第1 合格最低点は筆記の正答数ではない
裁判所職員採用試験の「合格最低点」を調べる際には,種目ごとの素点の下限,標準点及び合格者の最低点を区別する必要がある。
本記事は,裁判所事務官の一般職・大卒程度区分について,令和6年度と令和7年度の高裁別の最低点・最高点を比較し,点数の意味を説明する。総合職・高卒者区分の数値をこの比較表に混ぜていない。
受験者数と倍率は裁判所職員採用試験の年度別データ,受験資格・科目・日程は裁判所職員採用試験の案内を参照されたい。
| 情報 | 意味 |
|---|---|
| 素点の下限 | 各試験種目で最低限必要な得点。下限未満の種目があれば,他の種目の成績にかかわらず不合格となる。 |
| 標準点 | 筆記の素点や人物試験の判定を,平均点・標準偏差・配点比率等により換算した点。正答数そのものではない。 |
| 第1次合格最低点 | 第1次合格者を決める際の標準点合計の最低点。種目別の素点の下限とは異なる。 |
| 最終合格最低点 | 最終合格者を決める全試験種目の標準点合計の最低点。人物試験だけの点数ではない。 |
制度の説明は令和7年度一般職試験・大卒程度区分の合格者決定方法による。受験する年度の合格者決定方法及び実施結果も確認する必要がある。
第2 第1次試験の高裁別合格最低点・最高点
次の表は,令和6年度及び令和7年度の開示資料の各2頁にある,一般職試験・大卒程度区分の第1次試験欄である。数値は原資料の小数第2位までをそのまま掲げる。
**令和6年度**
| 高裁管轄 | 合格最低点 | 合格最高点 |
|---|---|---|
| 札幌 | 87.90 | 141.60 |
| 仙台 | 81.03 | 143.73 |
| 東京 | 92.63 | 149.85 |
| 名古屋 | 96.15 | 147.25 |
| 大阪 | 106.54 | 151.52 |
| 広島 | 95.22 | 143.73 |
| 高松 | 101.16 | 139.00 |
| 福岡 | 93.83 | 142.06 |
**令和7年度**
| 高裁管轄 | 合格最低点 | 合格最高点 |
|---|---|---|
| 札幌 | 95.43 | 137.06 |
| 仙台 | 82.86 | 154.69 |
| 東京 | 97.75 | 146.66 |
| 名古屋 | 103.46 | 145.50 |
| 大阪 | 108.43 | 143.60 |
| 広島 | 90.47 | 139.38 |
| 高松 | 93.11 | 142.85 |
| 福岡 | 92.05 | 142.44 |
出典:令和6年度の高裁別合格最低点・合格最高点2頁及び令和7年度の同資料2頁。
令和7年度の第1次最低点は大阪108.43,仙台82.86など,管轄区域によって異なる。これは当該年度・区分の合格者の最低点であり,翌年度の必要正答数や個人の合格確率を示す数字ではない。
第3 最終合格の高裁別合格最低点・最高点
次は同じ資料の第2次試験欄である。一般職・大卒程度区分の最終合格判定に対応する数値であり,面接だけの点数と読み替えてはならない。
**令和6年度**
| 高裁管轄 | 合格最低点 | 合格最高点 |
|---|---|---|
| 札幌 | 141.71 | 230.78 |
| 仙台 | 150.67 | 233.72 |
| 東京 | 157.53 | 244.76 |
| 名古屋 | 160.35 | 241.19 |
| 大阪 | 184.19 | 233.56 |
| 広島 | 163.23 | 247.13 |
| 高松 | 152.60 | 227.47 |
| 福岡 | 155.08 | 236.73 |
**令和7年度**
| 高裁管轄 | 合格最低点 | 合格最高点 |
|---|---|---|
| 札幌 | 144.52 | 227.95 |
| 仙台 | 149.84 | 228.03 |
| 東京 | 156.05 | 244.43 |
| 名古屋 | 161.97 | 236.01 |
| 大阪 | 173.29 | 241.63 |
| 広島 | 150.27 | 232.38 |
| 高松 | 135.46 | 219.17 |
| 福岡 | 155.46 | 226.07 |
出典:令和6年度の原資料2頁及び令和7年度の原資料2頁。
令和7年度の最終合格最低点は大阪173.29,東京156.05,高松135.46である。各区域の欠員状況や個人の採用結果を,この点数だけから判断することはできない。最終合格と採用は別の段階である。
なお,両資料の1頁は総合職・大卒程度区分,3頁は一般職・高卒者区分である。他区分の点数を見る場合は,原資料の表題と頁を確認されたい。
第4 標準点と合格者決定方法の読み方
1 第1次試験と最終合格では合計する種目が異なる
令和7年度の一般職・大卒程度区分では,第1次試験は,基礎能力試験及び専門試験の素点がそれぞれ下限以上の者について,両種目の標準点の合計順に合格者を決定する。
最終合格では,論文試験の素点が下限以上,人物試験の判定がA~Cである者について,全試験種目の標準点の合計順に決定する。基礎能力・専門の成績も最終判定に含まれる。
配点比率は,基礎能力5/20,専門5/20,論文2/20,人物8/20である。第1次合格後の面接だけで全てが決まる制度ではない。
根拠は令和7年度の合格者決定方法1~2頁である。
2 年度間の最低点の上下を正答数に直結させない
筆記の標準点は,素点だけでなく,受験者の平均点及び標準偏差と配点比率を用いて算出される。人物試験も判定の出現率等を用いた換算を行う。
そのため,同じ素点が別の年度にも同じ標準点になるとは限らず,過年度の最低点から今年度の必要正答数を単純に逆算することはできない。
高裁別の比較では,希望する勤務地の高裁管轄区域,試験区分,年度及び試験段階をそろえる。筆記試験を受ける試験地と,希望する勤務地の管轄区域を混同しないことも必要である。
第5 過年度の原資料
以下は,以前から年度別データの記事で掲載していた原資料へのリンクである。古い資料を現在の受験条件や翌年度の合格基準として使うのではなく,表題・試験区分・対象年度を確かめて参照されたい。
平成23年度から平成28年度までの,裁判所職員採用試験のうち,裁判所事務官に関する第1次試験の合格最低点が分かる文書
第6 個人の成績通知・倍率・採用との関係
個人の成績通知,受験者全体の得点分布及び合格最低点は,それぞれ別の情報である。自分の成績通知だけから,全受験者の分布や採用される可能性までは分からない。
成績通知の対象者・取得方法・期限と得点分布の取扱いは,裁判所職員採用試験の得点分布と成績通知で説明している。
人数と倍率は裁判所職員採用試験の年度別データ,合格後の名簿・意向照会は裁判所職員採用試験に最終合格した後はを参照されたい。
本記事の比較表は令和6・7年度であり,令和8年度の最低点・最高点を示していない。令和8年度の実施結果と併読する際にも,年度を区別する必要がある。