第1 本記事の対象と結論
本記事は,金銭債務の遅延損害金に適用される法定利率が年3%になるのか年5%になるのかを,民法404条,419条1項及び民法の一部を改正する法律(平成29年法律第44号。以下「改正法」という。)の附則に沿って整理するものである。
調査基準日は令和8年9月19日である。
条文はe-Gov法令検索で,裁判例は裁判所HPの裁判例検索で,法定利率の一覧は法務省のホームページで確認した。
結論は次のとおりである。
① 遅延損害金の利率は,債務者が遅滞の責任を負った最初の時点の法定利率で決まり,その後に法定利率が変わっても影響を受けない(民法419条1項)。
② 遅滞の責任を負ったのが令和2年3月31日以前であれば年5%,令和2年4月1日以後であれば年3%である(改正法附則17条3項)。
③ 令和2年4月1日以後の法定利率は3年ごとに見直される変動制であるが,令和8年4月1日から令和11年3月31日までの期も年3%であり,令和11年4月1日以後の利率はまだ決まっていない(法務省の公表)。
④ 商事法定利率の年6分(商法514条)は削除されたが,令和2年3月31日以前に遅滞した商行為によって生じた債務には,なお年6分が適用される(民法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成29年法律第45号。以下「整備法」という。)4条3項)。
⑤ 交通事故の加害者に対する損害賠償請求では,原則として事故日が令和2年3月31日以前か令和2年4月1日以後かで利率が決まる。
⑥ これに対し,自賠責保険会社に対する被害者請求は,請求後の「必要な期間」が経過するまで遅滞にならないため,令和2年3月31日以前の事故でも年3%となることがある。
⑦ 請求の趣旨や判決主文では,最高裁令和4年1月28日判決の主文と同じく「年3パーセントの割合による金員」と%で表示すればよい。
遅延損害金の起算日,自賠責保険,既払金の充当などの論点は,ハブ記事である遅延損害金に関するメモ書き及び第9の関連記事で扱う。
第2 民法の法定利率の仕組み
1 令和2年3月31日までは年5%
改正前の民法404条は,「利息を生ずべき債権について別段の意思表示がないときは、その利率は、年五分とする。」と定めていた(e-Gov法令検索・民法(令和2年3月1日施行時点))。
年5分は年5%と同じ意味である。
改正前の民法419条1項本文は,金銭債務の不履行による損害賠償の額を「法定利率によって定める。」としていたから,遅延損害金の利率も年5%の固定であった。
2 令和2年4月1日以後は年3%から始まる変動制
改正法は令和2年4月1日に施行された(最高裁令和4年1月28日判決の理由中にも「改正法の施行日である令和2年4月1日」との記載がある)。
現行の民法404条2項は,「法定利率は、年三パーセントとする。」と定める。
同条3項は,「前項の規定にかかわらず、法定利率は、法務省令で定めるところにより、三年を一期とし、一期ごとに、次項の規定により変動するものとする。」と定める。
(1) 基準割合と1%未満の切捨て
各期の法定利率は,法定利率に変動があった直近の期(直近変動期)の基準割合と当期の基準割合との差を,直近変動期の法定利率に加算し,又は減算して決まる(民法404条4項)。
その差に「一パーセント未満の端数があるときは、これを切り捨てる。」とされているから,基準割合が1%以上動かない限り,法定利率は変わらない。
基準割合は,各期の初日の属する年の6年前の年の1月から前々年の12月までの60か月の短期貸付けの平均利率の合計を60で除した割合(0.1%未満切捨て)として,法務大臣が告示する(同条5項)。
(2) 最初の変動までの読替え
