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司法試験の論文式答案をCBTで書くときの分量と書式―184行・5,520字の上限,改行と行数,入力できる文字及び無効答案(AI作成)

第1 この記事の対象と結論

本記事は,令和8年司法試験から導入されたCBT方式(パソコンで答案を入力する方式)の論文式試験について,答案に入力できる分量と,答案の書式に関わる入力上の制限を,法務省の公表資料に基づいて整理するものである。
基準日は令和8年9月28日である。

論文式試験の答案は,1頁23行,1行当たり最大30文字で,必須科目は1問につき8頁,選択科目は1問につき4頁とされている。
したがって,入力できる上限は,必須科目1問につき184行・5,520字,選択科目1問につき92行・2,760字となる。

もっとも,段落ごとに改行して書くと,各段落の最終行の余りは使えないと考えられるため,実際に入力できる字数は5,520字より少なくなる。
例えば,1文ごとに段落を改めた令和8年度公法系第1問の模範解答(本記事の関連記事)は,4,540字で184行となった。
このほか,半角文字は入力できず,一部を除き記号も入力できない一方,見出しに使う「(1)」「①」「ⅰ」等は使用可能とされている。
1行おきに空けて書いた答案は,無効答案(零点)とされる場合がある。

CBTの端末操作,電子出願,持込品及び端末障害の一般的な説明は,関連記事の「司法試験のCBTとオンライン手続」に譲り,本記事は答案の分量と書式に絞る。

第2 入力できる分量の上限

1 公表資料の定め

司法試験考査委員会議申合せ事項「司法試験の方式・内容等について」(令和7年11月26日)は,論文式試験の「答案の頁数(入力可能文字数)」について,必須科目1問につき8頁,選択科目1問につき4頁とし,1頁は23行,1行当たり最大30文字の入力を可能とすると定めている。
法務省の「令和8年司法試験に関するQ&A」のQ73も,CBT試験で入力できる文字数について,同じ内容を回答している。

2 行数と字数の上限

頁数,行数及び1行当たりの字数を掛け合わせると,上限は次のとおりである。

区分頁数行数の上限字数の上限
必須科目(公法系・民事系・刑事系の各問)8頁184行5,520字
選択科目(各問)4頁92行2,760字

CBTシステム(体験版)の操作マニュアル(論文式試験)によれば,解答した文字数及び行数は答案入力欄の上部に表示される。
本番でも同じ画面構成であれば,入力しながら残りの行数を確かめることができる。

第3 改行と行数の関係

1 改行すると行の残りは使えないと考えられる

公表資料は,上限を「1頁23行」「1行当たり最大30文字」という行単位で定めており,操作マニュアルも文字数とは別に行数を表示するとしている。
本記事では,このことから,改行すると,その行の残りの字数は次の行に回らず,改行した時点で1行を使い切ると整理する。
ただし,公表資料には改行の扱いを直接説明した記載はなく,この点は本記事の推定である。
正確な挙動は,法務省が公開している体験版で実際に入力して確かめる必要がある。

2 段落の分け方で入力できる字数は変わる

この整理によれば,答案の字数が同じでも,段落の数が多いほど使う行数は増える。
例えば,1行に満たない見出し(「1 設問①について」等)も1行を使い,31字の段落は2行を使う。

令和8年度公法系第1問の模範解答(関連記事①)は,見出しを独立の行とし,本文は1文ごとに段落を改めて書いた。
その結果,見出しと本文を合わせて69段落・4,540字で,1行30字で折り返すと184行(上限ちょうど)となった。
上限の5,520字との差の980字は,各段落の最終行の余りの合計であり,1段落当たり平均で約14字分が空いている計算になる。

したがって,本記事では,5,520字を書ける字数の目安とするのではなく,段落の立て方を決めた上で行数の表示を見て配分するのが実際的であると整理する。
逆に,行数を節約するために見出しや段落をなくして詰めて書くと,答案が読みにくくなるおそれがあるので,読みやすさとの釣合いを考える必要がある。

3 1行おきの記載は無効答案とされ得る

「令和8年司法試験に関するQ&A」のQ75は,答案用紙の解答欄を1行おきに空けて解答を記載した答案は,特定人の答案であると判断される答案として無効答案と判断される(零点となる)場合があるとしている。
段落の間に空行を入れる書き方も,この回答との関係で避けるのが安全である。

第4 入力できる文字と書式の制限

1 半角文字と記号

Q&AのQ60によれば,半角文字は入力できず,半角文字を入力すると自動的に全角に変換される。
また,一部(⑴,ⅰ等)を除き,記号等の入力もできないとされている。

他方で,体験版の操作マニュアル(論文式試験)の修正等履歴には,令和7年4月25日公開版で,答案用紙等に記載できる文字について,見出しに使用する「(1)」「①」「ⅰ」等の環境依存文字を使用可能としたと記載されている。
したがって,答案の見出しに「(1)」「ア」「①」等を使うこと自体は想定されていると考えられる。
どの記号が入力できないかの一覧は公表資料に見当たらないので,普段使う記号(「」,・,~等)が入力できるかは,体験版で確かめておく必要がある。

