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令和7年4月の厚生労働省制度変更―雇用保険,育児・介護休業法,年金・手当の実務確認(AI作成)

第1 対象資料と確認日

1 資料の性質

厚生労働省の「厚生労働省関係の主な制度変更(令和7年4月)について」は,令和7年(2025年)4月に実施された厚生労働省関係の制度変更のうち,特に国民生活に影響を与える事項をまとめた一覧である。
医療,健康・衛生,雇用・労働,福祉,年金,薬事,援護及び各種手当の分野ごとに,項目名,内容,主な対象者,担当部局及びリンク先が並んでいる。

一覧の項目のうち「※1」が付いたものは,作成時点では予算案が成立した場合の内容として記載されていた。
一覧は制度の要点だけを示すものであり,要件や例外は根拠法令とリンク先の案内で確かめる必要がある。

本記事の確認日は令和8年(2026年)10月4日である。
一覧から1年半が経過しているため,当時の金額と現在の金額を分け,現在も効力を持つ変更と,期間が終わった措置を区別して整理する。
なお,一覧の「出生後休業支援給付」と「育児時短就業給付」の行にあるリーフレットへのリンクは,確認日には開けなかった(HTTP 404)。
これらの給付は,厚生労働省の育児休業等給付の案内ページとQ&Aで確認した。

2 実務で使う変更の一覧

分野令和7年4月の主な変更実務での確認事項
雇用保険の給付自己都合退職の給付制限を原則1か月に短縮,教育訓練による解除,出生後休業支援給付金・育児時短就業給付金の創設,高年齢雇用継続給付の最大給付率の引下げ退職日,受講開始日,申出の期限,休業・時短の開始日
雇用保険料率一般の事業で14.5/1000に引下げ適用される年度と事業の種類
育児・介護休業法子の看護等休暇の拡大,残業免除の対象拡大,育児休業取得状況の公表義務の拡大,介護の個別周知・意向確認等就業規則,労使協定,面談記録
次世代法一般事業主行動計画の策定時に状況把握・数値目標の設定を義務付け常時雇用する労働者の数,計画期間
年金・手当年金額1.9%の引上げ,各種手当の引上げ支給月がどの年度の額か
医療・健康・福祉・援護帯状疱疹ワクチンの定期接種化,住居確保給付金の転居費用補助,第十二回特別弔慰金対象年齢,自治体の要件,請求期限

第2 雇用保険の給付の変更

1 自己都合退職の給付制限の短縮と解除

雇用保険法33条1項は,被保険者が自己の責めに帰すべき重大な理由によって解雇され,又は正当な理由がなく自己の都合によって退職した場合,待期期間の満了後「一箇月以上三箇月以内の間で公共職業安定所長の定める期間」は基本手当を支給しないと定めている。
期間を1か月とするか3か月とするかは,法律ではなく,厚生労働省の「雇用保険に関する業務取扱要領」の運用基準で定められている。

同要領によれば,令和7年4月1日以降に正当な理由なく自己都合で退職した場合の給付制限は原則1か月であり,同年3月31日以前の退職では原則2か月である。
退職日から遡って5年間に2回以上,正当な理由なく自己都合で退職して求職申込みをしていた場合と,重責解雇の場合は3か月となる。

令和6年改正により,雇用保険法33条1項ただし書に2号と3号が加わった。
令和7年4月1日以降に受講を開始した教育訓練給付金の対象講座等を,離職日前1年以内に受けたか,離職日以後に受ける場合には,重責解雇の場合を除き,給付制限が解除される。
解除を受けるには,受給資格決定日又は初回の失業認定日等までにハローワークへ申し出る必要がある。
申出の期限と数え方,重責解雇の認定基準及び退職合意書との関係は,自己都合退職の給付制限で詳しく整理する。

2 出生後休業支援給付金

出生後休業支援給付金は,被保険者が子の出生後の対象期間内に通算14日以上の育児休業(産後パパ育休を含む。)をし,配偶者も一定期間内に通算14日以上の育児休業をした場合に支給される(雇用保険法61条の10第1項)。
配偶者がいない場合,配偶者が雇用される労働者でない場合,配偶者が産後休業をした場合等は,配偶者の育児休業の要件が外れる(同条2項)。

支給額は,休業開始時賃金日額に出生後休業の日数(28日が上限)を乗じた額の100分の13である(同条6項)。
厚生労働省の育児休業等給付のQ&A(Q40)は,育児休業給付の67%と合わせて80%となり,社会保険料の免除や非課税を加味すると手取りで10割相当になると説明している。
一覧の「手取り10割相当」は,この合計と負担の軽減を合わせた説明であり,出生後休業支援給付金だけで賃金の全額が出るわけではない。

