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令和8年度司法試験租税法第1問の模範解答と予想される評価項目―出題の趣旨・採点実感の公表前に予想した40項目と5段階の重み付け(AI作成)

目次

第1 この記事の対象と確認状態

本記事は,法務省が公表した令和8年司法試験の選択科目・租税法第1問を対象とする。
模範解答,評価項目,重み付け及び解説は,問題文,法令及び裁判例を基に本記事が独自に作成した予想である。
法務省の採点基準や配点を示すものではない。

令和8年9月30日の記事作成時点で,本問の出題の趣旨及び採点実感は公表されていないものとして作業した。
これらの内容を根拠とする評価項目ではない。
問題文が指定する令和8年1月1日施行の法令を基準とし,租税特別措置法の適用及び所得税法67条の2第3項のリース取引は考慮しない。

第2 評価項目と重み付けの考え方

評価項目は,設問の動詞,問題文の数字・時期・対価関係,参照条文及び関連裁判例から,答案に書かれていれば判定できる単位で抽出した。
重みは本記事の相対評価であり,公式の点数ではない。
①重み5は設問の結論を左右する条文の適用と中核の当てはめ,②重み4は主要な要件又は有力な反論,③重み3は結論を支える具体的事情,④重み2は補強事項,⑤重み1は問題文の除外条件の遵守とした。

第3 本問の概要

設問1は,C社が国の補助金150万円を受け,300万円のソフトウェアを取得した場合の有利な法人税法上の処理を問う。
取得は補助金の現金受領より先だが,同一の暦年事業年度内であり,年度末までに返還不要が確定している。

設問2は,C社の代表取締役であるAが,令和4年から自己の計算で営むソフトウェア業の所得区分を,年ごとの受注数,売上,設備及び勤務状況に即して問う。
Aは著作権を保持し,顧客にクラウド上での利用を許諾している。

設問3は,Aが自己の著作に係る著作権を時価400万円のところ100万円でC社に譲渡した場合の所得区分,収入金額,短期譲渡所得の金額及び総所得金額を問う。
設問4は,AがC社に支払った外注費90万円についてAと税務署長の双方の主張を求め,あわせて内縁の相手Dへの事務所賃料に所得税法56条が及ぶかを問う。

第4 本記事が予想した評価項目

1 共通の前提

番号答案に現れると予想する事項重み問題文の手掛かり・根拠
1令和8年1月1日施行法を適用し,事案の実際の年月日に対応する旧法へ戻さない29頁・設問直前の共通指示
2C社とAの所得計算,Aの役員給与とソフトウェア業,利用許諾と著作権譲渡をそれぞれ分ける38頁~9頁・四つの設問
3租税特別措置法及びリース取引の検討を答案の主経路へ入れない19頁・共通指示

2 設問1―国庫補助金と圧縮記帳

番号答案に現れると予想する事項重み問題文の手掛かり・根拠
4国の補助金150万円が原則としてC社の益金に入ることを示す48頁・補助金150万円,法人税法22条2項
5300万円で取得したソフトウェアが無形の減価償却資産であり,取得額を一時に損金算入しないことを示す48頁,9頁の参照条文・法人税法施行令13条8号ヌ
6補助金受領より資産取得が先でも,同じ令和3事業年度内に目的資産を取得したことを評価する48頁・令和3年1月取得,同年2月受領
7事業年度末までに補助金の返還不要が確定した事実を法人税法42条の要件に当てはめる38頁・返還不要の確定
8国庫補助金で取得した固定資産の圧縮記帳として,法人税法42条1項を選択する58頁・設問の「一般に有利」,法人税法42条1項
9150万円の帳簿価額減額と圧縮損の損金算入,確定決算・申告の条件を示す58頁・補助金額と取得価額,法人税法42条
10圧縮記帳は取得年度の課税繰延べであり,後年度の償却基礎が150万円に下がることを示す48頁・300万円と150万円の差額

