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司法統計年報の探し方と読み方―新受・既済・未済,件数・人員及び資料の使い分け(AI作成)

第1 司法統計年報で分かること

司法統計年報は,全国の裁判所が取り扱った事件について,裁判統計報告を集計した年次資料である。
民事・行政編,刑事編,家事編及び少年編の4編から,調べたい事件に対応する編を選ぶ。
令和7年版の民事・行政編の序文は,令和7年中に全国の裁判所が取り扱った民事・行政事件の報告を集計・収録した資料であると説明している。

最高裁判所が作成・公表する資料であっても,統計の対象が最高裁判所の事件だけとは限らない。
各表の見出しで,全裁判所,全地方裁判所,裁判所別等の集計範囲を確認する必要がある。
出典は令和7年司法統計年報・民事行政編の序文,目次及び概要である。

報告制度の通達,月報・年表・事件票等の原資料は,裁判統計報告で案内している。
本記事では,公表された年報を探し,同じ条件の数値を比較・引用する方法を扱う。

第2 年報の探し方――年別一覧と詳細検索を使い分ける

1 近年の年報は年別・編別の一覧から探す

裁判所の司法統計年報一覧で対象年と編を選ぶと,その年報の検索結果一覧に進む。
令和8年10月14日の確認時点では,令和7年の4編が掲載されており,各編の結果一覧にはPDFとExcelへのリンクがある。
PDFは目次,概要及び表の注記を読む際に,Excelは数値を取り出して集計する際に利用できる。

Excelを利用する場合も,セルの数字だけを引用せず,表番号,見出し,単位,注記及び概要を併せて確認する。
PDFの目次には各統計表へのリンクがあり,結果一覧には,表紙だけを1ページ表示とする見開き表示の案内がある。
PDFの通しページと冊子の印刷ページは異なるので,引用には表番号と冊子ページを記し,必要に応じてPDFの通しページも併記すると確認しやすい。

2 詳細検索の対象年を確認する

年報の詳細検索条件指定画面には,令和2年までの年報を対象とする旨の表示がある。
同画面では,事件の分野,裁判所,新受・既済・未済,裁判の期間等の条件を選べる。
近年の年報を探す際には,この詳細検索だけで有無を判断せず,年別一覧を確認する必要がある。

3 最新の掲載版と過年度訂正を確認する

年報一覧は,令和6年の4編について令和8年9月17日更新版の掲載を表示している。
過去の年を調べる場合も,保存済みの古いPDFと同じ数値が現在の掲載版に残っているとは限らない。
年報の「掲載・更新履歴」と「利用上の注意」を確認し,取得・確認した日を記録する。

令和7年版4編の掲載・更新履歴には,令和8年6月25日掲載と記載されている。
これは資料の掲載日であり,統計の対象年が令和8年であるという意味ではない。

第3 新受・既済・未済と,件数・人員の違い

1 その年に入った事件と,その年に終わった事件は同じ集団ではない

新受は対象期間に新たに受け付けた事件,既済は対象期間に処理を終えた事件,未済は基準時点で処理が終わっていない事件を読むための区分である。
その年の既済には,前年から繰り越された事件も含まれ得る。
したがって,新受と既済の差だけを見て,その年に受け付けた事件の終了率を説明することはできない。

旧受等の繰越しを含めた受理の範囲も確認する。
年報の利用上の注意は,前年の未済に当年の新受を加え,当年の既済を差し引いた結果が当年の未済と合わない箇所について,公表後の数値の異同による場合があると説明している。
計算が合わないときは,対象区分,版及び訂正の有無を確認する必要がある。

2 4編の単位をそろえる

編原則となる単位確認する事項
民事・行政編特に断りのない限り件数表ごとの例外と本庁・支部の集計範囲
刑事編特に断りのない限り人員実人員か延べ人員か,どの表の総数か
家事編特に断りのない限り件数審判・調停・訴訟等の範囲と除外される終局区分
少年編人員既済人員,終局総人員及び事件総数の範囲

この違いは,令和7年版各編の概要に記載されている。
件数と人員をそのまま合計したり,人員の表示を全国の当事者の実人数と読み替えたりしない。

刑事編の概要は,1被告人を1人として数える実人員と,1被告人を数人として数える延べ人員があると説明し,延べ人員を用いる表を列挙している。
少年編の概要も,既済人員と,一定の事件を除外した終局総人員を区別している。
少年事件についての具体的な分母と処分区分は,少年事件の司法統計の読み方を参照されたい。

