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令和5年司法試験環境法第2問の模範解答と評価項目―出題の趣旨・採点実感から抽出した35項目と5段階の重み付け(AI作成)

令和5年司法試験・環境法第2問の費用負担と拡大生産者責任を,条文の仕組みから確認する。
35の評価項目と5段階の重みは公式資料からの独自の抽出であり,法務省の公式採点基準・配点ではない。

第1 この記事の対象と結論

対象は令和5年司法試験論文式試験・環境法第2問である。
問題文(法務省・選択科目,物理35~36頁),出題の趣旨(環境法第2問,物理33~34頁),採点実感(環境法総論・第2問,物理36・39~42頁)を基礎とする。

本問は,拡大生産者責任の個別法・基本法での具体化,利用事業者の選択権,販売見込額を基礎とする負担率,環境負荷に応じた調整料金及び支払留保への行政対応を扱う。
委託料を留保し,ほかの適法な履行もない場合には再商品化義務の不履行となるが,直ちに罰金が科されるのではなく,勧告・公表・命令等の法定段階を区別する。

評価項目は35件,重み5は13件,重みの合計は147である。
全件を第4に示し,2305字の答案と条文の読み方を第5で説明する。
高評価の項目は答案の深度を測るものであり,すべての答案への累積の必須要求ではない。

第2 評価項目の示し方と重み付けの基準

1 評価項目の示し方

一つの項目には,答案だけから充足を判断できる一つの対象を置いた。
番号は記事全体の通し番号であり,各表でリセットしない。
【必須】と【高評価】を重みと別に表示し,特に高評価の項目は最低限の全答案必須としない。
負例を正項目の不足として取り上げる場合は,同じ判定対象を二重に数えない。

根拠欄は公式PDFの物理頁と記述の役割を示す。
「記載なし」は当該第2問の関連範囲を読んだ結果であり,未確認を意味する表現としては用いない。
公式は複数の考え方が生じ得る部分では筋の通った説明を重視しており,本稿の答案が唯一の許容解答という趣旨ではない。

2 5段階の重み付けの基準

重み5は,答案の骨格又は採点実感が水準の分かれ目とした事項である。
重み4は,出題の趣旨が検討を求め,採点実感でも取り上げられた事項である。
本問では「取り上げられた」ことを基準とし,すべてが「高く評価された」と明言されているとは扱わない。
重み3は,いずれか一方が明示する中核の理由付け,重み2は軽く触れられた補強又は典型的な不十分記載,重み1は控えめに触れられた事項である。
各段階への件数割当ては行わず,本問では重み1に該当する独立項目は置かなかった。

第3 本問の概要

Xは小売業を営む特定容器利用事業者であり,指定法人との再商品化契約に基づいて委託料を支払ってきた。
容器を製造していない利用事業者にも負担が課され,製造等事業者より負担が重いことに不満を持っている。

設問1は,費用負担の原則,容器包装リサイクル法の具体的規定と合理化拠出金の機能低下,循環型社会形成推進基本法の条文を問う。
設問2は,利用事業者を負担主体にする理由,負担率の根拠規定,双方の負担を同等とした場合の立法上の方法,委託料を留保した場合の行政側の対応を問う。
違憲・国家賠償の主張を長く展開するのではなく,立法裁量を前提として資料の料金調整を検討する位置付けである。

第4 評価項目と重み

1 設問1⑴:費用負担の考え方

番号評価項目重み出題の趣旨採点実感
1【必須】使用後まで生産者の物理的又は財政的責任を拡大するEPRの意味を説明する5物理33頁・第2問の設問1⑴。当該制度・理由付けを説明。物理39頁・第2問について。設問に対応する基本事項として取り上げる。
2【高評価】生産者の環境配慮設計の能力・情報をEPRの根拠として説明する。深度を測る項目であり累積の必須要求ではない。3記載なし(対象範囲実読)。物理39頁・第2問について。論述の深度又は優秀答案像として取り上げる。
3【高評価】EPRを汚染者負担原則の派生原則として位置付ける。深度を測る項目であり累積の必須要求ではない。3記載なし(対象範囲実読)。物理39頁・第2問について。論述の深度又は優秀答案像として取り上げる。