3 設問2―ソフトウェア業の所得区分

番号答案に現れると予想する事項重み問題文の手掛かり・根拠
11事業所得の判断につき,自己の計算と危険,独立性,営利・有償・反復継続性及び社会通念上の事業性を示す58頁・Aの営業態様,所得税法27条1項,最高裁昭和56年4月24日判決
12Aが借入れ,設備取得,専用事務所の賃借,広告,受注を自ら行い,損益を負担する点を評価する48頁・開業と営業準備
13令和4年の利益が僅少で,役員給与を得ながら夜間・週末に働く事情を,雑所得方向の事情として扱う38頁・約10件,僅少な利益,勤務形態
14令和4年にも有償の受注を約10件反復し,設備・広告と翌年以降の拡大が継続意思を裏付けることを評価する58頁・令和4年から令和5年の推移
15令和4年分の事業所得・雑所得の境界について,反対事情に応答した結論を示す48頁・開業初年の事情,所得税法27条・35条
16令和5年の約20件・売上約2000万円・費用約500万円と,令和6~7年の増加を評価する58頁・年別の受注・売上・費用
17著作権を顧客へ譲渡せず,創作と利用許諾を継続して対価を得る取引として分類する48頁・顧客契約と著作権の保持
18C社からの役員給与と本件事業の対価を分け,開業届だけで所得区分を決めない38頁・月額50万円,所得税法229条

4 設問3―著作権の低額譲渡

番号答案に現れると予想する事項重み問題文の手掛かり・根拠
19一回限りの著作権自体の譲渡を,顧客への利用許諾収入から区別して譲渡所得に分類する58頁~9頁・Eへの許諾とC社への譲渡,所得税法33条1項
20棚卸資産の販売又は営利目的の継続的な資産譲渡として33条2項により除外される事情がないことを示す38頁~9頁・著作権一件の譲渡
21法人への著しい低額譲渡として所得税法59条1項2号を挙げる59頁・譲渡先C社と100万円の対価
22施行令169条の「時価の2分の1未満」を示し,100万円と半額200万円を比較する59頁・時価400万円,参照条文
23個人で生じた資産の増加益を法人へ移して課税を免れ,又は繰り延べることを防ぐという59条の趣旨を示す59頁・設問が趣旨への言及を明示
24差額300万円を別の所得とするのでなく,譲渡収入を時価400万円とみなす59頁・100万円と400万円,所得税法59条1項
25自己の著作に係る著作権の譲渡を,保有期間にかかわらず短期譲渡所得とする59頁・所得税法施行令82条1号
26取得費・譲渡費用各0円と特別控除50万円から,短期譲渡所得350万円を算出する49頁・費用0円,所得税法33条3項1号・4項
27年額600万円の役員給与から給与所得控除164万円を差し引き,給与所得436万円を算出する38頁・月額50万円,所得税法28条
28短期譲渡所得350万円は半額にせず,事業所得・給与所得と合算し,事業売上の正確な額が不明なので総所得金額を算式で示す59頁・総所得金額の問い,所得税法22条2項1号

5 設問4―外注費と内縁の相手への賃料

番号答案に現れると予想する事項重み問題文の手掛かり・根拠
29必要経費控除の趣旨を,所得獲得のための投下資本の回収部分への課税を避ける点から説明する49頁・設問4冒頭,大阪地裁平成30年4月19日判決
30所得税法37条1項の直接費用と販売費・一般管理費等を区別して示す59頁・必要経費の要件を問う設問
31契約や支払だけでなく,業務との客観的な関連性と業務遂行上の必要性を検討する59頁・外注費90万円,大阪地裁・大阪高裁の各判決
32A側から,書面がなくても口頭の再委託契約は成立し得ると主張する49頁・税理士の助言,A・C社の合意
33A側から,C社は別法人で,代表者Aが行った作業も会社の履行になり得ると主張する49頁・C社代表者としてのAの地位
34A側から,受注との対応,通常の90万円,C社の益金計上を挙げ,実際の支出を強調する49頁・B社受注,支払額,C社の益金
35税務署長側も契約の私法上の有効性やC社の益金計上それ自体を否定する必要はないとする39頁・合意と益金,大阪高裁平成30年11月2日判決
36再委託の範囲・条件が定まらず,A一人が従前どおり自己の事務所で創作した点を評価する59頁・再委託後の業務実態
37業務との関連性があっても,A自身の労務を法人経由で支払うことに客観的必要性がないとの反論を示す59頁・作業者・作業場所の不変,大阪高裁判決
38設問が除外する所得税法45条3項と157条1項に依拠せず,37条1項で検討する29頁・設問4⑴②の除外指示
39所得税法56条の要件が「生計を一にする配偶者その他の親族」であり,賃料にも問題となり得ることを示す58頁・DとAの生計,9頁・設問4⑵
40Dは内縁の相手で法律上の配偶者・親族ではなく,56条では否定されず,通常賃料は37条の要件を満たせば控除されると結論する58頁・内縁関係,9頁・専用事務所