令和7年4月より前から続けて育児休業をしている場合は,同年4月1日に休業を開始したものとみなして要件を確認する(同Q&A・Q42)。

3 育児時短就業給付金

育児時短就業給付金は,被保険者が2歳未満の子を養育するために所定労働時間を短縮して就業した場合に,支給対象月ごとに支給される(雇用保険法61条の12第1項)。
支給額は,支給対象月に支払われた賃金が育児時短就業開始時の賃金の100分の90に相当する額未満のときは,その賃金の100分の10である(同条6項1号)。
100分の90以上100分の100未満のときは,100分の10から逓減する率となり,賃金と給付の合計が支給限度額を超える部分は支給されない。

同Q&A(Q95〜Q97)によれば,令和7年4月より前から時短勤務をしている者は,同年4月1日を育児時短就業の開始日とみなして判定する。
そのため,開始時の賃金が時短勤務中の賃金で算定され,4月以降の賃金がそれより下がっていない月は不支給となる。
「以前から時短勤務をしているので当然に10%が出る」と説明すると誤りになる。

4 高年齢雇用継続給付の給付率の引下げ

高年齢雇用継続基本給付金は,60歳到達時等と比べて賃金が75%未満に下がった状態で働く60歳以上65歳未満の被保険者に支給される(雇用保険法61条1項)。
現行の同条5項は,賃金が60歳到達時等の賃金の64%未満のときの支給率を100分の10とし,それ以上のときは100分の10から逓減する率としている。

業務取扱要領(高年齢雇用継続給付)59014によれば,令和7年3月31日以前に60歳に達した日(その日の時点で被保険者期間が5年以上となった日を含む。)を迎えた者は,従前どおり最大15%であり,賃金月額の61%未満で15%となる。
同じ月の給付でも,対象者が要件を満たした時期によって率と基準となる割合が違うことになる。
定年後再雇用の賃金設計との関係は,業務内容が変わらない定年後再雇用社員の賃金水準の目安で扱っている。

5 雇用保険料率

令和7年度の雇用保険料率は,一般の事業で14.5/1000(労働者負担5.5/1000,事業主負担9/1000)であり,令和6年度の15.5/1000から引き下げられた。
適用期間は令和7年4月1日から令和8年3月31日までである。

令和8年度は,一般の事業で13.5/1000(労働者負担5/1000,事業主負担8.5/1000)に再び引き下げられている(厚生労働省「令和8(2026)年度雇用保険料率のご案内」)。
過去の給与計算を点検するときは,どの賃金から新しい料率を当てるかを各年度の案内で確かめ,事業の種類(一般の事業,農林水産・清酒製造の事業,建設の事業)も確かめる必要がある。

第3 育児・介護休業法と次世代法の改正

1 育児期の働き方

令和6年改正の育児・介護休業法は,令和7年4月1日と同年10月1日の2段階で施行された。
令和7年4月1日施行分の主な内容は次のとおりである(厚生労働省リーフレット「育児・介護休業法 改正ポイントのご案内」1頁・2頁)。

①子の看護休暇を「子の看護等休暇」に改め,対象となる子を小学校第3学年修了前までに広げ,感染症に伴う学級閉鎖等と入園(入学)式・卒園式への参加を取得事由に加えた(同法16条の2)。
②労使協定で子の看護等休暇と介護休暇の対象から除外できる労働者のうち,継続雇用期間6か月未満の者を除外する仕組みを廃止した。
③所定外労働の制限(残業免除)を請求できる労働者を,3歳未満の子を養育する者から小学校就学前の子を養育する者に広げた(同法16条の8)。
④3歳未満の子を養育する労働者がテレワークを選択できるようにする措置を,事業主の努力義務とした(同法24条2項)。短時間勤務制度の代替措置にもテレワークが加わった。

取得日数(1年度に5労働日,子が2人以上なら10労働日)は変わっていない。
就業規則と労使協定に古い年齢・除外規定が残っていないかを確かめる必要がある。

2 育児休業取得状況の公表義務

男性労働者の育児休業等の取得状況を年1回公表する義務の対象が,常時雇用する労働者が1000人を超える事業主から,300人を超える事業主に広がった(同法22条の2)。
リーフレットによれば,公表は公表前事業年度の終了後おおむね3か月以内に,インターネット等で一般の人が閲覧できる方法で行う。

