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令和6年司法試験環境法第2問の模範解答・評価項目―42項目と5段階の重み付け(AI作成)

令和6年司法試験・環境法第2問の模範解答と評価項目を,公式資料と当時の法令・判例に基づいて整理する。

第1 この記事の対象と結論

本記事は,令和6年司法試験の環境法第2問について,法務省の出題の趣旨・採点実感から独自に抽出した42評価項目と,2500字以内の模範解答を示す。重み5は14項目,重みの合計は169である。法務省の公式採点基準・配点・予測得点ではない。

本問の中心は,廃棄物の分類と許可の範囲,一般廃棄物処理業の計画許可・既存業者の原告適格,実質役員の欠格要件,適正処理困難通知から管理票交付者の措置義務及び行政命令への接続である。原告適格は判例に沿って肯定する構成を採る。許容される別構成や補強の省略も評価表に含めるため,全42行を全答案への累積要求とするものではない。

第2 評価項目の示し方と重み付けの基準

1 評価項目の示し方

各行は一つの判定対象に分け,必須・高評価・負例・許容分岐を重みと別に表示する。負例は避けるべき記述,許容分岐は条件に応じた評価上の取扱いである。判例名の省略や任意の補強の省略を,それだけで欠落と評価しない。頁はPDFの物理頁を示す。「記載なし」は対象範囲を実読した結果であり,未読を意味しない。公式の語句を必要最小限掲げ,基準への言い換えと重み付けは本記事の分析である。

2 5段階の重み付けの基準

①重み5:採点実感が評価の分かれ目とした事項,又は答案の骨格そのもの。
②重み4:出題の趣旨が検討を求め,採点実感も評価又は具体的な誤りの指摘を通じて取り上げた事項。全件を「高く評価」と読み替えない。
③重み3:一方が明示する中核の理由付け。
④重み2:一方が軽く触れる補強又は典型的な誤り。
⑤重み1:一方が控えめに触れる事項。今回は該当0件であり,段階ごとの件数を割り当てていない。

第3 本問の概要

甲社はカマボコ工場の製造残渣及び社員食堂の調理くず・残飯の処理をC社へ委託しようとしている。C社の既存許可は金属くずと廃プラスチック類の2品目に限られる。社員食堂の収集運搬の許可を新たに得たC社に対し,同じB市で同種の許可を有する乙社は取消訴訟を検討する。C社に実質的影響力を持つGは私的傷害で逮捕・勾留中である。さらにC社の施設が故障し,搬入を続けた結果,保管上限を超え,道路へ廃プラスチック類が崩落する。

設問1は委託違法の理由,設問2は許可制度の比較と原告適格,設問3は現在の欠格要件への非該当理由,設問4はC社・甲社の対応と甲社への行政措置を問う。廃掃法上の権限は全てB市長にあるとの問題文の前提に従う。原告適格の設問では本案の許可違法や国家賠償まで論じない。

第4 評価項目と重み

1 設問1

番号評価項目重み出題の趣旨採点実感
1【必須】製造残渣を,製造原料に係る固形状不要物として産業廃棄物に分類する。
条件:全答案
5物理34頁・環境法 第2問 設問1
「魚の残渣や野菜くずが産業廃棄物に該当」
物理34頁・環境法 第2問/⑴ 設問1
「魚の残渣や野菜くずが産業廃棄物に該当」
2【必須】社員食堂の調理くず・残飯は産業廃棄物に当たらず一般廃棄物とする。
条件:全答案
5物理34頁・環境法 第2問 設問1
「一般廃棄物となる点」
物理34頁・環境法 第2問/⑴ 設問1
「一般廃棄物となること」
3【必須】産業廃棄物は委託対象品目の処理業許可を有する業者に委託すべきことを説明する。
条件:全答案
5物理34頁・環境法 第2問 設問1
「委託に係る品目についての処理業許可」
物理34頁・環境法 第2問/⑴ 設問1
「委託品目の許可を持つ者」
4【必須】C社の2品目の許可に製造残渣が含まれないことを当てはめる。
条件:全答案
4物理34頁・環境法 第2問 設問1
「C社はそれには当たらない」
物理34頁・環境法 第2問/⑴ 設問1
「C社は当該許可を有していない」
5【負例】魚の残渣が廃棄物かという抽象的検討だけに終始しない。
条件:全答案:当該負例がないこと
2記載なし物理34頁・環境法 第2問/⑴ 設問1
「廃棄物に該当するかの検討に終始」
6【許容分岐】社員食堂の分類を設問2で記述した場合も内容の充足を認める。
条件:分類を設問2へ配置した答案のみ
2記載なし物理34頁・環境法 第2問/⑴ 設問1
「これを記述した答案に対しても得点を付与」

