第1 必要的共同訴訟の控訴
1 一部の者による控訴の効力
必要的共同訴訟では,共同訴訟人の一人の訴訟行為が他の者にも影響し得る。ただし,一部の者が控訴した場合に全員が控訴人となるか,被控訴人となるか,又はいずれにもならないかは,訴訟の類型と紛争構造により異なる。
2 形式的な当事者表示だけで決めない
固有必要的共同訴訟か類似必要的共同訴訟か,誰の権利関係を合一に確定すべきかを確認し,当事者の地位を決める。
第2 主要な最高裁判例
1 全員が控訴人となる例
最高裁昭和38年3月12日判決は,事案の必要的共同訴訟性を踏まえ,一人の被告の控訴により他の被告も控訴人の地位を取得するとした。
2 被控訴人となる例
最高裁平成11年11月9日判決は,境界確定訴訟の当事者関係を踏まえ,共有者の一部が被控訴人の地位に立つとした。
3 いずれにもならない例
最高裁平成9年4月2日大法廷判決は,住民訴訟で自ら上訴しなかった共同訴訟人をその意思に反して上訴人にする効力までは生じないとした。
4 合一確定のため不利益変更が必要となる例
最高裁平成22年3月16日第三小法廷判決(平成20年(オ)第999号,民集64巻2号498頁)は,共同相続人全員の間で合一にのみ確定する相続人たる地位不存在確認請求を固有必要的共同訴訟とした上で,原告が上訴又は附帯上訴をしていなくても,合一確定に必要な限度では原判決を当事者に不利益に変更できるとした。
控訴審では,誰が控訴したかだけで処分範囲を決めず,①訴訟共同の類型,②判決効を合一に確定すべき範囲,③上訴不可分の範囲,④各当事者に対する審理の程度を図示してから,原判決のどの部分を維持又は変更できるかを検討する必要がある。
第3 通常の補助参加と共同訴訟的補助参加
1 まず参加の根拠を三層に分ける
通常の補助参加は,民事訴訟法42条が定める「訴訟の結果について利害関係を有する第三者」に認められる。ここでいう法律上の利害関係は,判決主文が直接及ぶ場合だけに限られないが,単なる事実上・経済上の影響とも区別される。参加人の法的地位にどのような影響が及ぶかを具体化する。
これとは別に,確定判決の効力が第三者にも及ぶため,共同訴訟人に準じた地位を与えるべき共同訴訟的補助参加が問題となる。①判決効が及ぶか,②通常の補助参加に必要な法律上の利害関係があるか,③後の別訴でどの事項が争われるかを分け,名称だけで参加類型を決めない。訴訟告知を受けた第三者が参加しなかった場合の効力(民事訴訟法53条4項)は,訴訟告知の使い方―参加的効力の範囲,告知の方式と敗訴後の求償・損害賠償への備えで整理している。
2 控訴行為と被参加人との抵触
通常の補助参加人は,民事訴訟法43条2項により上訴審でも参加でき,同法45条1項により上訴その他の訴訟行為をすることができる。ただし,同条2項により,参加人の訴訟行為が被参加人の訴訟行為と抵触するときは効力を有しない。
共同訴訟的補助参加では,判決効の拡張を根拠に,参加人の独立性を通常の補助参加より強く認めるべきかが問題となる。最高裁昭和40年6月24日判決などを踏まえ,誰が控訴したか,被参加人が控訴又は取下げをしたか,両者の行為がどの点で抵触するか,判決効が参加人へ及ぶ根拠は何かを個別に確認する。
第4 実務上の確認事項
1 当事者・参加人と判決効の一覧
第一審の当事者,参加人,控訴をした者,控訴の効力が及ぶ者及び送達先を一覧化する。その際,①判決効,②参加の法律上の利害関係,③後の別訴への影響を別欄にし,補助参加決定があるというだけで共同訴訟的補助参加と扱わない。
2 行為者・時点・効果・救済
各人の判決送達日,控訴状提出日,独立した控訴期間の有無,控訴又は取下げをした者,必要な授権及び他の当事者・参加人への効力を時系列で確認する。期間徒過や取下げが問題になるときは,誰のどの行為がいつ効力を生じ,その後に残る救済が何かまで分ける。
第5 根拠資料及び注意
民事訴訟法(e-Gov法令検索)及び上記最高裁判例を確認した。
必要的共同訴訟の分類と当事者関係により結論が変わるため,事件記録に即した確認が必要である。