2 設問1⑵①:個別法での具体化

番号評価項目重み出題の趣旨採点実感
4【必須】特定容器利用事業者の再商品化義務を11条に結び付ける5物理33頁・第2問の設問1⑵①。当該制度・理由付けを説明。物理41頁・第2問について。設問に対応する基本事項として取り上げる。
5【必須】特定容器製造等事業者の再商品化義務を12条に結び付ける4物理33頁・第2問の設問1⑵①。当該制度・理由付けを説明。物理41頁・第2問について。設問に対応する基本事項として取り上げる。
6【必須】特定包装利用事業者の再商品化義務を13条に結び付ける4物理33頁・第2問の設問1⑵①。当該制度・理由付けを説明。物理41頁・第2問について。設問に対応する基本事項として取り上げる。
7【高評価】指定法人との契約と債務履行を14条のみなし再商品化へ接続する。深度を測る項目であり累積の必須要求ではない。4物理33頁・第2問の設問1⑵①。当該制度・理由付けを説明。物理41頁・第2問について。論述の深度又は優秀答案像として取り上げる。
8【必須】10条の2の実費が想定額を下回る場合の市町村への差額の一部拠出を説明する4物理33頁・第2問の設問1⑵①。当該制度・理由付けを説明。物理39頁・第2問について。設問に対応する基本事項として取り上げる。

3 設問1⑵②:合理化拠出金の機能低下

番号評価項目重み出題の趣旨採点実感
9【高評価】実費が想定額へ近付き差額・拠出金がゼロになる仕組みを説明する。深度を測る項目であり累積の必須要求ではない。5物理33頁・第2問の設問1⑵②。当該制度・理由付けを説明。物理39頁・第2問について。論述の深度又は優秀答案像として取り上げる。

4 設問1⑶:循環基本法の責務と国の措置

番号評価項目重み出題の趣旨採点実感
10【必須】基本法11条の廃棄物等の発生抑制措置を説明する4物理33頁・第2問の設問1⑶。当該制度・理由付けを説明。物理40頁・第2問について。設問に対応する基本事項として取り上げる。
11【必須】基本法11条2項の表示・設計の工夫等を説明する4物理33頁・第2問の設問1⑶。当該制度・理由付けを説明。物理40頁・第2問について。設問に対応する基本事項として取り上げる。
12【必須】基本法11条3項の引取り・引渡し・循環的利用の責務を説明する4物理33頁・第2問の設問1⑶。当該制度・理由付けを説明。物理40頁・第2問について。設問に対応する基本事項として取り上げる。
13【必須】基本法11条4項の利用できる事業者による循環資源利用を説明する4物理33頁・第2問の設問1⑶。当該制度・理由付けを説明。物理40頁・第2問について。設問に対応する基本事項として取り上げる。
14【高評価】18条3項の適切な役割分担の必要性を措置対象の要件として示す。深度を測る項目であり累積の必須要求ではない。5物理33頁・第2問の設問1⑶。当該制度・理由付けを説明。物理40頁・第2問について。論述の深度又は優秀答案像として取り上げる。
15【高評価】18条3項の設計・原材料選択・収集の観点での事業者の重要性を示す。深度を測る項目であり累積の必須要求ではない。5物理33頁・第2問の設問1⑶。当該制度・理由付けを説明。物理40頁・第2問について。論述の深度又は優秀答案像として取り上げる。
16【高評価】18条3項の処分の技術上の困難性を考慮事項として示す。深度を測る項目であり累積の必須要求ではない。5物理33頁・第2問の設問1⑶。当該制度・理由付けを説明。物理40頁・第2問について。論述の深度又は優秀答案像として取り上げる。
17【高評価】18条3項の循環的利用の可能性を考慮事項として示す。深度を測る項目であり累積の必須要求ではない。5物理33頁・第2問の設問1⑶。当該制度・理由付けを説明。物理40頁・第2問について。論述の深度又は優秀答案像として取り上げる。
18【高評価】20条1項の製品等の事前評価を促す国の措置を具体化する。深度を測る項目であり累積の必須要求ではない。5物理33頁・第2問の設問1⑶。当該制度・理由付けを説明。物理40頁・第2問について。論述の深度又は優秀答案像として取り上げる。
19【高評価】20条2項の情報提供を促す国の措置を示す。深度を測る項目であり累積の必須要求ではない。5物理33頁・第2問の設問1⑶。当該制度・理由付けを説明。物理40頁・第2問について。論述の深度又は優秀答案像として取り上げる。
20【高評価】17条の国の発生抑制措置を補強規定として位置付ける。深度を測る項目であり累積の必須要求ではない。2物理33頁・第2問の設問1⑶。当該制度・理由付けを説明。物理39頁・第2問について。論述の深度又は優秀答案像として取り上げる。