2 設問2⑴

番号評価項目重み出題の趣旨採点実感
7【必須】産業廃棄物は基本的に排出事業者が処理責任を負うと説明する。
条件:全答案
4物理34頁・環境法 第2問 設問2⑴
「処理責任が基本的に排」
物理34頁・環境法 第2問/⑴ 設問2⑴
「責任が基本的に排出事業者」
8【必須】産業廃棄物処理業の許可を警察許可と位置付ける。
条件:全答案:名称に加え性質を説明
4物理34頁・環境法 第2問 設問2⑴
「いわゆる警察許可」
物理34頁・環境法 第2問/⑴ 設問2⑴
「許可は警察許可」
9【必須】一般廃棄物の処理責任は市町村にあると説明する。
条件:全答案
4物理34頁・環境法 第2問 設問2⑴
「処理責任が市町村」
物理35頁・環境法 第2問/⑴ 設問2⑴
「理の責任が市町村」
10【必須】一般廃棄物処理業許可が市町村による処理を補完する制度であると説明する。
条件:全答案
4物理34頁・環境法 第2問 設問2⑵(⑴の制度比較を補強)
「補完的性質」
物理35頁・環境法 第2問/⑴ 設問2⑴
「市町村の事務について例外的」
11【必須】市町村による収集運搬が困難という7条5項1号の基準を示す。
条件:全答案
4物理34頁・環境法 第2問 設問2⑴
「市町村による収集運搬が困難」
物理35頁・環境法 第2問/⑴ 設問2⑴
「市町村による収集運搬が困難」
12【必須】一般廃棄物処理計画への適合という7条5項2号の基準を示す。
条件:全答案
4物理34頁・環境法 第2問 設問2⑴
「一般廃棄物処理計画に適合」
物理35頁・環境法 第2問/⑴ 設問2⑴
「一般廃棄物処理計画に適合」
13【必須】計画許可として市町村長に広い裁量があるため取得の予測が難しいと説明する。
条件:全答案:ラベルだけでなく因果を記述
5物理34頁・環境法 第2問 設問2⑴
「裁量が広い計画許可」
物理35頁・環境法 第2問/⑴ 設問2⑴
「市町村長に広い裁量」
14【必須】許可の性質・責任主体・許可基準の相違を産業廃棄物との比較で論じる。
条件:全答案
4物理34頁・環境法 第2問 設問2⑴
「両者の特徴を対比」
物理36頁・環境法 第2問/⑵ 差異の原因
「産業廃棄物処理業の許可との対比」

