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令和5年10月の厚生労働省制度変更―難病・小児慢性特定疾病の助成開始日,最低賃金,トラック荷役の墜落防止及び生活扶助の実務確認(AI作成)

第1 対象時点と5つの変更

厚生労働省の「厚生労働省関係の主な制度変更(令和5年10月)について」は,令和5年(2023年)10月に実施された制度変更のうち,健康・衛生,雇用・労働及び福祉の5項目をまとめた一覧である。
同ページには更新日の記載がなく,掲載されたリーフレットも令和5年当時のものである。

この記事では,5項目それぞれについて,当時の変更内容を一次資料で確かめた上で,確認日である令和8年(2026年)10月4日現在の数値や運用と区別して整理する。
対象読者としては,医療費助成の申請を支える家族・成年後見人,賃金の点検をする使用者,荷役作業のある事業者,生活保護の相談を受ける支援者を想定している。

制度令和5年10月の変更現在の確認事項
指定難病の医療費助成助成の開始日を申請日から「重症度分類を満たしていることを診断した日」等へ前倒し診断日と申請日の間隔,1か月・3か月の遡り期間,軽症高額の基準日
小児慢性特定疾病の医療費助成助成の開始日を申請日から「疾病の状態の程度を満たしていることを診断した日」へ前倒し医療意見書の診断年月日,遡り期間,やむを得ない理由
地域別最低賃金39円~47円の引上げ,全国加重平均1,004円当時の額と令和8年度の額,都道府県ごとの発効日
トラックの荷役作業昇降設備・保護帽の義務の対象を最大積載量2トン以上へ拡大車両の最大積載量と荷台の構造,テールゲートリフターの特別教育
生活扶助基準検証結果の反映,月額1,000円の特例加算,従前額保障令和7年10月の1,500円,令和8年10月からの2,500円との区別

第2 指定難病・小児慢性特定疾病の医療費助成の開始日

1 申請日から診断日へ遡る仕組み

令和5年10月1日から,指定難病の特定医療費の支給認定は,申請日ではなく,指定医が病状の程度を満たしていると診断した日に遡って効力を生ずるようになった。
難病の患者に対する医療等に関する法律(以下「難病法」という。)7条5項1号は,支給認定は,指定医が「当該者の病状の程度が同号の厚生労働大臣が定める程度であると診断した日」又は「当該支給認定の申請のあった日から当該申請に通常要する期間を勘案して政令で定める一定の期間前の日のいずれか遅い日」に遡って効力を生ずると定めている。

この「一定の期間」は,難病法施行令3条1項本文により1か月である。
ただし,指定医が診断書の作成に期間を要したことその他のやむを得ない理由により,診断した日から1か月以内に申請しなかったときは,同項ただし書により3か月となる。

小児慢性特定疾病医療費についても,児童福祉法19条の3第8項が同じ構造の規定を置いている。
「一定の期間」は,児童福祉法施行令22条の2により原則1か月,やむを得ない理由があるときは3か月である。

これらの改正は,障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律等の一部を改正する法律(令和4年法律第104号)によるもので,難病・小慢合同委員会の令和5年7月10日の資料1(2頁~3頁)は,この部分の施行日を令和5年10月1日としている。
厚生労働省のリーフレットは,令和5年10月1日以降の申請から適用し,同日より前の医療費は対象にできないと説明している。

2 遡りの日を具体的に数える

遡る日は,診断した日と,申請日の1か月前(やむを得ない理由があれば3か月前)の日のうち遅い方である。
例えば,6月1日に指定医が重症度分類を満たすと診断し,6月20日に申請した場合は,1か月前の日が5月20日なので,遅い方の6月1日から助成の対象となる。
同じ診断で8月15日に申請した場合は,1か月前の日である7月15日が遅い方となり,6月1日から7月14日までの医療費は対象外となる。
この場合でも,やむを得ない理由があれば3か月前の日(5月15日)と比べることになり,遅い方の6月1日まで遡る。