2 字下げと禁則処理

Q&AのQ59によれば,インデントの設定や禁則処理(句読点等が文頭にこないようにする処理)の機能は使用できない。
段落の冒頭を字下げする場合は,全角の空白を入力することになり,その空白も1字として行の中に入ると考えられる。
また,禁則処理がないので,句読点が行頭に来ることがある。

3 日本語入力

文字入力ソフトは日本語Microsoft-IMEであり,学習機能は使用できるが,予測変換機能は使用できない(Q&AのQ56・Q57)。
普段,予測変換に頼って長い法律用語を入力している場合は,予測変換を切った環境で練習しておく必要がある。
体験版の「使用方法・注意事項」は,IMEの予測入力をオフにし,学習機能をオンにする設定方法を紹介している。

第5 答案の編集と保存の機能

答案作成に使える主な機能は,公表資料によれば次のとおりである。

機能可否根拠
コピー・切取り・貼付け可(問題文のコピーは不可)Q58,操作マニュアル7
文字検索・文字置換可Q58,操作マニュアル3.2.1
元に戻す・やり直す可(元に戻すは最大10回前まで)Q66,操作マニュアル3.2.2
予測変換不可Q57
インデント設定・禁則処理不可Q59
手動保存不可(入力の都度自動でバックアップ保存)Q64,Q65
他のアプリケーション起動不可Q67

答案は,試験終了時に答案入力箇所に入力された内容だけが自動で回収され,試験時間終了前に提出して受験を終了することはできない(Q&AのQ68)。
問題検討のためには,画面上のメモ機能のほか,試験時間ごとにメモ用紙(A3用紙2つ折り)が1枚配付される(Q&AのQ76)。

第6 零点となる答案

1 無効答案と答案入力箇所の取違い

前記の申合せ事項は,解答欄に受験者の氏名又は特定人の答案であると判断される記載のある答案を無効答案として零点とし,第1問と第2問の答案入力箇所を取り違えた場合も零点とすると定めている。
受験願書に記載した選択科目と異なる科目について解答した場合も,零点とされる。

2 取違いに気付いたときの直し方

Q&AのQ74によれば,答案入力箇所を取り違えた場合は零点となり,試験時間終了後の取違いの申請には一切応じないとされている。
試験時間中に気付いた場合は,コピー・貼付け機能等を使って,自分で正しい答案入力箇所に転記する必要がある。
入力可能文字数の制限により直接転記できないときは,「メモ画面」への転記を介して,答案を入れ替えることができるとされている。

第7 答案を書くときの実際上の注意

以上の公表資料を踏まえ,本記事では,CBTの論文式答案を書くときの注意を次のとおり整理する。

① 分量の目安は,字数(5,520字)ではなく行数(184行)で考え,答案入力欄の上部の行数表示を見ながら配分する。
② 見出しや1文ごとの段落を多用すると行数が早く尽きるので,段落の立て方を事前に決めておく。
③ 段落の間に空行を入れたり,1行おきに書いたりしない。
④ 見出しの「(1)」「①」等は使用可能とされているが,それ以外の記号の入力の可否は体験版で確かめておく。
⑤ 予測変換を使わない入力に慣れておく。
⑥ 取違いに気付いたら,試験時間中にコピー・貼付けで直す。

第8 関連記事

①令和8年度司法試験公法系第1問の模範解答と予想される評価項目―出題の趣旨・採点実感の公表前に問題文と判例から予想した37項目と5段階の重み付け
②令和8年度司法試験論文式試験の主要7科目の模範解答と予想される評価項目
③司法試験のCBTとオンライン手続―電子出願,当日の操作,持込品,端末障害及び受験特別措置
④司法試験・予備試験CBTの端末障害と法的救済―証拠保全,時間変更,得点調整,情報開示及び国家賠償
⑤司法試験制度の改正経緯――旧司法試験から法科大学院・予備試験・在学中受験・CBTまで
⑥法務省HPの司法試験・予備試験の資料の所在―年度別の実施・結果・出題趣旨・採点実感のページ一覧

第9 出典及び確認状態

1 出典

①司法試験考査委員会議申合せ事項「司法試験の方式・内容等について」(令和7年11月26日)
②法務省「令和8年司法試験に関するQ&A」
③法務省「司法試験及び司法試験予備試験のデジタル化について」
④司法試験等CBTシステム体験版操作マニュアル(R8.4版)【論文式試験】
⑤司法試験等CBTシステム(体験版)使用方法・注意事項
⑥法務省「令和8年司法試験受験案内」

2 確認状態

上記の出典は,いずれも令和8年9月28日に法務省ウェブサイトから取得し,本記事で用いた箇所を読んで確認した。
Q&Aの問番号は,同日時点のものである。

改行した行の残りの字数を使えないという点(第3の1)と,段落冒頭の全角空白が1字として行に入るという点(第4の2)は,公表資料の記載から導いた本記事の推定である。
体験版の実際の挙動は確認していない。
入力できない記号の具体的な範囲も,公表資料では確認できなかった。

法務省は,令和8年司法試験予備試験について論文式試験のみを対象にCBT試験を導入するとしているが,その答案の頁数等は本記事では扱っていない。
令和9年以降の試験では仕様が変わり得るので,受験年度の申合せ事項,受験案内及びQ&Aを確認する必要がある。