3 設問2⑵

番号評価項目重み出題の趣旨採点実感
15【必須】取消訴訟の原告適格が問題であると把握し,利益保護について論理的に論じる。
条件:全答案
5物理34頁・環境法 第2問 設問2⑵
「原告適格が争われた」
物理35頁・環境法 第2問/⑴ 設問2⑵
「原告適格の問題であること」
16【高評価】市町村の補完的・計画的な処理制度を営業利益保護の論拠に用いる。
条件:肯定構成:根拠候補の一つ
4物理34頁・環境法 第2問 設問2⑵
「補完的性質」
物理35頁・環境法 第2問/⑴ 設問2⑵
「前記①及び②に加え」
17【高評価】一般廃棄物処理業を専ら自由競争に委ねない制度と説明する。
条件:肯定構成:根拠候補の一つ
4間接:物理34頁・環境法 第2問 設問2⑵
「自由競争が基本とされる産業廃棄物」
物理35頁・環境法 第2問/⑴ 設問2⑵
「自由競争でないこと」
18【高評価】7条12項の処理料金の上限を営業利益保護の補強に用いる。
条件:肯定構成:選択的補強。全根拠の累積要求なし
4物理34頁・環境法 第2問 設問2⑵
「第7条第12項が料金上限」
物理35頁・環境法 第2問/⑴ 設問2⑵
「第7条第12項は料金上限」
19【高評価】既存業者の経営悪化が住民の衛生・環境への危険に結び付くことを示す。
条件:肯定構成:根拠候補の一つ
4物理34頁・環境法 第2問 設問2⑵
「経営が悪化すると住民の衛生や環境」
物理35頁・環境法 第2問/⑴ 設問2⑵
「経営が悪化すると住民の衛生や環境」
20【必須】制度を踏まえて既存業者の営業利益の個別的保護を理由付ける。
条件:本稿の肯定構成。否定構成では22により代替
5物理34頁・環境法 第2問 設問2⑵
「個別的に保護される利益」
物理32・35頁・環境法 第2問/⑴ 設問2⑵
「既存業者の営業上の利益」
21【高評価】同じ区域・同種許可の既存業者である乙社に規範を当てはめる。
条件:肯定構成。公式一般論から本問への当てはめはInference
4物理34頁・環境法 第2問 設問2⑵
「既存の許可業者の営業上の利益」
物理35頁・環境法 第2問/⑴ 設問2⑵
「既存業者は事業」
22【許容分岐】原告適格を否定する場合も説得的な理由を示し,結論だけで一律に排除しない。
条件:否定構成のみ。本稿は不採用
3記載なし物理36頁・環境法 第2問/⑶ 各水準の答案
「説得的な説明を展開できていれば」
23【許容分岐】判例名・年月日の指摘を必須条件にしない。
条件:評価側の条件:名称の省略だけで欠落にしない。肯定論拠群16~19は選択的補強
3記載なし物理35頁・環境法 第2問/⑴ 設問2⑵
「最高裁判決の存在を指摘することまでは求められない」

4 設問3

番号評価項目重み出題の趣旨採点実感
24【必須】役員の定義が実質的支配者も含むことを資料2と7条5項4号ホから示す。
条件:全答案:公式趣旨の条項転倒は法令で修正
4間接:物理34頁・環境法 第2問 設問3
「取締役会に出席して積極的に発言」
物理35頁・環境法 第2問/⑴ 設問3
「第7条第5項第4号ホ」
25【必須】取締役会での発言・意思決定への影響からGを実質役員に当てはめる。
条件:全答案:単なる肩書で除外しない
4物理34頁・環境法 第2問 設問3
「同社の意思決定にも影響力を保持しているG」
物理35頁・環境法 第2問/⑴ 設問3
「同法第7条第5項第4号ホにいう「役員」にGが該当すること」
26【必須】14条5項2号ニ→イ→7条5項4号チの欠格条文を接続する。
条件:全答案
5間接:物理34頁・環境法 第2問 設問3
「関係規定に言及」
物理35頁・環境法 第2問/⑴ 設問3
「第7条第5項第4号チ」
27【必須】Gの私的傷害は廃棄物処理に関連せず,資料2の不正・不誠実のおそれの例に当たらないと説明する。
条件:全答案
5物理34頁・環境法 第2問 設問3
「廃棄物の処理に関係した罪」
物理35頁・環境法 第2問/⑴ 設問3
「廃棄物処理に関係した罪」

