自動車運送事業の運行管理者等に関するメモ書き


目次
第1 総論
第2 運行管理者試験及び運行管理者指導講習
第3 運行管理者(旅客)
1 運行管理者の選任及び解任
2 運行管理者の選任要件
3 運行管理者の必要人数
4 タクシーの運行管理者の業務
第4 運行管理者(貨物)
1 運行管理者の選任及び解任
2 運行管理者の選任要件
3 運行管理者の必要人数
4 トラックの運行管理者の業務
第5 点呼
1 旅客自動車運送事業の場合
2 貨物自動車運送事業の場合
第6 IT点呼及び遠隔点呼
1 IT点呼
2 遠隔点呼
第7 運行管理者の補助者
第7の2 運行管理制度の強化
第8 運行管理者制度の根拠となる法令及び通達
第9 安全運転管理者制度
第10 タクシーの配車に関するメモ書き
第11 関連記事その他

第1 総論
1 運行管理者とは,道路運送法及び貨物自動車運送事業法に基づき,事業者に代わって事業用自動車の運行の安全を確保するための業務を行なう者をいいます(道路運送法23条及び貨物自動車運送事業法18条)。
2 運行管理者は,①自動車運送の安全運行の確保及び交通事故の防止を図ったり,②事業者と運転者のパイプ役となったり,③絶えず運行管理業務の改善を図ったりします(運行管理者ハンドブック2016・2頁及び3頁参照)。
3 一つの営業所において複数の運行管理者を選任する場合,統括運行管理者を選任する必要があります。

第2 運行管理者試験及び運行管理者指導講習
1 運行管理者試験
(1) 公益財団法人運行管理者試験センターが実施している運行管理者試験(毎年2回実施)には貨物と旅客の2種類がありますところ,出題分野は以下のとおりです。
① 貨物自動運送事業法関係(貨物試験の場合)又は道路運送法関係(旅客試験の場合)
② 道路運送事業法関係
③ 道路交通法関係
④ 労働基準法関係
⑤ その他運行管理者の業務に関し,必要な実務上の知識及び能力
(2) 資格のキャリカレHP「運行管理者試験の合格率や難易度、勉強方法を詳しく解説」が載っています。
2 運行管理者指導講習
・ 自動車事故対策機構(NASVA)では,国土交通大臣の認定を受けて基礎講習,一般講習及び特別講習を開催しておりますところ,運送事業者において選任されている運行管理者は,定期的に一般公衆又は基礎講習を受講することが法令により義務付けられています(自動車事故対策機構HP「運行管理者指導講習の概要」参照)。

第3 運行管理者(旅客)
1 運行管理者の選任及び解任
(1) 一般旅客自動車運送事業者は,事業用自動車の運行の安全の確保に関する業務を行わせるため,営業所ごとに,運行管理者資格者証の交付を受けている者のうちから,運行管理者を選任しなければなりません(道路運送法23条1項,旅客自動車運送事業運輸規則47条の9)。
(2) 運行管理者を選任又は解任した場合,届出事由が発生した日から15日以内に管轄する運輸支局に届け出る必要があります(道路交通法23条3項参照)。
2 運行管理者の選任要件
(1) 運行管理者の選任要件は以下のとおりです(道路運送法23条の2第1項参照)。
① 運行管理者試験に合格した者
② 5年以上の実務経験があり,かつ,その間に一般講習を5回以上修了している者(うち1回は基礎講習を修了していること。)
(2) 平成28年12月1日以降に一般貸切旅客自動車運送事業者(例えば,貸切バスの会社)の運行管理者をするためには運行管理者試験に合格している必要があります(旅客自動車運送事業運輸規則48条の5で定められていないため。)。
3 運行管理者の必要人数
(1) 営業所にある乗合バスが39台以下の場合,又は営業所にあるタクシーが39台以下の場合,運行管理者は1人だけでいいです。
(2) 貸切バスの場合,平成29年12月1日以降については運行管理者は2名以上が必要となります。
4 タクシーの運行管理者の業務
(1) 旅客の運送管理者の職務は道路運送法23条の5及び旅客自動車運送事業運輸規則48条に記載されていますところ,タクシーの運行管理者の業務としては以下のものがあります(タクシー転職応援ナビ「タクシーの運行管理者の仕事内容とは?運行管理者になるための適性や資格取得について解説します」参照)。
① 乗務するドライバーの点呼
② ドライバーの健康状態の把握
③ 勤務シフトの管理
④ 電話対応及び配車手配
⑤ 営業の管理
⑥ 事故対応・クレーム対応
⑦ 接客や安全運転についての指導
⑧ 忘れ物の管理
⑨ 車両の整備、メーターの検査
⑩ 休憩室などの整備、保守管理
(2) 近畿運輸局HP「運行管理者の仕事(バス編)」及び「運行管理者の仕事(タクシー編)」が載っています。

