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著作権譲渡料・二次利用料はどう決めるか―制作費との区分,見積書及び交渉(AI作成)

第1 著作権譲渡料・二次利用料は何に対する対価か

制作を依頼するときは,作品を作る作業への対価と,作品をどの範囲で使うかに対応する権利の対価を整理する。
著作権譲渡を含む見積もりと,一定の媒体・期間に限って利用を認める見積もりとでは,契約の内容が異なる。

公正取引委員会等の「知財取引指針」は,知財の価値を考慮し,十分に協議して対価を決めることを扱っている。
制作費に権利の対価を含める方法もあるため,別名目の請求書がないという一点だけで,無償の譲渡又は許諾であったとは決められない。
内訳と利用範囲を確認できることが大切である。

また,「二次利用」は契約で幅のある使われ方をする言葉である。
別の媒体への掲載,再放送,別商品への転用,改変後の利用などのうち,何を指すかを具体化する。
「二次利用料」という名称だけから,著作権法上の二次的著作物に関する権利の問題と同じであるとは扱わない。

以下は,令和8年11月1日現在の知財取引指針,同年10月1日改正資料及び文化庁資料に基づく契約・交渉の整理である。
ここで示す見積もりの比較例は,金額の相場や法定の料金表を示すものではない。

第2 利用許諾と著作権譲渡の見積もりを比較する

例えば,企業の広告用イラストを制作する場合には,次の3案を同じ条件表で比べる方法がある。
3案は当事者間の協議に使う例であり,法律がこの3区分を強制しているわけではない。

① 利用範囲を限定する案。
発注者の指定するウェブサイトと広告媒体で,定めた期間・地域に利用する。
著作権は制作者側に残し,追加媒体や期間延長は別途協議する。

② 広い利用許諾を与える案。
対象媒体,期間及び地域を広げる。
独占性,系列会社による利用,再許諾,改変及び別商品への転用をどこまで認めるかも定める。
利用範囲が広いことと,著作権そのものが移転することを区別する。

③ 著作権を譲渡する案。
対象作品と譲渡する権利を特定する。
27条・28条の権利も含めるのか,移転時期をいつにするのかを明記し,制作者自身の利用を残す必要があれば,その条件も定める。

完成版のほかに編集用ファイル,ラフ又は未使用素材を納品させるかは,3案のどれを選ぶかと併せて確認する。
著作権の対価を比較する際に,納品範囲や修正回数まで同時に変えてしまうと,価格差の理由が分からなくなる。

知財取引指針49頁以降の取組例には,著作権の譲渡を含む場合と含まない場合の見積もりを示すことや,利用範囲を明確にし,その範囲を超える利用の対価を別に扱うことが紹介されている。
これらを参考に,発注者が必要とする利用と予算をすり合わせることが考えられる。

第3 価格を協議するために確認する事項

著作権譲渡料を「制作費の何倍」とするかを先に決めるより,まず,どの権利や利用機会を相手方に渡すのかを確認する。
今回確認した指針の事例・取組例を,一律の倍率や当然に請求できる割合の根拠として用いることはできない。

価格協議では,次の事項を資料にするとよい。

①制作工程,納品点数,修正の範囲と追加作業。
②利用媒体,掲載・配布の期間,利用地域,予定する部数や配信等の規模。
③独占性,競合先への提供制限,系列会社その他の第三者による利用。
④改変,翻案,再許諾,別商品・別案件への転用の範囲。
⑤制作者が自分で再利用できる範囲と,譲渡等によって失う利用機会。
⑥第三者素材の利用料,権利処理,データの整理・引継ぎの費用。

指針は,費用,市場での取引,収益等に着目する知財価値の評価方法も紹介している。
ただし,特定の方法を使えば必ず唯一の正しい価格が出るという意味ではない。
比較に使う取引条件や収益見込みが今回の契約と異なる場合は,その違いを説明する。

制作側にとっての不利益や発注側が得る利用範囲を言葉にし,価格に反映した点を残すことが,後から「当初の代金に含まれていたか」を検討する資料になる。

第4 見積書・発注書に落とし込む記載例

次は,広告用イラストの利用許諾を,制作作業と併せて見積もる場合の記載項目の例である。
実際の契約では,取引内容に応じて項目を補う必要がある。

対象作品:商品Aの広告用イラスト。納品物:完成版の指定画像ファイル。制作作業:ラフ作成,合意した回数の修正及び完成版の作成。利用者:発注者。利用範囲:指定ウェブサイトと指定広告媒体,期間・地域は別紙のとおり。著作権は受注者に留保する。指定外の媒体,系列会社による利用又は別商品への転用は,追加対価を含め事前に協議する。制作作業と上記利用許諾の対価の内訳は,見積明細に記載する。