5 設問4⑴

番号評価項目重み出題の趣旨採点実感
28【必須】施設の故障による使用不能と保管上限到達を規則10条の6の2へ当てはめる。
条件:全答案
4間接:物理34・35頁・環境法 第2問 設問4⑴
「関係条文を参照」
物理35頁・環境法 第2問/⑴ 設問4⑴
「同法施行規則第10条の6の2」
29【必須】C社が14条13項の適正処理困難通知を甲社に発出すべきことを示す。
条件:全答案
5物理34頁・環境法 第2問 設問4⑴
「適正処理困難通知」
物理35頁・環境法 第2問/⑴ 設問4⑴
「所定の通知を甲社」
30【必須】甲社を管理票交付者と把握して対応義務を論じる。
条件:全答案
4間接:物理35頁・環境法 第2問 設問4⑵(⑴の義務の経由を説明)
「同法第12条の3第8項」
物理35頁・環境法 第2問/⑴ 設問4⑴
「管理票交付者」
31【必須】12条の3第8項を直接の根拠として,甲社の状況把握と適正措置を示す。
条件:全答案:管理票制度が評価の分かれ目
5物理35頁・環境法 第2問 設問4⑵(⑴の義務の経由を説明)
「同法第12条の3第8項」
物理35頁・環境法 第2問/⑴ 設問4⑴
「同法第12条の3第8項に従って」
32【高評価】堆積廃棄物の中間処理業許可を持つ別業者と甲社が委託契約を締結する。
条件:本件の具体策:高評価であり全答案の一般的義務へ拡張しない
5物理35頁・環境法 第2問 設問4⑴
「処理業者と委託契約をした上」
物理35頁・環境法 第2問/⑴ 設問4⑴
「処理業者と委託契約を締結」
33【高評価】別の処理業者への運搬を確保するよう甲社がC社に指示する。
条件:本件の具体策:措置の具体化として評価。中間処理をC社へ再委託する構成ではない
5物理35頁・環境法 第2問 設問4⑴
「C社に対して指示」
物理35頁・環境法 第2問/⑴ 設問4⑴
「C社に指示」

6 設問4⑵

番号評価項目重み出題の趣旨採点実感
34【必須】不適正保管と前面道路への崩落による生活環境保全上の支障を認定する。
条件:全答案:採点実感では義務違反による支障として取り上げ
4物理35頁・環境法 第2問 設問4⑵
「生活環境保全上の支障が発生」
物理35頁・環境法 第2問/⑴ 設問4⑵
「支障の除去」
35【必須】甲社の12条の3第8項違反が19条の5第1項3号ヘの管理票義務違反に該当すると接続する。
条件:全答案:直接根拠が評価の分かれ目
5物理35頁・環境法 第2問 設問4⑵
「第1項第3号ヘ」
物理35・36頁・環境法 第2問/⑴ 設問4⑵
「管理票に係る義務違反」
36【必須】C社の対応困難を踏まえ,B市長が甲社へ支障除去の措置命令を発することを説明する。
条件:全答案:19条の6の補充要件とは混同しない
4物理35頁・環境法 第2問 設問4⑵
「B市長としては甲社」
物理35頁・環境法 第2問/⑴ 設問4⑵
「許可権者に付与」
37【必須】排出事業者処理責任又は汚染者支払・原因者負担原則を具体的な命令制度と結び付ける。
条件:全答案:制度原則は少なくとも一つを具体化
5物理35頁・環境法 第2問 設問4⑵
「汚染者支払原則・原因者負担原則」
物理35頁・環境法 第2問/⑴ 設問4⑵
「汚染者支払原則・原因者負担原則」
38【許容分岐】11条1項・汚染者支払・原因者負担の全てへの言及を累積的に要求しない。
条件:評価側の条件:一つを具体化すれば,残りの省略だけで減点しない
3記載なし物理35頁・環境法 第2問/⑴ 設問4⑵
「全てに言及することまでは求められない」