第4 運行管理者(貨物)
1 運行管理者の選任及び解任
(1) 一般旅客自動車運送事業者は,事業用自動車の運行の安全の確保に関する業務を行わせるため,営業所ごとに,運行管理者資格者証の交付を受けている者のうちから,運行管理者を選任しなければなりません(貨物自動車運送事業法18条1項,貨物自動車運送事業輸送安全規則18条)。
(2) 運行管理者を選任又は解任した場合,届出事由が発生した日から7日以内に管轄する運輸支局に届け出る必要があります(貨物自動車運送事業法18条2項参照)。
2 運行管理者の選任要件
・ 運行管理者の選任要件は以下のとおりです(貨物自動車運送事業法19条1項参照)。
① 運行管理者試験に合格した者
② 5年以上の実務経験があり,かつ,その間に一般講習を5回以上修了している者(うち1回は基礎講習を修了していること。)
3 運行管理者の必要人数
・ トラックが29両までの場合,運行管理者は1人だけでです。
4 トラックの運行管理者の業務
・ 貨物の運送管理者の職務は貨物自動車運送事業法22条及び貨物自動車運送事業輸送安全規則20条に記載されていますところ,例えば,以下の業務があります(運送業支援センターHP「トラック運送会社の運行管理者の日常の業務」参照)。
① 乗務員台帳及び乗務員証等の作成
② 運転者の指導監督
③ 事業用自動車の運転者の乗務割の作成
④ 点呼
⑤ 乗務記録(運転日報)の管理
⑥ 事故の記録
⑦ 安全運行の指示
⑧ 休憩・睡眠施設の保守管理


第5 点呼
1 旅客自動車運送事業の場合
(1) 旅客自動車運送事業運輸規則24条(点呼等)1項及び2項は以下のとおりです(1項は乗務前点呼であり,2項は乗務後点呼です。)。
① 旅客自動車運送事業者は、乗務しようとする運転者に対して対面(運行上やむを得ない場合は電話その他の方法。次項において同じ。)により点呼を行い、次の各号に掲げる事項について報告を求め、及び確認を行い、並びに事業用自動車の運行の安全を確保するために必要な指示を与えなければならない。ただし、輸送の安全及び旅客の利便の確保に関する取組が優良であると認められる営業所において、旅客自動車運送事業者が点呼を行う場合にあつては、当該旅客自動車運送事業者は、対面による点呼と同等の効果を有するものとして国土交通大臣が定めた機器による点呼を行うことができる。
一 道路運送車両法(昭和二十六年法律第百八十五号)第四十七条の二第一項及び第二項の規定による点検の実施又はその確認
二 酒気帯びの有無
三 疾病、疲労、睡眠不足その他の理由により安全な運転をすることができないおそれの有無
② 旅客自動車運送事業者は、事業用自動車の乗務を終了した運転者に対して対面により点呼を行い、当該乗務に係る事業用自動車、道路及び運行の状況について報告を求め、並びに酒気帯びの有無について確認を行わなければならない。この場合において、当該運転者が他の運転者と交替した場合にあつては、当該運転者が交替した運転者に対して行つた第五十条第一項第八号の規定による通告についても報告を求めなければならない。ただし、輸送の安全及び旅客の利便の確保に関する取組が優良であると認められる営業所において、旅客自動車運送事業者が点呼を行う場合にあつては、当該旅客自動車運送事業者は、対面による点呼と同等の効果を有するものとして国土交通大臣が定めた機器による点呼を行うことができる。
(2) 旅客自動車運送事業運輸規則の解釈及び運用についてには以下の記載があります(リンク先の13頁及び14頁)。
① 「運行上やむを得ない場合」とは、遠隔地で乗務が開始又は終了するため、乗務前点呼又は乗務後点呼が乗務員が所属する営業所において対面で実施できない場合等をいい、車庫と当該車庫を所管する営業所が離れている場合、早朝・深夜等において点呼執行者が営業所に出勤していない場合等は「運行上やむを得ない場合」には該当しない。
(中略)

