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令和8年4月の厚生労働省制度変更―雇用,年金,医療・福祉給付の実務確認(AI作成)

第1 制度変更一覧を実務で使う際の確認順序

厚生労働省「厚生労働省関係の主な制度変更(令和8年4月)について」は,雇用,年金,医療,福祉等の変更をまとめた資料である。
一覧には実施予定という表現や改定前の説明も残るため,相談を受けた時点の制度別の案内と照合する必要がある。
本記事は,令和8年10月4日に確認した公開資料に基づき,同年4月の変更のうち,企業法務,年金相談,給付申請及び医療・介護事業者の相談で確認すべき事項を整理するものである。

実務では,①対象制度,②対象者,③適用される年月,④改定額の単位,⑤申請・届出先,⑥経過措置の順に確認する。
金額が変わったことだけから,従前の対象者全員が当然に同額の給付を受けるとは判断できない。
以下の実務上の確認事項は,公的資料の制度説明を踏まえたものであり,個別の受給資格や処分の適法性を判定したものではない。

第2 企業の情報公表と雇用保険料

1 女性活躍推進法の情報公表

令和8年4月1日から,常時雇用する労働者が101人以上の一般事業主は,男女間賃金差異と女性管理職比率を公表する対象となる。
もっとも,最初の公表対象となる事業年度と公表時期には経過措置があるため,施行日と公表期限を区別する必要がある。
厚生労働省「女性活躍推進法特集ページ」及び同ページ掲載の女性管理職比率の算出・公表に関する令和8年2月18日通知で確認できる。

女性管理職比率の「管理職」は,役員を除く課長級とそれより上位の役職にある労働者である。
課長級に相当するかは,名称だけでなく組織の構成,職務内容及び責任に照らして判断する。
労働基準法上の管理監督者の判定に,この定義をそのまま流用してはならない。
具体的な算定方法と事業年度別の公表時期は,令和8年4月施行の改正女性活躍推進法を参照されたい。

2 令和8年度の雇用保険料率

厚生労働省「令和8年度雇用保険料率のご案内」によれば,適用期間は令和8年4月1日から令和9年3月31日までである。
一般の事業の合計料率は13.5/1000で,労働者負担は5/1000,事業主負担は8.5/1000である。
農林水産・清酒製造の事業は合計15.5/1000,建設の事業は合計16.5/1000である。
園芸サービス,酪農,養鶏等には一般の事業の料率を適用する例外があるため,業種名の印象だけで料率を決めないことが必要である。

給与計算を確認する際は,総料率と労働者から控除する料率を区別し,前年度の設定が残っていないかを確認する。
加入手続,年度更新及び給付との関係は,労働保険の加入・保険料・労災給付・雇用保険の手続を参照されたい。

第3 年金相談で確認する年度別の金額

1 保険料,年金額及び年金生活者支援給付金

厚生労働省年金局「令和8年度の年金額改定について」は,令和8年1月23日付けの公表資料である。
令和8年度の国民年金保険料は月額1万7920円である。
老齢基礎年金の満額の月額は,昭和31年4月2日以降生まれの者では7万608円,同月1日以前生まれの者では7万408円である。
実際の年金額は納付済期間等により異なるため,この金額を全受給者の受給額として扱ってはならない。

令和8年度の基礎年金の改定率は前年度比1.9%,厚生年金の報酬比例部分は2.0%の引上げである。
年金生活者支援給付金の給付基準額は月額5620円であるが,実際の支給額や対象となるかは給付の種類,所得及び保険料納付済期間等の確認を要する。
物価上昇率と年金の改定率,給付基準額と本人の支給額を分けて説明する必要がある。

2 在職老齢年金の支給停止基準

令和8年度の在職老齢年金の支給停止調整額は月額65万円である。
改正当初の説明にある62万円は令和6年度価格による説明であり,令和8年度の実際の基準と混同しないことが必要である。
日本年金機構「在職老齢年金制度が改正されました」及び同「在職老齢年金の計算方法」で現行の取扱いを確認できる。

判定に用いるのは,老齢厚生年金の基本月額と総報酬月額相当額の合計である。
総報酬月額相当額には,標準報酬月額に加え,直近1年間の標準賞与額を12で割った額を用いる。
老齢基礎年金は在職老齢年金による支給停止の対象ではない。
「給与が65万円以内なら停止されない」という説明では,年金額と賞与が抜け落ちる。
具体的な計算例は,令和8年4月施行の在職老齢年金改正を参照されたい。

第4 医療・介護関係では施行日と手続の対象を分ける

1 診療報酬本体と薬価の施行日は異なる

制度変更一覧に掲載された令和8年度改定のうち,薬価は同年4月1日,診療報酬本体及び材料は同年6月1日が施行日である。
診療報酬の算定方法を改正する令和8年厚生労働省告示第69号の制定文も,同年6月1日から適用するとしている。
契約の報酬条項,患者への説明,請求月の整理では,年度改定という名称だけで全項目を4月から扱わないことが必要である。

