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裁判官の休暇・休業―年休・出産・育児・介護と給与の扱い(AI作成)

第1 裁判官の休暇と休業を区別する

裁判官にも,年次休暇,出産や育児に関する休暇,介護休暇,育児休業及び配偶者同行休業などの制度がある。
ただし,休むことのできる期間,取得の単位及び報酬の扱いは制度によって異なる。
育児参加休暇と育児休業,短期介護休暇と介護休暇は,名前が似ていても同じ制度ではない。

本記事の休暇一覧は,令和7年度新任判事補研修の「裁判官の休暇・休業について」に基づく。
育児休業の承認,回数及び給与については,令和8年10月14日に確認した裁判官の育児休業に関する法律とも照合している。
法改正の経緯と国会での議論は,裁判官の育児休業に関する国会答弁で詳しく扱っている。

裁判官については勤務時間の概念がないことから,研修資料は,時間単位での休暇取得を認めず,年次休暇は1日又は半日,年次休暇以外は1日単位と説明している。
一般の裁判所職員向け制度に時間単位の取得があっても,そのまま裁判官へ適用することはできない。
勤務時間の定めと超過勤務手当の関係は,裁判官及び検察官に超過勤務手当等が支給されない理由も参照されたい。

第2 年次休暇と主な特別休暇

1 年間の日数と取得の単位

令和7年度の研修資料は,年次休暇を年間20日付与し,1日又は半日単位で取得できると説明している。
年次休暇とは別に,結婚,出産,育児参加,子の看護等,介護及び忌引等の事由に応じた休暇がある。
日数だけでなく,対象となる事由と,取得できる時期を確認する必要がある。

制度令和7年度研修資料に示された期間・日数
年次休暇年間20日。1日又は半日単位。
結婚休暇結婚5日前から結婚後1か月の間に,連続する5日間。
出生サポート休暇不妊治療の通院等のため年5日。体外受精又は顕微授精に係る通院等は年10日。
産前休暇出産予定日の6週間前から出産日まで。多胎妊娠は14週間前から。
産後休暇出産日の翌日から原則8週間。
配偶者出産休暇出産に伴う付き添い等のため2日の範囲内。取得時期の条件がある。
育児参加休暇出産予定日の6週間前(多胎妊娠は14週間前)から出産の日以後1年の期間内に,5日の範囲内。
子の看護等休暇対象となる子の看護等のため年5日。対象の子が2人以上の場合は年10日。
短期介護休暇要介護者の介護等のため年5日。要介護者が2人以上の場合は年10日。
夏季休暇夏季に連続する3日間。

表は主要制度の概要であり,日数だけで取得要件を満たすと判断するためのものではない。
病気休暇は,負傷又は疾病のため療養する必要がある場合の制度であり,事由の確認を求められた場合には診断書等の提出が必要となる。
忌引休暇の日数は,死亡した親族と裁判官本人との関係によって異なる。

2 子の看護等休暇は未就学児だけか

令和7年度研修資料の子の看護等休暇は,9歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある子を対象としている。
子の病気や負傷の看護に加え,予防接種・健康診断への付き添い,感染症に伴う学級閉鎖・出席停止等及び一定の入園・卒園・入学等の式典への参加も説明されている。
同資料は,授業参観,運動会,保育園の進級式等の定期的又は複数回行われる行事を,式典の範囲に含めていない。

令和3年の裁判官ハンドブックには,子の看護休暇の対象を未就学の子とする説明がある。
令和7年度の資料と対象年齢・事由が異なるため,令和3年版だけを使って現在の取得対象を判断することは適切ではない。

3 産前・産後休暇と育児参加休暇

産前休暇は,出産予定の女性裁判官の申出により成立し,研修資料は承認を要しないと説明している。
産後休暇も,出産という事由によって成立するものであり,出産した旨の届出が必要となる。
産後6週間を経過した後は,本人の請求があり,医師が支障がないと認める業務について,8週間経過前の勤務が認められる場合がある。

配偶者出産休暇と育児参加休暇は,出産に関係する別の休暇である。
令和7年度研修資料の育児参加休暇の取得期間は,配偶者の産前・産後休暇期間だけに限られておらず,出産の日以後1年の期間まで含む。
令和3年の資料にある取得時期を,後の制度説明へそのまま流用しないことが必要である。

第3 裁判官の育児休業

1 誰が,いつまで取得できるか

裁判官の育児休業に関する法律2条は,最高裁判所の承認を受けて,3歳に満たない子を養育するための育児休業をすることができると定めている。
最高裁判所は,事務を処理するための措置を講ずることが著しく困難な場合を除き,請求を承認しなければならない。
育児休業は女性裁判官だけの制度ではなく,男性裁判官も取得できる。