6 重みの分布

重み項目数
518
412
37
22
11

以上の40項目の重みの合計は164であり,設問の論点を漏らさないための本記事独自の予想である。
この合計は公式配点への換算値ではない。
個々の項目を機械的に加点する趣旨ではなく,条文選択,具体的事実の評価,異なる主張への応答及び計算過程を確認するために示した。

第5 模範解答

1 答案の条件

次の答案は,選択科目第1問の入力枠4頁・1頁23行・1行30字という形式に合わせ,92行,各行30字以内,改行を除き2699字で作成した。
評価項目のうち,とくに所得区分,低額譲渡の計算及び外注費をめぐる双方の主張を答案に盛り込んだ。
令和4年分の事業所得該当性には反対評価の余地があるため,理由を挙げた結論として示す。

2 答案

第1 設問1 1 国の補助金150万円は、C社の収益として法
人税法22条2項の益金に算入される。他方、購入したソフトウェ
アは無形の減価償却資産(同法2条23号、施行令13条8号ヌ)
で、取得価額300万円は一時の損金とはならず、通常は各期の償
却限度額の範囲で損金となる。補助金の全額を受領年の課税所得と
すると、購入年の償却額との間に時期のずれが生じる。2 国庫補
助金で固定資産を取得し、同一事業年度末までに返還不要も確定し
た。そこでC社は、法人税法42条1項の圧縮記帳を選べる。支出
が補助金受領に先立っていても、同一の事業年度内に交付目的の資
産を取得している。確定決算で取得資産の帳簿価額を150万円減
額し、その圧縮損を同年度の損金に算入する。圧縮限度額は補助金
のうち取得に充てた額で、本件では150万円である。所要の申告
記載等も行う。同額の補助金益金と圧縮損が対応し、取得年度の課
税を繰り延べる。以後の償却の基礎は原則150万円に下がり、補
助金が恒久的に非課税となるわけではない。積立金方式も可能だ
が、後年の取崩し等で課税される。
第2 設問2 1 所得税法27条1項の事業とは、自己の計算と
危険で独立して行い、営利性、有償性及び反復継続性を備え、社会
通念上事業といえる活動をいう。事業の規模、投入した資金・労
力、人的物的設備、収益状況、生活との関係など実態を総合し、年
ごとに客観的に判断する。2 Aは自己資金と借入金で設備を整
え、専用事務所を構え、広告し、顧客から直接受注する。著作権を
保有して利用を許諾し、対価を得る。対価に利用料の性質があって
も、その名称のみで雑所得とせず、収益源である業務の実態をみ
る。顧客への著作権の譲渡はなく、継続的役務提供と利用許諾から
生じる収益であり、単なる著作権の譲渡所得ではない。役員として
の指揮命令下の労務にも当たらず、給与所得でない。3 令和4年
は約10件で利益は僅少であり、役員の傍ら夜間・週末に営む点は
事業性を弱める。しかし、当初から設備、専用事務所、広告を備
え、独立して有償の注文を反復し、損益も自ら負う。開業初年の低
利益だけでは営利性は否定されず、翌年以降の増収も当初の継続意
思を裏付ける。したがって同年分も事業所得と解するのが相当。片
手間の副収入として雑所得(35条)とする余地はあるが、独立営
業の実態が勝る。4 令和5年は約20件、売上約2000万円、
経費約500万円であり、令和6・7年も受注と売上が伸長した。
各年とも事業所得である。従業員不在や役員給与の併存は結論を変
えない。開業届の提出もそれ自体で所得区分を決めない。
第3 設問3 1 Eに許諾していた著作権自体をC社へ一回譲渡
した。利用許諾料と異なり、資産の譲渡による所得(所得税法33
条1項)である。棚卸資産の販売や反復的著作権売買ではなく、同
条2項による譲渡所得からの除外もない。2 所得税法59条1項
2号は、法人への著しい低額譲渡について時価で譲渡したとみな
す。Dの全株保有は、法人への譲渡という要件を妨げない。その趣
旨は、個人資産の含み益を法人へ移して譲渡所得課税を免れ又は繰
り延べることを防ぎ、個人の保有期間中の値上がり益を清算する点
にある。施行令169条の基準は時価の2分の1未満。対価
100万円は時価400万円の半額200万円未満であるから、収
入金額を400万円とみなす。差額300万円だけを別個の所得に
加えるのではない。3 Aの著作に係る著作権ゆえ、保有期間を問
わず施行令82条1号により短期譲渡所得となる。取得費・譲渡費
用は各0円、他の譲渡所得もない。所得税法33条3項1号、4項
の特別控除50万円を引き、短期譲渡所得の金額は350万円であ
る。通常の利用許諾による事業所得には算入しない。受取額
100万円だけを収入金額とすると、法人への含み益移転により課
税が欠けるためである。4 同法22条2項1号により短期譲渡所
得は2分の1とせず、350万円全額を総所得金額に算入する。C
社の役員給与年額600万円は給与所得(28条)で、給与所得控
除164万円を差し引いた給与所得は436万円となる。よって総
所得金額は、令和6年の事業所得(売上額から必要経費約500万
円を控除)に、給与所得436万円と350万円を加えた額。
第4 設問4 1 必要経費の控除は、収入獲得のため投下した資
本を回収し、純所得を課税対象とするためである。所得を生むため
の支出を差し引かなければ、担税力のない投下資本まで課税するこ
とになる。所得税法37条1項は、総収入金額を得るため直接要し
た費用と、業務について生じた費用を認める。単なる支払や契約の
存在だけで足りず、業務との客観的関連性及び必要性を要する。私
的消費や本人の労務そのものの見積額は、収益を得るための支出で
なく控除できない。
2⑴① Aは、B社から受注した創作業務をC社に再委託し、その
対価として通常額の90万円を支払ったと主張する。口頭契約も有
効であり、C社は別法人で、Aが代表者として役務を行っても法人
による履行となる。顧客へ提供した成果と支払は対応し、売上獲得
に直接必要な費用である。契約締結の自由があり、節税目的があっ
ても、それだけで私法上の契約や支払は消滅しない。C社も90万
円を益金計上し、架空費用ではない。Aの従前の自力履行や書面の
欠如を理由に会社への有効な支払を当然に否認できない。
② 税務署長は、契約の効力を否定しなくても、所得税法37条1
項の客観的必要性を争える。節税動機だけでなく、役務と支払の実
態で判断すべきである。再委託の範囲・条件は未定で、C社の人員
や設備による作業、管理、責任分担も見当たらない。従前どおりA
一人が自己のオフィスで創作した。業務の方法や成果の帰属にも実
質的変更がなく、C社固有の役務の提供をうかがわせる事情はな
い。したがってC社への支払はA自身の労務の対価を法人経由で支
出したにすぎず、事業遂行上の必要な外注費といえない。通常額で
あることやC社側の益金算入も、A側の必要性を補わない。両者の
所得計算は別々であり、二重課税との主張もA側の必要経費性を基
礎付けない。よって90万円は必要経費に算入できない。3⑵ 所
得税法56条は、生計を一にする配偶者その他親族への事業対価の
必要経費算入を禁じる。しかしDは内縁の相手で、法律上の配偶者
でも親族でもない。生計を一にするだけでは足りず、同条は適用さ
れない。本件オフィスの通常賃料は、専用事務所の使用に必要な費
用として、同法37条1項の要件を満たす限り控除できる。