3 介護離職防止のための措置

令和7年4月1日から,事業主は,労働者から対象家族が介護を必要とする状況に至った旨の申出を受けたときは,介護休業等の制度を個別に知らせ,利用の意向を確認する面談等の措置を講じなければならない(同法21条4項)。
労働者が40歳に達した日の属する年度等の一定の時期には,介護休業等の制度をあらかじめ知らせなければならない(同条5項)。
また,研修,相談体制の整備等のいずれかの措置により,介護両立支援制度等の申出が円滑に行われるための雇用環境を整える必要がある(同法22条4項)。

申出をしたことや,確認された意向の内容を理由とする解雇その他の不利益な取扱いは禁止される(同法21条6項)。
介護中の労働者のテレワークは,事業主の努力義務である(同法24条4項)。
介護を理由とする配置転換の争いについては,育児・介護中の転勤・出向命令を争う初動を参照されたい。

4 次世代法の一般事業主行動計画

次世代育成支援対策推進法12条3項により,一般事業主は,行動計画を策定又は変更するときに,育児休業等の取得の状況と労働時間の状況を把握し,改善すべき事情を分析した上で,これらの数値を用いた定量的な目標を定めなければならない。
常時雇用する労働者が100人を超える事業主には義務であり,100人以下の事業主には努力義務である(同条1項・5項・6項)。
同法は,附則2条により令和17年3月31日まで効力を有する。

5 令和7年10月施行分との関係

3歳から小学校就学前の子を養育する労働者のための柔軟な働き方の措置と,妊娠・出産等の申出時等の意向聴取・配慮は,令和7年10月1日に施行された別の段階である。
これらは令和7年10月の厚生労働省制度変更で扱っている。
4月の段階と10月の段階を混同して,テレワークの導入が全企業の義務になったと説明してはならない。

第4 年金・手当の金額は年度で読み替える

1 令和7年度と令和8年度の比較

一覧に載っている金額は令和7年度のものである。
確認日現在は,令和8年度の額が適用されている。
次の表は,厚生労働省年金局「令和7年度の年金額改定について」と「令和8年度の年金額改定について」で照合した月額である。

項目令和7年度令和8年度
国民年金保険料1万7510円1万7920円
老齢基礎年金(満額・昭和31年4月2日以後生まれ)6万9308円7万608円
老齢基礎年金(満額・昭和31年4月1日以前生まれ)6万9108円7万408円
老齢年金生活者支援給付金(基準額)5450円5620円
特別児童扶養手当(1級)5万6800円5万8450円
特別児童扶養手当(2級)3万7830円3万8930円
特別障害者手当2万9590円3万450円
原爆被爆者の健康管理手当3万7900円3万9130円

令和7年度の年金額は前年度から1.9%の引上げであった(一覧の記載)。
令和8年度の資料は,令和9年度の国民年金保険料を月額1万8290円としている。

2 金額を使うときの注意

年金や手当の未払・過払を計算するときは,対象の月がどの年度に属するかで額を選ぶ必要がある。
後見人が収支予定表を作るときや,婚姻費用・養育費の算定で年金収入を扱うときに,古い一覧の額をそのまま使うと誤差が出る。
老齢基礎年金の満額は保険料の納付済期間等で変わるので,実際の受給額は年金決定通知書等で確かめる。

第5 医療・健康,福祉及び援護

1 予防接種と医療費助成

令和7年4月1日から,帯状疱疹の予防接種が予防接種法に基づく定期接種の対象となった。
一覧によれば,対象は65歳の者と,60歳以上65歳未満でヒト免疫不全ウイルスにより免疫の機能に障害を有する者であり,既に65歳を超えている者については経過措置が設けられた。
HPVワクチンのキャッチアップ接種は,令和4年4月から令和7年3月末までに1回以上接種した者が公費で全3回を完了できる経過措置が令和8年3月31日まで設けられていたが,確認日現在はこの期間は終わっている。

指定難病には7疾病,小児慢性特定疾病には13疾病が追加された。
医療費助成の対象となる病名は追加・見直しが続くので,申請時点の告示と一覧で確かめる。

2 住居確保給付金の転居費用補助

生活困窮者自立支援法3条3項2号により,収入が著しく減少したことにより経済的に困窮し,住居を失い又は家賃の支払が困難となった者で,家計を改善するため新たな住居を確保する必要があると認められる者も,住居確保給付金の対象となった。
厚生労働省のリーフレット「住居確保給付金のご案内」によれば,家計改善の支援の中で転居により家計が改善すると認められることなどを要件に,転居に要する費用が補助される。
敷金や前家賃等は補助の対象外となる経費とされ,上限もある。

