第1 未決勾留日数算入の基本
1 刑期と未決勾留を区別する
未決勾留は刑の執行そのものではないが,刑法及び刑事訴訟法の規定により,裁判で刑に算入される場合がある。
2 当然に全日数が算入されるとは限らない
控訴審係属中の勾留日数は,判決結果と法令上の区分に応じて扱われる。事件ごとに勾留期間,控訴申立人及び審理経過を確認する必要がある。
第2 控訴棄却の場合
1 実務上の目安
実務書には,原判決が維持された場合に控訴申立日から控訴審判決前日までの期間から一定日数を控除して算入するという目安が紹介されている。
2 機械的な権利ではない
いわゆる「60日控除」は法令に固定された一律の計算式ではなく,実務上の説明として扱うべきである。審理期間や遅延原因など個別事情により結論は変わり得る。
第3 原判決破棄の場合
1 自判の場合
控訴審が原判決を破棄して自判する場合,第一審判決後の未決勾留日数の扱いが主文上重要となる。判決主文と算入日数を確認する。
2 差戻しの場合
差戻し後も身柄拘束が続く場合,保釈,勾留取消し及び差戻し後判決での算入を含め,手続段階ごとに検討する。
第4 弁護側の確認事項
1 日数表を作る
第一審判決日,控訴申立日,記録到着日,控訴審期日,判決日及び身柄拘束の中断を一覧化する。
2 長期化の事情を記録する
弁護側に帰責できない記録送付の遅れ,期日指定の遅れ又は証拠開示の問題があれば,経過と資料を残し,算入及び身柄判断の主張に用いる。
第5 根拠資料及び注意
刑法(e-Gov法令検索)及び刑事訴訟法(e-Gov法令検索)を確認した。
具体的な算入日数は裁判所の判断を要し,実務書の目安だけで確定できない。