著作権譲渡を選ぶ場合は,この利用許諾の文言をそのまま使わず,譲渡する対象と権利,移転時期,対価,制作者に残す利用及び第三者素材の除外を具体化する。
「著作権料を含む」とだけ書いて,何を譲渡するのかを空欄にしない。

文化庁の契約マニュアルは,創作作業の対価,利用許諾の対価及び著作権譲渡の対価を区別し,譲渡の対価が含まれる場合は内訳を明記することが望ましいと説明する。
一方,別名目・別払いを採用するかどうかと,実際に対価へ反映したかは区別して確認する。

取適法が適用され,知的財産権等の譲渡・許諾等を給付内容の一部とする場合は,その範囲を発注時に明示し,代金の決定に当たってその範囲を勘案する。
令和8年10月1日改正後の運用基準の説明を,「作成の目的たる使用の範囲を超える場合」だけのものと読まない。

フリーランス法の考え方は,業務委託の目的たる使用の範囲を超える知的財産権等の譲渡・許諾等を給付内容とする場合,3条通知にその範囲を明確に記載すると説明する。
また,権利等の譲渡・許諾等を含めて業務委託を行う場合の対価を報酬に加えることは,報酬の項目で別に説明されている。
明示する範囲と対価の扱いを,各法律の資料に分けて確認する必要がある。

第5 追加利用と支払条件を決める

契約後に利用を追加する場合は,当初の許諾又は譲渡に含まれる範囲かを先に確認する。
既に取得した権利の範囲内の利用なのに,「二次利用」という呼び名だけで常に追加料金が発生するとはいえない。
対象外の利用であれば,追加の許諾,作業及び対価を協議する。

例えば,自社ウェブサイトへの掲載だけを許諾した場合と,契約時から複数媒体での利用を含めた場合では,追加広告の扱いが異なる。
見積書,仕様書,契約書及び確認メールを照合し,「何が追加されたか」を特定する。

支払方法には,一括払いのほか,指針が紹介する分割払い,利用に応じたロイヤルティ等の方法がある。
売上等に連動させるなら,計算対象,控除項目,計算期間,報告資料,支払日及び計算を確認する方法も定める。
収益予測だけを示し,計算対象や報告の仕組みを定めないままにしない。

支払期日の定めは,適用される取適法・フリーランス法等の制限と併せて確認する。
指針に複数の支払方法の紹介があることを,法定の支払期日の制限を外せる根拠にはしない。

第6 著作者人格権と実績紹介を別に確認する

著作権の譲渡と,著作者人格権の不行使の合意は別の問題である。
著作者名を表示するか,どの程度の改変を認めるか,誰が利用するか,公表の時期をどうするかを分けて協議する。
権利の対価を支払ったことだけで,あらゆる人格権の問題が解消するとは扱わない。

また,制作者がポートフォリオやウェブサイトで実績を紹介したい場合には,作品の画像・映像の掲載と,担当した事実の記載を区別して条件を確認する。
秘密保持,発注者名の表示,第三者素材,公開前後の時期及び掲載する内容にも注意する。

これらは,制作者に無条件の実績公開権があるという説明ではなく,契約時に残す利用を明確にするための確認事項である。
譲渡料の協議と併せて決めると,後の利用許可を取り直す負担を減らせる。

第7 関連記事

①動画・デザインの元データは納品義務があるか―著作権譲渡,編集データ及び追加料金(AI作成)
②著作権全部譲渡後の改変と著作者人格権―著作権法20条・59条・61条(AI作成)
③取適法・フリーランス法で知財の譲渡・許諾を発注するとき―令和8年10月1日改正,明示及び対価(AI作成)

第8 出典・参考資料

①公正取引委員会・中小企業庁・特許庁「知的財産権・ノウハウ・データの適切な取引のための優越的地位の濫用等に関する指針」(知財取引指針)(令和8年6月24日)。
対価と評価方法は28頁~34頁,不当な対価設定は35頁~39頁,著作権の無償譲渡等は39頁~43頁,取組例は49頁~54頁。
頁は冊子印刷頁である。
②文化庁「誰でもできる著作権契約マニュアル」第2章3(2)B。
著作権の帰属・利用方法,著作者人格権及び対価。
③公正取引委員会「取適法運用基準及びフリーランス法の考え方の改正」(令和8年10月1日)。
④e-Gov法令検索「著作権法」。
59条,61条等。