5 設問2⑴:利用事業者の負担根拠

番号評価項目重み出題の趣旨採点実感
21【必須】利用事業者の特定容器に対する選択権・実質的決定権を費用負担根拠とする5物理33頁・第2問の設問2⑴。当該制度・理由付けを説明。物理40頁・第2問について。設問に対応する基本事項として取り上げる。

6 設問2⑵:販売見込額による負担率

番号評価項目重み出題の趣旨採点実感
22【必須】11条2項2号ロの販売見込額基準が利用事業者の過重負担感の理由であると説明する5物理33頁・第2問の設問2⑵。当該制度・理由付けを説明。物理40頁・第2問について。設問に対応する基本事項として取り上げる。
23【高評価】販売額基準が環境負荷・リサイクル困難性と直接対応しない点を立法論の補強として示す。深度を測る項目であり累積の必須要求ではない。2記載なし(対象範囲実読)。物理40頁・第2問⑴。立法論の理解が望まれるが,それ自体を問うものではない。

7 設問2⑶:調整料金制度

番号評価項目重み出題の趣旨採点実感
24【必須】立法裁量の前提を尊重して資料に基づく立法上の方法を提案する4物理34頁・第2問の設問2⑶。当該制度・理由付けを説明。物理40頁・第2問について。設問に対応する基本事項として取り上げる。
25【必須】製品・容器の環境負荷に応じて委託料を変える調整料金を具体化する5物理34頁・第2問の設問2⑶。当該制度・理由付けを説明。物理40頁・第2問について。設問に対応する基本事項として取り上げる。
26【必須】料金調整が環境負荷低減・環境配慮設計への誘因を与える経路を示す4物理34頁・第2問の設問2⑶。当該制度・理由付けを説明。物理40頁・第2問について。設問に対応する基本事項として取り上げる。