3 判断が分かれ得る箇所

(1) 令和4年分の所得区分

本記事は,令和4年にもAが約10件の有償注文を受け,専用の事務所・機材を備え,借入れと広告を自ら負担していることから,開業初年から事業所得に当たると考える。
もっとも,C社の役員として平日はほぼ毎日出社し,本件業務は夜間・週末が中心で,同年の売上が費用を僅かに上回るにとどまる点を重視すれば,令和4年に限り雑所得とする構成にも検討の余地がある。
所得税法229条の開業届のみを根拠に決めず,双方の事情と翌年以降の推移を示すことが重要と予想する。

(2) 著作権譲渡の時価課税と総所得金額

所得税法59条1項2号は,実際の受取額100万円と時価400万円との差額だけを独立の所得とする規定ではない。
譲渡による収入金額を400万円として譲渡所得を計算し,自己の著作に係る著作権については施行令82条1号により短期譲渡所得とする。
取得費・譲渡費用は与件上いずれも0円であるから,50万円の特別控除後は350万円となる。
令和6年の事業の正確な売上額は示されていないため,総所得金額は「事業所得+給与所得436万円+短期譲渡所得350万円」と算式で示す。

(3) 外注費と賃料は別の要件を調べる

AとC社の再委託契約は,書面がないことだけで無効とはならず,会社が益金計上した事実も尊重する必要がある。
それでも,所得税法37条1項の必要経費性はA側の所得計算において判定する。
大阪高裁平成30年11月2日判決は,会社との有効な契約と役務提供を認めながら,事業主が従前どおり主体的に業務を行った事情の下で,支払の事業遂行上の必要性を否定した。
本問でも,C社の従業員や設備の利用が記載されていないこと自体を「利用がなかった」と断定せず,明示されたA一人の作業場所・作業方法の不変を中心に評価すべきである。