7 答案全体

番号評価項目重み出題の趣旨採点実感
39【負例】条項の引用と結論だけに止まらず,解釈・事実適用・効果を説明する。
条件:全答案:負例回避
2記載なし物理35頁・環境法 第2問/⑴ 答案全体
「条項の指摘と結論のみ」
40【高評価】各小問で求められた主体・措置に対応する条項を正確に指摘する。
条件:全答案:取消しの入口条項は未読版本文外のみ
3記載なし物理36頁・環境法 第2問/⑶ 各水準の答案
「法令の条項を正しく指摘」
41【高評価】資料の限定・参照を読み,飛躍のない理由付けを記述する。
条件:全答案:実質の論理性。調査記録は答案外
3記載なし物理32頁・環境法 2 採点方針(共通)
「論理的に記述されている」
42【高評価】後半の設問3・4を空欄にせず,全設問の解答を確保する。
条件:全答案:答案から判定できるのは解答有無。実際の試験時間配分は測定しない
2記載なし物理36頁・環境法 第2問/⑵ 時間配分
「バランスの良い時間配分」

8 重みの分布

重み1=0項目,2=4項目,3=5項目,4=19項目,5=14項目。総数N=42,単純な重み合計W=169。区分や条件の異なる項目を含むため,Wは得点の分母ではない。

重み5の全14項目は,番号1(製造残渣を,製造原料に係る固形状不要物として産業廃棄物に分類する。),番号2(社員食堂の調理くず・残飯は産業廃棄物に当たらず一般廃棄物とする。),番号3(産業廃棄物は委託対象品目の処理業許可を有する業者に委託すべきことを説明する。),番号13(計画許可として市町村長に広い裁量があるため取得の予測が難しいと説明する。),番号15(取消訴訟の原告適格が問題であると把握し,利益保護について論理的に論じる。),番号20(制度を踏まえて既存業者の営業利益の個別的保護を理由付ける。),番号26(14条5項2号ニ→イ→7条5項4号チの欠格条文を接続する。),番号27(Gの私的傷害は廃棄物処理に関連せず,資料2の不正・不誠実のおそれの例に当たらないと説明する。),番号29(C社が14条13項の適正処理困難通知を甲社に発出すべきことを示す。),番号31(12条の3第8項を直接の根拠として,甲社の状況把握と適正措置を示す。),番号32(堆積廃棄物の中間処理業許可を持つ別業者と甲社が委託契約を締結する。),番号33(別の処理業者への運搬を確保するよう甲社がC社に指示する。),番号35(甲社の12条の3第8項違反が19条の5第1項3号ヘの管理票義務違反に該当すると接続する。),番号37(排出事業者処理責任又は汚染者支払・原因者負担原則を具体的な命令制度と結び付ける。)。具体策の番号32・33は高評価の項目であり,どの事案でも別業者との契約・指示を必須とする一般規則ではない。番号20は本稿の原告適格肯定構成に適用し,否定構成の許容条件は番号22で示した。

第5 模範解答

1 答案の前提と表記

試験日は令和6年7月10日。法務省の当該試験の法令基準は原則同年1月1日現在であり,法令はこの指定に従い,判例は試験実施前のものを用いる。廃掃法は廃棄物の処理及び清掃に関する法律,規則は同法施行規則を指す。原告適格は肯定構成を採り,最高裁の法廷意見の規範・制度分析を参照する。本文は空白・改行を除いて2376字(Unicode文字数)である。

2 答案

1 設問1

魚の残渣及び野菜くずは,食料品製造業であるカマボコ製造において原料として使用した動植物の固形状の不要物であり,廃掃法2条4項1号,施行令2条4号の産業廃棄物に当たる。他方,社員食堂の調理くず・残飯は製造原料に係る不要物ではなく,産業廃棄物に当たらないから,事業活動に伴うものであっても一般廃棄物である(同条2項)。

