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採用内定留保者に対する面接(司法修習)(AIリライト)

司法修習生採用選考では,申込内容の審査及び健康状態判定の結果,必要があると認められた申込者に面接が実施される。
採用内定が留保されても不採用が確定したわけではないが,公開資料には,面接対象者の具体的な選定基準,質問事項又は内定留保者の最終採用率まで示されていない。

本記事では,完了した直近の選考である第79期を中心に,内定留保通知書と面接通知書の関係,健康状態及び刑事処分等の取扱い,期別の公開資料並びに犯罪経歴証明書との違いを説明する。

第1 司法修習生採用選考と内定留保

1 採用の法的根拠と司法修習生の地位

裁判所法66条は,司法修習生を司法試験合格者等の中から最高裁判所が命ずるものと定めている。
司法試験に合格しただけで司法修習生になるわけではなく,最高裁判所が実施する司法修習生採用選考に別途申し込む必要がある。

裁判所の公式説明によれば,司法修習生は国家公務員ではないが,これに準じた身分として取り扱われ,採用後は修習専念義務,兼業・兼職の制限及び秘密保持義務等を負う。
この地位は,地方公務員の任用又は私企業の採用内定とは異なるため,それらの採用内定に関する裁判例をそのまま本件の判断基準として用いることはできない。

2 採用内定通知書,内定留保通知書及び面接通知書

第79期の令和7年度司法修習生採用選考要項では,申込者に採用内定通知書又は内定留保通知書を送付し,面接対象者には場所・時刻等を記載した面接通知書を別に送付するものとされた。
したがって,「内定留保通知書」と「面接通知書」は区別する必要があり,「面接留保通知書」は同要項上の正式名称ではない。

内定留保は,選考を継続するために採用内定を直ちに出さない取扱いであり,不採用の決定そのものではない。
同要項は,内定留保者のうち不採用となった者に不採用通知書を送付すると定めている。

第2 第79期の選考方法と不採用事由

1 申込内容の審査から面接まで

第79期の選考は,①申込内容による審査,②申込内容による健康状態判定,③①及び②の結果,必要があると認めた場合の面接,④申込内容の調査及び必要に応じた書類提出によって行われた。

面接は令和8年1月26日から同月28日までの間で最高裁判所が指定する日時に,最高裁判所又は司法研修所で行うものとされた。
採用内定通知書又は内定留保通知書と面接通知書は令和8年1月16日頃に送付され,採用発令日は同年3月19日であった。

第79期からは,受付フォーム及び招待制の申込フォームを用いる電子申込となり,提出書類もデータでアップロードする方式に変わった。
詳細な入力項目の一部は受付フォームの自動返信メールに添付される入力要領に記載されるため,過年度の紙の申込書にあった項目番号を現在の申告方法として案内することはできない。

2 不採用事由

(1) 一般の申込者に関する事由

第79期の審査基準は,資格を満たす申込者について,次の事由があると認めるときは不採用とする。

① 心身の故障により修習をすることが困難であること。
② 拘禁刑以上の刑に処せられたこと。
③ 破産手続開始の決定を受けて復権を得ていないこと。
④ 品位を辱める行状により司法修習生たるに適しないこと。
⑤ ①又は④に準ずる事由があること。

令和7年6月1日の拘禁刑導入に合わせ,第79期の審査基準は従前の「禁錮以上」から「拘禁刑以上」に改められた。
旧刑法上の懲役又は禁錮に処せられた者は,この審査基準の適用上,拘禁刑に処せられた者とみなされる。

(2) 過去に司法修習生であった者に関する事由

過去に司法修習生であった者については,①成績不良により修習が困難であること,②修習態度の著しい不良により司法修習生たるに適しないこと,③司法修習生考試に連続して3回合格しなかったこと,④①又は②に準ずる事由があることも不採用事由となる。
ただし,③は再度司法試験に合格した者を除く。
考試を受けられなかったことについて病気その他やむを得ない事情がある場合には,その考試を受験回数に数えないことができる。

(3) 申込手続の不遵守

採用選考要項に定める手続を遵守しなかったことも不採用事由である。
申込期間,提出方法及び追完期限は毎年度変わり得るため,当該年度の要項,手引き及び入力要領を確認する必要がある。

3 公表されていない判断事項

平成29年度(最情)答申第70号では,面接の申込者数,対象者数,面接官,面接時間,対象者の範囲及び実質的判断の時期等を公にすると,今後の採用事務に支障を及ぼすおそれがあるとされた。
そのため,「この事情があれば必ず面接になる」又は「この説明をすれば採用される」と断定できる公開基準はない。

第3 健康状態を理由とする内定留保

1 病名ではなく修習遂行の可能性が判断対象であること

審査基準が問題とするのは,病名,既往歴又は障害の存在それ自体ではなく,「心身の故障により修習をすることが困難である」かである。
健康状態判定も,申込内容に基づき「修習に耐えられる健康状態かどうか」を判定するものとされている。