また、点呼は営業所において行うことが原則であるが、営業所と車庫が離れている場合等、必要に応じて運行管理者等を車庫へ派遣して点呼を行う等、対面点呼を確実に実施するよう指導すること。
② 「その他の方法」とは、 携帯電話、業務無線等により運転者と直接対話できるものでなければならず、電子メール、FAX等一方的な連絡方法は該当しない。
また、電話その他の方法による点呼を運転中に行ってはならない。
2 貨物自動車運送事業の場合
(1) 貨物自動車運送事業輸送安全規則7条(点呼等)1項及び2項は以下のとおりです(1項は乗務前点呼であり,2項は乗務後点呼です。)。
① 貨物自動車運送事業者は、事業用自動車の乗務を開始しようとする運転者に対し、対面(運行上やむを得ない場合は電話その他の方法。次項において同じ。)により点呼を行い、次に掲げる事項について報告を求め、及び確認を行い、並びに事業用自動車の運行の安全を確保するために必要な指示をしなければならない。ただし、輸送の安全の確保に関する取組が優良であると認められる営業所において、貨物自動車運送事業者が点呼を行う場合にあっては、当該貨物自動車運送事業者は、対面による点呼と同等の効果を有するものとして国土交通大臣が定めた機器による点呼を行うことができる。
一 酒気帯びの有無
二 疾病、疲労、睡眠不足その他の理由により安全な運転をすることができないおそれの有無
三 道路運送車両法(昭和二十六年法律第百八十五号)第四十七条の二第一項及び第二項の規定による点検の実施又はその確認
② 貨物自動車運送事業者は、事業用自動車の乗務を終了した運転者に対し、対面により点呼を行い、当該乗務に係る事業用自動車、道路及び運行の状況並びに他の運転者と交替した場合にあっては第十七条第四号の規定による通告について報告を求め、及び酒気帯びの有無について確認を行わなければならない。ただし、輸送の安全の確保に関する取組が優良であると認められる営業所において、貨物自動車運送事業者が点呼を行う場合にあっては、当該貨物自動車運送事業者は、対面による点呼と同等の効果を有するものとして国土交通大臣が定めた機器による点呼を行うことができる。
(2) 貨物自動車運送事業輸送安全規則の解釈及び運用についてには以下の定めがあります(リンク先の6頁)。
「運行上やむを得ない場合」とは、遠隔地で乗務が開始又は終了するため、乗務前点呼又は乗務後点呼を当該運転者が所属する営業所において対面で実施できない場合等をいい、車庫と営業所が離れている場合及び早朝・深夜等において点呼執行者が営業所に出勤していない場合等は「運行上やむを得ない場合」には該当しない。
なお、当該運転者が所属する営業所以外の当該事業者の営業所で乗務を開始又は終了する場合には、より一層の安全を確保する観点から、当該営業所において当該運転者の酒気帯びの有無、疾病、疲労、睡眠不足等の状況を可能な限り対面
で確認するよう指導すること。
また、点呼は営業所において行うことが原則であるが、営業所と車庫が離れている場合等、必要に応じて運行管理者又は補助者(以下「運行管理者等」という。を車庫へ派遣して点呼を行う等、対面点呼を確実に実施するよう指導すること。