産業廃棄物の運搬・処分の委託は,それぞれ適格な収集運搬業者・処分業者に,委託基準に従って行わなければならない(12条5・6項)。委託対象の処理が受託者の事業範囲に含まれる必要がある(令6条の2)。C社の許可は金属くず・廃プラスチック類に限られ,製造残渣を含まない。14条の2第1項の変更許可も得ておらず,この委託は違法である。

一般廃棄物も収集運搬・処分につきそれぞれ許可が必要であり(7条1・6項),事業者は適格な一般廃棄物処理業者等へ委託しなければならない(6条の2第6・7項)。C社はその許可を有しない。産業廃棄物の許可で代用できず,食堂廃棄物の委託も違法である。

2 設問2

(1)

食堂廃棄物の収集運搬には7条1項の許可を要する。同条5項は,市町村による収集運搬が困難であること,申請内容が一般廃棄物処理計画に適合することに加え,施設・能力の基準適合及び欠格事由の不存在を要求する。

一般廃棄物の処理は市町村が計画に従って行う責務を負う(6条,6条の2第1項)。発生量・処理量には一定の限界があり,適正な処理を継続的・安定的に確保するため,既存業者の能力や需給も踏まえて許否を判断する。計画許可として,計画適合性等について市長に広い裁量があり,C社自身の能力が十分でも許可されるとは限らない。

これに対し,製造残渣の収集運搬は産業廃棄物の事業範囲変更の問題である。14条の2第2項が準用する14条5項の基準には,施設・能力及び欠格事由の要件はあるが,市町村の処理困難性及び一般廃棄物処理計画への適合性はない。この許可は,排出事業者の責任による適正処理のための警察許可であり,この相違から食堂廃棄物の許可の予測は難しい。

(2)

行訴法9条1項の法律上の利益とは,処分によって自己の権利又は法律上保護された利益を侵害され,又は必然的に侵害されるおそれのある者の利益をいう。第三者の利益の保護は,同条2項に従い根拠法令の趣旨・目的,利益の内容・性質,侵害態様等から判断する。

廃掃法の目的は生活環境の保全及び公衆衛生の向上である。しかし,一般廃棄物処理業は公共性が高く,市町村の統括的責任の下,限られた業務量を安定して処理すべき事業であり,専ら自由競争に委ねられず,7条12項は処理料金の上限も定める。許可業者の濫立により需給均衡が崩れ,既存業者の経営が悪化すれば,適正な処理も損なわれ,住民の衛生・環境に危険が生じる。このため計画適合性等の審査で既存業者への影響を考慮する仕組みは,公益の基礎となる既存業者の営業利益を個別的利益としても保護する(最判平成26年1月28日)。

乙社は同じB市内で同種の許可を受けた既存業者であり,本件許可によりその利益を侵害されるおそれがあるから,原告適格を有する。

3 設問3

許可取消しの入口は14条の3の2第1項4号である。14条5項2号ニは,法人の役員等に同号イ又はロの該当者がいる場合を欠格とする。7条5項4号ホの役員の定義には,名称にかかわらず取締役等と同等以上の支配力を持つ者も含まれる。Gは取締役会に出席して積極的に発言し,意思決定への影響力を有するから,実質的支配者として役員に当たる。しかし,以下の欠格事由に該当しない。

同号イが参照する7条5項4号ハ・ニは,禁錮以上の刑又は所定の犯罪による罰金刑に処せられたこと等を要する。Gは傷害の被疑事実で逮捕・勾留されているだけで,刑に処せられていない。

同号チの不正・不誠実な行為のおそれも検討する。【資料2】の指針は,傷害罪による逮捕・勾留等を挙げるが,廃棄物処理に関連して犯された場合に限る。本件は仕事のない日の私的な食事中の口論であり,その関連性を欠く。この事実だけから将来業務上の不正・不誠実な行為を相当程度予想する理由もない。したがって現在の状況では14条5項の当該欠格要件に該当しない。

