第1 量刑不当の法的枠組み
1 刑の量定が甚だしく不当であること
刑事訴訟法381条は,刑の量定が甚だしく不当で判決に影響を及ぼすことが明らかな場合を控訴理由とする。単に「刑が重い」と述べるのではなく,原判決の量刑判断がなぜ許容範囲を外れるかを示す必要がある。
2 第一審の量刑判断を出発点とする
控訴審は量刑を一から決め直す場ではない。原判決が重視した犯情及び一般情状を特定し,評価の誤り,考慮漏れ又は比重の不合理を指摘する。
第2 控訴趣意書の構成
1 原判決の量刑理由を要約する
罪質,結果,動機,計画性,役割,被害回復,前科,反省,更生環境など,原判決が挙げた事情を整理する。
2 犯情と一般情状を区別する
犯罪行為そのものに関わる犯情と,被告人の生活歴・反省・監督環境等の一般情状を区別する。主張する事情が量刑の中心を動かすものか,補充的なものかを明示する。
3 結論への影響を示す
各事情の指摘後に,執行猶予の可否,刑種又は刑期にどう影響するかを書く。比較事例を用いる場合は,罪名だけでなく犯情の共通点・相違点を示す。
第3 原判決後の事情
1 被害弁償・示談
判決後の被害弁償,示談又は被害者の意向は,資料とともに提出する。成立時期,支払の実行及び被害回復の程度を具体化する。
2 更生環境
就労先,住居,引受人,治療,依存症対策及び監督計画は,実行可能性を裏付ける資料を付ける。抽象的な誓約だけでは評価されにくい。
第4 裁判員裁判の量刑審査
1 第一審判断の尊重
裁判員裁判でも控訴審の審査を受けるが,国民の良識を反映した判断を職業裁判官の感覚だけで置き換えてはならない。最高裁平成27年2月3日判決は,量刑傾向を本質的な検討要素として扱う必要を示している。
2 具体的な評価誤りを示す
量刑傾向からの乖離,犯情評価の誤り又は重要事情の考慮漏れを具体的に示す。単なる別評価の提示にとどめない。
第5 根拠資料及び関連記事
刑事訴訟法381条(e-Gov法令検索)及び上記最高裁判決を確認した。
刑事控訴全体は,刑事事件の上訴及び不服申立てを参照されたい。