令和7年度研修資料は,配偶者の就業や育児休業取得の有無にかかわらず利用できると説明している。
男性裁判官は子の出生の日から,女性裁判官は産後休暇終了日の翌日から取得できる。
法律上の「3歳に達する日」は,研修資料では満3歳の誕生日の前日と説明されている。

2 原則2回と出生直後の育児休業

同じ子についての育児休業は,原則として2回までという枠組みである。
出生直後の一定期間に,産後の休業をした裁判官以外の裁判官が取得する最初及び2回目の育児休業は,法律上,この回数に算入されない。
最高裁判所規則で定める特別の事情がある場合の例外もある。

令和7年度研修資料は,男性裁判官が子の出生の日から57日間以内に2回まで取得できる育児休業を「産後パパ育休」と呼び,その後の育児休業の原則2回とは別に説明している。
これは,裁判官の育児休業法制における説明である。
民間労働者の出生時育児休業の「4週間」という取得上限を,裁判官のこの制度へ当然に当てはめることはできない。

3 給与と育児休業手当金は別である

同法4条によれば,育児休業中も裁判官としての身分を保有するが,その期間中は報酬その他の給与を受けない。
一方,共済組合の給付には育児休業手当金等の制度があり,給与が支払われないことと,給付が一切ないことは同じではない。
休業を取得できる期間と,手当金を受けられる期間も異なる。

令和7年度研修資料は,育児休業手当金,育児休業支援手当金及び掛金免除の条件をそれぞれ説明している。
育児休業を3歳まで取得できることから,手当金も3歳まで同じ条件で支給されるとはいえない。
請求,支給期間,上限,配偶者の取得状況及び延長要件等は,それぞれの給付について確認する必要がある。

第4 短期介護休暇と介護休暇

短期介護休暇は,年5日,対象となる要介護者が2人以上なら年10日の範囲で利用する制度である。
介護休暇は,これとは別に,要介護者の一の継続する状態ごとに,通算6か月までの3回以下の指定期間内で,必要と認められる期間を取得する制度である。
介護休暇については,勤務しない日の給与が減額されるため,短期介護休暇と区別する必要がある。

令和7年度研修資料は,要介護状態が2週間以上引き続く場合を対象とし,1~2日程度で治る風邪等の短期間の看護は介護休暇の対象としないと説明している。
また,介護休暇はあらかじめ請求する必要があり,事後の請求は認められないとされている。
他に介護できる家族等がいても,裁判官本人が必要な介護に実際に従事する場合は利用できると説明されている。

共済組合の介護休業手当金には,介護休暇とは別の支給期間の上限と請求手続がある。
通算6か月の介護休暇を取得できることから,その全期間について同額の手当金が支給されると理解してはならない。

第5 配偶者同行休業

配偶者同行休業は,配偶者が外国で勤務・留学等をする場合に,配偶者と外国において生活を共にするための休業である。
令和7年度研修資料は,3年間取得でき,期間中は無報酬になると説明している。
育児休業のように子の年齢を中心に決まる制度とは,目的と要件が異なる。

平成25年の国会答弁では,休業中も裁判官の身分を保有すること,判事の任命資格の在職年数に休業期間を通算すること及び復帰時の配慮が説明されている。
ただし,在職年数の資格計算と,実際に指名・任命されることは別である。
当時の答弁全文とその文脈は,裁判官の配偶者同行休業,育児休業等に関する国会答弁を参照されたい。

第6 制度を比較する際の確認事項

休暇・休業を比較する場合には,対象者,対象となる子や親族,事由,期間,取得単位,申出・承認及び給与・共済給付を分けて確認するとよい。
同じ出産や介護に関係する制度であっても,取得できる時期や給与の扱いは一致しない。
短時間勤務や時間単位の休暇など,一般の裁判所職員向け資料にある制度を裁判官の制度として説明しないことも必要である。

制度を利用できることと,各人の担当事件,期日及び配置に即して取得の計画を立てることも別の問題である。
研修資料は,仕事と家庭の両立のため,早期に休暇・休業の計画を立てることの重要性を示している。
裁判官の職権の独立や身分保障については,裁判官とはで説明している。

第7 主な根拠資料

① 裁判官の休暇・休業について(令和7年度新任判事補研修の資料)57頁から66頁まで(PDF1頁から10頁まで)。
② 裁判官の育児休業に関する法律2条から4条まで。
③ 裁判官ハンドブック(令和3年3月)9頁から14頁まで(PDF11頁から16頁まで)。
④ 衆議院法務委員会平成25年11月8日会議録(配偶者同行休業等に関する当時の答弁)。

令和3年のハンドブックは制度の比較資料として用い,その後の育児休業の回数,育児参加休暇の取得期間及び子の看護等休暇の対象範囲については,令和7年度資料と区別している。
給付の個別金額は,報酬額,取得日及び各支給要件によって異なる。