このように,遡りは最長3か月に限られ,申請が遅れるほど対象外の期間が生ずる。
日の数え方の細部と,やむを得ない理由の認定は申請先の都道府県・指定都市(小児慢性特定疾病では中核市・児童相談所設置市を含む。)が行うため,具体的な事案では申請窓口に確認する必要がある。

3 軽症高額の基準を満たした人

重症度分類を満たさない場合でも,医療費が高額な状態が続くときは支給認定の対象となる。
難病法7条1項2号の政令で定める基準について,難病法施行令2条は,指定難病に係る医療の費用の額が「三万三千三百三十円を超えた月数が当該支給認定の申請を行った日の属する月以前の十二月以内に既に三月以上ある」ことを挙げている。

この類型では,難病法7条5項2号により,遡る日は「同号の政令で定める基準に該当することとなった日の翌日」と申請日の1か月前(やむを得ない理由があれば3か月前)の日のいずれか遅い日である。
診断日ではなく,基準を満たした日の翌日が起点になる点が重症度分類の場合と異なる。

4 診断年月日とやむを得ない理由

リーフレットによれば,指定難病の診断書である臨床調査個人票と,小児慢性特定疾病の医療意見書には,新たに「診断年月日」の欄が設けられ,指定医が記載内容を診断した日を書くこととされた。
したがって,遡りの起点は,申請者の記憶ではなく,この欄の日付で決まる。

やむを得ない理由の例として,リーフレットは,診断書の受領に時間を要したこと,診断後すぐに入院することになったこと,大規模災害に被災したことを挙げている。
難病・小慢合同委員会の資料1(3頁~4頁)は,申請書にやむを得ない理由のチェック欄を設けて添付書類を不要とする案と,指定医の勤務先が遠方で受領に4週間を要した例,診断前後に体調が悪化して4週間入院した例等を示している。

家族や成年後見人が申請を手伝う場合は,診断日を把握した時点で1か月の期限を管理し,遅れたときは理由を具体的に記録しておくことが実務上有用である。
これは,申請窓口で理由を説明できるようにするための整理であり,記録があれば3か月の遡りが当然に認められるという意味ではない。

第3 最低賃金は年度と発効日で確認する

令和5年度の地域別最低賃金は,全ての都道府県で39円から47円引き上げられ,全国加重平均額は前年度の961円から1,004円となった。
厚生労働省の「平成14年度から令和8年度までの地域別最低賃金改定状況」によれば,発効日は令和5年10月1日から10月14日までに分かれ,大阪府は1,064円(令和5年10月1日発効),最も高い東京都は1,113円,最も低い岩手県は893円であった。

確認日現在,厚生労働省の全国一覧は令和8年度のものに更新されている。
令和8年度の全国加重平均額は1,177円,大阪府は1,231円(令和8年10月1日発効)であり,発効日は都道府県により令和8年12月2日まで分かれている。
そのため,確認日現在でも,令和8年度の額がまだ発効していない都道府県がある。

最低賃金法4条1項は,使用者は,最低賃金の適用を受ける労働者に対し,「その最低賃金額以上の賃金を支払わなければならない」と定める。
過去の未払賃金を計算するときは,その期間に事業場で適用されていた地域別最低賃金(特定最低賃金があればその額)と発効日を確認し,発効日の前後で期間を分ける必要がある。
令和5年度の額を令和8年の賃金点検に使ったり,全国加重平均額を個別の事業場の最低賃金として扱ったりしてはならない。