4 設問4

(1)

機械事故で施設を使用できず,保管量が上限に達したから,規則10条の6の2第1号の事由がある。C社は14条13項に基づき,遅滞なく,事由発生から10日以内にその内容等を記載した書面を甲社へ送付しなければならない(規則10条の6の3)。

通知を受けた甲社は,管理票交付者として12条の3第8項により速やかに運搬・処分状況を把握し,支障の除去又は発生防止に必要な措置を講ずる(規則8条の29)。甲社は搬入を止め,堆積廃棄物の中間処理業許可を持つ別業者と委託契約を結び,その業者への運搬が確保されるようC社に指示すべきであり,処分終了を記載した管理票の写しを受けていない本件では,通知から30日以内にB市長へ報告する。

(2)

保管上限を超えた保管は産業廃棄物処理基準に適合せず,道路への崩落は生活環境の保全上の支障又はそのおそれである。甲社は12条の3第8項の適切な措置を怠った者として19条の5第1項3号ヘの処分者等に当たる。B市長は同項により,必要な限度で期限を定め,甲社へ崩落防止・撤去等の支障除去措置を命ずることができる。直接の保管者C社に対応が困難であっても,甲社自身の措置義務違反から命令が可能である。

事業者は自己の責任で廃棄物を適正に処理すべきであり(3条1項,11条1項),委託しても排出事業者責任を免れない。原因者に支障の防止・除去の負担を求める汚染者負担の考え方が,管理票による確認・措置義務及びその違反者への命令に具体化されている。

以上

3 出題の趣旨・採点実感を踏まえた解説

(1) 答案と評価項目の対応

設問1は番号1~6,設問2⑴は7~14,同⑵は15~23,設問3は24~27,設問4⑴は28~33,同⑵は34~38,答案全体は39~42に対応する。許容分岐は本文で全てを実行する要求ではない。肯定と否定,分類を述べる位置,論拠の取捨選択を分けて読む。

(2) 分類と許可の範囲

社員食堂は同じ工場内でも製造原料の処理とは異なる発生行為である。事業系一般廃棄物という区分を保持する。産業廃棄物の許可があるだけでは足りず,委託品目を収集運搬・処分の事業範囲と照合する。一般廃棄物委託に関する6条の2第6・7項は,一次法令で独立に確認した補足である。

(3) 警察許可・計画許可と原告適格

警察許可と計画許可という名称を,責任主体・市町村処理困難性・計画適合性・裁量と結び付けて説明する。原告適格では,業者の利益と衛生・環境の公益がどの制度上の仕組みで結び付くかを示す。料金上限は補強例であり,番号23のとおり全論拠や判例名は必須ではない。番号22は否定結論でも説得的な説明があれば全体で優秀とされる余地を保持する。最高裁判決の主文上の上告棄却は廃業後の訴えの利益の消失等によるもので,競業者の原告適格を一律否定した判例ではない。

(4) 実質役員と業務関連性

コンサルタントとの名称だけで役員性を否定せず,積極的な取締役会での発言と意思決定への影響を実質支配力に当てはめる。役員であることと欠格者であることは別である。Gは刑に処せられておらず,指針の逮捕・勾留の例も廃棄物処理との関連を限定する。将来の有罪判決を現在の状態へ前倒ししない。役員性の認定は問題文の事実に基づく推論であり,肩書や発言だけで一般に実質支配力が確定するという意味ではない。

(5) 通知・管理票・具体的対応

通知を出すC社と,通知を受ける甲社の根拠条文を分ける。甲社の直接義務は12条の3第8項である。「他業者による処理を確保する」とだけ書かず,甲社が適格な中間処理業者と契約し,そこへの運搬をC社に指示するところまで具体化する。通知は事由発生から10日以内,通知写しは5年保存(規則10条の6の3・4)。処分終了の管理票写しを受けていない場合の報告は通知受領から30日以内(規則8条の29)である。これら期限・保存の詳細は公式評価表とは別の一次法令による補足である。