他方,Dへの賃料は所得税法56条の人的範囲の問題である。
内縁関係と生計の共通だけでは,Dが法律上の「配偶者その他の親族」となるわけではない。
したがって,同条による否認はできず,専用事務所の通常賃料として所得税法37条1項の要件を別に判断する。

第6 公開参考答案の調査結果

令和8年9月30日,問題名の表記違い(「令和8年/令和8年/2026年」「租税法第1問/第1問」)と,「参考答案」「解答例」「解答速報」「再現答案」「圧縮記帳」「外注費」等を組み合わせて公開ウェブを検索した。
加藤ゼミナール,BEXA,アガルート,LEC,辰已法律研究所,六法ラボ,note及び個人ブログについて,本問に対応する公開答案の有無を確認した範囲では,本文を読んで内容を照合できる令和8年司法試験租税法第1問の参考答案は見つからなかった。
「検索で見つからなかった」ことは,参考答案が存在しないことを意味しない。

加藤ゼミナールのCBTシステムには令和8年租税法第1問の問題選択欄があるが,確認した画面は参考答案本文を示していない。
アガルートの租税法過去問解析講座には令和8年単年度講座の案内があるものの,その案内は本問の無料参考答案ではない。
令和8年司法試験の再現答案を掲載するnoteは経済法等の科目のもので,租税法の再現答案は掲載していない。
そのため,本記事の答案を「公開参考答案と一致した」とは記載しない。
今後,本問の参考答案又は公式の出題の趣旨・採点実感が公表された場合には,両者を区別して照合する必要がある。

第7 判例秘書での裁判例照合

令和8年9月30日,判例秘書INTERNETの「判例検索」で,本記事が挙げる裁判例を事件番号等で照合した。
大阪地裁平成30年4月19日判決は「平成27年(行ウ)第393号」の検索で1件が表示され,判例番号はL07351000である。
大阪高裁平成30年11月2日判決は「平成30年(行コ)第59号」の検索で1件が表示され,判例番号はL07320924である。
いずれも判決本文の必要経費に関する判断部分を読んだ。

地裁判決は,所得税法37条1項の必要経費について業務との合理的関連性と業務遂行上の必要性を客観的・実質的に判断し,支出を後者の要件で否定した。
高裁判決は,個人事業主と会社との委託契約の有効性,会社による役務提供及び業務との関連性を認めながら,個人事業主が主体的に自ら業務を遂行した事実の下で必要性を否定した。
原事件では課税庁が所得税法157条1項を掲げて更正したが,両判決の必要経費性の判断は37条1項についてのものである。
本問はソフトウェア創作で,原事件は燃料の配達販売であるから,結論だけを移すのではなく,誰が,どの場所・設備で,どのように業務を行ったかを比較した。

最高裁昭和56年4月24日判決については,判例秘書の「昭和52年(行ツ)第12号」と同判決日の各検索では,該当する判決本文を表示できなかった。
「弁護士顧問料」の任意語検索8件にも同判決は表示されず,本記事では同データベースによる最高裁判決の本文確認済みとは扱わない。
その事業所得の判断枠組みは,裁判所公表の後続判決と国税不服審判所の引用を確認して用いた。
この検索結果から判決の非収録又は不存在を断定するものではない。

第8 出典

①法務省「令和8年司法試験論文式試験・選択科目問題」8頁~9頁(問題文),9頁以下(参照条文)。
②e-Gov法令検索「所得税法」,同「所得税法施行令」,同「法人税法」,同「法人税法施行令」。本問の指定に従い,令和8年1月1日の施行法を基準とした。
③国税庁「国庫補助金等で取得した固定資産等の圧縮記帳」,同「給与所得控除」,同「必要経費の知識」,同「内縁の妻と配偶者控除」。
④最高裁判所第二小法廷昭和56年4月24日判決・昭和52年(行ツ)第12号・民集35巻3号672頁(事業所得と給与所得の区分。裁判所掲載の後続判決による引用及び国税不服審判所の引用を確認)。
⑤大阪地方裁判所平成30年4月19日判決・平成27年(行ウ)第393号(判例秘書L07351000),大阪高等裁判所平成30年11月2日判決・平成30年(行コ)第59号(判例秘書L07320924)。いずれも判決本文の必要経費の判断部分を照合した。