最低賃金との比較で除外される賃金と固定残業代の扱いは最低賃金の引上げと固定残業代,請求できる期間は賃金・残業代の消滅時効は3年か5年かで整理している。

第4 トラック荷役作業の墜落防止

令和5年10月1日から,労働安全衛生規則(以下「安衛則」という。)151条の67により,昇降設備の設置義務の対象となる貨物自動車が,最大積載量5トン以上のものから2トン以上のものへ拡大された。
同条1項は,最大積載量が2トン以上の貨物自動車に荷を積む作業又は荷を卸す作業(ロープ掛け・シート掛け等を含む。)を行うときは,床面と荷台との間及び床面と荷台上の荷の上面との間を安全に昇降するための設備を設けなければならないと定めている。

保護帽の着用義務(安衛則151条の74)は,最大積載量5トン以上の車両に加え,2トン以上5トン未満の車両のうち,荷台の側面が構造上開放されているもの又は開閉できるもの(平ボディ車,ウイング車等)と,テールゲートリフターが設置されたもの(テールゲートリフターを使用するときに限る。)に広がった。
さらに,令和6年2月1日からは,荷を積み卸す作業を伴うテールゲートリフターの操作の業務が特別教育の対象となった(安衛則36条5号の4)。

施行通達(令和5年3月28日基発0328第5号)は,昇降設備には可搬式の踏み台のほか車両の昇降用ステップ等が含まれること,バン(ウイング車を除く。)は保護帽の対象となる「荷台の側面が構造上開放されているもの又は構造上開閉できるもの」に含まれないこと等を示している。
また,厚生労働省の令和5年8月1日付け事務連絡の問答は,安衛則の貨物自動車は自動車検査証の用途区分や事業用・自家用の別に関わらず適用されると答えており,白ナンバーの自家用トラックでも対象となる。

2トン未満の車両でも,高さ1.5メートルを超える箇所の昇降設備(安衛則526条)や,高さ2メートル以上の箇所の墜落防止措置(安衛則518条)は別に問題となる。
対象車両の判定,特別教育の内容と省略,事故が起きたときの確認事項は,トラックの荷役作業の墜落防止で詳しく整理している。

第5 生活扶助基準の見直しと特例加算

令和5年10月の生活扶助基準の見直しは,提供資料によれば,社会保障審議会生活保護基準部会の検証結果(第55回生活保護基準部会資料4によれば令和4年の検証結果)を反映することを基本としつつ,物価上昇等を勘案し,令和5年度・6年度の臨時的・特例的な対応として,一人当たり月額1,000円を加算し,それでも従前の基準額から減額となる世帯には従前の基準額を保障するものであった。
従前の支給額に必ず1,000円が上乗せされたわけではなく,世帯によっては従前額保障が適用された点に注意を要する。

その後の推移について,第55回生活保護基準部会(令和8年2月27日)資料4は,令和7年度・8年度の措置として特例加算を一人当たり月額1,500円へ500円引き上げ,入院患者・介護施設入所者については令和5年度からの月額1,000円を維持したことを示している。
同資料は,令和8年10月から1年間,特例加算を一人当たり月額2,500円とし,従前額保障を継続すること,入院患者・介護施設入所者は月額1,000円を維持すること,令和9年度以降の基準は令和9年度の予算編成過程で検討することも記載している。

したがって,確認日現在,居宅の世帯について令和5年10月の1,000円や令和7年10月の1,500円を現在の加算額として使うことはできない。
保護費を点検するときは,適用月,世帯構成,級地,入院・入所の有無,従前額保障の適用の有無を保護決定通知等で確認する必要がある。
令和7年10月の見直しは令和7年10月の厚生労働省制度変更,成年後見人が保護費を管理する場合の実務は成年後見人と生活保護で整理している。

なお,令和5年10月の見直しは,平成25年から平成27年にかけての生活扶助基準の改定とは別のものである。
後者について,最高裁令和7年6月27日第三小法廷判決(令和5年(行ヒ)第397号,第398号・民集79巻4号1640頁)及び同日の同小法廷判決(令和6年(行ヒ)第170号)は,物価変動率のみを直接の指標とした「デフレ調整」の部分に裁量権の範囲の逸脱又はその濫用があり違法であると判断した。
他方,ゆがみ調整の部分は違法でないとし,国家賠償請求はいずれも棄却されている。
判決の内容と,経過措置・従前額保障の位置付けは社会保障給付の減額と司法審査を参照されたい。