8 設問2⑷:支払留保と行政対応

番号評価項目重み出題の趣旨採点実感
27【必須】委託料留保が14条のみなし履行を妨げることを説明する。留保後にほかの履行もない場合を前提とする。4物理33頁・第2問の設問2⑷。当該制度・理由付けを説明。物理41頁・第2問について。設問に対応する基本事項として取り上げる。
28【必須】15条1項の認定による指定法人以外への委託等の再商品化ルートを識別する。留保後にほかの履行もない場合を前提とする。4物理34頁・第2問の設問2⑷。当該制度・理由付けを説明。物理40頁・第2問について。設問に対応する基本事項として取り上げる。
29【必須】18条の認定による自主回収ルートを識別する。留保後にほかの履行もない場合を前提とする。4物理34頁・第2問の設問2⑷。当該制度・理由付けを説明。物理40頁・第2問について。設問に対応する基本事項として取り上げる。
30【必須】支払留保かつ他ルートも不使用の場合に再商品化義務不履行となると示す。留保後にほかの履行もない場合を前提とする。5物理34頁・第2問の設問2⑷。当該制度・理由付けを説明。物理40頁・第2問について。設問に対応する基本事項として取り上げる。
31【必須】19条による主務大臣の指導・助言を示す。留保後にほかの履行もない場合を前提とする。4物理34頁・第2問の設問2⑷。当該制度・理由付けを説明。物理40頁・第2問について。設問に対応する基本事項として取り上げる。
32【必須】20条1項の正当理由のない不履行に対する勧告を示す。留保後にほかの履行もない場合を前提とする。4物理34頁・第2問の設問2⑷。当該制度・理由付けを説明。物理40頁・第2問について。設問に対応する基本事項として取り上げる。
33【必須】勧告不従順に対する20条2項の公表を示す。留保後にほかの履行もない場合を前提とする。4物理34頁・第2問の設問2⑷。当該制度・理由付けを説明。物理40頁・第2問について。設問に対応する基本事項として取り上げる。
34【必須】公表後なお正当理由なく不履行なら20条3項の措置命令と示す。留保後にほかの履行もない場合を前提とする。4物理34頁・第2問の設問2⑷。当該制度・理由付けを説明。物理40頁・第2問について。設問に対応する基本事項として取り上げる。
35【必須】46条の罰金が措置命令違反に対して科されると示す。留保後にほかの履行もない場合を前提とする。4物理34頁・第2問の設問2⑷。当該制度・理由付けを説明。物理40頁・第2問について。設問に対応する基本事項として取り上げる。

9 重みの分布

重み1は0件,2は2件,3は2件,4は18件,5は13件で,総数は35件である。
重みの合計は,0+2×2+3×2+4×18+5×13=147となる。

重み5の13件は,以下のとおりである。
番号1:使用後まで生産者の物理的又は財政的責任を拡大するEPRの意味を説明する(必須。当該小問の制度説明に適用する。)
番号4:特定容器利用事業者の再商品化義務を11条に結び付ける(必須。当該小問の制度説明に適用する。)
番号9:実費が想定額へ近付き差額・拠出金がゼロになる仕組みを説明する(高評価。発展・補強の深度を測る場合。最低限の全答案必須とはしない。)
番号14:18条3項の適切な役割分担の必要性を措置対象の要件として示す(高評価。発展・補強の深度を測る場合。最低限の全答案必須とはしない。)
番号15:18条3項の設計・原材料選択・収集の観点での事業者の重要性を示す(高評価。発展・補強の深度を測る場合。最低限の全答案必須とはしない。)
番号16:18条3項の処分の技術上の困難性を考慮事項として示す(高評価。発展・補強の深度を測る場合。最低限の全答案必須とはしない。)
番号17:18条3項の循環的利用の可能性を考慮事項として示す(高評価。発展・補強の深度を測る場合。最低限の全答案必須とはしない。)
番号18:20条1項の製品等の事前評価を促す国の措置を具体化する(高評価。発展・補強の深度を測る場合。最低限の全答案必須とはしない。)
番号19:20条2項の情報提供を促す国の措置を示す(高評価。発展・補強の深度を測る場合。最低限の全答案必須とはしない。)
番号21:利用事業者の特定容器に対する選択権・実質的決定権を費用負担根拠とする(必須。当該小問の制度説明に適用する。)
番号22:11条2項2号ロの販売見込額基準が利用事業者の過重負担感の理由であると説明する(必須。当該小問の制度説明に適用する。)
番号25:製品・容器の環境負荷に応じて委託料を変える調整料金を具体化する(必須。当該小問の制度説明に適用する。)
番号30:支払留保かつ他ルートも不使用の場合に再商品化義務不履行となると示す(必須。当該小問に回答する場合。設問2⑷は留保後に他の履行もないという条件。)