法定利率に初めて変動があるまでは,「直近変動期」は改正法の施行後最初の期(令和2年4月1日から令和5年3月31日までの期)と,「直近変動期における法定利率」は「年三パーセント」と読み替えられる(改正法附則15条2項)。
そのため,現時点では,第一期の基準割合と各期の基準割合との差が1%以上になるかどうかで変動の有無が決まる。
3 法務省が公表している各期の法定利率
法務省「令和8年4月1日以降の法定利率について」(令和7年3月31日掲載)によれば,第三期(令和8年4月1日から令和11年3月31日まで)の基準割合は年0.4%と告示され(令和7年法務省告示第73号),第一期の基準割合0.7%からの変動が1%未満であるため,法定利率は3%のまま変動しないこととなった。
同ページがまとめている各期間の法定利率は,次のとおりである。
| 期間 | 法定利率 |
|---|---|
| 令和2年3月31日まで | 年5% |
| 令和2年4月1日~令和5年3月31日(第一期) | 年3% |
| 令和5年4月1日~令和8年3月31日(第二期) | 年3% |
| 令和8年4月1日~令和11年3月31日(第三期) | 年3% |
| 令和11年4月1日以降 | 未確定(変動の可能性あり) |
4 令和11年4月1日以後の見通しの考え方
第四期(令和11年4月1日から令和14年3月31日まで)の基準割合は,民法404条5項の計算方法によれば,令和5年1月から令和9年12月までの60か月の短期貸付けの平均利率から算出されることになる。
本記事の計算では,法定利率が年4%に上がるのは,第四期の基準割合が第一期の0.7%より1%以上高い1.7%以上となる場合である。
逆に,法定利率が下がるには基準割合が第一期より1%以上下がる必要がある。
いずれにしても,令和11年4月1日以後の法定利率は,法務大臣の告示と法務省の公表を待って確認する必要がある。
第3 遅延損害金の利率は「遅滞の最初の時点」で決まる
1 民法419条1項
現行の民法419条1項は,「金銭の給付を目的とする債務の不履行については、その損害賠償の額は、債務者が遅滞の責任を負った最初の時点における法定利率によって定める。ただし、約定利率が法定利率を超えるときは、約定利率による。」と定める。
遅延損害金の利率は,損害の発生時でも,訴え提起時でも,判決時でもなく,債務者が遅滞の責任を負った最初の時点を基準として決まる。
いつ遅滞の責任を負うかは,債務の種類によって異なり,確定期限のある債務は期限到来時から,期限の定めのない債務は履行の請求を受けた時から遅滞となる(民法412条1項・3項)。
不法行為に基づく損害賠償債務は,催告を要せず,損害の発生と同時に遅滞に陥る(最高裁判所第三小法廷昭和37年9月4日判決(昭和34年(オ)第117号,民集16巻9号1834頁))。
2 改正法の経過措置
(1) 遅延損害金についての附則17条3項
改正法附則17条3項は,「施行日前に債務者が遅滞の責任を負った場合における遅延損害金を生ずべき債権に係る法定利率については、新法第四百十九条第一項の規定にかかわらず、なお従前の例による。」と定める。
したがって,令和2年3月31日以前に遅滞の責任を負った債務の遅延損害金は,支払済みまで年5%で計算される。
令和2年4月1日以後に遅滞の責任を負った債務の遅延損害金は,その時点の法定利率である年3%で計算される。
債権の発生原因となった契約や事実が令和2年3月31日以前であっても,遅滞の責任を負ったのが令和2年4月1日以後であれば,遅延損害金の利率は年3%になる。
(2) 利息についての附則15条
約定で利息を付けたが利率を定めなかった場合など,利息の利率については,民法404条1項が「その利息が生じた最初の時点における法定利率による。」と定め,改正法附則15条1項は「施行日前に利息が生じた場合におけるその利息を生ずべき債権に係る法定利率については、新法第四百四条の規定にかかわらず、なお従前の例による。」と定める。
