裁判官の配偶者同行休業,育児休業等に関する国会答弁

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35期の安浪亮介最高裁判所人事局長は,平成25年11月8日の衆議院法務委員会において,以下のとおり答弁をしています(ナンバリング及び改行を追加しました。)。

① 裁判官の昇給につきましては、裁判官の報酬等に関する法律三条によりまして、最高裁判所が定めることとされております。具体的には、各裁判官の勤務状況、経験年数等を考慮して個別に決定しておるところでございます。
御質問の昇給への影響の点でございますけれども、配偶者同行休業の期間中には報酬の支給がございませんので昇給自体は行いませんが、復職後に同期の裁判官と同じ給与への昇給を行うということにより、給与上の不利益を受けることのないように対処してまいることを考えております。
② 裁判官につきましても、休業期間中、裁判所共済組合の組合員となっております。そのため、休業期間中も国家公務員共済組合制度が適用され、組合員本人が掛金を、また事業主であります国が負担金を負担するということになると考えております
③ 配偶者同行休業を取得した裁判官につきましても、休業中に自己研さんに努めてもらうという必要性はそのとおりだと考えております。
復帰後のことでございますけれども、私どもでは、司法研修所というところでさまざまな研修を実施しておりまして、この研修の多くが公募制、自分で手を挙げて参加するという仕組みになっております。休業から復帰した裁判官につきましても、こういう研修の機会を積極的に活用してもらいたいというふうに考えております。
また、復帰後の人事配置の点でございます。これも、休業期間がどれぐらいの期間であったのかということにもよるんだろうとは思いますけれども、いずれにしましても、復帰後、円滑に職務が遂行できるよう、必要な配置上の配慮をしてまいりたいと考えております。
④ この制度が始まりました後、裁判官が何人ぐらいこの制度を利用するかという潜在的なニーズの点でございますけれども、現時点での私どもの予測としては、年間二、三名程度かなというふうに推測しておるところでございます。
  その理由でございますけれども、一つは、先ほど委員御指摘のとおり、この五年間、平成二十年から二十四年度の間で退官した裁判官のうち、配偶者の海外転勤等に同行することを理由とした者が五名でございまして、平均しますと年間一人ということでございます。
そのほかに考え得る点といたしましては、現在、若い判事補が留学に出ておりますけれども、その留学に出ております配偶者もまた同じように裁判官という者がこの五年間では十一名ほどおります。したがいまして、年間二人ぐらい。その二人が可能性のある者というふうに考えておりますので、先ほど申しましたとおり、二、三人かなと思います。
それから、現在、配偶者が海外に赴任しておりまして、にもかかわらず日本で裁判官を続けておる者の数というのは把握しておりません。
あと、取り急ぎ、東京地裁と大阪地裁におります判事補に、こういう制度があったら利用したいかというようなことを聞いてみたことはございます。そうしますと、やはり九割を超える者が、この制度ができれば利用したいというような声がございます。
⑤ 平成二十年度から平成二十四年度までの五年間についてお答え申し上げます。
   女性裁判官の育児休業の取得率でございますけれども、平成二十年度が九三・五%、平成二十一年度及び二十二年度が一〇〇%、平成二十三年度が九七・六%、平成二十四年度が一〇〇%でございます。
  今申し上げましたそれぞれの年度におきまして、新規に育児休業を取得した者の平均取得期間でございますけれども、平成二十年度が約十七カ月、平成二十一年度が約十六カ月、平成二十二年度が約十七カ月、平成二十三年度が約十五カ月、平成二十四年度が約十四カ月となっております。
⑥ 裁判官の休暇制度につきましては、その職務の性質に反しません限り、一般職の国家公務員と同様の取り扱いとなっております。子の看護休暇制度は裁判官にも導入されております。
   その一方で、短時間勤務制度は設けておりません。これは、裁判官につきましては、その職務の性質上、明確な勤務時間の定めがございません。夜間も記録や資料を読んで判決の起案をするというようなこともございまして、裁判官の執務を一定の時刻、時間によって画するということがなじまないということからきているものでございます。
⑦   妊娠中の女性裁判官に対しまして、特別の制度を設けて何かしておるということはございませんが、配属庁におきましては、当該女性裁判官の体調に応じまして、先ほども申し上げましたとおり、令状事務の担当を外したり軽減したりということもしておりますし、体調不良時の応援体制をあらかじめ整備したりするなど、きめ細やかな配慮をしているものと承知しております。
⑧ 先ほど申し上げました、平成二十年度から平成二十四年度までの五年間でお答え申し上げます。
   男性裁判官の育児休業取得率でございますけれども、平成二十年度及び平成二十一年度は取得者がおらず、〇%ということになります。平成二十二年度は四・三%、平成二十三年度は一三・二%、平成二十四年度は一・四%でございます。
⑨ 分母になっております数字が、男性裁判官の配偶者が出産を迎えている、そういうものが母数になります。したがいまして、男性裁判官の母数が少ないこともありまして、一人とか二人とかという、数字が変動すると大きくパーセンテージがずれていくということによるものでございます。
ただ、最初の二年度はゼロでございましたけれども、その後の三年間には数字が少し出てきておりますので、今後はもう少し数字が上がるのではないかと考えております。
⑩ 裁判官につきましても、一般職の国家公務員と同様に、配偶者出産休暇及び育児参加休暇の制度がございます。
配偶者出産休暇は、二日の範囲内で、妻の出産に伴う入退院の付き添い等を行う男性裁判官に与えられるものでございます。また、育児参加休暇は、五日の範囲内で、妻の産前産後期間中に子を養育する男性裁判官に与えられるものでございます。いずれの休暇も有給休暇でございます。
⑪ 先ほど申し上げました過去五年間で申し上げます。
男性裁判官の育児参加休暇の一日以上の取得率でございますけれども、平成二十年度が一一・五%、平成二十一年度が三・四%、平成二十二年度が一七・四%、平成二十三年度が二四・五%、平成二十四年度が三七・五%でございます。
⑫ 同じ五年間で申し上げます。
男性裁判官の配偶者出産休暇の一日以上の取得率でございますが、平成二十年度が三〇・八%、平成二十一年度が三三・九%、平成二十二年度が四七・八%、平成二十三年度が四九・一%、平成二十四年度が五二・八%でございます。
⑬ この法律に基づきます配偶者同行休業期間中におきましても、裁判官たる身分を失わない以上、当然裁判官の職にあったと言えますので、育児休業期間中と同じく、任命資格の期間計算上は配偶者同行休業期間も通算されるということになります。
  判事の再任、それから判事補から判事への任命につきましては、下級裁判所裁判官指名諮問委員会に諮問をして、同委員会におきまして、能力、資質の点で判事への指名適当との答申がされた者について判事に任命するという取り扱いをしておるところでございます。
この委員会におきましては、任期十年間の執務状況についても検討していただいているところでございます。そうしますと、例えば、休業期間が相当に長く、現に執務していた期間のみではこの指名の適否の判断が困難だというような場合も出てくるかもしれません。そういう場合には、休業期間中の自己研さんの状況というようなものも参考にされることも出てまいるのではないかと考えております。

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