第5 模範解答

1 答案の前提と表記

基準日は選択科目の試験実施日である令和5年7月12日とする。
容器包装リサイクル法と循環型社会形成推進基本法を区別し,後者は循環基本法とも呼ぶ。
答案では「1→(1)」の階層を用い,各制度の主体・要件・効果を説明する。
字数は空白を含むUnicode文字数から改行を除いた2305字であり,2500字の上限内である。

2 答案

1 設問1

(1) 費用負担の考え方

容器包装リサイクル法の費用負担は,拡大生産者責任(EPR)に基づく。
これは,製品等の生産者に,製品が使用され,廃棄物となった後の段階まで,適正なリサイクル・処分について物理的又は財政的な責任を負わせる考え方である。

汚染者に環境保全費用を負担させる汚染者負担原則(PPP)の派生原則である。

従来の消費者・市町村による廃棄物処理だけでなく,環境配慮設計の能力・情報を有する事業者へ責任を拡大し,処理費用を事業活動に反映させる。
これにより,廃棄物の発生抑制,リサイクル容易な設計・容器の選択を促す。

(2) 個別法での具体化と機能の低下

①同法11条1項,12条1項及び13条1項は,特定容器利用事業者,特定容器製造等事業者及び特定包装利用事業者に,再商品化義務量の再商品化を義務付ける。
消費者が分別排出し,市町村が分別収集する一方,事業者が再商品化の責任を負う分担である。
14条により,指定法人との再商品化契約を締結し,委託料等の債務を履行すれば,委託量につき再商品化したものとみなされ,財政的責任を果たすことができる。

さらに,10条の2は,再商品化の実費が想定費用を下回る場合,その差額のうち市町村の合理化への寄与を勘案した額を,指定法人等から市町村へ支払わせる。
分別の質を高める等の市町村の努力を報い,効率化を促す仕組みである。

②この合理化拠出金は,実費が想定額を下回ることを前提とする。
しかし,従前の合理化の成果が想定単価に反映され,想定費用が低下すれば,さらに費用を削減する余地は小さくなる。
また,実費が増加して想定額を下回らなくなれば,支払原資となる差額が生じない。
このように実費が想定額へ近付き,最終的に差額・拠出金がゼロとなるため,規定が存続していても市町村への誘因として十分に機能しなくなってきた。

(3) 循環基本法での具体化

循環型社会形成推進基本法11条は,①原材料等の廃棄物化の抑制及び適正な循環的利用等(1項),②製品等の耐久性向上・設計の工夫・材質表示等による発生抑制及び循環的利用の促進等(2項),③使用後の製品等の引取り・引渡し・循環的利用(3項),④技術的・経済的に利用可能で,利用促進に重要な循環資源につき,利用できる事業者による適正な利用(4項)の責務を定める。

国は,18条3項により,処分の技術上の困難性や循環的利用の可能性等を勘案し,適切な役割分担が必要で,設計・原材料選択・収集等の観点から事業者の役割が重要な製品等について,引取り等を行わせる措置を講ずる。
技術的困難性・利用可能性は考慮事項,役割分担の必要性・事業者の重要性は措置対象の要件として区別する。

17条は発生抑制の措置を定める。
20条1項は,耐久性,処理の困難性,重量・体積,有害物質等の事前評価と環境負荷低減の工夫を促す技術的支援等を,同条2項は材質・処分方法等の情報提供を促す規制等を国に求める。

2 設問2

(1) 利用事業者の負担根拠

特定容器利用事業者は,製造行為自体をしなくても,商品に用いる容器の材質,形状,量等を選択し,製造側への発注を通じて容器の設計等に影響を与えられる。
廃棄・再商品化費用を負担させれば,過剰な容器使用を減らし,再商品化しやすい容器を選ぶ誘因が生まれる。
この設計・選択への支配可能性が実質的根拠であり,生産者責任は直接の製造者だけに限られない。

