弁護士を選ぶときは,自分の問題を扱えるか,説明を理解できるか,依頼する範囲と費用に納得できるかを確認します。相談前に事実,資料,希望及び期限を整理し,相談時に具体的な質問をすることが役立ちます。
本記事の質問例は,弁護士職務基本規程と報酬規程を踏まえた相談準備の提案です。特定の弁護士の優劣,実績又は結果を保証するものではありません。弁護士の仕事内容と相談の入口も併せてご参照ください。
第1 まず,自分の問題と期限を整理する
「相続」や「交通事故」という分野名だけでなく,請求する側か請求された側か,交渉中か裁判中か,何を求めているかを伝えます。同じ分野でも,対応が必要な手続と資料は異なります。
裁判所からの書類,契約締結又は示談の予定,通知が届いた日など,期限に関係する情報を最初に伝えてください。複数の弁護士を比較している間にも期限は進みます。急ぐ手続を誰が担当し,いつまでに対応できるかを確認することが先になります。
希望は,金額だけでなく,早期解決,関係の整理,業務の継続なども含めて伝えます。自分に不利と思われる事情も隠さず伝えると,見通しの前提をそろえやすくなります。
第2 取扱分野と担当体制を確認する
1 分野と依頼範囲
ホームページで取扱分野を確認した上で,「この状況の相談を受けられますか」「交渉から訴訟まで依頼できますか」と尋ねます。相談だけ,書面作成だけ又は一定の手続までの依頼が可能かも確認します。
「専門」という表現,記事数又は広告の順位だけから,資格,個別事件の経験又は成果を推定しないようにしてください。自分の問題について,どの争点・資料を確認するかという説明に注目します。
2 担当者,連絡方法と受任の可否
相談する弁護士と実際の担当者が同じか,複数で担当する場合に誰が窓口になるか,連絡方法と通常の返答の目安を確認します。応答の目安は事務所の体制と合意によるので,即日対応が当然に約束されるわけではありません。
相手方,関係会社又は他の相続人などの情報は,利益相反の確認にも必要です。受任できない場合があるため,相談の可否を確認する段階で,必要な情報と資料の送付方法を尋ねます。
第3 見通しと説明を判断する質問
| 確認したいこと | 質問の例 |
|---|---|
| 現在の評価 | どの事実と資料を前提にしていますか。不足する資料は何ですか |
| 選択肢 | 交渉,調停,訴訟など,どの方法を検討できますか |
| 不利益 | 各方法の費用,期間及び不利になる可能性は何ですか |
| 次の行動 | 次に誰が何をしますか。直近の期限はいつですか |
| 費用対効果 | 得られる可能性のある利益と,必要な費用をどう比較しますか |
弁護士職務基本規程29条1項は,受任に当たって事件の見通し,処理方法,弁護士報酬及び費用を適切に説明することを定めています。同条2項は,依頼者に有利な結果の請合い又は保証を禁じています。
慎重な説明でも,何が分かり,何が不確実なのかが具体的なら,判断の材料になります。「必ず勝てる」と言い切るかどうかを選ぶ基準にするのではなく,前提,反対の見方及び不足資料を理解できるかを確かめます。
説明が分からないときは,「今の説明を,私が次にすることと費用に分けて説明していただけますか」と尋ねます。質問しやすさと,質問への答えを理解できるかも,継続して相談する上での確認事項です。
第4 費用は同じ依頼範囲で比較する
1 最初の金額と総額を分ける
相談料,着手金,成功報酬,実費,日当等の種類と支払時期を確認します。低い着手金でも,成功報酬の算定基礎や追加費用が異なれば,最終負担は変わります。定額でも,対象作業や修正回数が異なれば単純に比較できません。
日弁連の報酬規程4条は,申出がある場合の報酬見積書の作成・交付を努力義務としています。見積りを希望するときは,必要な資料と,金額が変わる条件も併せて尋ねます。費用の読取りは,弁護士費用の見方で説明しています。
2 追加費用と中途終了
交渉から裁判へ移る場合,控訴する場合,又は解決後に強制執行が必要な場合の依頼範囲と追加費用を確認します。「事件終了まで」という言葉だけで,すべての手続が含まれるとは判断できません。
途中で依頼を終了した場合の清算方法,預り金,未使用実費及び記録の返還・引継ぎも確認します。委任契約書の確認事項は,弁護士との委任契約書で確認する事項をご参照ください。
第5 口コミ,検索順位と比較相談の使い方
検索や口コミは相談先を探すきっかけになります。ただし,評価した人の事件,依頼範囲及び求めた結果が,自分の場合と同じとは限りません。良い評価だけでなく,実際の相談で受けた説明,担当体制及び費用合意を確認します。
複数の相談先を比較するときは,できるだけ同じ経過メモ,原資料及び希望を伝えます。相談後に「提案された方法」「不足資料」「費用」「次の期限」を書き出すと,説明の違いを比較しやすくなります。各相談には相談料がかかる場合があるので,予約時に確認してください。
既に依頼している事件について別の意見を求めるときは,現在の契約,担当弁護士の説明,提出済み書類及び期限も伝えます。無料相談には対象や回数等の条件があるため,既に依頼している事件について別の意見を聞きたいことを,予約時に伝えて取扱いを確認します。
第6 依頼後の連絡と弁護士を変更する場合
依頼後は,弁護士職務基本規程36条に基づく経過・重要事項の報告と協議が必要になります。相談時から,連絡窓口,資料の送付方法及び重要な判断の確認方法をそろえておくと役立ちます。
方針に疑問が生じたら,現在の見通し,代替案,費用及び直近の期限について説明を求めます。変更を検討する場合も,先に次の弁護士が受任できるかを確認し,契約の清算,記録の引継ぎ及び期限までの担当を整理します。依頼後の注意点は,弁護士に事件を依頼するときに知っておいてほしい大切なことをご参照ください。
第7 山中弁護士への相談と出典
山中弁護士への相談をお考えの方は,交通事故の相談・依頼の流れ,相続の相談・依頼の流れ,中小企業の相談案内及び受任していない事件をご確認ください。
日本弁護士連合会「弁護士職務基本規程」29条・30条・36条,「弁護士の報酬に関する規程」3条~5条。
法テラス「無料法律相談に関するよくあるご質問」。資料確認日:令和8年10月11日。