(6) 措置命令と政策原則

甲社の措置義務違反が19条の5第1項3号ヘへ接続し,甲社自身が処分者等となる。C社の対応困難だけを見て,処分者等を除く排出事業者の補充命令である19条の6へ飛ばない。支障・必要な限度・期限・命令内容を示した上,排出事業者責任や汚染者支払・原因者負担を義務・命令制度に結び付ける。番号38のとおり,三つの用語を全て並べるだけの要求ではない。

(7) 公式表記の照合と扱わなかった事項

出題趣旨の役員定義の条項表記には転倒があるが,法令原文に従い7条5項4号ホを用いる。また,甲社の通知後対応は14条13項を経由して起動する12条の3第8項の義務である。甲社を処理困難通知の発出義務者に置き換えない。許可の本案違法,国家賠償,後続代執行,C社の刑事責任は本件各設問の主対象として論じていない。

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1 同じ年度の司法試験の別の模範解答

令和6年司法試験環境法第1問の模範解答・評価項目―31項目と5段階の重み付け(AI作成)では,地下水汚染・土壌汚染への行政対応と民事上の責任を扱う。選択科目の他の模範解答は,下記の8科目ハブから読むことができる。

①令和6年度司法試験公法系第2問の模範解答と評価項目―出題の趣旨・採点実感から抽出した52項目と5段階の重み付け(AI作成)
②令和6年度司法試験論文式試験の主要7科目の模範解答(AI作成)
③ 令和6年度司法試験論文式試験の選択科目8科目の模範解答(AI作成)

2 本問の模範解答と関連する山中弁護士ブログの記事

産業廃棄物処理業者から適正処理困難通知を受けたとき―排出事業者の調査・措置・報告と措置命令(AI作成)では,処理業者から通知を受けた後の調査・代替処理・報告と,排出事業者に対する措置命令を整理している。費用の税務は,土壌汚染地の相続税評価と浄化・改善費用―区域の種類,最も合理的な措置,求償権及び対策費用の税務(AI作成)も参照されたい。

①寺田逸郎裁判官(26期)の経歴(本問で参照する最高裁判決の裁判体に関する経歴記事。法的結論の根拠は判決原文である。)

第7 出典及び確認状態

1 公式資料

①令和6年司法試験論文式試験問題(選択科目):物理34~38頁の環境法第2問及び資料。
②令和6年司法試験論文式試験問題出題の趣旨:物理34~35頁の環境法第2問。
③令和6年司法試験の採点実感(選択科目):物理32頁の共通方針・本問概要,34頁の本問開始から37頁末まで。
④令和6年司法試験の実施日程及び実施について(法令基準日)。

2 法令

①廃棄物の処理及び清掃に関する法律(令和6年1月1日現在の法令データ)。2・3・6・6条の2・7・7条の2・11・12・12条の3・14・14条の2・14条の3の2・19条の5・19条の6の関係部分を確認。
②同法施行規則(同日現在の法令データ)。8条の29,10条の6の2~4等。令及び行政処分指針の抜粋は問題の配付資料を用いる。

3 裁判例

①最高裁第三小法廷平成26年1月28日判決(平成23年(行ヒ)第332号)。原文全11頁,特に理由4の利益保護・需給調整・許可の種類の区別を確認。

4 確認状態

法務省の公式資料,試験当時版の法令及び最高裁原文を実読した範囲に基づく。合冊PDF全体の取得は別問題の内容を根拠にした意味ではない。公式資料の記載と,法令・判決原文による独立確認を分けている。評価項目の言い換え,重み,Gの実質役員性や本件への当てはめは独自分析である。判例データベースの網羅検索は行っていない。設問2⑵の否定構成や個別事情による異なる具体策の可能性を,評価表の条件を無視して排除しない。