第6 確認資料と今後の検討

この記事は,提供された厚生労働省の一覧ページとリンク先のリーフレット3本を読み,各項目をe-Gov法令検索の現行条文(難病法5条・7条,難病法施行令2条・3条,児童福祉法19条の3,児童福祉法施行令22条の2,最低賃金法4条,安衛則36条・38条・151条の2・151条の11・151条の14・151条の67・151条の74・151条の75・518条・526条)と照合して作成した。
トラック荷役は施行通達と令和5年8月1日付け事務連絡(問答)の本文,最低賃金は厚生労働省の改定状況の表,生活扶助は第55回生活保護基準部会資料4で確認した。
最高裁判決は裁判所ウェブサイトの判決全文で確認した。

判例秘書による下級審裁判例の検索はしていない。
今回の5項目は,主に法令・通達・行政資料の改正内容の確認であり,結論を左右する裁判例が想定されなかったためである。

別途掘り下げるテーマは,①指定難病の支給認定の有効期間と更新手続,自己負担上限月額及び令和6年4月からの登録者証,②小児慢性特定疾病から指定難病の医療費助成への移行時の申請時期,③荷役作業中の墜落事故についての安全配慮義務違反の裁判例,④令和9年度以降の生活扶助基準の検討状況である。
この記事では,都道府県ごとの申請書式・運用,個別の保護決定,個別事業場の特定最低賃金及びこれらに関する裁判例までは検討していない。

第7 出典

厚生労働省「厚生労働省関係の主な制度変更(令和5年10月)について」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000198659_00016.html )
厚生労働省リーフレット「指定難病医療費助成制度が変わり、助成開始時期を前倒しできます」(https://www.mhlw.go.jp/content/12600000/001148785.pdf )
厚生労働省リーフレット「小児慢性特定疾病医療費助成制度が変わり、助成開始時期を前倒しできます」(https://www.mhlw.go.jp/content/12600000/001148786.pdf )
厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署リーフレット「トラックでの荷役作業時における安全対策が強化されます。」(https://www.mhlw.go.jp/content/12600000/001148787.pdf )
難病・小慢合同委員会(令和5年7月10日)資料1「改正難病法及び改正児童福祉法の成立、施行について」(https://www.mhlw.go.jp/content/10905000/001118841.pdf )
厚生労働省「令和8年度地域別最低賃金全国一覧」(https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/001753404.pdf )
厚生労働省「平成14年度から令和8年度までの地域別最低賃金改定状況」(https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/001753407.xlsx )
令和5年3月28日基発0328第5号「貨物自動車における荷役作業時の墜落・転落防止対策の充実に係る労働安全衛生規則の一部を改正する省令及び安全衛生特別教育規程の一部を改正する件の施行について」(https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tc7608&dataType=1&pageNo=1 )
令和5年8月1日付け厚生労働省事務連絡「貨物自動車の昇降設備の設置、保護帽の着用等に関する問答について」(https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tc7864&dataType=1&pageNo=1 )
第55回社会保障審議会生活保護基準部会(令和8年2月27日)資料4「令和8年度生活扶助基準の見直しについて」(https://www.mhlw.go.jp/content/12002000/001662704.pdf )
最高裁令和7年6月27日第三小法廷判決(令和5年(行ヒ)第397号,第398号)(https://www.courts.go.jp/hanrei/94225/detail2/index.html )
最高裁令和7年6月27日第三小法廷判決(令和6年(行ヒ)第170号)(https://www.courts.go.jp/hanrei/94226/detail2/index.html )
e-Gov法令検索(難病の患者に対する医療等に関する法律,同法施行令,児童福祉法,児童福祉法施行令,最低賃金法,労働安全衛生規則)

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