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タクシー運転者の労働時間―日勤・隔日勤務と改善基準(AI作成)

第1 改善基準告示と労働基準法を分ける

タクシー・ハイヤー運転者の労働時間管理では,労働基準法の法定労働時間・休憩・休日・割増賃金と,改善基準告示の拘束時間・休息期間を分けて確認する必要がある。
一方を満たせば他方も当然に満たすという関係ではない。

自動車運転者の労働時間等の改善のための基準は,令和4年12月に改正され,令和6年4月1日から新基準が適用されている。
古い解説にある日勤の月299時間等の数字は,現在の基準ではない。

第2 拘束時間・労働時間・休憩・休息期間

拘束時間は,始業から終業までの使用者に拘束される全時間であり,労働時間と休憩時間(仮眠時間を含む。)の合計である。
客待ち・手待ちが使用者の指揮命令下にある場合は労働時間に当たり得るため,「走行していない時間」を一律に休憩時間と扱うことはできない。

休憩時間は一つの勤務の途中に置かれ,労働者が自由に利用できる時間である。
これに対し,休息期間は一つの勤務の終業から次の勤務の始業までの,使用者の拘束を受けない生活時間である。

したがって,日報の「休憩」欄だけでなく,配車指示への応答義務,車両から離れられるか,呼出しへの対応が必要かという実態を確認する。
仮眠設備があっても,直ちにその全時間が休憩又は休息期間になるわけではない。

第3 日勤勤務者の上限

日勤勤務者について,令和6年4月適用の主な基準は次のとおりである。

①一箇月の拘束時間は288時間以内
②一日の拘束時間は13時間以内を基本とし,延長しても15時間が上限
③一日14時間を超える回数は週3回までが目安
④勤務終了後の休息期間は継続11時間以上与えるよう努めることを基本とし,9時間を下回らない

ここでいう一日は,原則として始業時刻から起算する24時間で確認する。
月の拘束時間だけが288時間以内でも,一日の上限又は休息期間を満たさなければ適合しない。

第4 隔日勤務者の上限

隔日勤務は,始業と終業が同一の日に属さない勤務である。
主な基準は次のとおりである。

①一箇月の拘束時間は262時間以内
②地域的事情その他の特別な事情があり,労使協定を締結した場合は,一箇月270時間まで延長できる月を年6箇月まで設けられる
③二暦日の拘束時間は22時間以内,かつ,二回の隔日勤務を平均して一回当たり21時間以内
④勤務終了後の休息期間は継続24時間以上与えるよう努めることを基本とし,22時間を下回らない

隔日勤務では一回の勤務が二つの暦日にまたがるため,日勤と同じ「一日」の計算を当てはめない。
勤務ごとの拘束時間,連続する二回の平均及び月間合計をそれぞれ確認する。

第5 車庫待ち等・予期し得ない事象・休日労働

1 車庫待ち等の自動車運転者

人口規模,流し営業の割合,夜間仮眠及び事業場内休憩の実態など所定の要件を満たす「車庫待ち等の自動車運転者」には,労使協定等を前提とする特例がある。
単に駅や営業所で客待ちをすることがあるというだけで,特例の対象になるわけではない。

特例には月間又は勤務ごとの延長と追加要件が組み合わされているため,数字だけを抜き出さず,厚生労働省パンフレットの該当類型と労使協定を照合する必要がある。

2 予期し得ない事象

車両の予期しない故障,運転中に遭遇した災害・事故による道路封鎖又は渋滞,警報発表時の異常気象等への対応時間は,所定の条件で一日又は二暦日の拘束時間から除くことができる。
運転日報上の記録に加え,公的機関の道路情報等の客観的な記録が必要である。

3 休日労働

休日労働は二週間に一回を超えず,休日労働によって各拘束時間の上限を超えないようにする。
自動車運転者の休日は,原則として,休息期間に24時間を加算した連続した労働義務のない時間として確認する。

第6 時間外労働年960時間との関係

令和6年4月1日から,自動車運転の業務には,臨時的な特別の事情がある場合でも時間外労働を年960時間までとする上限規制が適用されている。
三六協定では,原則として月45時間・年360時間までとし,特別条項を用いる場合でも年960時間を超えることはできない。

年960時間は時間外労働の上限であり,拘束時間の上限を年960時間分だけ延ばせるという意味ではない。
三六協定,法定労働時間,改善基準告示の拘束時間及び必要な休息期間を,それぞれ満たす必要がある。

変形労働時間制を適法に導入すると,特定の日又は週に法定労働時間を超える所定労働時間を設定できるが,勤務をあらかじめ特定する等の要件がある。
変形労働時間制を採用しても,改善基準告示,三六協定及び割増賃金の検討は残る。

第7 勤務表と実績で確認する事項

労務監査又は未払残業代の検討では,就業規則と三六協定だけでなく,実際の勤務を示す資料を確認する。

①勤務割表,出勤簿及び賃金台帳
②乗務記録,日報及び点呼記録
③運行記録計,配車システム及びGPSの記録
④休憩・仮眠の開始終了時刻と呼出しの有無
⑤始業・終業時の洗車,点検,納金及び引継ぎの時間
⑥労使協定に基づく延長月と対象運転者
⑦予期し得ない事象の内容と客観資料

改善基準告示への適合は,予定表だけでなく実績で判定する。
拘束時間の集計と割増賃金の計算は目的が異なるため,同じ集計表の一列だけで済ませず,法定時間外,所定時間外,深夜及び休日を区別する。

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第9 出典

①厚生労働省「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準(改善基準告示)」
②厚生労働省「タクシー・ハイヤー運転者の改善基準告示」
③厚生労働省「ハイヤー・タクシー運転者の改善基準告示」
④令和4年12月23日基発1223第3号「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準の一部改正等について」
⑤厚生労働省「改善基準告示(令和6年4月1日適用)に関するQ&A(タクシー関係抜粋・令和7年3月11日追補)」
⑥労働基準法(e-Gov法令検索)