(2) 販売見込額による負担率

同法11条2項2号ロは,業種ごとの利用事業者負担率を,容器を用いた商品の販売見込額の総額を,その額と容器自体の販売見込額の総額の合算額で除した率を基礎として定める。
12条2項2号ロは,製造等事業者側の率を,1から前記率を控除した率とする。

容器入り商品の額には中身の価値も含まれ,通常,容器自体の額より大きい。
そのため,容器の量が対応していても,利用側の負担率が製造側より大きくなる。
これがXの主張に対応する条文上の仕組みである。

販売見込額は容器の環境負荷やリサイクル困難性と直接対応しないため,立法論上,環境配慮への誘因を弱める問題がある。

(3) 調整料金制度

国の立法裁量を前提に,立法論として双方の負担を同等とした上で,資料の調整料金制度を導入することが考えられる。
すなわち,リサイクルの容易さ,耐用年数,使用後の環境負荷等を基準として,指定法人への委託料金を調整する。
再使用・再商品化が容易な設計や材質の容器は料金を低くし,複合素材等により処理が困難な容器は高くする。

製造側には環境配慮設計を,利用側にはその容器の選択・発注を促せる。
単なる販売額の大小による負担配分より,削減できる環境負荷と費用負担を結び付け,双方の行動を適切に誘導できる。

(4) 支払留保への措置

14条のみなしは,契約締結だけでなく,契約上の債務の履行を要する。
Xが支払期限を過ぎても委託料を留保し,15条1項の認定による指定法人以外への委託等のルートも,18条の認定による自主回収ルートも用いていなければ,11条の義務を履行していないこととなる。
制度への不満だけで支払を留保することは,通常,正当な理由とはならない。

主務大臣は,19条により必要な指導及び助言をすることができる。
正当な理由なく再商品化しなければ,20条1項により再商品化すべき旨を勧告でき,勧告に従わなければ2項によりその旨を公表できる。
公表後もなお正当な理由なく措置をとらなければ,3項により勧告に係る措置を命ずることができる。
命令違反には46条の100万円以下の罰金がある。
委託料未払だけから直ちにこの刑罰を科すことはできない。

以上

3 出題の趣旨・採点実感を踏まえた解説

(1) 答案と評価項目の対応

答案の1(1)は番号1~3,1(2)は番号4~9,1(3)は番号10~20に対応する。
答案の2(1)は番号21,2(2)は番号22~23,2(3)は番号24~26,2(4)は番号27~35に対応する。
番号14~19などは高評価の深度を示すものであり,一つの欠落だけで答案全体が不良になるという基準ではない。

(2) 基本法の責務・措置を分ける

番号10~13では循環基本法11条の4つの内容を分ける。
生産者責任という名称だけでなく,原材料等の抑制,製品設計等,引取り等,利用可能な循環資源の利用という各責務まで条文に結び付ける。

番号14~17の18条3項では,処分の技術上の困難性・循環的利用の可能性は勘案する事情であり,適切な役割分担の必要性と事業者の役割の重要性は措置対象を画する要件である。
公式の4点を並べるだけでなく,法文の接続語に応じて位置付けを区別した。
番号18~19では,20条の事前評価と情報提供のそれぞれについて国の必要な措置まで説明する。

(3) 合理化拠出金と負担率

番号9は,実費と想定額の差額が原資であることから,差額が縮まると拠出がなくなる作用機序を説明する項目である。
この公式の説明は,すべての年度・素材で永久にゼロになるとの実証命題ではない。
条文上は実費が想定費用を下回ることが支払の条件となる。

番号22の販売見込額は,容器入り商品の額と容器自体の額を比較する仕組みである。
X個社が多く売ったという事実だけで負担率の差を説明するのではない。
番号23の環境負荷との非対応は立法論の補強であり,それ自体が独立して設問の必須要求になっているとはしない。
番号25の調整料金は,資料を日本の政策案へ用いるものであり,フランスの制度を日本の現行法の義務として記述するものではない。

