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国庫補助金でソフトウェアを取得した場合の圧縮記帳(AI作成)

第1 結論

法人が国庫補助金等でソフトウェアを取得した場合,補助金収入は原則として益金になる一方,法人税法42条の要件を満たせば,補助金を取得に充てた金額の範囲で圧縮記帳を行い,課税を将来へ繰り延べることができる。

ソフトウェアは法人税法施行令13条8号ヌの無形固定資産であり,事業の用に供する固定資産として取得したものは圧縮記帳の対象となり得る。
単なる保守料,クラウド利用料又は人件費補助とは区別する。

第2 圧縮記帳は非課税ではなく課税の繰延べである

補助金の交付を受けると,法人税法22条2項により原則として収益を認識する。
圧縮記帳は,対象資産の帳簿価額を減額し,又は圧縮積立金を設けるなどして圧縮額を損金算入し,補助金受領時の課税を繰り延べる制度である。

圧縮後の帳簿価額が将来の減価償却費又は譲渡原価の基礎になるため,その後の各年度の損金が小さくなる。
補助金相当額が永久に課税されない制度ではない。

第3 法人税法42条の要件

1 国庫補助金等であること

固定資産の取得又は改良に充てるため国又は地方公共団体から交付される補助金又は給付金等が対象となる。
交付要綱,交付決定通知,実績報告及び額の確定通知から,使途が固定資産の取得又は改良に限定されているかを確認する。

民間団体を経由して交付される場合でも,その団体が国等に代わって交付事務を行うにすぎず,実質的に国等から直接交付されたと認められるときは対象となり得ると国税庁は示している。

2 目的に適合した固定資産を取得・改良すること

購入したソフトウェアが無形固定資産に当たり,補助事業の目的に適合している必要がある。
月額利用料だけを支払うSaaS,研修費,導入支援費,データ移行費及び保守料は,契約内容と会計処理により固定資産取得価額に含まれる部分と期間費用となる部分を分ける。

3 返還不要が確定すること

補助金の返還を要しないことが事業年度終了時までに確定した場合は法人税法42条を検討する。
確定時期が翌事業年度になる場合,又は固定資産の取得時期と交付時期がずれる場合は,法人税法43条・44条及び関係通達も確認する。

4 確定決算と明細書

圧縮限度額の範囲内で,確定決算において帳簿価額を直接減額する方法,積立金を積み立てる方法等の所定の経理を行う。
確定申告書には,国庫補助金等で取得した固定資産等の圧縮額等に関する明細を添付する。

第4 設例

法人が300万円のソフトウェアを購入して事業の用に供し,その取得に充てるため150万円の補助金を受け,返還不要が同じ事業年度末までに確定したとする。
要件を満たす場合,補助金150万円を益金に算入するとともに,150万円を限度として圧縮損を損金に算入し,ソフトウェアの税務上の帳簿価額を150万円に圧縮する処理が考えられる。

その後の減価償却は圧縮後の帳簿価額を基礎に行う。
補助対象経費に消費税等が含まれるか,国又は地方公共団体以外の負担部分があるかによって計算が変わるため,交付要綱と請求書を照合する。

第5 ソフトウェア取得で確認する資料

①補助金の交付要綱,公募要領,交付決定及び額の確定通知
②ソフトウェアの契約書,注文書,請求書及び検収書
③ライセンス期間,解約時の権利,改変可能性及び成果物の帰属
④本体,導入支援,データ移行,研修及び保守の費用区分
⑤事業供用日及び固定資産台帳
⑥補助金の入金,返還条件及び返還不要の確定日
⑦圧縮記帳の決算仕訳及び法人税申告書別表

「IT補助金」等の名称だけで判断せず,補助対象経費と法人が実際に取得した権利を対応させる。

第6 誤りやすい点

補助金で取得したことを理由に,ソフトウェアの取得価額を当初から自己負担額だけにするのではなく,補助金収入と圧縮記帳を区別する。
また,圧縮記帳を適用しない選択もあり得るため,短期の税負担だけでなく,将来の減価償却費と譲渡損益への影響を確認する。

租税特別措置法の税額控除又は特別償却との重複適用制限が問題となる場合がある。
個別の設備投資優遇税制を利用するときは,圧縮後の取得価額を基礎とするかを各制度で確認する。

第7 出典

①e-Gov法令検索「法人税法」22条,42条から44条
②e-Gov法令検索「法人税法施行令」13条,80条から82条
③国税庁「間接交付された国又は地方公共団体の補助金で取得した固定資産の圧縮記帳の適用について」
④東京国税局「国庫補助金等の交付事業年度後に固定資産等を取得等した場合の圧縮記帳の取扱いについて」
⑤税務大学校「法人税法(基礎編)令和8年度版」