第78期の司法修習生採用選考申込書記載例は,現在の病気等と,過去に入院又は半年以上の通院治療を受けた既往歴について,現在の症状,治療期間・内容,通院及び服薬等を具体的に記載する方式であった。
同記載例は,診断名だけでなく,現在の状態及び日常生活への具体的な影響を説明する考え方を示している。

2 第74期以降の書式変更

令和3年度(最情)答申第33号によれば,第74期の改訂では,当時の紙の申込書から押印,写真,学歴,職歴,家族の状況及び補導歴等の記載が廃止された。
これらは採用選考に必須とは考え難い事項であるとの説明がされている。

令和3年度(最情)答申第37号によれば,第74期から健康診断票の提出も求められなくなった。
もっとも,現在の病気等を申込内容に記載し,その内容から健康状態を判定する仕組みは残っている。

裁判所は障害を理由とする差別の解消に関する対応要領及び相談窓口を公表している。
ただし,これは裁判所全体の対応方針であり,司法修習生採用面接における個別の採否又は特定の配慮を保証する選考基準ではない。

3 健康状態に関する面接の準備

面接対象者は,申込時の記載と提出資料を基礎に,現在の症状,治療,通院,服薬,日常生活及び修習への具体的な影響,本人が行っている対処並びに必要な配慮を時系列に沿って整理することが有用である。
最高裁判所から診断書その他の追加資料を求められた場合は,指定された内容及び期限に従う必要がある。

家族の支援又は特定の受答えがあれば採用される可能性が高いとする公表基準又は統計はない。
事実と異なる説明をせず,分からない事項は確認して回答するという対応が基本となる。

第4 刑事処分等を理由とする内定留保

1 拘禁刑以上の刑に処せられた場合

拘禁刑以上の刑に処せられたことは,第79期の審査基準上,独立した不採用事由である。
旧刑法上の懲役又は禁錮についても,審査基準の経過規定により拘禁刑に処せられたものとして取り扱われる。

2 罰金,起訴及び逮捕の区別

罰金刑は「拘禁刑以上」の類型には含まれない。
もっとも,行為の内容によっては「品位を辱める行状」又はこれに準ずる事由として個別に審査される可能性があるが,罰金刑であれば必ず不採用又は必ず面接になるという公表基準はない。

起訴及び逮捕は刑の言渡しではなく,逮捕は有罪認定でもない。
不起訴,無罪,略式命令による罰金,拘禁刑,執行猶予及び実刑を区別せず,「逮捕歴があれば品位を辱める行状に当たる」と一括して説明することは正確でない。

旧申込書には起訴,逮捕及び補導の有無を記載する欄があり,令和2年度(最情)答申第27号は,その欄と「品位を辱める行状」の審査基準との関係を説明している。
しかし,第74期には補導歴欄が廃止され,第78期の公開記載例には起訴及び逮捕の有無が残っていたため,現在求められる申告事項は当該年度の入力要領で確認すべきである。

3 虚偽申告及び申込後の変更

第79期要項は,虚偽申告等が判明した場合,採用内定後であっても内定が取り消され,不採用となることがあると明記している。
申込期間経過後に入力内容が変わった場合も,第79期採用選考申込手続の手引きその他の当該年度の案内に従って変更を届け出る必要がある。

刑事手続に関する説明では,逮捕,送致,起訴,不起訴,略式命令,判決,確定,刑の執行,執行猶予及び猶予期間の経過を区別し,処分書類との不一致が生じないようにする必要がある。

第5 内定留保後の通知と公開資料

1 面接及び実務修習地等の通知

第78期の採用選考面接に関する開示文書には,対面用及びオンライン用の面接通知書が含まれている。
したがって,面接方法は最高裁判所庁舎への出頭だけに固定されておらず,実際の方法は当該年度の面接通知書に従うべきである。

第71期及び第78期には,内定留保者に対し,採用された場合を前提とする実務修習地等の予定を通知した資料がある。
この通知は内定留保が直ちに不採用を意味しないことを示すが,採用の決定そのものでも,最終採用率を示す統計でもない。

2 第78期の不採用決定

第78期採用時の最高裁判所裁判官会議議事録によれば,最高裁判所裁判官会議は令和7年2月26日,第78期の採用候補者を審議し,別紙記載の者を不採用とする決定をした。
別紙の氏名及び理由は不開示であるため,正確な人数,属性及び不採用理由は確認できない。

この資料により,第66期,第70期及び第71期だけが不採用者の出た修習期であるとの従前の記載は維持できない。
司法修習生の採用選考で不合格となった人が出た修習期等には,第78期を含む関係資料が整理されている。