リーフレットは対象者の例として,配偶者が亡くなり世帯の収入が減少した者と,病気で離職し働いて収入を増やせない者を挙げている。
収入・資産の基準額は自治体ごとに異なるため,相談先は住所地の自立相談支援機関である。
配偶者の死亡後の住まいの相談や,後見人が被後見人の転居を検討する場面で使える制度である。

3 戦没者等の遺族に対する第十二回特別弔慰金

戦没者等の遺族に対する特別弔慰金支給法により,令和7年4月1日を基準日とする第十二回特別弔慰金が支給されている。
額面27万5000円,5年償還の記名国債(無利子)で交付され,請求期間は令和7年4月1日から令和10年3月31日までである。
確認日現在も請求期間中であり,相続や成年後見の相談で戦没者の遺族に当たる人がいれば,請求の有無を確かめる意味がある。
遺族の順位,請求の手続,国債の相続及び差押禁止は,第十二回特別弔慰金の請求と記名国債で整理する。

第6 別セッションで掘り下げるテーマと未検討点

①出生後休業支援給付金について,配偶者の育児休業を要件としない場合の厚生労働省令の具体的な類型と,配偶者の同意書の提出の扱いは本記事では検討していない。
②育児時短就業給付金の支給限度額,週所定労働時間の比較方法及び転職した場合の再開の手続は,業務取扱要領の該当部分を読んでいない。
③高年齢雇用継続給付の経過措置(15%のままとなる者の範囲)は,業務取扱要領で確認したにとどまり,改正法の附則の条文は確認していない。
④帯状疱疹ワクチンの定期接種の経過措置の対象年齢と期間,指定難病・小児慢性特定疾病の追加疾病名は,一覧の記載以上には確認していない。
⑤原爆被爆者の各種手当,ハンセン病療養所非入所者給与金及び医薬品副作用被害救済の給付額は,令和8年度の額への読替えを一部しか行っていない。

第7 出典・関連記事

1 検討した資料

厚生労働省「厚生労働省関係の主な制度変更(令和7年4月)について」
厚生労働省「育児休業等給付について」(Q&Aを含む)
厚生労働省「雇用保険に関する業務取扱要領」
厚生労働省「令和7年4月以降に教育訓練等を受ける場合、給付制限が解除され、基本手当を受給できます」
厚生労働省「令和7年4月1日から高年齢雇用継続給付の支給率を変更します」
厚生労働省「令和7(2025)年度雇用保険料率のご案内」
厚生労働省「令和8(2026)年度雇用保険料率のご案内」
厚生労働省「育児・介護休業法について」
厚生労働省リーフレット「育児・介護休業法 改正ポイントのご案内」
厚生労働省「次世代育成支援対策推進法について」
厚生労働省年金局「令和7年度の年金額改定について」
厚生労働省年金局「令和8年度の年金額改定について」
厚生労働省「住居確保給付金のご案内」
厚生労働省「「戦没者等の遺族に対する特別弔慰金」(第十二回特別弔慰金)の支給について」

2 法令

雇用保険法(e-Gov法令検索)
育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(e-Gov法令検索)
次世代育成支援対策推進法(e-Gov法令検索)
生活困窮者自立支援法(e-Gov法令検索)
戦没者等の遺族に対する特別弔慰金支給法(e-Gov法令検索)
本記事で引用した条文は,令和8年10月4日にe-Gov法令APIで取得した現行の条文で確認した。

3 関連記事

令和8年4月の厚生労働省制度変更は,令和8年度の年金額,雇用保険料率及び各種手当を扱う。
令和7年10月の厚生労働省制度変更は,育児期の柔軟な働き方の措置と教育訓練休暇給付金を扱う。
労働保険の加入・保険料・労災給付・雇用保険の手続は,雇用保険の加入と基本手当の手続を扱う。
高年齢者雇用安定法の60歳・65歳・70歳ルールと制度の沿革は,高年齢雇用継続給付の位置付けを扱う。

同じシリーズの記事(制度変更の時期の順)
①平成26年4月の厚生労働省制度変更
②平成26年10月の厚生労働省制度変更
③平成27年10月の厚生労働省制度変更
④平成28年4月の厚生労働省制度変更
⑤平成29年10月の厚生労働省制度変更
⑥平成30年4月の厚生労働省制度変更
⑦令和5年4月の厚生労働省制度変更
⑧令和5年10月の厚生労働省制度変更
⑨令和6年4月の厚生労働省制度変更
⑩令和6年10月の厚生労働省制度変更
⑪令和7年10月の厚生労働省制度変更
⑫令和8年4月の厚生労働省制度変更