第6 IT点呼及び遠隔点呼
1 IT点呼
(1) 総論
ア IT点呼は,旅客自動車運送事業運輸規則24条1項ただし書及び2項ただし書,並びに貨物自動車運送事業輸送安全規則7条1項ただし書及び2項ただし書に基づいて認められています。
イ inDXsの「IT点呼とは」には以下の記載があります。
    IT点呼とは、自動車運送事業者が安全・適切な運行を行うため義務付けられる「点呼」を、IT機器を通して行うことです。通常、点呼は運行管理者と運転者がその場に居合わせ、対面で行わなければなりません(対面点呼)。これに対し、IT点呼はパソコン・ネットワークシステム・アルコール検知器等の機器を通し、疑似的に対面点呼を行うことを指します。現在は、安全性優良事業所(Gマークを取得した営業所)など一定の条件を満たした営業所で、国土交通省より了承されたIT機器を使った点呼が認められています。
(2) バス事業者及びタクシー事業者
ア 平成30年3月30日,バス事業及びタクシー事業について,一定の要件を満たす優良な営業所の営業所-車庫間でIT機器を用いた点呼が可能になりました(国土交通省 HPの「IT機器を用いた点呼の適用範囲を拡大!!~バス・タクシー事業でもIT点呼が実施可能となります~」参照)。
(3) トラック事業者
ア シンク出版HPの「トラックIT点呼、車庫間でも可能に」には以下の記載があります。
    優良なトラック運送事業者に対しては、2007年(平成19年)より「IT点呼」が導入されていますが、このたび国土交通省は関連通達を改正し、平成30年3月30日からGマークを取得した事業者(営業所)では、車庫間におけるIT点呼も認められることになりました。
    これまでと同様、対面点呼を前提とする原則に基づいていますので、片方の車庫では運行管理者か補助者の立ち会いが必要です。
 全日本トラック協会HP「安全性優良事業所(Gマーク事業所)都道府県別一覧表」が載っています。
2 遠隔点呼
(1) 遠隔点呼は,自動車運送事業者(バス,ハイヤー・タクシー,トラック)が,要件を満たす機器及びシステムを用いて,遠隔拠点間で行う点呼をいいます(国土交通省HPの「対面点呼に代わる遠隔点呼が実施できるようになります 令和4年4月1日から申請スタート」参照)。
(2) 遠隔点呼は,IT点呼と異なり,①Gマーク,優良性及び貨物・旅客の業種を問いませんし,②24時間実施OKですし,③グループ企業間の点呼もOKですし,④遠隔点呼は運行管理者が行う点呼のカウントになります(TELCOMの「すべての事業者に、遠隔点呼を」参照)。
(3) テレニシHP「IT点呼キーパー|遠隔点呼とIT点呼の違いをカンタンまとめ」には以下の記載があります。
    遠隔点呼制度が開始されましたが、IT点呼制度を利用している事業者は、「遠隔点呼要綱」ではなく現行のIT点呼制度および旅客IT点呼制度の規定に準じて使用できます。遠隔点呼制度とIT点呼制度は、異なる制度だと理解したほうがいいでしょう。
    弊社テレニシでは、IT点呼・対面点呼・電話点呼・スマホ点呼を1つに統合し、運行管理者の労務改善に役立つ「IT点呼キーパー」をご用意しています。また2022年6月からは遠隔点呼要件にも対応する予定です。