第4 同じ条件で比較するための確認事項

1 事件,裁判所及び期間をそろえる

民事・行政編の概要は,表で特に本庁・支部を区別していない高裁・地裁の表示を,本庁及び支部の合計とする。
裁判所名だけを見て本庁のみの件数と判断しない。
本庁・支部別の資料を調べる場合は,最高裁判所が作成している事件数データに掲載された個別資料も参照できる。

令和7年版各編の概要は,年次について断りのない表を令和7年に関するものとしている。
資料名に「年度」という表示があっても,個々の表の対象期間を4月から翌年3月までと決めつけず,序文,概要及び凡例を読む。
最高裁判所事件統計年表の版の年度と対象年の違いは,同年表の案内記事で説明している。

2 内数,除外項目及び符号を確認する

括弧や別の段にある数値の意味は,その表の注記による。
例えば,民事・行政編の第1-1表の最高裁欄には,上告と上告受理等をまとめて1件として数え直した下段の数値がある。
通常の件数と数え直した件数は同じ指標ではなく,両者を足すものではない。

家事編の概要は,婚姻関係,子の監護,遺産分割,履行勧告・履行命令に係る細別表について,移送・回付によって終局した事件を含めないと説明している。
同じ分野の表でも総覧表と細別表で対象が異なる場合があるため,割合の分子と分母を別々の表から取る際は,範囲が一致するか確認する。

各編の概要は,「-」を該当数値がない場合,「…」を不詳,表示省略又は調査対象外の場合の符号としている。
「…」や表計算上の空欄を,確認せず0に置き換えて計算しない。

3 審理期間と終局結果を区別する

既済事件の審理期間は,その集計で終わった事件の期間である。
未済事件の期間は,まだ終わっていない事件の経過期間であり,今後終わるまでの残り時間ではない。
平均期間や期間別の割合から,個別事件の終局日を確定することはできない。

終局区分と審理期間が別々の表で示されている場合,両表の割合を組み合わせても,特定の期間内に特定の結果になった割合が当然に求められるわけではない。
最高裁の具体例は,民事上告・上告受理申立ての審理期間で扱っている。

第5 司法統計年報と他の資料を使い分ける

調べたいこと資料・参照先
全国の裁判所の年別・事件別の統計裁判所の司法統計年報一覧と各編の総覧表・細別表
報告制度と月報・年表・事件票の作成資料裁判統計報告
ブログ掲載の年別・本庁支部別等のPDF最高裁判所が作成している事件数データ
最高裁の月別の集計最高裁判所事件月表
最高裁の年別の詳細表と凡例最高裁判所事件統計年表
最高裁の年別の概況,図表及び平均期間最高裁判所の事件の概況
個別の既済事件の記載最高裁の既済事件一覧表(民事)

裁判所内部の裁判統計データ処理システムと,一般利用者が利用する公開の年報一覧・検索画面も区別する必要がある。
システムの名称・位置付けは,裁判所における主なシステムを参照されたい。

公表資料だけでは目的の数値が分からない場合の文書開示と司法行政上の便宜供与は,裁判所の情報公開で,平成29年版手引に記載された取扱いとして説明している。
個々の申出で希望する集計が得られるかは,公開年報の検索とは別に確認する必要がある。

第6 統計を引用するときに残す情報

数値とともに,資料名,対象年・編,表番号,冊子ページ,事件・裁判所の範囲,新受・既済等の区分,単位,掲載・更新版,URL及び確認日を記録する。
割合を自分で計算した場合は,分子・分母,計算式及び丸め方も記す。
比較条件が変わった年を含む場合は,分類変更等の注記を落とさない。

例えば,「令和7年司法統計年報・民事行政編,第4表,全地方裁判所・裁判所別,対象事件の新受件数,令和8年10月14日確認」のように,表と区分を特定して記載する。
その記載だけで十分かは,利用する表の個別注記による。
件数の増減という観察結果と,増減の原因についての評価は分けて説明する。

第7 出典・関連記事

本記事の公表状況と検索画面の確認日は,令和8年10月14日である。
年報の読み方は,以下の令和7年版の序文,目次,概要及び各表の注記を根拠とする。

①裁判所・司法統計年報一覧及び年報の詳細検索条件指定画面。

②令和7年司法統計年報・民事行政編:概要1~2頁(PDF13~14頁),第1-1表2~3頁(PDF16~17頁)。

③令和7年司法統計年報・刑事編:概要1~2頁(PDF11~12頁)。

④令和7年司法統計年報・家事編:概要1~2頁(PDF11~12頁)。

⑤令和7年司法統計年報・少年編:概要1~2頁(PDF9~10頁)。

分野別の数値・期間の分析は,少年事件の司法統計,民事上告の審理期間を参照されたい。