(4) 不履行と行政措置の段階

番号27~30では,14条の指定法人との契約上の債務履行,15条の認定再商品化及び18条の自主回収を区別する。
別ルートの履行を確認せず,未払だけで一律に違反と断定することを避けた。

番号31~35は指導・助言,勧告,公表,命令及び命令違反罰の段階である。
罰金の対象は命令違反であり,指定法人への委託料未払そのものを直ちに刑罰の対象とするものではない。
出題の趣旨34頁は不履行を15条違反と表記するが,15条は認定の規定であり,Xの義務の直接根拠である11条と区別して答案を構成した。

(5) 答案の弱点と扱わなかった事項

事業者の責務及び国の措置をコンパクトにまとめたため,各項の全文や施行規則の算定の細部は再現していない。
指定法人の委託契約の具体的期限・金額は問題文の事実を超えて補わず,支払期限経過と別履行がない場合という条件で行政対応を示した。

報告徴収・立入検査は同法39条・40条に根拠があるが,本問の主要な制裁手段とは別の履行状況把握の権限なので,答案本文では省略した。
また,国の違憲立法・国家賠償の成否を詳しく論じる構成は採らない。

第6 関連記事

1 同じ年度の司法試験の別の模範解答

①令和5年司法試験民事系第1問(民法)の模範解答と評価項目―出題の趣旨・採点実感から抽出した80項目と5段階の重み付け(AIリライト)
②令和5年度司法試験論文式試験の主要7科目の模範解答(AI作成)
③令和5年度司法試験論文式試験の選択科目8科目の模範解答(AI作成)

2 本問の模範解答と関連する山中弁護士ブログの記事

①令和6年司法試験環境法第2問の模範解答・評価項目―42項目と5段階の重み付け(AI作成)
②司法試験の過去問・参考答案一覧―令和元年~令和8年の年度別・科目別ガイド(AI作成)

別年度の記事は学習案内であり,本問の法的内容の根拠には用いていない。

第7 出典及び確認状態

1 公式資料

①令和5年司法試験論文式試験問題・選択科目(法務省):物理35~36頁の環境法第2問及び資料。
②令和5年司法試験論文式試験問題出題の趣旨(法務省):物理33頁の第2問見出しから34頁の次科目前まで。
③令和5年司法試験の採点実感・選択科目(法務省):物理36頁の共通方針と第2問概説,39頁の第2問見出しから42頁末まで。
④令和5年司法試験の実施日程(法務省):選択科目の試験日は7月12日。

2 法令

①容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律(e-Gov):10条の2,11~15条,18~20条,39・40・46条。
②循環型社会形成推進基本法(e-Gov):11・17・18・20条。
③環境省の容器包装リサイクル法の掲載条文,循環基本法の掲載条文。
④合理化拠出金の取扱いに関する令和4年10月24日資料(日本容器包装リサイクル協会):物理3頁の想定額・実費の関係。
⑤平成18年循環型社会白書(環境省):拡大生産者責任の政策上の意味。

3 裁判例

採点実感はライフ事件(東京地裁平成20年5月21日判決。裁判所HP未掲載)を素材として挙げている。
本稿では当該判決原文の全文を確認したという扱いをせず,判旨の逐語引用や「判例同旨」の表示を答案に付していない。

4 確認状態

公式資料の要求と水準像は公式原文に照合した。
費用負担・みなし再商品化・行政措置と基本法の責務については,公式解説とは別に法令本則を照合した。
取得したe-Gov法令データ及び施行情報から対象条文を試験実施時の法状態として用い,環境省の掲載条文全体をそのまま試験日時点の正本とは扱っていない。

重み・評価単位の切分け・説明の優先順位・立法案は本稿の独自判断である。
法務省の個別配点,ライフ事件判決原文の全体及びXの契約の具体的履行状況はこの答案によって確定するものではない。