第7 運行管理者の補助者
1 運行管理者の業務を補助させるため,基礎講習を修了した者,又は運行管理者資格者証の交付を受けている者のうちから補助者を選任することができます。
2 平成19年4月1日以降の運行管理者の補助者は,平成19年3月31日以前の運行管理者の代務者に相当するものですが,代務者の場合,基礎講習を修了していなくても,運送会社から信頼されている人であれば誰でもなることができました(トラックの社HPの「試験を受けなくても運行管理者の資格を手に入れる方法があるって本当?」参照)。
3(1) 旅客自動車運送事業に関する運行管理者の補助者につき,旅客自動車運送事業運輸規則の解釈及び運用についてには以下の定めがあります。
① 補助者を選任し、点呼の一部を行わせる場合であっても、当該営業所において選任されている運行管理者が行う点呼は、点呼を行うべき総回数の少なくとも3分の1以上でなければならない(リンク先の15頁)。
② 補助者は、運行管理者の履行補助を行う者であって、代理業務を行える者ではない。ただし、第24条の点呼に関する業務については、その一部を補助者が行うことができるものとする(リンク先の33頁)。
③ 補助者が行う補助業務は、運行管理者の指導及び監督のもと行われるものであり、補助者が行うその業務において、以下に該当するおそれがあることが確認された場合には、直ちに運行管理者に報告を行い、運行の可否の決定等について指示を仰ぎその結果に基づき各運転者に対し指示を行わなければならない。
イ.運転者が酒気を帯びている
ロ.疾病、疲労、睡眠不足その他の理由により安全な運転をすることができない
ハ.無免許運転
ニ.最高速度違反行為(リンク先の33頁)
(2) 貨物自動車運送事業に関する運行管理者の補助者につき,貨物自動車運送事業輸送安全規則の解釈及び運用についてには以下の定めがあります。
① 第18条第3項の規定により補助者を選任し、点呼の一部を行わせる場合であっても、当該営業所において選任されている運行管理者が行う点呼は、点呼を行うべき総回数の少なくとも3分の1以上でなければならない(リンク先の12頁)。
② 補助者は、運行管理者の履行補助を行う者であって、代理業務を行える者ではない。ただし、第7条の点呼に関する業務については、その一部を補助者が行うことができるものとする(リンク先の21頁)。
③ 補助者が行う補助業務は、運行管理者の指導及び監督のもと行われるものであり、補助者が行うその業務において、以下に該当するおそれがあることが確認された場合には、直ちに運行管理者に報告を行い、運行の可否の決定等について指示を仰ぎ、その結果に基づき各運転者に対し指示を行わなければならない。
イ.運転者が酒気を帯びている
ロ.疾病、疲労、睡眠不足その他の理由により安全な運転をすることができない
ハ.無免許運転、大型自動車等無資格運転
ニ.過積載運行
ホ.最高速度違反行為(リンク先の21頁)


第7の2 運行管理制度の強化
1 国土交通省HPの「運行管理制度が強化されます!」には「「運行管理制度の強化」の概要」として以下の記載があります。
 平成26年5月1日より、旅客自動車運送事業者は、トラブル発生時に乗務員に対して輸送の安全のために適切な措置を講ずることが法令上明確化されました。
 また、当該措置を適正かつ確実に行えるよう
[1]旅客自動車運送事業者は、車両運行中、電話等を用いて乗務員に対し必要な指示等を行える連絡体制を構築しなければなりません。(平成26年5月1日施行)
[2]乗合バス、貸切バス事業者は、[1]に加えて、車両運行中少なくとも一人の運行管理者は、事業用自動車の運転業務に従事せずに、乗務員に対し必要な指示等を行える体制を整備しなければなりません。(平成27年5月1日施行)

2 旅客自動車運送事業運輸規則21条の2(運行に関する状況の把握のための体制の整備)は,「旅客自動車運送事業者は、第二十条、前条第七項その他の輸送の安全に関する規定に基づく措置を適切に講ずることができるよう、事業用自動車の運行に関する状況を適切に把握するための体制を整備しなければならない。」と定めています。

第8 運行管理者制度の根拠となる法令及び通達
1 一般旅客自動車運送事業(乗合,貸切及び乗用)の運行管理者の根拠となる法令及び通達は以下のとおりです。
① 道路運送法
② 旅客自動車運送事業運輸規則
③ 旅客自動車運送事業運輸規則の解釈及び運用について(平成14年1月30日制定。令和3年2月25日最終改正)
2 一般旅客自動車運送事業(乗合,貸切及び乗用)の運行管理者の根拠となる法令及び通達は以下のとおりです。
① 貨物自動車運送事業法
② 貨物自動車運送事業輸送安全規則
③ 貨物自動車運送事業輸送安全規則の解釈及び運用について(平成15年3月10日制定。令和3年1月26日最終改正)



第9 安全運転管理者制度
1(1) 安全運転管理者制度は,自動車5台以上又は乗車定員11人以上の自家用バスを使用している事業所等において,事業主や安全運転管理者の責任を明確にし,道路交通法令の遵守や交通事故の防止を図るため,道路交通法74条の3第1項及び第4項で定められた制度です。
(2) 安全運転管理者制度は昭和40年6月1日の道路交通法改正により制度化されたものです。
2 安全運転管理者の業務内容は以下のとおりです(道路交通法74条の3第2項及び第3項,並びに道路交通法施行規則9条の10)(徳島県警察HPの「安全運転管理者制度」参照)。
① 運転者の状況把握
② 運行計画の作成
③ 交代要員の配置
④ 異常気象時等の安全確保の措置
⑤ 安全運転の指示(運転者に対する点呼等)
⑥ 運転前後の酒気帯び確認
⑦ 酒気帯び確認の記録・保存
⑧ 運転日誌の記録
⑨ 運転者に対する指導
3 SmartDrive HPの「アルコール検知器の使用義務化の延期、警察庁の方針が明らかに」には「2022年7月15日に公表した警察庁パブリックコメントの意見募集要領の中で白ナンバー車両の酒気帯び有無の確認において「2022年10月1日から予定されていたアルコール検知器の使用義務化を当面延期する」方針が明らかになりました。」と書いてあります。