利息は利息が生じた最初の時点,遅延損害金は遅滞の責任を負った最初の時点と,基準となる時点の定め方は異なるが,いずれも最初の時点で利率が固定されるという構造は同じである。
3 途中で法定利率が変わっても利率は変わらない
民法419条1項は「最初の時点」の法定利率によるとしているから,遅滞の後に法定利率が変動しても,その債務の遅延損害金の利率は変わらない。
例えば,令和8年5月1日に遅滞に陥った債務の遅延損害金は年3%であり,仮に令和11年4月1日以後の法定利率が年4%に変わったとしても,その債務については支払済みまで年3%のままである。
同じ理屈で,令和2年3月31日以前に遅滞に陥った債務は,支払が何年後になっても年5%のままである。
第4 商事法定利率(年6分)の廃止
1 商法514条の削除と整備法4条3項
改正前の商法514条は,「商行為によって生じた債務に関しては、法定利率は、年六分とする。」と定めていた(e-Gov法令検索・商法(平成31年4月1日施行時点))。
整備法3条は商法514条を削除し,現行の商法514条は「削除」となっている。
そのため,令和2年4月1日以後に遅滞の責任を負った商行為によって生じた債務の遅延損害金も,民法の法定利率(現在は年3%)による。
もっとも,整備法4条3項後段は,「施行日前に債務者が遅滞の責任を負った場合における遅延損害金を生ずべき債権(商行為によって生じたものに限る。)に係る法定利率についても、同様とする。」と定め,前段で「なお従前の例による。」としている(衆議院・整備法の制定時の法律本文)。
したがって,令和2年3月31日以前に遅滞の責任を負った商行為によって生じた債務には,支払済みまで年6分が適用される。
整備法はe-Gov法令検索に収録されていないため,本記事では衆議院の制定法律のページで条文を確認した。
2 無保険車傷害保険金を年6分とした最高裁平成24年4月27日判決
最高裁判所第二小法廷平成24年4月27日判決(平成21年(受)第1923号,集民240号223頁)は,平成16年7月の交通事故の被害者らが保険会社に無保険車傷害条項に基づく保険金を請求した事案である。
原審は,無保険車傷害保険金の支払請求は実質において賠償義務者に対する損害賠償請求と同じであるとして,遅延損害金の利率を民法所定の年5分とした。
これに対し,最高裁は,無保険車傷害保険金の支払債務は「商人である被上告人との間で締結された保険契約に基づくものであるから,商行為によって生じた債務(商法514条)に当たるというべき」とし,その遅延損害金の利率を商事法定利率である年6分と判断した。
この判決の結論は,商法514条が存在していた時期の判断である。
令和2年4月1日以後に遅滞に陥った保険金支払債務には商法514条が存在しないから,年6分とする根拠がなく,民法の法定利率によることになる。
この判決が年6分の根拠として働くのは,整備法4条3項により従前の例によるとされる,令和2年3月31日以前に遅滞に陥った場合に限られる。
なお,同判決の事案では,約款上,保険会社は保険金請求の手続をした日から30日以内に保険金を支払うとされ,遅延損害金は弁済期の翌日から認容されているから,保険金支払債務の遅滞時期は事故日ではなく約款上の支払期限によって決まることに注意が必要である。
3 自賠責保険の被害者請求に係る債務は商行為によって生じた債務ではない
最高裁判所第三小法廷昭和57年1月19日判決(昭和54年(オ)第34号,民集36巻1号1頁)は,自賠法16条1項に基づく被害者の保険会社に対する直接請求権は,被害者が保険会社に対して有する損害賠償請求権であって,保有者の保険金請求権の変形ないしそれに準ずる権利ではないから,保険会社の被害者に対する損害賠償債務は商法514条所定の商行為によって生じた債務に当たらないと判断した。
