厚く保護する構成は採らず,流通機能は具体的な負担の評価で考慮した。
番号47の補償構成も採用していない。
番号46・48~50の注意事項は,対象外の論点を広げず,憲法上の理由と事実の評価を一続きの文章にすることで扱った。
隔壁・扉は全面禁止より穏やかでも,それだけで合憲となるわけではない。
本答案は,店舗規模・取扱量に関係のない固定設備の負担と代替措置を比較して違憲としたが,遮蔽等では同程度の目的を達成できないことを具体的に示す構成なら異なる評価もあり得る。
改装費の具体額や代替手段の実際の効果を,問題文で実証済みの事実として追加していない。
第6 関連記事
1 同じ年度の司法試験の別の模範解答
本記事では,同年度の別科目の記事へのリンクを掲載していない。
2 同じ科目の別の年度の記事
3 本問の模範解答と関連する記事
広告の規制と表現の自由―あん摩師等の広告制限を合憲とした昭和36年大法廷判決と,景品表示法の不実証広告規制を合憲とした令和4年判決
関連記事の内容を本問の公式評価の根拠として用いたものではない。
第7 出典及び確認状態
1 公式資料
平成30年司法試験論文式試験・公法系問題(全13頁のうち第1問は表紙1頁,本文・別添2~6頁)。
平成30年司法試験論文式試験問題出題趣旨(本問はPDF実頁1~2)。
平成30年司法試験の採点実感・公法系科目(本問はPDF実頁1~3)。
2 法令
日本国憲法21条,22条及び31条。
架空の条例案と学校の範囲は,問題PDFの別添資料を参照した。
3 裁判例
岐阜県青少年保護育成条例事件・最高裁第三小法廷平成元年9月19日判決(昭和62年(あ)第1462号,刑集43巻8号785頁)。
法廷意見と伊藤正己裁判官の補足意見を区別し,PDF全13頁を確認した。
徳島市公安条例事件・最高裁大法廷昭和50年9月10日判決(昭和48年(あ)第910号,刑集29巻8号489頁)。
明確性に関するPDF実頁10~11を確認した。
薬事法距離制限事件・最高裁大法廷昭和50年4月30日判決(昭和43年(行ツ)第120号,民集29巻4号572頁)。
職業の自由・許可制等に関するPDF実頁3~6,13~14を確認した。
小売市場事件・最高裁大法廷昭和47年11月22日判決(昭和45年(あ)第23号,刑集26巻9号586頁)。
PDF全6頁を確認した。
4 確認状態
公式資料は本問の範囲を全文確認し,第2問以降の解説を評価項目の根拠にしていない。
憲法の条文と上記判例の記載は原典の確認範囲に基づく。
重み,項目の分け方及び模範解答の憲法判断は本記事独自の分析であり,法務省の公式配点・公式模範解答ではない。
字数・項目数・重みの集計及びリンクは令和8年10月24日に確認した。