3 第79期の文書不存在が意味する範囲

令和8年4月8日付け司法行政文書不開示通知書は,第79期の不採用者数が分かる文書を作成又は取得していないとする。
これは対象文書が存在しないことを示すにとどまり,第79期の不採用者が0人であったことを証明するものではない。

4 第71期から第79期までの面接関係資料

面接関係の公開資料は,次のとおりである。

① 第71期司法修習生採用選考面接に関する文書
② 第72期司法修習生採用選考面接に関する文書
③ 第73期司法修習生採用選考面接に関する文書
④ 第74期司法修習生採用面接選考に関する文書
⑤ 第75期司法修習生採用選考面接に関する文書
⑥ 第76期司法修習生採用選考面接に関する決裁文書
⑦ 第77期司法修習生採用選考面接に関する文書
⑧ 第78期司法修習生採用選考面接に関する文書
⑨ 第79期司法修習生採用選考要項

各資料の黒塗り部分又は不開示部分から,面接対象者の属性,人数,質問事項又は採否理由を推測することはできない。
第74期資料を掲載したX投稿及び第75期資料を掲載したX投稿も現在閲覧できるが,採否の判断基準は各年度の要項及び開示文書によって確認すべきである。

5 第80期の公表状況

司法修習生採用選考の公式ページは,令和8年7月28日現在,令和8年度の申込方法及び申込期間等を同年9月中旬頃に掲載予定としている。
第80期の具体的な申込項目,面接日程及び審査基準は,年次要項の公表後に改めて確認する必要がある。

第6 犯罪経歴証明書における取扱い

1 司法修習生採用選考とは別の証明制度であること

犯罪経歴証明書の発給について(令和8年4月1日警察庁丙鑑発第8号)によれば,犯罪経歴証明書は,提出を求めた国,地域又は国際機関に提出するため,外務省から警察庁への協力依頼に基づいて発給される。
同通達にいう犯罪経歴は,罰金以上の刑の言渡しを受けた経歴である。

犯罪経歴証明書は海外提出用の証明制度であり,司法修習生採用選考の申告範囲又は不採用事由を定めるものではない。
以下の取扱いを,司法修習生採用選考の申込フォームに記載しなくてよい事由として読み替えることはできない。

2 犯罪経歴を有しないものとみなされる7類型

同通達は,次のいずれかに該当する場合,それぞれの犯罪について犯罪経歴を有しないものとみなす。

① 刑の執行猶予の言渡しを取り消されることなく猶予期間を経過した場合。
② 拘禁刑以上の刑の執行を終わり,又は執行の免除を受け,罰金以上の刑に処せられないで10年を経過した場合。
③ 罰金以下の刑の執行を終わり,又は執行の免除を受け,罰金以上の刑に処せられないで5年を経過した場合。
④ 恩赦法により大赦若しくは特赦を受け,又は復権を得た場合。
⑤ 道路交通法125条1項の反則行為に該当し,同条2項各号のいずれにも該当しない場合。
⑥ 少年法60条により刑の言渡しを受けなかったものとみなされた場合。
⑦ 刑の言渡しを受けた後に当該刑が廃止された場合。

恩赦を受けている場合は,犯罪経歴証明書発給申請書の注記に従い,特赦状又は復権状等を添えて申し出る必要がある。
恩赦の効果には,恩赦の種類及び法律上の効果に関する資料が整理されている。

3 採用選考の申告との関係

犯罪経歴証明書で「犯罪経歴を有しないもの」とみなされることと,司法修習生採用選考で何を申告するかは別問題である。
採用選考では,当該年度の申込フォーム及び入力要領が求める事項に対し,事実に即して回答しなければならない。

第7 関連記事

① 司法修習生採用選考面接及び関係文書の期別一覧
② 司法修習生の採用選考で不合格となった人が出た修習期等
③ 司法修習生の採用選考の必要書類
④ 司法修習開始前に送付される資料

第8 出典・参考資料

1 法令

① 裁判所法66条及び67条(e-Gov法令検索)

2 最高裁判所及び司法研修所の公表資料

① 司法修習生採用選考
② 令和7年度司法修習生採用選考要項(第79期)
③ 令和7年度司法修習生採用選考申込手続の手引き(第79期)
④ 司法修習生採用選考申込書記載例(第78期)
⑤ 令和3年度(最情)答申第33号
⑥ 令和3年度(最情)答申第37号
⑦ 令和2年度(最情)答申第27号
⑧ 平成29年度(最情)答申第70号
⑨ 司法修習生
⑩ 司法修習の概要

3 情報公開資料及び警察庁通達

① 第78期採用時の最高裁判所裁判官会議議事録
② 令和8年4月8日付け司法行政文書不開示通知書(第79期の不採用者数関係)
③ 犯罪経歴証明書の発給について(令和8年4月1日警察庁丙鑑発第8号)