そのため,改正前であっても,自賠責保険会社の被害者請求に係る債務の遅延損害金は年6分ではなく年5分とされた。
令和2年4月1日以後に遅滞に陥った場合には,いずれにしても民法の法定利率(年3%)によるから,この判決が利率の結論を左右するのは,遅滞が令和2年3月31日以前の場合である。
第5 場面ごとの当てはめ
1 交通事故の加害者に対する損害賠償請求
不法行為に基づく損害賠償債務は損害の発生と同時に遅滞に陥るから,交通事故の加害者に対する損害賠償請求の遅延損害金の利率は,原則として事故日を基準に決まる。
事故日が令和2年3月31日以前であれば年5%,令和2年4月1日以後であれば年3%である。
不法行為と相当因果関係に立つ弁護士費用の賠償債務も不法行為の時に履行遅滞となる(最高裁判所第三小法廷昭和58年9月6日判決(昭和55年(オ)第1113号,民集37巻7号901頁))から,弁護士費用部分も事故日を基準とする同じ利率となる。
起算日の詳細は不法行為・交通事故の遅延損害金はいつから発生するか―事故日起算,弁護士費用及び損害費目ごとの起算日で扱う。
2 自賠責保険の被害者請求
自賠法16条の9第1項は,「保険会社は、第十六条第一項の規定による損害賠償額の支払の請求があつた後、当該請求に係る自動車の運行による事故及び当該損害賠償額の確認をするために必要な期間が経過するまでは、遅滞の責任を負わない。」と定める。
そのため,自賠責保険会社が遅滞の責任を負う時点は事故日ではなく,被害者請求の後に「必要な期間」が経過した時点となる。
民法419条1項と改正法附則17条3項を当てはめると,令和2年3月31日以前の事故であっても,被害者請求後の「必要な期間」が経過した時点が令和2年4月1日以後であれば,自賠責保険会社に対する遅延損害金の利率は年3%になると考えられる。
この場合,同じ事故について,加害者に対する損害賠償請求の遅延損害金は年5%,自賠責保険会社に対する請求の遅延損害金は年3%と,利率が分かれることになる。
「必要な期間」の意味(最高裁判所第一小法廷平成30年9月27日判決(平成29年(受)第659号,民集72巻4号432頁))や訴訟提起の実益は,自賠責保険の被害者請求と遅延損害金―自賠法16条の9の「必要な期間」,利率及び訴訟提起の実益で扱う。
3 離婚に伴う慰謝料
最高裁判所第二小法廷令和4年1月28日判決(令和2年(受)第1765号,民集76巻1号78頁)は,離婚に伴う慰謝料として夫婦の一方が負担すべき損害賠償債務は離婚の成立時に遅滞に陥ると判断した。
原審は,婚姻関係が破綻した時が令和2年4月1日より前であるとして遅延損害金の利率を年5分としたが,最高裁は,離婚の成立時である判決確定の時に遅滞に陥るから,改正法の施行日前に遅滞の責任を負った(改正法附則17条3項参照)ということはできず,利率は改正後の民法404条2項所定の年3パーセントであるとした。
この判決は,利率を決めるのは不法行為の原因となった事実の時期ではなく,遅滞の責任を負った時点であることを示している。
離婚慰謝料の論点は離婚慰謝料の遅延損害金はいつから発生するか―離婚成立時とした最高裁令和4年1月28日判決と請求の趣旨の書き方で扱う。
4 契約上の金銭債務
売買代金や貸金などの契約上の金銭債務では,確定期限があれば期限の到来時,期限の定めがなければ履行の請求を受けた時が遅滞の時点となる(民法412条1項・3項)。
契約が令和2年3月31日以前に締結されていても,弁済期や履行の請求が令和2年4月1日以後であれば,約定利率の定めがない限り,遅延損害金の利率は年3%となる。
令和11年4月1日以後に法定利率が変動した場合にも,同じように履行の請求の時期で利率が分かれるから,期限の定めのない債務では,いつ履行の請求をしたかを記録に残しておく必要がある。
第6 計算例