令和8年度診療報酬改定の公式ページには,告示,施設基準,留意事項,疑義解釈及び訂正資料が掲載されている。
個別の算定可否は,対象行為の日付と,当該項目の通知・訂正版を照合して判断する必要がある。
本記事では,個別点数や全施設基準の適合性までは検討していない。

2 RSウイルス母子免疫ワクチンの定期接種

令和8年4月1日から,RSウイルス感染症に対する母子免疫ワクチンが定期接種の対象となった。
厚生労働省「RSウイルスワクチン」は,対象を妊娠28週0日から36週6日までの妊婦としている。
妊娠37週に入った者まで含める説明は正確でない。
接種の医学的な判断,住民への案内及び費用の取扱いは,医師と市区町村の現行の案内で確認する必要がある。

3 生活保護法の指定介護機関の手続

厚生労働省「第15次一括法などの施行」4頁によれば,令和8年4月1日から,介護保険法上の変更,廃止,休止又は再開の届出を,生活保護法上の届出もあったものとして扱う。
また,介護保険法上の指定の取消し,効力停止又は失効と,生活保護法上の指定の取扱いを連動させる。
この変更から,指定介護機関に関する申請や届出がすべて不要になったと一般化してはならない。

事業譲渡,名称変更又は休廃業の相談では,実際に行う手続の種類を特定し,介護保険法上の届出の受理記録と生活保護法上の指定の状態を確認する。
これは制度の連動を踏まえた実務上の確認事項であり,個別の指定取消処分等の効力を判断したものではない。

第5 福祉・援護給付の金額と請求期限

1 手当と給与金の改定

令和8年4月以降の特別児童扶養手当の月額は1級5万8450円,2級3万8930円,特別障害者手当の月額は3万450円である。
これらは年金額改定の公表資料にも掲載されている。
個別の請求では,障害の程度,所得制限,施設入所等による支給制限を別途確認する必要がある。

原爆被爆者の健康管理手当は月額3万9130円となっている。
他の手当の種類と認定要件は,厚生労働省「各種手当について」を確認する必要がある。
同じ援護制度でも,すべての手当が同額になるわけではない。

ハンセン病療養所非入所者給与金は,市町村民税非課税者では月額7万5670円,それ以外では月額5万6890円となる。
配偶者又は1親等の尊属を扶養する場合の加算額は月額1万5830円,支給停止に関する前年所得の基準額は145万3000円である。
制度変更一覧と厚生労働省法令等データベース掲載の実施規則を照合した数値であり,個別の所得計算や扶養の認定については同規則の該当要件を確認する必要がある。

2 医薬品副作用被害救済の給付額

PMDA「給付の種類と給付額」は,令和8年4月1日から適用する給付額を掲載している。
例えば,医療手当は受診日数,入院日数又はその組合せにより月額3万9100円又は4万1100円となる。
遺族一時金は824万4000円,葬祭料は22万2000円である。

同ページは,給付額は請求日ではなく,治療を受けた日,障害の状態にある日又は死亡した日に対応する月の額になると説明している。
請求が4月以降になったという理由だけで,過去の全期間に改定後の額を用いてはならない。
医薬品の適正使用,副作用と被害の関係,給付要件及び請求期限は,金額表とは別に検討する必要がある。

3 戦傷病者等妻給付金

厚生労働省「戦傷病者等妻給付金の支給について」によれば,今回の請求期間は令和8年4月7日から令和9年2月28日までである。
令和8年4月1日における妻に対する給付と,一定の条件を満たす,夫が亡くなった妻に対する給付とで,対象要件及び金額が異なる。
妻であることだけから一律の支給額を案内しないことが必要である。

請求書と関係書類の提出先は,厚生労働省社会・援護局援護・業務課である。
同ページには,成年後見人が請求する場合及び代理人が手続を行う場合の提出書類も掲載されている。
高齢者の相談では,対象要件,期限,提出先及び代理権を先に確認し,給付の種類に合う書類を準備することが実務上の要点となる。

第6 別セッションで掘り下げるテーマと未検討点

①指定介護機関の事業譲渡・休廃業における手続の連動については,改正条文,自治体の現行様式及び具体的な手続の組合せまで本記事では検討していない。
個別案件の助言に進む際は,対象となる指定と届出を特定し,自治体の運用を確認する必要がある。

②予防接種後の健康被害及び医薬品副作用被害については,救済制度の選択,認定要件,請求期限及び不服申立てを本記事では検討していない。
金額改定の案内を個別の請求可否の結論に用いず,適用される制度の一次資料を別途確認する必要がある。