第10 タクシーの配車に関するメモ書き
1 WEB CARTOPの「最近のタクシー車内で「無線の声」を聞かなくなった理由とは」(2017年11月23日付)には以下の記載があります。
10数年前より無線のデジタル化が進むと、タクシー無線も取り巻く状況が大きく変わってきた。まずデジタル化とともに各車両にGPSアンテナが装着され、各タクシー会社などの無線センターでは、リアルタイムで稼動しているタクシーの状態をオペレーター個々に配置された液晶モニターでウォッチができるようになった。
2 Mobile Create HP「タクシー配車システム 新視令」には以下の記載があります。
タクシー配車システム「新視令」が業務効率アップを完全サポート
「新視令」は業務用IP無線システム「ボイスパケットトランシーバー」を利用したタクシー配車システムです。 タクシーメーター、ナビゲーションと連動しタクシーを効率的に配車します。 車両の情報を配車センターで集中管理し、集められたデータはリアルタイムに解析可能。 コンピューターが配車に最適な車両を自動で検出。一回あたりの配車時間を短縮できて、効率が大幅アップ。
従来のタクシー無線に替わる画期的な車載モバイルネットワークです。
3 タクシー配車システムにはオンプレミス型とクラウド型があります(JVCKENWOODの「CABmee 新クラウド型タクシー配車システム」参照)。
4 タクシーアプリの「GO」とは,日本交通が運営している「JapanTaxi」とDeNAが運営している「MOV」を統合して生まれたタクシー配車アプリでありますところ,GOは,Mobility Technologiesによって2020年9月にリリースされました(P-CHAN TAXIの「タクシーアプリGOの使い方やクーポン情報、迎車料金や支払い方法を徹底解説!」参照)。

第11 関連記事その他
1 近畿運輸局の場合,自動車交通部旅客第一課がバスを担当し,自動車交通部旅客第二課がタクシーを担当しています。
2(1) 国土交通省HPに「事業用自動車の運転者の健康管理マニュアル」(平成26年4月18日改訂)が載っています。
(2) 北陸信越運輸局HPに「道路運送法等関係法令の基礎知識について~ 地域に根ざした輸送サービスの提供のために ~」が載っています。
(3) 兵庫県トラック協会HP「トラック運送事業の運行・車両・労務管理の手引き-法令実践ガイド-」(令和元年9月の全国貨物自動車運送適正化事業実施機関)が載っています。
3(1) トラサポHPに「日本一詳しく!貨物自動車運送事業の監査と巡回指導、行政処分について行政書士が完全解説3〜行政処分編(2)〜」が載っています。
(2) 名鉄四日市タクシーHP「働き方(乗務員の1日の流れ)」が載っています。
(3) 大和自動車交通株式会社HP「タクシー業界を支える「配車」「運行管理」の仕事内容とは?」が載っています。
4 平成26年12月1日,車両総重量7トン以上又は最大積載量4トン以上の事業用トラック(=緑ナンバーのトラック)についても,運行記録計(タコグラフ)の装着が義務づけられました(全日本トラック協会HPの「運行記録計(タコグラフ)の装着義務付け対象拡大について」参照)。
5 一般旅客自動車運送事業の譲渡及び譲受は,国土交通大臣の認可を受けなければ,その効力を生じない(道路運送法36条1項)ところ,近畿運輸局HPの「法人タクシー関係」譲渡譲受申請書の様式が載っています。
6 以下の記事も参照してください。
・ 自動車運送事業
・ 自動車運転代行業
・ 貨物軽自動車運送事業(軽貨物運送業)
・ タクシー業界に対する規制


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