本記事の計算例は,元本に年利率と日数を乗じ,365日で割って日割り計算し,1円未満を切り捨てたものである。
不法行為の遅延損害金は元本に組み入れられない(最高裁判所第三小法廷令和4年1月18日判決(令和2年(受)第1518号,民集76巻1号1頁))から,単利で計算している。
1 元本1,000万円・3年間(1,095日)
年5%の場合,1,000万円×5%×1,095日÷365日=150万円となる。
年3%の場合,1,000万円×3%×1,095日÷365日=90万円となる。
差額は60万円である。
2 元本1,000万円・500日間
年5%の場合,1,000万円×5%×500日÷365日=68万4,931円となる。
年3%の場合,1,000万円×3%×500日÷365日=41万958円となる。
差額は27万3,973円である。
| 元本1,000万円 | 年5% | 年3% | 差額 |
|---|---|---|---|
| 1年(365日) | 50万円 | 30万円 | 20万円 |
| 500日 | 68万4,931円 | 41万958円 | 27万3,973円 |
| 3年(1,095日) | 150万円 | 90万円 | 60万円 |
交通事故の損害賠償請求は,事故から解決まで数年を要することがあるから,事故日が令和2年3月31日以前か令和2年4月1日以後かで,遅延損害金の額に上記程度の差が生じる。
元本の一部が支払われた場合の充当の順序は,交通事故の既払金は元本と遅延損害金のどちらに充当されるか―自賠責保険金と任意保険の支払の違いで扱う。
第7 請求の趣旨・判決主文での利率の書き方
1 最高裁令和4年1月28日判決の主文
最高裁令和4年1月28日判決の主文1項は,原判決の遅延損害金の部分を変更し,「上告人は,被上告人に対し,20万円に対する本判決確定の日の翌日から支払済みまで年3パーセントの割合による金員を支払え。」と定めている。
同判決の原判決は「年5分の割合による遅延損害金」としていたが,最高裁は改正後の利率を「年3パーセント」と表示した。
民法404条2項の条文も「年三パーセント」であるから,請求の趣旨や判決主文では%で表示すれば足りる。
2 請求の趣旨の記載例
令和2年4月1日以後の交通事故であれば,例えば「被告は,原告に対し,○○円及びこれに対する令和3年○月○日から支払済みまで年3パーセントの割合による金員を支払え。」と書く。
令和2年3月31日以前の交通事故であれば,利率の部分を「年5パーセント」又は改正前の条文の表現に合わせて「年5分」と書く。
同じ訴訟で年5%の部分と年3%の部分が併存する場合(例えば,加害者と自賠責保険会社を共同被告とする場合)には,被告ごと又は元本ごとに利率と起算日を書き分ける。
請求原因では,遅滞の時点と,それが令和2年3月31日以前か令和2年4月1日以後かを明示し,改正法附則17条3項に基づく利率であることを示しておくと,利率の争いを避けやすい。
第8 約定利率と上限規制
1 民法419条1項ただし書
民法419条1項ただし書は,「約定利率が法定利率を超えるときは、約定利率による。」と定める。
貸金の利息の約定利率が年10%であれば,遅延損害金についての別段の合意がなくても,遅延損害金は年10%で請求できる。
逆に,約定利率が法定利率を下回る場合は,本文に戻って法定利率による。
2 利息制限法4条
金銭消費貸借上の債務の不履行による賠償額の予定は,その賠償額の元本に対する割合が利息制限法1条に規定する率の「一・四六倍を超えるときは、その超過部分について、無効とする。」とされている(利息制限法4条1項)。
同法1条の率は,元本10万円未満が年2割,10万円以上100万円未満が年1割8分,100万円以上が年1割5分であるから,本記事の計算では,遅延損害金の上限は,それぞれ年29.2%,年26.28%,年21.9%となる。
ただし,営業的金銭消費貸借(貸金業者の貸付け等)では,元本の額にかかわらず年2割が上限となる(利息制限法7条1項)。
違約金も賠償額の予定とみなされる(同条2項)。
3 消費者契約法9条1項2号
消費者契約に基づき支払うべき金銭を消費者が支払期日までに支払わない場合の損害賠償の額の予定又は違約金の定めは,支払期日の翌日から支払日までの日数に応じ,未払額に「年十四・六パーセントの割合を乗じて計算した額を超えるもの」について,その超える部分が無効となる(消費者契約法9条1項2号)。
事業者と消費者の間の契約では,約定の遅延損害金が年14.6%を超えていないかを確認する必要がある。
第9 関連記事
本記事の元になったハブ記事は,遅延損害金に関するメモ書きである。
遅延損害金に関する新記事は,次のとおりである。
① 不法行為・交通事故の遅延損害金はいつから発生するか―事故日起算,弁護士費用及び損害費目ごとの起算日
② 自賠責保険の被害者請求と遅延損害金―自賠法16条の9の「必要な期間」,利率及び訴訟提起の実益
③ 交通事故の既払金は元本と遅延損害金のどちらに充当されるか―自賠責保険金と任意保険の支払の違い
④ 人身傷害保険金を受け取った後も加害者に遅延損害金を請求できるか―最高裁平成24年2月20日判決と保険代位の範囲
⑤ 離婚慰謝料の遅延損害金はいつから発生するか―離婚成立時とした最高裁令和4年1月28日判決と請求の趣旨の書き方
⑥ 不法行為の遅延損害金は元本に組み入れられるか―民法405条の重利を否定した最高裁令和4年1月18日判決
令和2年4月1日を境に取扱いが変わった事項については,次の既存記事も参照されたい。
① 自賠責保険の支払基準――令和2年4月1日以降の交通事故に適用される告示の全文,別表及び改正経緯
② 消滅時効に関するメモ書き――起算点,完成猶予・更新,経過措置
③ 遺留分侵害額請求の計算方法と請求を受けた側の対応―期限の許与・分割払い・遅延損害金
④ 残業代請求訴訟の仮執行による仮払い-遅延損害金・源泉徴収・逆転後の返還
第10 出典・参考資料
1 法令
① 民法404条,405条,412条,419条(e-Gov法令検索)
② 改正前の民法404条,419条(e-Gov法令検索・令和2年3月1日施行時点)
③ 民法の一部を改正する法律(平成29年法律第44号)附則15条,17条(e-Gov法令検索・民法の附則)
④ 商法514条(現行は削除。改正前の条文はe-Gov法令検索・平成31年4月1日施行時点)
⑤ 民法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成29年法律第45号)3条,4条3項(衆議院・制定法律)
⑥ 自動車損害賠償保障法16条1項,16条の9(e-Gov法令検索)
⑦ 利息制限法1条,4条,7条(e-Gov法令検索)
⑧ 消費者契約法9条(e-Gov法令検索)
2 裁判例
① 最高裁判所第三小法廷昭和37年9月4日判決(昭和34年(オ)第117号,民集16巻9号1834頁)
② 最高裁判所第三小法廷昭和57年1月19日判決(昭和54年(オ)第34号,民集36巻1号1頁)
③ 最高裁判所第三小法廷昭和58年9月6日判決(昭和55年(オ)第1113号,民集37巻7号901頁)
④ 最高裁判所第二小法廷平成24年4月27日判決(平成21年(受)第1923号,集民240号223頁)
⑤ 最高裁判所第一小法廷平成30年9月27日判決(平成29年(受)第659号,民集72巻4号432頁)
⑥ 最高裁判所第三小法廷令和4年1月18日判決(令和2年(受)第1518号,民集76巻1号1頁)
⑦ 最高裁判所第二小法廷令和4年1月28日判決(令和2年(受)第1765号,民集76巻1号78頁)
3 公的資料
① 法務省「令和8年4月1日以降の法定利率について」(令和7年3月31日掲載)